「僕は昔、正義の味方に憧れてたんだ――」
俺の命を救ってくれた目の死んだ枯れた男。俺に魔術と荒れ狂う正義を教えてくれた男の言葉――、
俺はその言葉対して何と返しただろうか?
幾たび語り最後に俺はこう答えたのだ。
「正義の味方に俺はなる! そう愛と希望の戦士! そうその戦士の名はジャスティスファンタズム!!!!」
「いや、ちょっと違うような――でも……まぁ安心した」
そんな会話をしたようなしてないような……そんな大事な記憶――――。
――――セ……
――――センパイ?
「先輩? 起きてください」
俺の秘密基地――アースクラー(土蔵)に侵入したのは俺を先輩とよぶ電脳妖精『チェリー・ブロッサム』である――
「先輩……私は電脳妖精じゃないですよ?」
この女! 俺の心を!
「全部口から出てます……」
「あれ? 嘘?」
この俺もまだまだ未熟者らしい。閉心術はいい加減極めておきたかったんだが――。
きっと寝起きで閉ざしきれなかっただけだろう。
そうに違いない。
「もう、先輩は本当に変な人ですね……」
チェリー・ブロッサムは俺をクスクスと笑いながら俺を変な人などと評している。
それはおそらく誤解だろう。彼女は俺の借りの姿に騙されている。
俺は一見ごく普通の高校生。だが本当の姿は世界を守る背中に闇を背負った光の戦士。愛と希望をその身に背負う正義の味方。
衛宮士郎の名を被るもの―――そうその名はジャスティスファンタズムなのだ。
俺は日夜、正義を執行するためにこの秘密基地で俺に正義を教えた目の死んだ枯れた男から教わった魔術の鍛錬をしているのだ。
その鍛錬は辛く苦しい。何せ、魔術は未だマトモに成功していない。
――おそらくそれの原因は俺の人類に対する愛が未だ小さいからだろう。
俺は未だ正義を背負う者として未熟なようだ。
「全く、このままじゃ俺は只の頭のおかしい厨二病だな……ふっ」
そう俺は自嘲気味に笑う。全く俺は厨二病じゃないが周りの人間には厨二病と言われる。全くとんだ誤解だろう。俺は只の正義の味方を志す者だ。
「――――え? いや、まぁ慣れたので深くは言いませんけど自覚ないんですね……」
チェリー・ブロッサムが俺をマジか? と言わんばかりの表情で見ている。
――――俺は何か変な事を言っているのだろうか?
「どうかしたか? チェリー・ブロッサム?」
「だから私は電脳妖精でもなければチェリー・ブロッサムでもないです……。変な事を言ってないで着替えてください。朝御飯を食べる時間が無くなっちゃいますよ」
「あ、そうだな。いつもすまないな。チェリー・ブロッサム」
そう彼女、チェリー・ブロッサムは暇ができれば毎朝の俺の家にやって来て俺の朝食を作ってくれるのだ。最初はおにぎりすらマトモに作れなかったが俺と修練を積み重ね俺と同じように料理ができるように成長したのだ。
地味に俺の楽しみでもある。彼女の料理は美味なのだ。
「――――私はチェリー・ブロッサムじゃなくて間桐桜です……先輩」
わかっているさ。俺と同じく世を忍ぶ名が間桐桜なんだろ?
このアースクラーをでたら桜と呼ぶさ。世を忍ぶ気持ちは俺にもわかる。
まぁー俺はジャスティスファンタズムの名を隠しはしないがな。
「わかってるよ。お前の気持ちは……さぁ行こうか。桜」
「絶対に私が言いたいことの意味を理解してない気がします」
? そんなことないぞ? 変なチェリー・ブロッサムだ。
さて、今日も一日一善。ジャスティスファンタズム!!!!!!
ーーーーーーー
「おはよう! 桜ちゃん! 今日も士郎の相手ご苦労様! 大変でしょ? 士郎の相手は」
「いえ――もう、なれてますから」
「くぅ~~! 桜ちゃんは厨二病の士郎には勿体ないくらいの良妻ね!」
「良妻だなんて! 藤村先生ったら!」
「なー、俺の何処が厨二病なんだ? 失礼だろ? 俺に対して」
俺はいつものように制服に着替え……居間の桜がいる場所に向かう。そこには鼻腔くすぐる朝食と桜そして俺の保護者『タイガー』こと藤村大河がいる。俺は藤ねぇと呼んでいる。
毎日、彼女は俺の家にやって来て朝食を漁りにくるのだ。
今日は速いな……。
しかし彼女は聞き捨てならない事を言った。俺はそれに対して定位置に座りながら藤ねぇに聞く。
「何処が厨二病って…………その右手の包帯と左の眼帯とかよ」
「これは俺の闇の力を封印するための物だ!!!」
「それが厨二病なのよ! 士郎いい加減卒業しなさい! 大人になると恥ずかしいわよ! 死んだ切嗣さんが見たら泣くわよ!」
「俺の親父は俺と志を同じくする仲間だ! 厨二病だと勘違いするわけない!! これは封印なの! 親父だって秘められた力を封印してたんだぞ!」
何を言っているんだ? 藤ねぇは! 失礼にも程がある。
「先輩のお父さんって……先輩と同類なんですね」
そう言いながら桜は俺にご飯を渡してくる。
「あぁ。俺と同じく正義を背負う者だ」
「勘違いしないでね。桜ちゃん……士郎のお父さんはマトモだから……」
何だ? 俺がまるでマトモじゃないみたいじゃないか?
「俺もマトモだろ?」
「「――――え?」」
「え?」
「あ、はははー。藤村先生も先輩も話はそのへんにして食べましょう。冷めてしまいますし」
「そうね! 食べましょう! 桜ちゃん! 冷めたら美味しく無いものね!」
「なー、話をそらしてないか?」
「そ、そんなことないですよ。先輩!」
そうなんだろうか? 何故か釈然としない。
そう思いながら俺は桜と藤ねぇに言われるがままに朝食を食べ始めたのであった。