新米提督苦労譚~艦娘たちに嫌われながらも元気に提督してます~   作:ぬえぬえ

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『艦娘』と言う存在

『こちら大淀。負傷した駆逐艦の初雪、深雪、白雪3名の避難が完了しました』

 

「了解、あと何人残っているか報告を頼む」

 

 無線から聞こえてくる大淀の言葉にそう返しながら、俺は手元にある救助すべき艦娘の名前が書かれたメモから彼女らの名前にバツ印を付ける。今把握している限りの艦娘は救助できたみたいだな。そう思ったら、人知れず安堵の息を漏れた。

 

 そんな俺の傍らでは、倒れている駆逐艦を手早く介抱する数人の艦娘たち。介抱する彼女たちの身体には少なからず傷が目立つが痛みに顔をしかめることはなく、真剣な顔つきでてきぱきと応急処置を行っていた。

 

 俺が演習場を駆けずり回る間に遭遇した比較的傷が浅い艦娘は、俺の指揮下で艦娘たちの救助に一役買ってもらっている。勿論彼女たちも救助対象なのだが状況が状況な故、動けない艦娘を出来うる限り伴って避難することを強いているわけだ。立案したのが俺が言うのもなんだが、それによる彼女たちの負担が計り知れないほど大きいだろう。

 

 しかし、そんな過酷な状況下で介抱を続ける彼女たちの誰一人として弱音を吐くことはなかった。被弾して動けない艦娘を安全な場所に移動させ、手早く応急措置を済ませる。痛みに呻く艦娘の手を握り、やさしい言葉をかけて安心させる。自らの身体に近い、またはそれ以上の艦娘を背負って避難する。その際に彼女たちが浮かべる表情に、苦悶の色は無い。

 

 そこには、痛みや精神的重圧に押しつぶされそうなか弱い少女たちの姿はなく、過酷な状況下でも負傷した仲間を助けることに全力を尽くす一人の軍人の姿があった。

 

「司令、応急処置が終わりました」

 

 辺りを警戒しながら大淀の報告を待っていると、横の艦娘達から力強い声が上がる。救助した艦娘は駆逐艦1人と軽巡洋艦1人、対して彼女たちは駆逐艦3人。軽巡洋艦の体躯が割と大きいのを考えると、ここで避難させた方がいいな。

 

「よし、ならそいつらを連れて避難してくれ。報告に関しては俺からやっておく」

 

「了解しました!!」

 

 俺の言葉に駆逐艦たちは力強く応え、すぐさま動けない艦娘たちに肩を貸したり背負ったりと移動する準備を始める。こっちも報告しないと。

 

「こちら明原。駆逐艦、軽巡洋艦それぞれ1人ずつ確保した。名前は知らんが、場所は前の報告から少し北上した辺りだ」

 

『提督、その報告は大淀か私に個人でお願いって言ったわよね?』

 

 俺が無線に吠えると、無線の回線について進言した艦娘の若干イラついた声が返ってきた。

 

 確かに、彼女は情報の錯綜を防ぐために発見、避難の報告は自分か大淀の個人に報告しろと進言していた。しかし、今の報告は個人ではなく全体向けて発したものだ。彼女の進言が無碍にしているようなものだから、そんな反応が返ってきても無理はないか。

 

 

「悪いな加賀。回線の変え方が分かんねぇから全体で言うことしか出来ないんだよ。諦めてくれや」

 

『なら貴方に随伴する子たちに任せればいいでしょう。その子達の報告なら保護した子の名前や正確な座標が把握出来て、こちらとしてはものすごくやりやすいんだけど?』

 

 俺の言葉に、進言した艦娘―――――加賀が呆れた様な声を上げる。切り替え方を教えるって言う選択肢はないのね。まぁ、教えられたところでやるかどうかは分かんないけどよ。てか、他の艦娘達は座標で場所を報告しているのか。だが、この辺の地理を把握してねぇからそれは無理だ、諦めてくれ。

 

「着任したての新米提督だ。至らない点があるのは当然だろ? それに、提督の声を聞いて安心するってこともあるかもしれないし」

 

『貴方にまともな会話を求めた私が馬鹿だったわ。大淀、避難ルートに変更はないわ。護衛部隊をお願い』

 

『了解しました』

 

 おい、まともな会話出来てたろうが。そう文句を言おうとした、一方的に話を断ち切られてしまった。別に文句を言おうと思えば言えるが、それで情報の更新が遅れたら厄介だ。取り敢えず、避難に関しては大丈夫そうかな。

 

 俺が無線で指示を飛ばしてから、まだ1時間も経ってないか。今までの報告を聞く通り、逃げ遅れた艦娘たちの避難はあらかた終わったとみていいだろう。

 

 しかし、こうも短時間で避難が終わるとは思わなかったな。ぶっちゃけ、あの時勢いで言っちまったから後々穴が出てきた訳で、恐らく俺の立案だけではここまで事がトントン拍子で運ばなかっただろうな。

 

 俺の作戦は、被弾して動けない艦娘の早期発見を第一としたものであった。そのため、発見後の避難における対応が当事者任せという欠点があった。しかも、当事者自身も少なからず被弾した身だったため、避難における安全性がほぼ皆無という最大の痛手に繋がることとなり、早急にその対応を迫られた。

 

 しかし、その穴を埋めてくれたのが、加賀による艦載機を用いた避難ルートの確保、そして大淀による護衛部隊の組織である。

 

 加賀の進言は、敵艦載機を迎撃している艦載機に敵機がいないルートを割り出してもらい、または無理やりルートをこじ開けてもらうことで、安全な避難ルートを確保すると言うものだ。無論、同じルートばかりを使っていては敵機が狙ってくるので、艦載機部隊を統括する加賀の采配で頻繁にルートを変えて対応をしていた。これにより、襲われるリスクが低い避難が可能となった。

 

 それを補強する形をとる大淀の進言は、加賀によって確保された避難ルートを通る際のリスクを下げるために護衛部隊を組織、避難する艦娘を護衛させることで安全に避難できる体制を作り上げた。

 

 これにより、俺が立案した避難作戦は確実に機能することとなった。しかし、この作戦では膨大な情報量を扱うため、それを捌く役への負担が尋常じゃないぐらい大きいものとなる。が、加賀及び大淀の卓越した情報処理能力と指揮能力によってカバーするという荒業で何とか機能しているという状況だ。

 

 計画性がないと言われればそうだ。でも、これで回っている以上今はこれでやるしかない。破綻したらその時また考えればいいさ。馬鹿だけどよ。

 

 まぁ、加賀があれだけ軽口が叩けるし、大淀の声色に焦りは感じられなかったから問題ないっぽいし。大丈夫だろ。

 

『避難していないのは、軽巡洋艦の北上、そして駆逐艦の曙と潮です。なお、曙と潮に関しては海岸の方に走っていくのを目撃したとの報告がありました』

 

『それだけ避難できれば十分かしら。艦載機達には敵機撃破を命じます。全て撃破次第、海上に向かわせるわ』

 

 残り3人か。演習前に見た一団から考えると、割りとスムーズに避難できた方だろう。しかしまだ3人、しかも顔見知りの曙や潮も残ってるならなおさら急がないと。

 

「了解、俺は3人の捜索にあたるわ」

 

 俺の言葉に2つの『了解しました』という報告を受け、取り敢えず曙と潮が目撃された海岸に向かう。

 

 頭上ではうちの艦載機による本気の掃討が始まっているためか、艦載機の羽音や機銃による発砲音、そして天龍が艦載機をぶった切った時の同じような爆発音があちこちから聞こえ始めた。

 

 ……流れ弾に当たらないようにしないとな。味方の流れ弾に当たって行動不能とか洒落にならないぞ。

 

 そんなことを思いながら走っていると、倒壊したテントの隙間から一人の少女がこちらに背を向けて立っているのが見えた。すぐさま立ち止まって彼女の方に向かう。

 

 テントの残骸の脇を抜けて彼女に近付くと、そこは一直線に海岸に面しており、そこから工厰近くの海が一望出来る小高い丘であった。しかし、一望出来るゆえに敵から狙われやすい場所でもある。

 

 そんな見晴らしの良すぎる場所で、演習の時に見た腰に大きなポケットの付いた濃い目の緑色のセーラー服を着た黒髪おさげの艦娘がボケッと海を眺めていた。おそらく彼女が北上だろう。

 

「お前、北上か?」

 

「おっ、提督じゃん。やっほ~」

 

 俺の問いに艦娘――――北上は呑気な声色で手をヒラヒラとさせる。緊張感がまるで感じられないな。今がどういう状況が分かってんのか? まぁいい、さっさと避難させよう。

 

「取り敢えず、俺が今からいうルートを使って避難しろ。分かったな?」

 

「えっ? やだよそんなの~。今良いところなんだからさぁ~」

 

 ……おい、本気で分かってんのか? 今敵艦載機に襲撃受けてんだぞ? 流石に危機感足りなさすぎだろ。

 

「ふざけたことぬかしてんじゃねぇ。ほら、さっさと―――」

 

「提督も見たら? あんまり見れるもんじゃないよ?」

 

 さっさと避難させようとした俺の手をすり抜け、北上は意地悪っぽく笑みを浮かべながら海を指差した。それにつられて俺も海に視線を向ける。

 

 

 

「『死神』の本気(マジ)戦闘」

 

 そう漏らす北上が指さす先、広大な海の上を疾走する駆逐艦――――雪風が、そしてそれを追尾する無数の敵艦載機の姿があった。

 

「雪風!?」

 

「ここからじゃ聞こえないよ?」

 

 俺の悲痛の叫びに、北上は一寸も同情の色を見せることなく冷静なツッコミを入れてくる。なに呑気なこと言ってんだ。駆逐艦が艦載機相手じゃ不得手なのは知ってるだろ。そんな駆逐艦にあれだけの艦載機が襲ってきたらひとたまりもねぇだろうが!! とにかく無線で呼びかけを……。

 

「今、『死神』に無線を飛ばしちゃだめだよ。それに気を取られて集中放火されちゃひとたまりもないからね」

 

 北上の鋭い言葉に、口元に近付けていた無線が止まる。確かに、今の雪風は敵の弾を回避することで手いっぱいのハズ。ここで無線を飛ばして変に動揺させちまったら、それだけ被弾のリスクが高くなる。それに海上だ、被弾した後すぐさま助けに行ける人員もいない。

 

 

 

 いや待てよ。アイツらは何処に行った?

 

「長門……長門たちはどこに行った!?」

 

「最初にあった爆撃、それを受けたのが長門。敵艦載機の爆弾から駆逐艦を守って大破さ。その後、追い打ち気味に現れる艦載機に迎撃を行うも、長門以下模擬戦闘組も中破以上に追い込まれたんだよ。そして、唯一無傷の『死神』を殿に撤退ってわけさ。まぁ、『死神』自身撤退する気はないみたいだけどね」

 

 旗艦大破及び僚艦に深刻な損害で戦闘続行不可能、唯一無傷の雪風を殿に撤退か。駆逐艦1人を残して撤退って何考えてやがる。いくら援軍が来るとは言っても雪風に艦載機の餌食に成れと言っているようなものだ。

 

「いやー……だって『死神』だよ? 心配をする必要ないよ~」

 

「……さっきから『死神』『死神』って言うのは雪風で合ってるか?」

 

 俺の問いに北上は少しも悪びれもなく頷く。仲間のことを『死神』なんてあだ名で呼ぶのはどういうことだよ。仲間意識の欠片も感じられないし。そう漏らすと、何故か北上はため息をつき、再び海上を指さす。

 

 北上の指の先に視線を向けると、敵の掃射を紙一重で躱す雪風の姿。避けた弾が無数の水柱を上げて彼女の視界を遮り、そこに無慈悲と言える機銃の掃射、及び爆撃が行われる。しかし、そんな回避不可能といえる弾幕の中を雪風は踊る様に身を翻し、それを避けていく。よく見ると、彼女の服には一つの弾痕も、汚れもついていない。

 

 あれだけの艦載機を相手にして、一発も被弾していない。対空特化でもないただの駆逐艦が、だ。

 

 そんな異常と言える回避で敵の攻撃を全て避け切った雪風は、上空の敵目掛けて砲門を向ける。しかし、彼女は演習用のペイント弾しか撃てない筈。おそらく牽制のための射撃だろう。そう思っていると、雪風の砲門からペイント弾が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、彼女の頭上に飛んでいた敵艦載機の一つが爆散した。

 

 

「はぁ!?」

 

 予想外のことに思わず叫んでしまい、横の北上はうるさそうに耳に栓をしながら顔をしかめる。しかし、そんなことなど気にも止められない。

 

 なにせ、雪風の砲門が火を噴くたびに敵艦載機が一つ一つと爆散して墜落していくのだからだ。

 

 軽巡洋艦でさえ敵機をカラフルに染め上げることしか出来なかったペイント弾で、それよりも火力が劣る駆逐艦が敵機を撃墜しているなど、想像できるだろうか。いや、出来るわけがない。

 

「あれ、単純に敵の爆弾に当ててるだけだよ」 

 

「て、敵の爆弾?」

 

 自らの言葉に俺が首をかしげるのを見て、北上はまたもや溜め息を漏らした。

 

「さっき、長門が爆撃で大破って言ったでしょ? その爆撃に使われた爆弾が艦載機の両脇にあって、『死神』はそれを狙って狙撃、ペイント弾が被弾する衝撃で爆発させてるんだよ。例えば……」

 

 そう説明しながら不意に北上が片腕を上げ砲門を具現化、そして俺の後方に向けた。それと一緒に後ろを振り向くと、ちょうどこちらに向かって機銃を向ける敵艦載機が迫ってきていた。

 

「ちょ!?」

 

「ほッ!!」

 

 目の前に敵が迫っているにしては気の抜けた声と共に彼女の砲門が火を噴き、同時に迫ってくる艦載機の左脇に一瞬火花が見えたかと思うと次の瞬間艦載機は跡形もなく爆散した。

 

 爆散によって突風が俺の顔を叩く。突風によりおさげが激しく揺れる北上はそんなもの慣れた、と言いたげに溜め息を漏らしながら砲門を下げる。そして、にへらっとした顔を向けてきた。

 

「ねぇ? 出来たでしょ?」

 

 軽い口調でそんなことをのたまってくる北上。いや、確かに装甲を貫けないなら敵が持つ爆弾を誘爆させて撃破するのは分かった。でも、動く艦載機を打ち落とすのも難しいのになんでそれよりも小さい爆弾をやすやすと打ち抜けるんだよ。雪風もそうだが、精密射撃が得意にしても限度があるだろ。

 

「まぁ『艦娘』だからね~」

 

「その一言で済ますな!!」

 

 そう突っ込んだら、遠くの方からブーンと言う音が聞こえてくる。音の方を見ると、海上にいた敵艦載機たちが何故かこっちを近づいてくる……へぇ?

 

「ありゃりゃ、バレちったか~」

 

 目の前の光景に、北上はなおも緊張感のない声を上げる。って、ふざけんな!! さっきの爆発で敵に気付かれたんだぞ!! 何のほほんとしてやがる!!

 

「北上!! さっきみたいに狙撃できるか!?」

 

「さっきのはまぐれだよ? そんな何発も出来るわけないじゃ~ん」

 

 ふっざけんな!! ここまできてその発言はねぇだろ!! もういい!! こいつを背負って早く避難しねぇと本当に手遅れになる!!

 

「すまん!!」

 

「へぇ? ふわわぁ~」

 

 間抜けな声を上げる北上を抱き上げ、演習場の方に向き直って急いで駆け出そうとする。しかし、一歩踏みだそうとした瞬間、発砲音と共に目の前に弾痕が穿たれる。

 

 

 咄嗟に顔を上げると、演習場への道をふさぐように敵艦載機が漂っていた。その黒く光る機体に取り付けられた機銃が、次は確実に俺を仕留めようと照準を俺に向けてきた。

 

「万事休すだね~」

 

「呑気な事言ってる場合か!!」

 

 肩の上でのほほんとのたまう北上を叱責する。しかし、敵艦載機はその暇すら与えてくれないのか、機銃は無慈悲にも俺に標準を合わせ、次の瞬間無数の発砲音が鳴り響く。

 

 しかし、俺の元に一発も銃弾は飛んでこなかった。

 

 

 

 

 俺に標準を向けていた敵艦載機の装甲を、無数の銃弾が貫いたからだ。

 

 装甲を貫かれた敵艦載機は火花を散らしながら俺の頭上を越えて海上に踊り出て、次の瞬間爆散した。またもや俺の顔を突風が叩くも、それと同時に力強い風が後方から吹き初め、同時に羽音が聞こえた。

 

 

『こちら加賀、演習場上空の艦載機を撃滅。すぐさま海上に向かわせるわ』

 

『こちら大淀、哨戒隊から入電。鎮守府近海で艦載機を発艦する空母を発見、これを撃沈しました』

 

 耳の無線から聞こえてくる加賀と大淀の声。それとと同時に後方から無数の艦載機が現れ、海上へと殺到していく。やがて、海上は逃げ回る敵艦載機と。それを追い詰めて確実に撃墜していく味方の艦載機たちで溢れかえった。

 

「間一髪だったねぇ~提督ぅ~」

 

「もう少し緊張感ってものを持ってくれ……」

 

 ついさきほどまで命の危機に瀕した状況に立たされた者とは思えない発言に、怒りを通り越して呆れ声を上げてしまう。海上の敵は加賀達の艦載機で一掃されるか。取り敢えず、残っている艦娘の保護をしねぇと。

 

 

「しれぇ!!」

 

 そんなことを考えていると、遠くの方から声が聞こえる。振り向くと、こちらに近付きながら手を振る雪風の姿があった。味方の艦載機が到着したことで避難してきたのだろう。

 

「雪風頑張りましたよー!! ご褒美くださーい!!」

 

 両手をメガホンの様にして大声を出す笑顔の雪風。何だろう……ついさっきまで無数の艦載機を相手取っていた奴とは思えない発言だな。北上と言い雪風と言い、手練れほど緊張感のないヤツばかりなのかね。

 

「アホなこと言ってないで早く帰って来ーい。さっさと避難――――」

 

 そこで、俺の言葉は途切れた。笑顔の雪風の後方、ちょうど味方の艦載機が敵を爆散させて黒い煙が上がる中。そこから一機の艦載機が飛び出し、雪風目掛けて猛スピードで突っ込んでくるのが見えたからだ。

 

「雪風!! 後ろ!!」

 

 咄嗟に声を上げると、その声に雪風は弾ける様に後ろを振り向いて突っ込んでくる艦載機に砲門を向けた。しかし、次に聞こえたのは砲撃音ではなく、カチッと言う軽い音。それを聞いた瞬間、雪風は砲門を見つめながら驚愕の表情を浮かべる。それを見て、すぐさま悟った。

 

 

 

 放てる弾薬が尽きているのだ、と。

 

 

 

 

「雪風ェェェェ!!」

 

 そう悟った瞬間、俺は絶叫しながら雪風目掛けて走りだしていた。


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