月明かりが美しく輝くなかでさらに尊く美しく輝く金の髪の凛と立っていた少女――そう、俺のスタンド『聖騎士の栄光(ホーリーナイト・グローリー)』は俺に下がっていろといいブルー・ワイズスヌーピーを腕の一振りで吹き飛ばし烈火の如く戦っている。
やはりアイツは俺の意思に呼応し戦う俺の新しい力だ。
俺も加勢しなくては……まずブルー・ワイズスヌーピーの隙を伺おう。
「貴様、戦士でありながら己の武器を隠すとは何事だ!!」
ぅお! 何だアイツ雰囲気めちゃめちゃ怖くなった。しかも欠片も隙を感じない? 何なんだ? アイツは――迂闊に突っ込むと俺のスタンドの足手まといになる!
「ランサーよ。戦場であなたはそのような戯れ言を言うのか?」
「――そうか。なら1つ聞く。貴様の武器は剣か?」
「さぁな。槍かも知れんし斧かも知れん。もしや弓かもしれんぞ? ランサー」
「はっ! 抜かせ! セイバー」
セイバーじゃなくて『聖騎士の栄光(ホーリーナイト・グローリー)』だろ? ブルー・ワイズスヌーピーめ。
くっ。しかし何て速さだ。対応する俺のスタンドも凄いがブルー・ワイズスヌーピーの槍さばきは止まることを知らない。
いったいどうやったらあそこまでの……実力になるんだ?
俺に槍の知識なんて無いが理不尽なまでの才能と異常なまでの経験が伺える技量だ。俺など永遠に追い付けないほどの実力差がわかる。
俺はどうやら死地にいるらしい。新しい力に目覚めたからと慢心してはいけないのか。
いや、その通りだ。俺は正義の味方ジャスティスファンタズム……インフェルノ相手に油断する事などあってはならない。
あ! 俺のスタンドにまた吹き飛ばされたブルー・ワイズスヌーピーは一度、距離をとることにしたらしい。
どうやらあの見えない剣らしき物のせいで間合いを図りかね攻めあぐねているようだ。あんな横払いや振り下ろしが混じりまくった槍の突きを放ったのに信じがたいがそんな気がする。
何故ならブルー・ワイズスヌーピーはやりづらそうな顔をしているからだ。
「セイバー……ここらで痛み分けってのはどうだ?」
どうやら退くらしい。だがここで逃がせば……たくさんの人が傷付くかもしれない。だがどうする? 覚醒したとは言え目覚めたての能力で深追いするのは危険だ。
だが……俺はどうすれば……くっ。
「だめだ。貴様はここで倒れろ――ランサー」
「そうだ! ここでブルー・ワイズスヌーピーを倒せ! ここで倒さないとインフェルノの暴虐は止まらないぞ!」
スタンドの意見に同意しよう。自信満々なようだ。なら対応できるということだ!!!
「――――? よくわかりませんがランサーはここで確実に倒しますマスター」
ランサーじゃなくてブルー・ワイズスヌーピーなんだが? まぁいい。その通りだ。確実に倒せばインフェルノにダメージを与えられるはずだ!
「そうか……ならしかたねぇな。セイバー――お前のマスターは何を言ってるのか欠片も理解できねーが逃げられねぇなら…………セイバー貴様をここで確実に殺すだけだ!」
そういったブルー・ワイズスヌーピーを腰を深く落とし槍を構える。どうやら刺突のようだ。そして槍が赤く揺らめき光を放っている。
だがなんだ? この雰囲気は……これはあのときの火事の時のような……。
十年前の大火災の中を一人歩いたときのような感覚…………。そうだ、自分の死を目前とした時の感覚だ!
なんだ? ここで誰かが死ぬのか…………。俺はジャスティスファンタズムだから正義の力でさっきみたいに蘇生できるが……俺のスタンドは…………。
「――――宝具か!」
ホーリーナイト・グローリーは何かに気付いたようにブルー・ワイズスヌーピーを攻撃しようとする。
だがアイツの槍は荒々しい死の気配を放ち…………。
「その心臓――貰い受ける―――!!!」
「ッ――――!」
「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』!!!!!!』」
「よけろおぉおお!!!!!」
槍がホーリーナイト・グローリーの心臓に!!
「助かりました――マスター」
「え?」
「何! 令呪か!」
なんだ? ホーリーナイト・グローリーがいつのまにやら俺の真横に瞬間移動している。
――――そうか。スタンドだからか! 俺の意思に呼応し確実に避けるために一度消え俺の横にまた現れたんだ!!
「――――ゲイ・ボルク。心臓に必中する魔の槍。そうか貴方は光の御子クー・フーリンか」
「ッチ――――俺の槍は必中なんだがな……まさか令呪使ってまで避けさせるとは……ボウズ勘は良いみたいだな。誉めてやるよ。俺はもう退く」
「なっ! ブルー・ワイズスヌーピー! 逃げるきか!?」
「だからな。ボウズ……俺はスヌーピーとやらじゃねぇよ!」
「マスターが何を言っているかは半分もわかりかねるがランサー貴方はここで倒す……!」
「あ? ならいいぜ。かかってきな! マスター共々な。だがな……セイバーお前は知らんが次はお前のマスターに宝具を使うぜ? いいのか?」
「くっ!」
「そうだ――それでいい。じゃあな。セイバー次は存分に戦お「逃げるのか! ブルー・ワイズスヌーピー!」…………こいつはいったいなんなんだ…………」
ブルー・ワイズスヌーピーは俺達を何故か疲れた表情で一瞥した後、俺にはほぼ視認できないような速度で退いていった――――。
「初戦で令呪を使わせる事になってしまい申し訳ありません。マスター」
「令呪? 聖痕(スティグマ)のことか。なんのこと……この左手は!!」
「聖痕? あぁ令呪の事か。その通りです。貴方の左手の甲にあるものです。もう2画しかありませんが……」
俺の左手にはいつの間にか聖痕…………そう『継がれる運命の聖痕(スティグマ・フェイト)』が刻まれていた。
そうか。インフェルノとの最終戦争『世界の滅ぶ悪夢の夜(ラグナロク・ナイトメア)』が始まる前兆か…………。
「ホーリーナイト・グローリー……これから共に戦おう。俺とお前は一蓮托生だ」
これから先、二人で力を会わせなくてはインフェルノとの戦いを生き残る事はできないだろう。
「――――? 私はセイバーなんですが? …………わかりました。共にこの聖杯戦争を勝ち抜きましょう」
「あぁ。よろしく頼む」
俺はこうして新しい力…………ホーリーナイト・グローリーを手に入れ新たなる戦いの序章を感じながら俺は月を見上げていた――――。