ジリリリリリ!!
「ふぁ〜……朝か……」
顔を洗うため布団から出てカーテンを開けると気持ちのいい朝の日差しが差し込んできた。
時間は朝の6時、今日は待ちに待った月一テストの日だ。テストは午前中に筆記テスト、午後に実技試験が行われるようになっている。初めての定期テストという事で普段より早く起きた僕は顔を洗い終え朝食までの間簡単に復習をし、デッキの確認を行った。
「おはよ…京介君」
「おはようなんだな京介」
朝食食を済ませようと食堂まで降りてきた所で、翔君とそのルームメイトでコアラに似た丸い鼻の前田隼人君に会った。翔君は目の下にクマが目立っている。
「おはよう翔君……そのクマどうしたの?」
「翔のやつ昨日の夜からずっと壁に貼り付けた死者蘇生のカードに向かって神様がどうだとかぶつぶついいつづけてたんだな」
「うわぁ……勉強しろよ」
「だ……大丈夫だよ京介君、あんなにデュエル神にお祈りしたからきっと今日はいい点取れるから……」
「いや結局神頼みじゃんか、っていうかなんだよそのパチモン臭い神様……」
そもそも期末ならまだしも月に一度の試験にそこまで力を入れなくてもいい気がする。
「京介はいよいよカイザーとのデュエルだな、勝つ見込みはあるのか?」
隼人君が尋ねてきた。
「まぁね、やるからには勝つつもりだよ。それに相手のデッキはわかってるんだし上手くいけば「無理だよ」……えっ?」
「お兄さんに勝つなんて不可能だよ……たとえ京介君だとしてもね」
さっきまでフラフラだった翔君がいきなりはっきりとした口調になって言った。
すると隼人君が小声で話しかけてきた。
「……京介、翔にカイザーの話は禁句なんだな」
「おk、把握。
そ、そういえば二人は珍しく十代くんと一緒じゃないんだね?」
キャッチ&リリース
めんどくさい感じになる前に素早く話を左に受け流そう。
「あぁ……アニキは……」
「いくら起こしても起きないからおいてきたんだな……」
「冷たっ!二人の熱〜い男の友情はどうしたのさ!」
「「じゃあ僕(俺)の代わりに起こしてきてよ(くれなんだな)……」」
二人がなんだか遠い目をしながら言った。
おい、どんだけ寝相悪いんだよ主人公。
第八話 「失踪するとでも思ったか!お前はまだまだ……」
「……時間です。生徒の皆さんはペンを置き速やかに用紙を前に送ってください。なお、この後昼食の時間をとります。実技試験は午後1時30分からとなりますので生徒の皆さんは時間に遅れないように集合してください。それでは解散」
先生が試験終了の合図をし、解答用紙を前に送り終えたところで三沢君がこっちに来て話しかけてきた。
「やあ京介、試験の出来はどうだい?」
「まあまあって所かな。一応書けたには書けたけど正直実技の方に頭がいっちゃっててね、自信があるってわけじゃないんだ。
そういう三沢君はどうなの?」
「俺か?まぁ俺はあまり良くなかったな」
「へぇ、以外。てっきり完璧なのかと思ってた」
「あぁ。選択問題で一問間違えてしまってな。テストが終わってから気がついたんだが……今回は満点は諦めるしかないみたいだな」
「……一問ミスであまりよくないって嫌味かよこの野郎」
絶対一人はいるよねこういう奴。
「まあいいや。ところで三沢君、なんか凄い勢いで皆教室から出てったんだけど。寝坊して遅れてきた上に最後までスリーピングしてた十代君も飛び起きてたんだけど。
なんかあるの今日?」
「うん?確か今日は新しいパックの発売日だったはずだぞ。
なんでも今回のパックのレアはいい物が集まってるみたいでな、それを狙いにいったんじゃないか?」
「へぇ〜、三沢君は行かないの?」
「ああ。俺は自分のデッキを信じているからな。調整は終わっているし、新しいカードは必要ない」
流石優等生、言う事が違う。
「……ん?まてよ?今回のパックのレアって外れが少ないんだよね?
……少ないハズレ、発売前からの期待、そして発売日のダッシュ……それってタキオンじゃね?」
「ん?そんな名前ではなかったはず「マジかよ!!やべぇ速くしないと売り切れちまうじゃねえか!
神判征龍サックにホーットケーキ、畜生今度は買い逃さねぇぞ!
まってろブラスター!!」……なんだが、ってもういないぞ、足速すぎるだろ……」
「よく考えたら僕カード全種類持ってんじゃん……」
畜生、僕としたものが焦りすぎちまったぜ。
いや、タキオンが出た日ちょうど学校があってね。流石に売り切れはないだろうと思ってたらカードショップはおろか、コンビニですら切れてて涙を飲んだのはいい思い出だよ。
「しゃあない。せっかく購買に来たんだし、ドローパンぐらい買っていこう……って」
「あっ……」
ドローパンを買おうとかごの前に来た所で見知った顔、というかあまり会いたくない人と鉢合わせしてしまった。
「……や、やぁツァンさん。奇遇だね?」
「…………」
き…気まずい。
あのデュエルの後からツァンさんとは一回も顔を合わせてなかったし……謝りそびれちゃったんだよね……。
「きっ、今日はいい天気だねっ!」
「…………午後から雨降るらしけどね……」
「えぇ……
そっ、そうだツァンさん‼今日のテストどう「ねぇ、アンタさ……」……はい」
ツァンさんが睨みながら話しかけてきた。
「……あの後明日香に話を聞いてね、アンタ達の事が誤解だったって知ったわ。確かにその事は少し悪かったと思ってる。
でもね?実際覗かれたのは確かなんだしボクが怒ってた理由もわかるわよね?」
「はっ、はい!その事は深く存じ上げてますが?!」
ツァンさん怖すぎじゃないですかね、なんか後ろに紫炎大将軍が見えるんですが……。
「えぇ、それならボクになにか言う事があるんじゃない?」
「いやっ、ですけどね?ツァンさんがヤリザ殿を馬鹿にしたのも事実ですしね?僕も僕なりの理由があって「…………」……本当にすいませんでしたお願いです許してください」
僕が頭を下げた所でツァンさんがため息をつきながら言った。
「はぁ……もういいわよ。
それよりアンタ、この後カイザーとデュエルするんだって?」
「う、うん。そうなっちゃったからね……」
もう一度ツァンさんはため息を吐く。
「いい?!アンタは自覚していない様だから言っておくけど、アンタは学園最強と戦う権利を与えられているのよ‼それも……先生が推薦なさっただけじゃなくカイザーも喜んで引き受けたらしいじゃない‼
……ハァ、まったくこれがどれだけ凄い事かキチンと自覚してる?まったく……なんでボクじゃなくてこんな奴が選ばれてんのよ……」
「う、うん。ごめん……」
「別に怒ってる訳じゃないっての……」
ツァンさんはさ?
「……ん?何よ?」
「ツァンさんはさ、僕がカイザーに勝てると思う?」
丸藤亮、僕は今から原作屈指のチートキャラを相手にしようとしている。この世界に来て、十代君達と実際にデュエルしてみて原作組のチート工合には驚かされてきたけど、カイザーはその中でも群を抜いてる筈だ。それは本人自身であったり、デッキであったり。
だからこそ、デュエルをする前に少し安心しておきたかったんだ。別に負けたら死ぬとかそういう訳じゃないんだけど……
それでも、今回のデュエルは僕にとって自信を付けるためにも勝っておかなくちゃいけない気がする。
「いや、ムリでしょ」
「厳しいなぁおい‼」
いや、だって……とツァンさん
「普通に考えたら初手サイドラ三枚パワボンリミカイ大嵐、みたいなことを平気でやってくるやつに勝てるとは思わないじゃない。
……それこそ先行取ってシエン三体とナチュビでも立てておかない限りは……」
「ですよねぇ……」
畜生わかってるけどちょっとは優しい言葉をかけてくれたっていいじゃないか……
「はいはい、10パーセントぐらいは勝てる確立も有るんじゃない?まぁ先行取れればの話だけど」
「ありがとう……そんな言葉でも気休めにはなるよ。とりあえず我が家に代々伝わるジャンケン必勝法を試すとするよ」
「いや、デュエルの順番決めは宣告制でしょバカ……」
「そうだったよ‼」
ちくしょう、なんなんだよ宣告制って‼全然公平じゃないじゃないか!
「はぁ……それでもまぁ応援ぐらいはしといてあげるわ。ボクに勝ったんだし、簡単に負けられたりするとムカつくしね。
まぁ瞬殺はされないように足掻いてみなさい」
「うん……ありがとう。後それってツンデ「……」……ごめんなさい」
「はぁ……それより後ちょっとで集合時間よ。ボクは後ろの方だからいいけど、アンタは最初の方でしょ。行かなくていいの?」
「えっ?……ってマジかよ?!ありがとうツァンさん!そろそろ行くね‼ちくしょう昼飯くってねぇ!」
そういうと同時に僕はデュエルフィールドの方に向かって走り出した。
ツァンさんとの会話のおかげで酷かった緊張も少しほぐれた。
彼女もまぁ、多少は応援してくれているみたいだし……勝てるかなんかわからないけどやれる所まではやってみようと思う。
あれっ?さっきまでの会話でなんか引っかかるんだけど……
「まぁどうでもいいことか!」
別に思いつかないならどうでもいい事なんだろう。
そんな事を考えている内にデュエルフィールドの入口が見えてきた。
さて、いっちょ頑張ってみるとするか‼
って事でカイザーとのデュエルはまた伸びそうです。
え〜まぁお久しぶりです。
なぜか急に続きを書きたくなりこちらの方に戻ってこさせていただきました。
もぉね?あんだけ時間あいたのに3000字とかね?
とりあえず今後はまたちまちまと書いていこうと思います。夏ですし、時間も有りますしおすし。
え〜っと、誤字脱字の報告、それから感想や書き方を少し変えてみましたのでそれについてのアドバンスもいただけたら嬉しいです。
それではまた。