遊戯王GXでの決闘人生録   作:ゴ.リラ

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ということでカイザーとのデュエル、前編です。


vsカイザー前編

 

 

 

 

「あら?ツァン、貴方も来たのね。以外だわ」

 

 

実技試験開始直前のデュエルフィールドにやってきたボクに明日香が言った。

 

 

「以外って何よ、以外って」

「貴方の事だからてっきり『デッキ調整でもしていた方が有意義〜』とでも言うと思って……」

「調整なんかとっくに終わってるわよ。どうせ時間まで暇だしそれならデュエルアカデミア最強がするデュエルを見ておいた方がと思ってね

それにしても……随分人が集まってるわね」

 

 

ボクと明日香、モモエやジュンコ以外にもイエローの三沢大地、レッドの遊戯十代、前田隼人、それから…………

 

 

「ひいっ‼」

「こらツァン、あんまり翔の事を睨まないの。もう終わったことでしょ?」

「わかってるわよ。もうそこの覗き魔のことなんか毛ほどにも気にしてないわ」

「それはそれで傷つくっす……」

 

 

うるさいわね。許してはあげたけどまだ納得した訳じゃないんだから。

普通手紙には目立つ所に自分と相手の名前を書いてあるはずなのに見落としたとか……こいつホントはただ覗き目的で来たんじゃないでしょうね?

 

 

「おいおい、翔にそんな度胸が有るわけないだろ?」

「まぁ……それもそうね」

「ちょっと!アニキも酷いっすよ!皆も頷かないで!」

「はいはい、皆そこまでにしておきなさい。そろそろ始まるみたいよ」

 

 

下に目を向ければ、宮藤とカイザーがデュエルフィールドに上がって来ていた。

アイツがアカデミア最強に対してどんな手を打つのか。

それは少し楽しみだわ。

 

 

 

 

 

 

 

第十話 vsカイザー前編

 

 

 

 

 

 

 

デュエルフィールドへ上がるための階段。決して長くはないその階段も今の僕にはまるで山を登っているかのようにさえ感じられる。

この上にあの丸藤亮がいる。

後に「最下位ザー(笑)」とか呼ばれるようになる彼も今は間違いなくアカデミア最強だ。恐らく自分が今まで戦ってきた誰よりも高い実力を持っているのだろう。そんな彼にエクストラデッキ縛りでどこまで戦えるのか……。

だけど、今後僕は数々の相手と命がけのデュエルをする事になるのだ。ここで彼に勝てればそれはとても大きな自信につながる。

いろんな意味でも今回のデュエル、妥協は出来ない。

戦うからには絶対に勝つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……来たか」

「はじめまして、丸藤先輩。今日は学園最強と名高いあなたとデュエルさせていただき、とても光栄に思います。」

「フッ、そんなにかしこまる必要はない。君の事は明日香から聞いている。なんでも御手洗先生やあのツァンにも勝ったそうじゃないか。

今回のデュエル、サイバー流のリスペクトの下に全力でいかせて貰うとしよう」

「えぇ、そうですね。僕の方こそ全力でいかせていただきます!」

 

「二人とも、用意はいいですか?」

 

 

試験管である先生が尋ねて来た。

 

 

「はい、僕は大丈夫です」

「こちらも問題無い」

 

「それでは、これより実技試験を始めます。二人ともデュエルを開始してください」

 

 

「「デュエル‼」」

 

 

「先行は君に譲ろう」

「それなら有難く受け取らせていただきます!」

 

 

丸藤先輩は僕に先行を譲ったが、彼のデッキはサイバードラゴンとその融合体を用いたハイビートがメインとなっているデッキだ。それに、彼には初手に都合よくカードを持ってくる強運が有るため、サイバードラゴンの効果も使えず攻撃も出来ない先行を相手に渡すというのはそこまで痛い事ではないのだろう。

 

 

「僕の先行、ドロー!」

 

 

京介

手札5→6

 

 

さて、もたもたしていたら殺られる。初手のカードはなかなかいいし先行は取れた事だから、このデッキだとなんとしても「あいつ」を場に出しておきたい。

 

 

「僕は手札から『強欲で謙虚な壺』を発動!デッキの上からカードを三枚めくって一枚手札に加えます!」

 

 

《強欲で謙虚な壺》

通常魔法

自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。

「強欲で謙虚な壺」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン自分はモンスターを特殊召喚できない。

 

 

 

強欲で謙虚な壺、発動したターンには特殊召喚を行えないというデメリット付きではあるが、デッキから三枚めくり一枚手札に加えるというとても強力な効果を持っており現実でもその効果の有用性を認められ、値段が高騰したカードだ。生贄召喚をメインとしたこのデッキでは「発動ターン特殊召喚不可」という制約もあまり気にならず、必要なパーツを手札に加えられる。

 

 

「まず一枚目!『強欲で謙虚な壺』……」

「…………」

 

 

強謙で強謙をめくるという高等プレイング。

人はそれを事故とも言う。

 

 

「……え〜っと二枚目、『強欲な壺』。三枚目、『安全地帯』」

 

 

 

《安全地帯》

永続罠

フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

また、選択したモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできない。

このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。

 

 

 

さて、どう動くべきか。

強謙を選ぶのは論外として、「強欲な壺」を選び運任せでアドバンテージを取りに行くか、それとも安全地帯を選ぶべきか。

安全地帯は攻撃表示での召喚を強要されるとはいえ自分の場のモンスターを守れる上、相手の場のモンスターを選択し「安全地帯」を破壊する事で擬似的な除去カードとしても使う事ができる。

だけど……

 

 

「僕は『強欲な壺』を手札に加えます!」

 

 

丸藤先輩のことだ。どうせ初手に大嵐でも持って来ているのだろう。相手が場にモンスターを出す前に安全地帯が除去されてしまっては意味がないし、ここは運任せでも手札アドバンテージを取りにいった方が堅実だ。

 

 

「僕は手札に加えた「強欲な壺」をそのまま発動!デッキからカードを二枚ドローします」

 

 

京介

手札6→6→7

 

 

ドローしたカードは……

よし!

 

 

「……丸藤先輩?」

「なんだ?」

「僕に先行を譲った事を後悔しないでくださいね」

「ほう……」

 

 

これでこっちの動きに必要なカードはそろった。

 

 

「僕は手札から『テラフォーミング』を発動!デッキからフィールド魔法カードを手札に加えます!

僕は『オレイカルコスの結界』を手札に加え、そのまま発動!」

 

 

 

《オレイカルコスの結界》(ocg版)

フィールド魔法

このカードの発動時に、自分フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

このカードがフィールド上に存在する限り、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できず、自分フィールド上のモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。

1ターンに1度、このカードはカードの効果では破壊されない。

自分フィールド上にモンスターが表側攻撃表示で2体以上存在する場合、相手は攻撃力の一番低いモンスターを攻撃対象に選択できない。

「オレイカルコスの結界」はデュエル中に1枚しか発動できない。

 

 

 

「オレイカルコスの結界……見慣れないカードだな」

「効果説明めんどいんで↑を読んでください」

 

 

 

 

 

 

「メタいっ!」

「っ!いきなりどうしたのツァン?」

「えっ?どうしたの明日香?ボク何か言った?」

「えっ、だって今いきなり「ボクは何も言ってないわよ?」……えっ?」

「そんなことよりデュエルの方に集中しましょう?」

「なんか……納得いかないわ……」

 

 

 

 

 

 

「なるほど……モンスター強化と破壊耐性、攻撃抑止効果を持ち合わせているフィールド魔法か……厄介だな」

「厄介で済めばいいですねっ!僕はさらに手札から『ナチュル・マロン』を守備表示で通常召喚!」

 

 

 

《ナチュル・マロン》

効果モンスター

星3/地属性/植物族/攻1200→1700/守 700

このカードが召喚に成功した時、自分のデッキから「ナチュル」と名のついたモンスター1体を墓地へ送る事ができる。

また、1ターンに1度、自分の墓地に存在する「ナチュル」と名のついたモンスター2体を選択してデッキに戻し、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

 

 

 

「『ナチュル・マロン』の効果発動!召喚成功時にデッキからナチュルと名のついたモンスターを墓地に送ります。僕は『ナチュル・マンティス』を選択!」

 

 

 

 

 

 

「ナチュル……見かけないカードだな。だかフィールド魔法で強化されたとしても攻撃力1700か……」

「あれっ?珍し〜、三沢君も知らないカードが有るんだね」

「京介のやつ、カイザー相手に攻撃力1700のモンスターなんか出して一体どうするってんだよ!」

 

「ナチュル……まさか……」

「ツァン、何かわかるの?」

「えぇ、アイツのデッキがわかったかもしれない」

 

 

 

 

 

 

「さらに手札から『二重召喚』を発動。このターン僕は二回まで通常召喚を行うことが可能となります。

ねぇ丸藤先輩?」

「……どうした?」

「僕はですねぇ、考えたんですよ。どうやったらあなたに勝てるかをね?

そりゃあ本当に勝ちだけを目指すとしたら簡単ですよ。 『活路エグゾ』だの『魔導』だの使えばね?いくら攻撃力が高いサイバーエンドだからといって、いくらあなたが反則的な強運を持っているからといって……『ゲーテ(笑)』とか使えば勝てることには勝てるんですよ。

ですけどね?それじゃあ意味がないんです」

「…………」

 

 

丸藤先輩は黙っているが、僕は続けて話す。

 

 

「勝って当然みたいなデッキを使ってあなたに勝っても意味はないんです。

だからと言って単純なハイビートではあなたには勝てない。それなら…………」

「それなら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……コントロール(たけのこ)で満足するしかないじゃないか…………」

 

 

 

 

 

「やっぱり……」

「ねぇツァン、京介のデッキってなんなの?たけのこって言ってるけど…………」

「あぁそれはね……」

 

 

 

 

 

 

「ナチュルの森に生まれし化け物(たけのこ)よ、

その畏怖なる力でこの世界を操作しろ‼

 

僕は場のナチュル・マロンを生贄に捧げ、『ナチュル・バンブーシュート』を生贄召喚‼」

 

『ハァッ!』

 

 

僕が生贄召喚を宣言すると緑色の光の中から甲高い声をあげながら一体のタケノコが飛び出してきた。

 

 

 

 

 

 

「……アイツのデッキはね明日香、ナチュルバンブーシュート(たけのこ)を主軸として戦うメタコントロールよ」

「メタコントロール……またエゲツないデッキを……」

 

 

 

「ナチュルバンブーシュート……君がそこまで下準備をして召喚したんだ。ただの半上級モンスターではないんだろう?」

「えぇ、もちろん!ナチュルバンブーシュートの効果は……」

 

 

 

《ナチュル・バンブーシュート》

効果モンスター

星5/地属性/植物族/攻2000→2500/守2000

「ナチュル」と名のついたモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功したこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は魔法・罠カードを発動する事ができない。

 

 

 

「更に僕は手札から永続魔法、『カイザーコロシアム』を発動!丸藤先輩がフィールドに出せるモンスターの数は、僕の場のモンスター数を超えらません!」

 

 

 

《カイザーコロシアム》

永続魔法

このカードのコントローラーのフィールド上にモンスターが1体以上存在する場合、相手がフィールド上に出す事ができるモンスターの数は、このカードのコントローラーのフィールド上モンスターの数を越える事はできない。

このカードが発動する前にフィールド上に存在しているカードは、この効果の影響を受けない。

 

 

強力なコントロール効果を持つナチュルバンブーシュートだが、2000という低い打点のためサイバードラゴンなどは天敵と呼べる。

今回僕が使ったデッキはバンブーシュートの弱点を『オレイカルコスの結界』や『カイザーコロシアム』などによって補いつつ、ビートダウンするというデッキだ。

 

 

「僕はカードを二枚伏せてターンエンドです。

丸藤先輩、この布陣突破できるものならしてみてください‼」

 

 

 

京介

手札1枚

モンスター 『ナチュル・バンブーシュート』

フィールド魔法 『オレイカルコスの結界』

永続魔法 『カイザーコロシアム』

伏せ 2枚

 

 

 

「なるほど、戦闘(ハイビート)では勝てないなら永続効果(コントロール)をということか。確かにこの状況はまずいな。

だが今回のデュエル、勝たせてもらうぞ」

「やれるものならやってみてください!この鉄壁の布陣を突破出来るのでしたらね!」

「フッ、面白い。やってみせようじゃないか!」

 

 

初ターンにタケノコ結界コロシアムの布陣は整った。

だけど安心は出来ない。

相手はあのアカデミアの皇帝、一瞬の油断が致命傷になりかねない。

 

 

「俺のターン!」

 

 

ターンが丸藤先輩に移った。

これからが本当の戦いだ。

 

 

 

 

 

 








タケノコ楽しいれす^q^
僕キノコ派ですけど。
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それでは皆さん、また次回お会いしましょう。

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