私の青春ラブコメも間違っている   作:アリオス@反撃

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海老名さんとBLと友達の友達

 

翌日、八幡は三浦グループを横目で見ていた。昨日の会議は結局、葉山の話はあてにならない、という雪乃の判断の元、八幡と結衣と千尋でそれぞれ調べることになった。

 

「とりあえず、あたしがいろいろ聞いてみる。だ、だから、ヒッキーとちーちゃんは全然無理とかしなくていいから。むしろなんもしなくていいから!」

 

「あ、ああ。そりゃ助かるけど……」

 

「ていうか私も何もしないの?」

 

「と、とにかく!あたしだけでやるから!」

 

そんなわけで、結衣と千尋は優美子達の群れに入っていった。

 

(まぁ、何もしなくていいって言ってたし、結衣に任せようか。最悪、八幡もいるし)

 

千尋はそう思った。一方、八幡は、

 

(まぁ、早川もいるし、大丈夫だろ)

 

お互いに、ザ・人任せだった。

 

「お待たせー」

 

「よーっす」

 

「あ、ユイー。千尋。おっそいからー」

 

優美子が返した。隣には海老名さんがいる。

 

「てかさー、とべっちとか大岡くんとか大和くんとか最近微妙だよねー。なんかこうアレな感じ?っていうか」

 

「ぶふっ!」

 

千尋は思いっきり噴いた。八幡もだ。直球だった。それも一六○キロのジャイロボール。

 

「え……ユイってそういうこと言う子だったっけ……」

 

一歩引いたのは海老名さんだ。その瞬間、千尋は切り離し作業に入った。海老名さんの方へ一歩引き、困惑してるような表情を作った。

 

「あんさー、ユイ。そういうのってあんまよくなくない?トモダチのことそう言うのってやっぱまずいっしょー」

 

優美子に言われて、むしろ結衣がハブかれるピンチに陥っていた。

 

「うっ……」

 

助けてみたいな視線を千尋に送る結衣、仕方ないので千尋は言った。

 

「あー微妙って、アレ?結衣誰かのこと気になってんの?」

 

「はぁっ⁉︎」

 

過剰に反応する結衣。その瞬間、優美子がニィッと笑った。

 

「なに、あいつらの誰か好きなん?」

 

「全っ然違う!気になる人はいるけど……、それはアレな人だし……。はっ⁉︎」

 

しまった!という顔をみせる結衣。

 

「え、ユイ……、誰か好きな人できたん?言ってみ?ほれほれ。協力するから」

 

「だ、だから!そうじゃなくてっ!気になるのはあの三人の関係性?っていうの?なんか最近妙だなーって思うの」

 

「んだ、それか。つまんねー」

 

あからさまに興味を失う三浦。結衣が恨みがましい視線を千尋に送るが、目を逸らした。

 

「わかる……。ユイも気になってたんだ……実は、あたしも」

 

隣の海老名さんが食いついた。

 

「そうそう!なんかギクシャクしてるっていうかさ!」

 

「私思うんだけど、わたし的に絶対とべっち受けだと思うの!で、大和くんの強気攻め。あ、大岡くんは誘い受けね。あの三角関係絶対なんかあるよ!」

 

「あー、わかるわか、……ぅえ?」

 

「でもね、でもね!絶対三人とも隼人くん狙いなんだよ!くぅ〜、友達のためにみんな一歩引いてる感じ、キマしたわぁ〜‼︎」

 

そのままぶはっ!と鼻血を噴出。結衣も千尋も何も言えずに戸惑ってると、優美子が慣れた感じでティッシュを取り出した。千尋はLINEを開いて、八幡に「後は任せた」と送った。八幡は人間観察を始めた。

 

 

 

×××

 

 

 

放課後、部室に集まった。奉仕部+葉山。

 

「どうだったかしら?」

 

「ごめん!一応女子に聞いたんだけど全然わかんなかった!」

 

結衣が素直に謝った。

 

「早川さんは?」

 

「同じ、あれから鼻血の処理やらBLの基本やらでそれどころじゃなかったもんね

 

「……そう、それならそれで構わないわ」

 

「え、いいの?」

 

結衣が聞き返した。

 

「逆に言えば女子たちは今回のことに刺して興味を持ってない。ってことよ。そうなると、葉山くんたち男子の問題ってことになるわ。由比ヶ浜さん、早川さん、ご苦労様」

 

「ゆ、ゆきのん……」

 

感動のあまり、結衣は雪乃に飛びついたが、ぬるっと躱されて壁におでこをぶつけていた。

 

「で、あなたの方は?」

 

「悪い、犯人の手掛かりは掴めなかった。でも一つわかったことがある」

 

すると、雪乃も結衣も千尋も葉山も聞く姿勢になる。

 

「何がわかったのかしら?」

 

「あのグループは葉山のグループだってことだ」

 

「はぁ?今更何言ってんの?」

 

「えっと、ヒキタニくん、どういう意味?」

 

結衣、葉山と聞いた。

 

「ああ、言い方が悪かった。葉山の、って言葉は所有格だ。つまり、葉山のもの、葉山のためのものって意味なんだよ」

 

「や、別にそんなことないと思うけど……」

 

「葉山、お前はお前がいない時の三人を見たことあるか?」

 

「いや、ないけど……」

 

「だから葉山は気づいてないだけだ。はたから見てるとあいつら三人きりのときは全然仲良くない、わかりやすく言えばだな、あいつらにとって葉山は友達で、それ以外の奴は友達の友達なんだよ」

 

「あーそれ分かる。会話回してる中心の人がいなくなると気まずいよね。何話していいかわかんなくて携帯いじったりしちゃうんだよ」

 

結衣が思い当たる節があるのか、項垂れた。すると、雪乃が顎に手を当てて言った。

 

「仮に比企谷くんの言うことが正しかったとしても、三人の犯行動機の補強にしかならないわ。その犯人を消さない限り事態は収束しないわ」

 

「いや、そんな暗殺者みたいなこと……」

 

千尋が横から盛大に引いていた。その隣の八幡がさらに言った。

 

「いや、消すのはもっと別のもんだよ。葉山、お前が望むなら解決することはできるぞ。犯人を捜す必要もなく、これ以上揉めることもなく、そしてあいつらが仲良くなれるかもしれない方法が」

 

そう言う八幡の気持ち悪い笑顔を見て、結衣が「う、うわぁ……」と引いた。それに構わず、八幡は聞いた。

 

「知りたいか?」

 

その問いに葉山は頷いた。

 

翌日。職場見学グループの一つに、戸部、大和、大岡の三人グループが出来上がっていた。

 

 


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