緋弾のアリア Ultimativen Waffen 作:清姫
誰かのために生きることにのみ、生きる価値がある。
アルベルト・アインシュタイン
百合の花が咲き誇る庭園。その中心のカフェテラスから男性の声が聞こえてくる。その声の主は髪をオールバックで整えており、鼻が高く、端正な顔つきをしている。まさに英国紳士を体現したような男性であった。
「ふふふ。やはり君と話していると心が落ち着くよ」
ティーカップに入った紅茶の香りを楽しみながら喉を潤す。聞いている少女はつまらなさそうに頬杖をつきテーブルの上にある一本の百合の花を愛でていた。
「……はぁ。貴様は毎度毎度イ・ウーなる組織に入って欲しいと私を勧誘をしに家に来ては雑談をして帰って行く。幾ら来ても返事は変わらないぞ? シャーロック・ホームズ」
「私は君がイ・ウーに来てくれると確信しているからこうやって勧誘をしながらイリルカ君が淹れてくれた紅茶を楽しんでいるだけだよ? ミス・アインシュタイン」
少女は手を挙げる。すると後ろで控えていたメイドが一瞬でタクティカルナイフをシャーロックの喉元に突きつける。しかし当の本人はの表情は変わらず、紅茶を楽しんでいた。
「私を名字呼ぶな」
「これは失礼。そう言えば君は名字で呼ばれるのが嫌いだったね。次からは気をつけるよミス・アリシア」
アリシアは舌打ちをしながら手を下げると喉元にナイフを突きつけていたイリルカはスッと何処かに消えていた。
「さて…そろそろ帰る事にするよ」
テーブルの上に置いていた帽子を被り直すと手に持っていたステッキをコンコンと鳴らす。
「さっさと帰れ、年齢詐欺の盲目じじいめ」
手をひらひらさせながら、欠伸をする。そうしているとまた神出鬼没のメイドが預けていたホームズの帽子を渡し、アリシアの後ろに控えながら深くお辞儀をする。
「最後に一つ。君は必ずイ・ウーに来る」
「勝手に言ってろ」
アリシアを見て微笑むと花園に突然シャーロックの周りに風が吹く。あまりの風にアリシア一瞬目を閉じてしまった。しばらくして目を開けるとシャーロックの姿はもう何処にもいなかった。
時間が経過し真夜中に。アリシアは寝れずにテラスに一人物思いに耽っていた。
私の名前はアリシア・アインシュタイン。学者であり、研究者であり、そして天才である。おまけに金髪碧眼の超絶美少女である。自分で天才と言うのはどうかと思うが実際天才何だから仕方がない。
天才であり超絶美少女である私は今人生で初の悩みを抱えている。
「……イリルカ~」
「ここに」
また何処から現れたのかメイドがアリシアの前に跪く。
こんな事を従者であるイリルカに聞くのはちょっと恥ずかしいが……この際いいか。
「教えてくれイリルカ。私はどうするべきなのだろうか……私は天才学者だ、兵士ではない。こんな天才の私にシャーロックは何を求めていると言うのか分からないのだ」
用意したカップに紅茶を淹れながらイリルカは答える。
「アリシア様は人を能力だけで価値を測るのをやめた方がよろしいのではないでしょうか? あと自分の事を天才と言うのをやめてください。いい加減ウザいです」
分かっていた。分かっていたがこいつは主人に対して口が悪過ぎる!
「う、うざ、ウザいだと! 貴様! 私は一応お前の主人だぞ! それをお「先ほどのアリシア様のお話ですが」おい人の話を聞け!」
イリルカはアリシアを一瞬睨むと「っひ!」と言う悲鳴を上げテーブルに置かれたカップをカタカタ震えながら飲む。
怖い。死ぬかと思った。
「話を戻しますがホームズ卿がまとめているイ・ウーと言う組織……私が調べた所どうやら唯のテロリストの集団では無いようです」
どこから取り出したのか紙の束を捲りながら報告を続ける。
「どういうことだ?」
「どうやら集団内で自分の特技や能力を他の人に教え合う学校の様な事をやっているらしいです。っという事は学にしか能のないアリシア様でも学ぶのは兎に角、教える事は出来るのではないでしょうか?」
少し悩むとパッと表情を明るくなった。その表情を見るイリルカはと言うと、片手で頭を抑え、深く溜め息をつく。
「そうか…うん、そうだな…。よし! イ・ウーのバカ共に天才であるこの私が猿でもわかる様に講義を開いてやる事にしよう! ……イリルカお前、どさくさに紛れて私の事を貶さなかったか?」
アリシアの問いかけを無視し、イリルカは携帯で何処かに連絡を取っていた。
「もしもし。イリルカです。勧誘の件、受けるだそうです。はい、はい、では後ほどまた連絡致します」
何で主人である私はこんなにも無視されなければならいのだろう……。
「自分の主人と話している時に何処と連絡取ってるんだ」
「ホームズ卿の所です。勧誘の事で受けると伝えておきました」
「まだやるとは言って「アリシア様。屋敷に侵入者です」って、人の話を聞けと言ってるだろう… で今度は何人だ?」
アリシア自身世に出たら戦争に発展しかねない技術を何個も開発しており、現在進行形でこの屋敷は世界各国色んな組織から狙われている。だからこうやって従者達が撃退しているのだ。といってもこの屋敷にいる従者はメイドである私ともう一人の少女だけである。
「私の勘だと6人かと」
「もうこれで何回目だ全く…もう今日は疲れた。部屋で少し休む。食事の時になったら起こしてくれ」
アリシアは疲れた顔でイリルカに指示を出すと返事も聞かずに出て行った。
「おやすみなさいませ」
深く一礼してから目つきが少し鋭くなると耳に付けているカムで従者に指示を出す。
「こちらイリルカ。また屋敷に雑草が生えて来ました。イヴ、刈ってくれますか?」
『ひっひっひー。今は武器の開発に専念したいでありますからしてー。わたくしは今回はパース』
「貴方には
『まじっすか!』
『はい! このイヴにお任せください!』
『……ではイヴ。早急に草刈りを行いなさい。前みたいにまき散らさないでくださいね?頼みますよ』
『了解致しました! このイヴ。一命にか』
プチ
言い終わる前にカムの電源を切った。
「イリルカー 眠れなーい!」
大きな声が館中に響き渡る。
「只今参ります」
これは自称天才超絶美少女の従者である遠山・A・イリルカの物語。