やはり俺が六子と腐れ縁なのはまちがっている。   作:からぶり

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ぼっちと六子

俺の名前は比企谷八幡。どこにでもいる目の腐ったぼっちな高校生である。ここに補足として入れるのであれば非リア充であることくらいだ。

 

だが目が腐っているのは置いといて、俺がぼっちであるのは校内でのことであり、家に帰ればぼっちではなくなる。ということをここで伝えておきたい。

まぁ、家に帰ればそりゃ家族がいるわけなので特別な環境じゃない限りぼっちなわけねーだろと言われればそうなのである。

実際に俺にも家に帰れば「おかえりーごみぃちゃん!」と言ってくれるかわいい妹がいる。

え?ごみぃちゃんって言われてるのにかわいいでいいの?だって?

 

「千葉の兄弟なめんなよ?小町ならなにしてもかわいいまである。」

 

おっといけね、声に出しちゃった☆なーんてな…。

 

 

「うっわー。イッタイねぇー。カラ松兄さんにでもなるつもりなの?」

 

先ほども言ったが、俺は家に帰ればぼっちではなくなる。

 

「俺のようになりたいのか?いい心がけだ…。だがしかし、おまえには欠けているものがある。それは」

「黙れクソ松。」

「はい。」

 

それは家に帰れば妹の小町がいるからと、あともう一つ理由がある。

 

「おーい八幡!そこにずっと立たれるとおにーちゃんたち部屋に入れないんだけどー!」

「やきう!?やきうする!?」

 

 

俺は自分の部屋の扉の取っ手に右手をかけた状態で後ろを振り返った。もう一度言う。「自分の部屋の前」である。

 

「お前らなにやってんだよ。後ろつっかえてるだろ?紅茶持ってきたから早く中入って!あとで小町がケーキ持ってきてくれるから。あと十四松は廊下で素振りすんのはやめろ。」

 

俺が振り返った先には、同じ顔の作りをした男が六人立っている。この六人は、近所で有名な六人兄弟だ。なぜ有名なのか。それはヤツらが一卵性の六子だからだ。

 

「はちま~ん、お前が早く入んないから俺らまでチョロ松に怒られただろー!入らないなら俺が先入るからな~。」

 

こちらが口を挟む間もなく、六子たちはぞろぞろと部屋に入っていく。いやここは俺の部屋だから!なに勝手に入ってんの?

一番最後に部屋に入ってきた、お盆に紅茶のカップを乗せた緑色のパーカーを着た男が「八幡も早く中入れよ」と言う。

はぁ~っと、大きなため息をつきつつ部屋の中に入れば、六子たちは思い思いの行動を取っていた。

 

それでは長男から順番にこの忌々しい六子の紹介をしようと思う。

長男の名前はおそ松。脳内が小学6年生のまま成長してしまった悲劇のバカである。ちなみに俺のベットにうつ伏せに寝転んでマンガを読み始めている赤いパーカーを着た男がおそ松。

次男の名前はカラ松。成人してもまだまだ厨2を地で行く勇者である。あの持参した手鏡を見つめている青色のパーカー男だ。

三男の名はチョロ松。この六子の中では唯一の常識人…と本人は思っているらしいが安心しろ、お前も立派な六子の一員だ。先ほどのお盆に紅茶を乗せてきた緑色のパーカー男である。

次に四男、一松。猫好きのネガティブ野郎。時々思いもよらない行動を起こす要注意人物だ。ベットと壁の間に作られた狭いスペースに座って我が家の飼い猫カマクラとねこじゃらしで遊んでいる紫色のパーカーの男だ。

五男の名は十四松。異常に明るくいつも笑顔を絶やさない異常者な野球青年である。今日も元気に愛用のバットで素振りをしている黄色のパーカー男だ。いい加減室内で素振りをするのはやめていただきたいものである。

最後に、六男トド松。やけにコミュ力の高いあざといドライモンスターだ。俺が勉強用に使っている椅子に座ってスマフォとにらめっこをしているピンクパーカーの男である。

ちなみに、全員成人済みのニート。

 

 

「紅茶置くから、誰か例のもの出してくれない?」

「はいはいはーい!わっしょいわっしょい!どぅおーーーん!!」

 

チョロ松の言葉に反応して十四松が持ってきたのは純和風なちゃぶ台だった。そこに当たり前のように置かれていくオシャレなティーカップに疎外感を感じながら……て、ん?まてまておかしいだろ。

 

「このちゃぶ台なんだよ?」

 

俺の部屋にこんなものはなかったはずだ。

 

「フッ…俺たちから八幡にプレゼントだ。」

 

ばーんって、片手を拳銃の形にした厨2がなにやらほざいた。

 

「…八人分もそこの勉強机にケーキ乗らないから。」

 

それってお前らがここに来なければ解決だと思うんだけど?一松。

 

「今日のケーキ、僕が駅前で人気のお店で買ってきたやつだから絶対おいしいよ。こまちちゃんまだかな~。」

 

ケーキはしっかりいただくよ、トド松。だがしかしなぜここで食べるんだ。

 

「ケーキたーべるー!!!」

 

素振りの速度が上がった。

 

「八幡、小町一人じゃ運べないだろうから手伝ってきてやってくんない?」

 

手伝うけど!小町のために手伝いますけど!

一言言わせていただきたい。

 

「だからここは俺の部屋ですけど!?なに勝手に入ってきてんだよ。しかもケーキ食べるとか、百歩譲ってこの家で食べるにしてもリビングがあるだろ」

 

 

「はっちま~ん、八幡は俺達の弟的存在だろ?弟のものはお兄様たちのもの。だから八幡の部屋も俺達のもの。だろ~?」

 

誰か、コイツを殺す許可をください。殺してもすぐ生き返りそうだけど。あと俺の兄弟は妹の小町だけでいい。

 

 

握り込んだ拳がプルプルと震え出す頃、下から「おにーちゃーん、ケーキ取りにきてー!小町一人じゃ持ちきれないよー」という小町の可愛い声が聞こえてきてつい条件反射で「今いくわー」と答えてしまう。

 

「僕らの弟は相変わらずのシスコンで今日も一日平和だねー」

 

背中越しに聞こえるトド松の声にツッコミを入れる気力もなくなった俺は、小町の待つリビングへ足を進めるのであった。

 

 

これが俺が家ではぼっちではなくなる理由。親同士が仲が良く、小さな頃から一緒に遊んでいたためか、この六子は俺と小町を実の兄弟のように接してくる。もう不幸としか言いようがない。

 

 

そんなわけで今日も今日とて俺はこう思ってしまうのだ。やはり俺が六子と腐れ縁なのはまちがっている、と。







ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回はぼっちと四男です。
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