転生者の名は暁古城   作:ちばーな

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お待たせしました!

オリジナル要素が若干だけ入りました!
まだ細かい内容は確定させてないのでおいおい決めていきたいと思います

では第8話どうぞお楽しみください!


第8話 戦争と聖戦

キーストンゲート最下層

そこは海面下220メートルで光すら届かぬ場所

 

その最下層を隔てている気密隔壁が、悲鳴のような軋み音を上げて、こじ開けられた

 

そこからでてきたのは虹色に輝く人型の眷獣と法衣(ほうい)をまとった屈強な体つきの男

 

人工生命体(ホムンクルス)のアスタルテとロタリンギアの殲教師ルードルフ・オイスタッハである

 

命令完了(コンプリート)。目標を目視にて確認しました」

 

自らの眷獣に取り込まれたままの姿でアスタルテが告げる

 

彼女は無表情であり、完全に感情を失っていた

 

オイスタッハが投与した薬によってただの操り人形と化している

 

しかし、オイスタッハにとっては所詮使い捨ての道具。心配するはずがない

 

「お……おお……」

 

目の前にある光景を見てオイスタッハの口から悲嘆と歓喜の混ざった声が洩れる

 

「ロタリンギアの聖堂より簒奪(さんだつ)されし不朽体(ふきゅうたい)……我ら信徒の手に取り戻す日を待ちわびたぞ!アスタルテ!もはや我らの行く手を阻むものはなし。あの忌まわしき(くさび)を引き抜き、退廃の島に裁きを下しなさい!」

 

オイスタッハは高らかに笑いながら、従者である人工生命体(ホムンクルス)に命じた

 

しかし、アスタルテは動かなかった。実体化した眷獣の鎧に包まれたまま、無感情な声で告げる

 

命令認識(リシーブド)。ただし前提条件に誤謬(ごびゅう)があります。ゆえに、命令の再選択を要求します」

 

「なに?…む!」

 

オイスタッハはアスタルテの命令拒否の理由に気付いた。要石(かなめいし)によって固定されたアンカーの上にいる存在に

 

 

「悪いな、オッサン。さっきの命令は取り消(キャンセル)してもらうぜ」

 

そこにいたのは第四真祖とその監視者であった

 

 

 

 

 

 

「西欧教会の''神''に(つか)えた聖人の遺体……聖遺物(せいいぶつ)って言うんだってな。こいつがあんたの目的だったわけか」

 

キーストーンと呼ばれた石柱を(あわ)れむように眺めながら古城は言った

 

半透明な石の中には、ミイラのように干涸(ひか)らびた''腕''があった

 

「……貴方たちが絃神島と呼ぶこの都市が設計されたのは、今から40年以上も前のことです」

 

低く(おごそ)かな声で、オイスタッハは語り出した

 

「レイライン。東洋でいう龍脈(りゅうみゃく)が通る海洋上に、人工の浮島(うきしま)を建設して新たな都市を築く。それは当時としては画期的な発想でした。龍脈が流し込む霊力は住民の活力へとつながり、都市を繁栄へと導くだろうと誰もが考えた」

 

その言葉に古城は無言で頷いた

絃神島が、本土から遠く離れた南の海上に建設された理由がまさしく龍脈であるからだ

 

「都市の設計者、絃神千羅(いとがみせんら)はよくやりました。東西南北、4つに分割した人工島(ギガフロート)を風水でいうところの四神(しじん)に見立て、それらを有機的に結合することで龍脈を制御しようとした。だが…それでも解決できない問題がひとつだけ残ったのです」

 

要石(かなめいし)の強度……だな」

 

古城の呟きに、オイスタッハは重々しく首肯(しゅこう)する

 

「いかにもそのとおり。絃神千羅の設計では、島の中央に四神の(おさ)たる黄龍が、連結部の要諦(ようてい)となる要石(キーストーン)が必要でした。しかし当時の技術では、それに耐えうる強度の建材を作り出すことは不可能でした。…ゆえに彼は()まわしき邪法(じゃほう)に手を染めた」

 

「それが供儀(くぎ)建材…か」

 

供儀建材

それは呪術であり、生きた人間を(ニエ)として捧げる邪法である

 

龍脈は自然界の気の流れ。その荒々しい力を受け止めるための要石(かなめいし)の強度は神の奇跡にも匹敵するだけの力がなければならない

 

「彼が都市を支える(ニエ)として選んだのは、我らの聖堂より簒奪(さんだつ)した聖人の遺体でした。魔族どもが跳梁(ちょうりょう)する島の土台として、我らの信仰を踏みにじる所業……決して許せるものではありません」

 

静かに宣言し、オイスタッハは戦斧(せんぶ)を構えた

 

その姿は、話は終わりだ、と語っているようだった

 

「ゆえに私は、実力を持って我らの聖遺物を奪還します。立ち去るがいい、第四真祖よ。これは我らと、この都市との聖戦です。貴方といえども邪魔は許さぬ」

 

邪魔をすれば容赦しない、そんな気迫のこもった目で古城を見る

 

それに対し古城は

 

「勘違いするなよ、オッサン。別にあんたとこの都市の聖戦を止めるために来たんじゃない」

 

「……なに?」

 

古城の発言にオイスタッハは表情を歪めた。ならなぜここにきた、と言いたそうな表情で古城を睨む

 

「俺はただ……借りを返しに来ただけだ」

 

「借り……だと?」

 

「俺はあんたに胴体をぶった()られた借りがあるんだぜ?とっくの昔にくたばっちまった設計者(ニンゲン)に対する復讐なんかより先に、その決着をつけようぜ」

 

すると、古城の全身を稲妻(いなずま)が包み込んだ

 

「貴様……その能力は……」

 

オイスタッハは危機感を感じた。あの稲妻は前回見たが、あの時とはまるで違う。あの時のような怒りに任せての暴走ではなく、魔力の質も量も桁違いだった

 

「さあ、始めようぜ、オッサン。ーーここから先は、第四真祖(オ レ)戦争(ケンカ)だ」

 

「いいえ、先輩。わたしたちの聖戦(ケンカ)です!」

 

 

 

 

 

そこさら先の戦闘はかなりハイレベルだった

 

雪菜は持ち前の''霊視''と雪霞狼(せっかろう)で、眷獣に包まれたアスタルテと渡り合っていた

 

互いに持つ神格震動波駆動術式(D O E)によって完全な膠着(こうちゃく)状態となっている

 

 

そして、古城とオイスタッハの戦闘では

 

オイスタッハは大きな戦斧(せんぶ)を巧みに操り、古城は流れるような動きで戦斧を躱し、受け流しながら隙をついて反撃していた

 

「凄まじい魔力……そしてこの動き、流石は第四真祖」

 

「褒めてもなにもでねえぞ!」

 

その瞬間オイスタッハは表情を強張(こわば)らせた。古城はその膨大な魔力を右腕に集め、そのままオイスタッハ目掛けて虚空を殴った

 

すると魔力が古城の腕から離れ、オイスタッハ目掛けて真っ直ぐ飛んできた所を、オイスタッハはギリギリ回避した

 

「…貴方はやはり(あなど)れぬ敵です。ゆえに相応の覚悟をもって相手をさせてもらいます!」

 

「なに……っ!?」

 

オイスタッハの纏う強化鎧から黄金の輝きを放った

 

「ロタリンギアの技術によって造られし生成装備''要塞の衣(アルカサバ)''ーーこの光をもちて我が障害を排除する!」

 

オイスタッハの攻撃は先ほどより素早く、強力になっていた。あの強化鎧は相手の視界を奪うだけでなく、使用者の筋力を上げることができるようだ

 

視界が悪い中古城は、音と勘だけでギリギリ避ける。が、それだけでは回避しきれず、戦斧によって所々かすっていた

 

「やるな…っ!オッサン!そうゆうことならこちらも遠慮はしねえぜ」

 

「ぬ……!?」

 

その瞬間古城が放つ異様な気配に気づいて本能的に後方へと跳んだ

 

その時の古城の眼は一瞬だけ黄金色に輝いていた。だがそれもすぐに赤色に戻り、オイスタッハ以外の人はこの事に気付かなかった

 

「(なんですか…今の眼の色は…。見間違いでなければ黄金色…?)」

 

オイスタッハの動揺を知らずに古城は右腕を突き出した

 

「死ぬなよ…オッサン!」

 

するとその右腕が、鮮血を噴いた

 

「''焔光の夜伯(カレイドブラッド)''の血脈(けつみゃく)を継ぎし者、暁古城が、(なんじ)の枷を解き放つーー!」

 

右腕から噴き出した血が輝く雷光へと変わっていき、段々と形作っていく

 

疾く在れ(きやがれ)、5番目の眷獣、''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''‼︎」

 

出現したのは雷光の獅子

荒れ狂う圧倒的な魔力の塊は、存在するだけで、大気を震わせる

 

「これが貴方の眷獣か……!これほどの力を密閉された空間で使うなど、無謀な!」

 

「行け!''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''‼︎」

 

宿主の命令を遂行するために雷の獅子はオイスタッハ目掛けて前足を振り下ろした

 

オイスタッハはそれを避けるが、''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''の攻撃の余波だけで数メートル撥ね飛ばされた

 

「ぐあ……っ!?ア、アスタルテ!」

 

続けて攻撃を仕掛ける''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''に対抗できるのは''薔薇の指先(ロドダクテュロス)''しかいないと、オイスタッハは判断し、自身の従者を呼んだ

 

 

アスタルテは雪菜の攻撃を振り払って''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''の前に躍り出る

 

そしてそのまま''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''とアスタルテを包む眷獣が激突した

 

第四真祖の眷獣に対抗できる眷獣など、ほとんどいない。だが''薔薇の指先(ロドダクテュロス)''は例外であった

 

''薔薇の指先(ロドダクテュロス)''の持つ神格震動波の防御結界が、''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''の攻撃を受け止め、反射した

 

「…なに!?うおっ!?」

 

「きゃあああああっ!」

 

古城は自身の眷獣が止められた事に驚いた。反射された魔力の塊は天井にぶつかり爆発。それによって降り注ぐ瓦礫を古城はとっさに雪菜を抱き寄せ自身の魔力を瓦礫にぶつけた

 

「大丈夫か?姫柊」

 

「はい。ありがとうございます、先輩」

 

「さて、どうやって破るかな…あの結界」

 

「この聖戦(たたかい)、私たちの勝ちですよ。先輩」

 

えっ、と古城が言う暇もなく、雪菜が疾走する

 

「ーー獅子の神子(みこ)たる高神(たかがみ)剣巫(けんなぎ)が願い(たてまつ)る。破魔(はま)曙光(しょこう)雪霞(せっか)神狼(しんろう)(はがね)神威(しんい)をもちて(われ)悪神百鬼(あくじんひゃっき)を討たせ給え!」

 

祝詞(のりと)とともに、あらゆる結界を切り裂く神格震動波が細く、鋭くなった

 

 

雪霞狼(せっかろう)と''薔薇の指先(ロドダクテュロス)''。互いに刻印しているのは同じ神格震動波駆動術式(D O E)。だが、巨大な眷獣の全身を結界で覆うアスタルテに対して、雪菜の槍は、その力をただ一点に集中させていた。ただ細く、鋭く、相手の結界を貫くために

 

雪霞狼(せっかろう)!」

 

次の瞬間、銀色の槍が結界を突き破ってアスタルテの眷獣に深々と突き刺さっていた

 

この時には古城は先程の雪菜の言葉の意味を理解していた

 

「''獅子の黄金(レグルス・アウルム)''‼︎」

 

金属製の槍は避雷針のように深々と眷獣に突き刺さっている。そこに雷の眷獣が向かっていく

 

雪菜はすでに、槍を手放して空中に飛んでいる

 

 

そして、雷へと姿を変えた眷獣の魔力が槍にぶつかる。そして、そのまま槍を伝って''薔薇の指先(ロドダクテュロス)の体内へと流れ込んだ

 

「………っ!?」

 

当然体内にいたアスタルテが無事なわけがない。真祖の眷獣の圧倒的な魔力によってアスタルテの眷獣は消滅し、ゆっくりとその場にたおれこんだ

 

そして、アスタルテの眷獣の消滅は、要石(キーストーン)から聖遺物を解放するというオイスタッハの野望が潰えたことを意味する

 

「アスタルテ……っ!?」

 

そんな殲教師の動揺を剣巫が見逃すはずがなかった

 

(ゆらぎ)よ‼︎」

 

鎧を貫通して人体内部にダメージを伝える、剣巫の掌打(しょうだ)

 

それはオイスタッハに確かなダメージを与えた。そして追い討ちのように古城が前にでて顔面を殴りつけた

 

「ーー終わりだ、オッサンっ!」

 

そのまま吹き飛び、倒れた

 

最後にオイスタッハはゆっくりと要石のほうへ手を伸ばそうとして…力尽きたように沈黙した

 

 

 

 

「終わった……」

 

慣れない眷獣の制御と魔力の消費によって息が乱れてる古城

 

雪菜も疲労の表情はでてるが、暗い顔ではなかった

 

「はい。私たちの勝ちです」

 

「……アスタルテはなんとか無事か、良かった…」

 

アスタルテは酷く消耗はしていたが、雷の影響をほとんど受けていなかった

 

「なんであんな雷撃を喰らっているのに影響がないんでしょうか?」

 

「ああ、それは''ファデラーの(ケージ)''って呼ばれる現象でな、金属とか電気を通しやすい物質に囲まれていると、内部にいる人は落雷の影響を受けないんだ」

 

当然のように知識を言う古城に雪菜は驚いていた

 

「えっと、この子…どうにかして寿命を伸ばすことはできないんですか?」

 

「できるとは思う…けど…」

 

「何かあるんですか!?」

 

「ああ、この子の眷獣を俺の支配下に置けばなんとかなる……けど……」

 

ここでもったいぶる古城に雪菜は呆れながら

 

「じゃあそうしたほうがいいと思いますけど」

 

「いや、そうなんだが……吸血しなきゃダメだろ?」

 

「え?……あ…」

 

そう言われ雪菜は気づいた。吸血行為をするという事はまず性的興奮しなければできない。古城がロリコンでなければアスタルテに興奮するはずがないのだ

 

古城がロリコンでない事を雪菜は内心良かった、と思っていた

 

「だから問題なんだよ…」

 

「……。では、少しだけ……」

 

と言って雪菜は古城に抱きついた。その時の雪菜の顔は真っ赤であった

 

「あ…ありがとう。……も、もういけそうだ」

 

古城は雪菜に抱きつかれたことですぐに興奮して準備万端となった

 

ここまできて気付かない2人は鈍さを極めているのか

 

そして、古城はアスタルテの首筋に牙を突き立てた

 

「……どうですか?」

 

「ああ、大丈夫だ。これでこの子の寿命もだいぶ延びるだろ」

 

「良かったです…。では、そろそろ戻りましょうか、先輩」

 

「ああ、帰るか」

 

 

そうして、海面下220メートルでの戦いは終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

絃神島南地区(アイランド・サウス)の住宅街。9階建てのマンションの窓辺に1人の少女の姿があった

 

その少女とは暁凪沙(なぎさ)であったが、普段の彼女とは雰囲気がまるで違った。まるで、別の何かが彼女の身体を知ろうしているような感じだった

 

獅子の黄金(レグルス・アウルム)……ようやくお目覚めか…」

 

そう言った彼女の表情はどこか(たの)しそうであった

 

「ようやくやる気になったという事か……そして、あの力(・・・)にも目覚めかけてるとは…中々面白いことになりそうだ」

 

 

 

 




次回更新は……今日かもしれないです
午後に更新できればと思っています
今日更新しなかった場合は明日となるのでご了承ください

それではまた次回
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