鶴賀の初日の出   作:五香

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19.風越なだけに風前の灯火

「ツモ! 3000・6000だし!」

 

池田手牌

{二三四六六②③③④④234} ツモ{⑤}

 

 ――東三局0本場。

 リーチツモタンヤオ平和三色、跳満の和了を告げたのは池田だった。

 

(……ついてねぇ……早いにも程がある)

 

 初日は嘆息した。

 前半戦と同じく、信じられない程浅い巡目で牌を曲げ、初日が当たり牌を喰い尽くす前に池田は地力でツモってくる。

 

(……手積みやったらイカサマを疑われるレベル)

 

 最もそれは自身や、麻雀教室で最大のライバルであった少女、他にも最近では佳織にも言える話であったが。

 麻雀に置いては単純に運が良いヤツというのが最強者である。

 牌効率に始まり、副露判断、状況判断、捨て牌読み、山読みと言った技術も、牌に愛されたと評されるレベルの幸運の前では何の役にも立たない。

 極論だが、毎局天和を和了る事が出来るのならその打ち手に勝てる雀士は存在しないのだ。

 初日の幸運(不運)を最大限に活用しているのが池田であるが、流石にそこまで理不尽な存在にはなっていない(捨て牌が二列目に入るかどうかという巡目でほぼ毎局リーチ宣言が行われているとはいえ)。

 

(……次が最大の山場……ここを乗り切れなければあたしの負け)

 

 次局の東四局は池田の親番。

 初日としては絶望的な点差ではなかったが、池田の火力に耐えうるだけの防御力を備えていない他家が居る。

 

(10100点……親の30符4翻、子の跳直で終わらされる)

 

 ハコ下ありなら如何様にも出来るという自信が初日にはあったが、生憎今回はハコ下なし。

 誰かの持ち点が0点を割ってしまえば即ゲームセットとなる。

 だから何が何でも池田の親は流さなければならない。

 

(今は……自分の点数は関係ない。ただ終わらされなければ良い)

 

 理想は池田からの直取り、若しくは城山商業が池田から和了ってくれても良い。

 

(厄を……厄を移すチャンスさえ来れば……)

 

 とにかく池田を止める事が最優先事項である。

 スピードさえ落とす事に成功すれば、あとは自分自身の火力で決着を付ける。

 

(――あたしが勝つ!)

 

 

 

大将戦・後半

東四局0本場 ドラ:{6} 親:風越女子

東家:風越女子 194500(+25200)

南家:鶴賀学園 133700(-4300)

西家:裾花 61700(-5600)

北家:城山商業 10100(-15300)

 

池田配牌

{二三七八④⑤⑤⑨234669}

 

(ちょーしノッて来たし!)

 

 第一ツモで急所が埋まり、残るは両面搭子が3つ。

 そう時間を掛けず聴牌にこぎ着けそうな牌姿である。

 さらに雀頭候補がドラと来た。

 絶好の配牌に池田は顔を綻ばせる。

 第一打は当然の{9}。

 

(突き放して逃げ切り――それが作戦だったけど……逃げる必要性はないな)

 

 今の手が順調に進めば、平和ドラドラにリーチを足して11600。

 ツモって一発か裏が乗れば6000オールの完成だ。

 

二巡目池田手牌

{二三七八④⑤⑤⑨23466} ツモ{⑥} 打{⑨}

 

三巡目池田手牌

{二三七八④⑤⑤⑥23466} ツモ{6} 

 

(そっちかぁ……)

 

 {一四六九}待ちの一聴向だったが、ここでドラの{6}が重なった。

 すかさず池田は{⑤}を打った。

 

({一二三四六七八九}待ちの一聴向……負ける気がしないし!)

 

四巡目池田手牌

{二三七八④⑤⑥234666} ツモ{7} 打{七}

 

五巡目池田手牌

{二三八④⑤⑥2346667} ツモ{②} 打{②}

 

六巡目池田手牌

{二三八④⑤⑥2346667} ツモ{八}

 

「リーチだしっ!」

 

 力強く{7}が曲げられた。

 

 

 

六巡目初日手牌

{一一九①⑨⑨1東南西北白白} ツモ{四}

 

(きっちり六巡目、スピードは衰える気配なし……か。でも、このツモは……)

 

 初日は一瞬眉を寄せるが、すぐに自身がツモった{四}が意味する事を考えた。

 

({一四}か{四七}の両面待ち……後は{四}と何かのシャボ……わざわざ中寄りの牌で待つ必要性はないから単騎の可能性は低い)

 

 これが池田の当たり牌であるのはほぼ間違いない。

 最高についてねぇ状態の初日が、配牌以外で中張牌を引き入れる事は、誰かの当たり牌を掴まされる以外ではありえないからだ。

 

(――試してみる!)

 

 そう決意した初日はおもむろに一萬を取り出して、数瞬念じる様に握りしめた。

 他人からその姿は、当たらないでくれと祈っている様に見えたが、その実は真逆。

 当たってくれと祈っているものだったという事を知っているのはただの数人だけだった。

 

打{一}

 

 {一}が河に置かれたその時、キィンと空気が凍り付く音が鳴り響いた様な気がした。

 

 

 

『ロン! リーチ一発ドラ3、12000!』

 

池田手牌

{二三八八④⑤⑥234666} ロン{一}

 

東四局0本場終了時点

一位206500 風越女子(+12000)

二位121700 鶴賀学園(-12000)

三位61700 裾花

四位10100 城山商業

 

『ああっと! 鶴賀学園藤村、一発で放銃してしまいました――! これでついに八万点差、風越の独走を誰も止められないのか――!』

 

 ――観戦室。

 

「……終わりだな」

 

 ポツリと言葉を漏らしたのは純だった。

 

「ええ、鶴賀の勝ちですわね」

 

 意味深にニヤリと笑みを浮かべながら透華が答える。

 てっぺんのアホ毛がうにょんうにょんと摩訶不思議な動きをしており、一体どういう仕組みで稼働しているのか誰もツッコまないのが奇妙だ。

 

「衣が受けたという、藤村さんの支配――今、この瞬間、風越へと伝わったのかな。衣ですら抜け出すのに数局を要したその力に」

 

 一はそこで区切って衣へと視線を投げ掛ける。

 

「――凡人が抗える訳なし。風越の命脈は風前の灯火、既に末期を迎えたも同然だ」

 

 妖艶な笑みで衣が答えた。

 

「……風越なだけに風前の灯火……プッ」

 

 そしてそれを少し離れた位置から眺める智紀が居た。

 

(えっ、私の台詞これだけ……?)

 

 

 

東四局1本場 ドラ:{一} 親:風越女子

 

(何……だよ……これがトップ目の配牌か?)

 

 配牌を開いて池田の顔が引きつった。

 

池田配牌

{六九九①②⑤⑨199南西西北}

 

 先ほどまでのメンピン系の軽い手とは真逆のチャンタ系、それも対子の多い重い手である。

 3対子0面子という目眩がする様なゴミ配牌。これには流石の池田も落胆の気持ちを隠しきれなかった。

 

(落ち着け……リードはたんまりあるんだ。ここは最初からオリに入って、最小限の被害で親を終わらせる。そして南場を4局……たった4局だけ乗り切れば……あたしが優勝だ!)

 

 そう開き直った池田はさっさと危険牌になりそうな{⑤}を打つ。

 

二巡目池田手牌

{六九九①②⑨199南西西北} ツモ{⑨} 打{六}

 

 

 

 ――鶴賀学園控え室。

 

「風越は配牌オリかー、無難な選択肢な気がするけど――」

「妙な所で常識的な判断をしたな。普通なら幺九牌は安牌となりやすいが……」

「うちのアレにとってはド本命もド本命。むしろ中張牌を抱えてた方がオリやすいくらいだからなー」

 

 いつもと変わらず、笑みを貼り付けた顔で蒲原が話す。

 対する加治木は思案顔で画面に見入っていた。

 

七巡目初日手牌

{①①⑧⑨北北白白發發發中中} ツモ{①} 打{⑧}

 

 四暗刻大三元と二種の役満が見える手。役満でなかったとしても、メンホン小三元で跳満は確定だ。

 

「……後から見ていてこれほど恐い手も珍しいよね」

「私は結構こんな感じの時あるけど?」

 

 苦笑いを浮かべる睦月に、不思議そうに首をかしげながら佳織が返した。

 

「……」

 

 控え室を静寂が包み込んだ。

 結構は、ない。

 

 

 

十二巡目池田手牌

{九九①②③⑨⑨999西西北} ツモ{西}

 

(にゃ~……あのゴミ配牌がチャンタ、そしてツモり三暗に化けたし!)

 

 ただ後々の危険牌になりそうなものを切り出しただけだったのが、思わぬ形に手牌を変身させていた。

 

捨て牌

東家:風越女子

{⑤六三53南}

{二南七南東}

 

南家:鶴賀学園

{三七二西②8}

{⑧發⑨東⑥}

 

西家:裾花

{一④⑦七⑧②}

{⑤七一二東}

 

北家:城山商業

{4③③21⑧}

{⑥東白北三}

 

({九}、{⑨}どっちも一枚場に見えてるけど……前者は{七}が四枚切れ、後者も{⑧}が三枚切れならまだ山にありそうだし!)

 

 どちらも面子には使えない(使い難い)牌である。

 ならば山に残っている可能性は高いし、誰かが掴めば出る――そう確信できるだけのものがあった。

 だが、所詮は出和了りだと40符2翻3900点(場棒を足して4200点)止まりの手。

 無理をして他家に突き刺さったら元も子もない。

 北は通るのかどうか、いくら安全度の高い客風牌とはいえ慎重に慎重を期して河を確認する。

 

({北}は、二巡前に上家が捨ててるし……その間、あたし以外はツモ切り……大丈夫だし)

 

 池田はそう判断して{}北を打った。

 

「それ――」

(え?)

 

 その瞬間、下家から声が掛かった。

 

「ロン。32300ッ!」

 

初日手牌

{①①①北北白白白發發發中中} ロン{北}

 

(なんだ……その手……無茶苦茶すぎるだろ! メンホン三暗刻トイトイ小三元混老頭……合計13翻できっちり数え役満……迂闊だった……二巡前、城山商業の北を見逃したのはそれだと負けになってしまうから……まだ張ってなかったからとは違う!)

 

 己の失態を悟り、池田は天を仰ぐ。白い照明の光が眼に染みた。

 

(でも……でも……まだ負けた訳じゃないしっ! リードも残ってる! 南場でもう一度突き放せば良いだけだ!)

 

東四局1本場終了時点

一位174200 風越女子(-32300)

二位154000 鶴賀学園(+32300)

三位61700 裾花

四位10100 城山商業

 

 

 

南一局0本場 ドラ:{④} 親:鶴賀学園

 

一巡目池田手牌

{一五七九③⑨14西白發中中} ツモ{1}

 

(……えっ? また?)

 

 二局連続のゴミ配牌。池田の背中に冷や汗が流れた。

 中の対子があるが、それ以外には両嵌形が一つ、対子が一つあるだけというあまりにも酷い牌姿。

 都合良く序盤に中を鳴けたとしても、和了出来る気がさらさらしない。

 

(でも、あたしは前に進むしかない。藤村の親……これさえ流せれば残り3局。逃げ切れる)

 

打{西}

 

二巡目池田手牌

{一五七九③⑨114白發中中} ツモ{白} 打{一}

 

(白も対子になった! これでどこからでも仕掛けられるし!)

 

三巡目池田手牌

{五七九③⑨114白白發中中} ツモ{3} 打{⑨}

 

四巡目池田手牌

{五七九③1134白白發中中} ツモ{九} 打{發}

 

五巡目池田手牌

{五七九九③1134白白中中} ツモ{①} 打{九}

 

 

 

六巡目初日手牌

{①①1東南南西西西北北白中} ツモ{東} 打{1}

 

「それポォン!」

 

 初日が捨てた{1}に池田が喰らい付いた。

 初日は、厄が移されている現状では池田はとても和了れる様な牌姿になっていないはずだと思っていたが、鳴きが入った事で考えを改めた。

 

池田手牌(初日視点)

{■■■■■■■■■■} {11横1}

 

({南北白中}……多分この中から二種類の対子を持っているか……)

 

 池田の河には、前局とは違い序盤から幺九牌が切り出されている。ならば、チャンタはないと考えるのが自然だった。

 恐らく役牌対子を二つ抱えているのだろうと当たりを付ける。四巡目に{發}が捨てられているがそれは手出しだった。

 カンツをずっと抱えていたのならば第一打で出てくるはずなので、その可能性はない(それをブラフに使ったのかも知れないが、池田の性格上なさそうだと初日は思った)。

 

(この親番終わらせる訳にはいかない)

 

 裾花と城山商業が勝負を諦めていないのならば、自分の親番では連荘を狙ってくるはずだ。

 そうなれば、スピード負けする可能性が高い。

 だから、それまでに池田との差をしっかり付けておきたかった。

 

七巡目初日手牌

{①①東東南南西西西北北白中} ツモ{3}

 

(……いらないけど)

 

打{西}

 

 初日は打{3}とせず、{西}を切り出した。

 池田の手牌が想像通りの姿ならば、自身が抱えている字牌の内どれかが握り潰されているだろう。

 そうなると持ち持ちになって、どちらも和了できない状況が作り上げられる。

 ならば、二枚しか使えなくても和了出来る役でどうにかするしかない。

 

八巡目初日手牌

{①①3東東南南西西北北白中} ツモ{發} 打{3}

 

裾花 打{③}

城山商業 打{八}

 

「チーッ!」

 

 再び池田が動く。

 今度は城山商業が捨てた{八}に飛びついた。

 

池田手牌(初日視点)

{■■■■■■■} {横八七九} {11横1}

 

池田捨て牌

{西一⑨發九①}

{③五}

 

(この巡目で二副露……ついてねぇ状態で常識的な考えを持ち込むのはどうかだけど、親相手にここまで攻めてるって事は張ったと考えた方が良さそう)

 

九巡目初日手牌

{①①東東南南西西北北白發中} ツモ{白}

 

(聴牌……場に一枚切れの{發}待ちの方が出和了り率は高くなりそうだけど……そうなると生牌の{中}を打つ事になる。役牌待ちが見え見えの相手に打ち込んだらアホすぎるし……なら……)

 

打{①}

 

十巡目初日手牌

{①東東南南西西北北白白發中} ツモ{中}

 

(――跳満で終わらせる気はさらさらない!)

 

 

 

十巡目池田手牌

{234白白中中} {横八七九} {11横1} ツモ{發}

 

(いらないし……)

 

初日捨て牌

{⑥4三一41}

{西3①①}

 

(鶴賀は対子落としって事は……まだ大丈夫かな)

 

 手出しで{①}連打。初日のその行動からまだ聴牌はしていないはずだと池田は判断した。

 そして、{發}へと指を伸ばす。

 それが大きな罠であるとは欠片も気づかずに。

 

「ロン」

(は……?)

 

 

 

『ロン』

 

 無情な和了を告げる声が卓上に流れた。

 

 ――風越女子控え室。

 試合の様子を見守る部員達とコーチ、その誰もが言葉を発せずにいた。

 

(……華菜っ)

 

 それはかの池田と最も懇意にしているであろう福路美穂子でさえ同じだった。

 麻雀に置いて、“楽しむこと”・“ヘコまないこと”この二点が一番重要な事なんだと常々池田には話してきた。

 麻雀は運の要素が大きく絡むゲームである。だからこそ、正着打を続けても必ずしも勝利を得られる訳ではない。

 実力者と評される打ち手でも、時に信じられない様な大敗を喫する事があるのが麻雀だ。

 

(でも……)

 

『――48000』

 

初日手牌

{東東南南西西北北白白發中中} ロン{發}

 

(こんなのってあんまりだわ……)

 

 連なる七つの星――大七星。

 今まで築きあげられてた風越の勢いを打ち壊すには十分の威力を持っていた。

 

『珍しい役満が飛び出しました――! 字一色七対子、これを大七星と呼んでダブル役満扱いするローカルルールもありますが、その性質上面前でしか作れないので出現率はかなり低い役満です!』

『……これで三回目か鶴賀の役満は。数え役満は一発カンドラ裏ドラありの今のルールだとさして珍しくないが、天和に大七星……まるで夢を見ているようだ』

『これで最大八万点以上開いていた差が入れ代わりました! 現在のトップは初出場の鶴賀学園! 後半戦の南1局の時点で七万点ものリードを奪う事に成功しています!』

 

南一局0本場終了時点

一位202000 鶴賀学園(+48000)

二位126200 風越女子(-48000)

三位61700 裾花

四位10100 城山商業

 

 

 

南四局0本場 ドラ:{發} 親:風越女子

東家:風越女子 112300

南家:鶴賀学園 201100

西家:裾花 71000

北家:城山商業 15600

 

(何なんだよ……どうしてだよ……ふざけんなよ……)

 

 池田の心を満たすのは空虚感だった。

 自身の親番であるオーラスを迎えたが、点差は縮まるどころか九万点を超えている。

 四槓子、天和は別格としても、まず見られないであろう役満への放銃。そんなもの予測出来る訳がない。

 手は震え、喉は渇き、眼からは涙が溢れる。どうすれば良いのかわからなくなってしまっていた。

 

池田配牌

{四六九①①①279南北白白中}

 

(またこれかよ……)

 

 どうにもならない配牌に強く拳を握りしめた。

 {①}の暗刻がある他、{白}の対子があるが、{白}はドラ表示牌として既に一枚見えている。

 和了までの道のりがどうしようもなく遠い。こんな配牌が南場に入ってからずっと続いている。

 客風牌の{北}、孤立牌の{九}、そして他家の連風牌となる{南}とお手本の様な手順で不要牌を落としていく。

 

四巡目池田手牌

{四六①①①25799白白中} ツモ{中}

 

(また……この手か)

 

 順調に進めば、白中のシャボ待ちになる牌姿。

 今の窮地に陥れられた南一局0本場の牌姿と重なって見えた。

 

(くうぅ……)

 

 思い返すだけで腹立たしい。あの放銃さえなければまだ勝負は拮抗していたはずだ。そう考えているとふつふつと空虚感とは違う感情が芽生えてきた。

 立ち向かった闘争心の残り火が、まだ胸の中で燃え続けていた様だ。

 

(でも――今度は和了ってやる……このまま終わる気は毛頭無い、連荘に連荘を重ねて逆転してやるし!)

 

打{2}

 

 池田の目に再び力が宿った。

 

五巡目池田手牌

{四六①①①5799白白中中} ツモ{發}

 

(ドラ――何か久々に見た気がするし!)

 

 その池田の感覚は間違いではなく、南場に入ってからドラが池田の元に姿を現したのは今回が初である。

 そしてそれは初日の支配を打ち破った事の証左でもあった。

 

(華菜ちゃんの選択は……これ)

 

打{5}

 

 そして次巡、初日が捨てた{白}に飛びついた。

 

「ポン!」

 

六巡目池田手牌

{四六①①①799發中中} {白白横白} 打{四}

 

 さらに次巡、再び初日の捨て牌に手を伸ばす

 

「それもポン!」

 

七巡目池田手牌

{①①①799發} {中中横中} {白白横白} 打{六}

 

 

 

七巡目初日手牌

{一二⑧⑨⑨112399北北} ツモ{2}

 

({白}と{中}をポン? 大三元いや……親番だから純粋に連荘狙いかも知れんけど)

 

 ここまでわかりやすい仕掛けも少ない。

 {發}が生牌で{白}と{中}が叩かれているのだ。

 小三元か大三元か、全く関係なく白中で和了する可能性もあるが、厄が晴れてしまった以上、ドラである發は池田の手牌にありそうに思えた。

 

(急がないと……チンタラ手作りしてる暇はない)

 

 面子手だと{三}、{⑦⑨}、{3}、{北}と急所が多すぎる。

 初日は打{3}として七対子の一聴向に構えた。

 

八巡目初日手牌

{一二⑧⑨⑨112299北北} ツモ{九} 打{二}

 

九巡目初日手牌

{一九⑧⑨⑨112299北北} ツモ{①} 打{⑧}

 

十巡目初日手牌

{一九①⑨⑨112299北北} ツモ{九} 

 

(追いついた……! 風越はずっとツモ切りを繰り返している、という事はもう張っているはず。そしてあたしが当たり牌を掴まされないという事は……待ちは{發}単騎か片方が枯れているシャボ待ち。ほぼ互角だと思って良いかな……)

 

打{①}

 

「それカン!」

 

池田手牌(初日視点)

{■■■■■} {①①①横①} {中中横中} {白白横白}

 

打{7}

 

 そして、それと同時にカンドラがめくられる。

 そこにあったのは{⑨}――新ドラは{①}となった。

 

十一巡目初日手牌

{一九九⑨⑨112299北北} ツモ{6}

 

(手出しで{7}? まだ張ってなかったか……それとも{67發發}みたいな形から{6}を引いて{7}を落としたのか……どちらにせよ{}6は危ない)

 

打{一}

 

(悔しいけど……勝負は避ける)

 

 

 

 そして南四局0本場、最後の摸打が終了した。

 

「テンパイ」

 

 そう宣言した池田の表情はどこか誇らしげだった。

 

池田手牌

{99發發} {①①①横①} {中中横中} {白白横白}

 

「……テンパイ」

 

 少し遅れて宣言した初日はその声に疲労の色を隠せていなかった。

 

初日手牌

{九九⑨⑨1122699北北} 

 

「ノーテン」

「ノーテン」

 

 そして裾花と城山商業が手牌を伏せる。

 

南四局0本場終了時点

一位202600 鶴賀学園(+1500)

二位113800 風越女子(+1500)

三位69500 裾花(-1500)

四位14100 城山商業(-1500)

 

 

 

南四局1本場 ドラ:{一} 親:風越女子

 

「ツモ。800・1400」

 

初日手牌

{①①99} {横發發發} {九横九九} {横⑦⑧⑨} ツモ{①}

 

 混迷を極めた0本場と違い、1本場はあっさりと終了した。

 ポンを駆使して池田のツモを飛ばし、下家であるという点を最大限に生かした初日が浅い巡目で發チャンタをツモ和了った。

 

大将戦終了時点

一位205600 鶴賀学園(+3000)

二位112400 風越女子(-1400)

三位68700 裾花(-800)

四位13300 城山商業(-800)

 

『大将戦終了――! 激戦を制したのは初出場の鶴賀学園! 風越女子の団体戦優勝は六連続でストップ、新たな時代の幕開けとなるのでしょうか!』

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