とある中佐の悪あがき 作:銀峰
すぐ近くで爆発
うて。この出入り口に近づけさせるな!
部下に指示を出しながら、自分も顔を出し大体の方向に向けて数発発砲。撃たれた連邦兵はは顔を隠す。が、数が違いすぎる多方面からこちら側に打ち返してくる。その後敵の見えないであろう位置に戻る。
くそ。きりがない。せめてMSがあったら。
幸い敵は歩兵ばかりだ。MSはいない。そしてここは占領したばかりのコロニーの中だ。ロケットランチャーや対ms誘導弾とかは打ち込んではこないだろう。そんなことをしたら市民感情がどうなるかわからない。最悪反乱の可能性などあるしな。
それに戦争は終わって勝ち戦の戦後で命を落としたくはないだろう。遠くから撃ってくるばかりでこちらに突入はしてこない。その心理が助かっている。戦争中だったらこうは行かないだろう。
だが、しかし…くそ。このままでもつのか?
そんなことを考えている中、拡張器で何者かの声が聞こえた。
撃ち方まて!
1人の連邦軍高官が名乗りを挙げる。階級は少将か?
「私はジョンコーウェン少将である。噂には聞いていたがこのようなところまで来るとは思わなかっかったぞ。もう戦争は終わったのだ。死に急ぐことはあるまい。ジオン兵の諸君。大人しく投降したまえ。君たちが持っているデータを渡しさえすれば君たちの命は保証する。」
一筋汗が落ちる。大物が出てきたな。しかも、こちらのことを詳しく知られているようだ。
彼の知っている俺の情報は一応ある。
ジョンコーエン中将といえば、ガンダム開発計画総責任者であり、アルビオン隊にとって数少ない理解者。連邦軍の少数派に属し、改革派の一部。エギーユ・デラーズの『星の屑作戦』にできる限りの対応を行ったとか。その後のちのティターンズのトップ、ジャミトフに蹴落とされた人物。
蹴落とされたからと言って舐めてはいけない。この頃はまだ普通に健在で、のちのガンダム開発等に関わられてしまうと連邦軍の技術レベルが上がり、おおっぴらに新兵器を開発できないジオンとの差が縮まってしまう。
ここで潰すか、捕虜にしておきたい。
物陰から様子をみる。
出口付近は完全に封鎖されていて、一際防護が厚いところにジョンコーエンがいる。ここから飛び出して倒すのは困難だろう。
いきなりキングは取れねぇだろうよぃ、との名言もある。落ち着いていこう。
こちらは俺以外に4人、彼方はコーエン将軍が来たことで中隊規模程度はいそうだ。
「繰り返す返答がない場合、その遺跡を破壊する。所属、階級、氏名を述べ。データを渡し投降せよ」
「まずいな。時間をかけすぎてる。増援が来るぞ」
「これは最後通告である。速やかに返答せよ」
「くっ、アレの機体立ち上げに時間がかかり過ぎだ。仕方ない。あまり目立つマネはしたく無いが…
了解した!こちらはジオン軍宇宙攻撃軍所属のユーセル中佐だ!破壊をやめてもらいたい!」
「…む。高々工作部隊の小物等を想定していたが、とんだやつが出てきたな。ここら辺の区域のやつは、ワイアットの正面担当のやつが討伐したと聞いたが…まだこんな軍事活動をできる余裕がある組織がいたとはな…
まぁいい。それは君たちの態度次第だ。速やかにデータを渡したのち遺跡から出てくるきたまえ」
投降する気など一切ないし、時間稼ぎのために返答したのだが、どうやら俺の名前は、コーエン将軍にまで名前が響いていたらしい。どうやら俺は死んだことになってるっぽい。ワイアットのやつがどうやら撃退して我の艦隊を撃破したことになっている。まぁワイアットも30隻も動員して敵の艦隊10隻そこらを撃退できなかったとすれば、降格もあり得る話だ。それはそれで好都合だったな。…あ、しまった。名前名乗っちゃった。偽名使えば良かったかな?
部下の方に向いて人差し指と小指を立てて、耳に当てる動作をしてみる。後方の残存組から連絡は?部下は伝わったのか、首を振る。どうやら来てないようだ。あの機体さえ起動できれば状況を打開できそうなものだが…
時間を稼ぐしかないか
「いや、俺たちの安全の確保の方が先だ!出て行って殺されたんじゃ都合が悪い!兵を引いて貰いたい!」
「そんな要求が通るものか!状況がわかっていないようだな?こちらは中隊規模、そちらは数人だ!どちらが不利か見てわかると思うが、早く投降したまえもう戦争は終わった、もう戦う必要もない。戦争は終わったのだ。もう悲劇は繰り返してはならなぬ。もう誰も死傷者を出す必要はない。なぜそうまでして血を求める?」
「ああ?戦争は終わった?いいやまだ終わってなんてないね!お前ら連邦がスペースノイドに対する態度を変えない限りそれに反抗を続けるものはいる。俺たちの、スペースノイドの意思はだれにも止められない!」
頭に来る。お前らからすれば俺らか悪かもしれないが、話し合いを、ジオンズムダイクンが発した抗議を民衆の声をお前らが潰したのだ。軍事活動で!そんなのを頭から信じ込んでないが、これは戦争だ。どちらが悪いとかではない。
どっちも悪いのだ。
俺は転生者だが、この戦争が始まってから関わってきた人がいる。関わってきた歴史がある。それを頭ごなしに否定されてはいくら穏便な俺でもプッンとくるなぁ。だからジオンにいる訳だし、何も関係なかったら、負ける国になんていないよ。あ、あとMSがかっこいいな。それだけでもいる価値あるわ。
「そうか残念だ。ジム隊も到着した。その思想とともに潰えるがいい。ドズル麾下の亡霊よ。中隊撃ち方用意」
と、まだまだ言い返してやりたいが、どうにも旗色が悪い。今は中隊規模だが、これはほんの一部の先見部隊だろう。先程顔を出した時、MSジム2台が奥に見えた。持っている武装はどうやら90ミリマシンガン。こちらがドムになっている時はとるに足らない相手だが、今はすごい脅威だ。
もうすぐ近くの方からの増援が来るだろう、結構近くのベイから距離があるがあと10分ほどでMSの増援が来るかもしれない。別働隊の工作が上手く行っているといいが…
いやあのマシンガンを撃たれただけでこんな建物の意味などない。90ミリの前にはこんな壁ないようなもんだ。
発砲。
どうやら痺れを切らした敵さんが撃ってきたらしい。耳のそばで銃弾が飛んでくる。そばの壁が轟音を立てて崩れる。どうやら90ミリも散発的に撃ってきているようだ。フルオートで撃ってきてないのはまだ、回収できるものがあると踏んであまり崩さないようにしているんだろう。
しかしこれでは数分も持たないだろう。
後ろにいる隊員の顔を見る。
「あれが起動するまであとどのくらいだ!?連絡はあったか?」
「いえ、ありません。中佐。どうも立ち上げに時間がかかるそうで、どうも終戦後から動かしてないであろう機体なので…」
「急がせろ。まだMSが来てない今がチャンスだ。敵MSが来たんだ!俺たちがいるこんな小さな出入り口なんてすぐ破壊されてしまうぞ」
「起動できないことには…いえ、どうやら来たようです」
「来てくれたか!」
どうやら奥にあった機体のアレの起動が済んだらしい
轟音を立てて後方の、格納庫があった地面が崩れていく。
「な、何が起きている!何をした!中佐!アレはゲルググか?…このようなところに隠してあるとは…」
いいね。いいタイミングだ。特徴的なモノアイに豚鼻。ロールアウトしたばかりの新緑に輝く機体色。連邦軍のガンダムに匹敵する性能を有するゲルググと、そのゲルググと次期主力機の座を巡り競合したギャンの特性を合わせ持つ。 ジオンの技術は10年進んでいるとはこの機体の事一つとっても、間違いではないだろう。しかもこれ以外にもバリエーシャンはあるのだ。ジオンの科学力は宇宙一、あながち間違いでもないな。
時代はZまで引っ張れる最新鋭機の中の最新兵器!
「ガルバルディα!動いてくれたか!」
「お待たせ。ユーさん、どうにも手間取っちゃって、ほらヒーローは遅れてやってくるものだから、怪我してない?」
「言い返してやりたいが、ナイスタイミングだ!かましてやるぞ!連邦の奴等に目に物みせてやれ。さぁ、反撃開始と行こうかぁ!」
「了解」
我らが部隊の誇る一番の腕利きだ。この程度はどうとでもなる。
戦乙女が新緑の機を操る
それに応えるのかのように、機体が轟音を立て敵機に突進していく。
「どうにも初めてのこの子の初陣だ。ユーさんも危ないしすぐ黙らせる。…ってちょっと…!」
フットペダルを蹴り、敵機に接近していく。ガルバルディがスラスターを吹かし一気に周りの景色が後ろに流れていく。
どうもゲルググと同じ感覚で操縦したが、思ったよりも反応がいい。推進力では、ゲルググはこのガルバルディの足元にも及ばないだろう。他の人はドムの騎乗経験はあるが、ゲルググ系統の機体は経験が浅い。それならと立候補したがどうにも、経験は無駄になりそうだ。性能が違いすぎる。
ガルバルディの膨大な加速力は、ビル数十の幅を一瞬で弾き飛ばす。
眼前の敵機が慌ててこちらに銃を向けるももう遅い。もう、格闘武器の間合いだ。通信が混線しているのか、敵の通信が流れる。
「はゃ…すぎ…でも、まずは一機いただき」
「なんだこの機体!データにないぞ!…もう目の前に、はっ、はやすぎる」
「遅いよ」
ジムが発砲。
敵の弾を潜りつつ、ビームサーベルを抜刀。胴体部を真っ二つにする。
ジムは上半身と下半身が分かれていく。綺麗な断面をのぞかせ、機体が二つに割れる。
爆発がガルバルディの装甲を照らし、無機質なモノアイは残りの敵機を見据える。
「一機撃破。残りは2機か」
ジムが次々とやられていく中、遺跡の中から戦果を確認したが…
すっかりガルバルディにコーエン将軍たちの目がそれた。こちらにもう構っている暇などないのか、こちらへの発砲は無くなった。
「すごいもんだな。ガルバルディ、実物を見たのは初めてだが、アレほどまでとは…」
「はい。中佐すごいものです。アレがあれば連邦など恐れることはないでしょう!」
部下の嬉しそうな声。まぁ気持ちはわからなくはない。あの機動性に旋回性能、ゲルググの後継機らしくビーム兵装も扱える。火力の発揮も十分できるだろう。本当に1年戦争時代にはなかなかの代物だ。
「…数がないからどうしようもないんだけどな」
問題は数だ。どれほど高性能な機体でも数がないと、作戦に組み込まない。一機だけで戦争は勝てない。まぁアムロみたいなエースがいたら変わってくるのだろうが、
馬鹿な!戦術が戦略を上回るなど!?ってやつだな。ジオンは少数精鋭で路線選択したからMAをいっぱい作って有利を作ろうとしたんだがな。結果はまぁ、言わなくてもわかるだろう。やっぱり戦いは数だよ兄貴。
「最後のジムもやったみたいだな。…おーと、コーエン将軍をお待たせしてしまっているな。挨拶にでも行こうかな?」
ガルバルディを見てばっかりだったが、コーエン将軍との戦いの最中だったな。先程までコーエン将軍がいたところに視線を移す。ジムの爆発に巻き込まれたのか倒れている兵士たち。その奥に固まって何かを守っている集団がいた。あれはコーエン将軍を守ってる一団か、
「クーディ!よくやった!こっちに戻ってこい!コーエン将軍を確保するぞ」
「了解」
状況がこちらに傾いたようだな。こちらは数人だが、MSがある。対して敵は一個小隊ほど、MSはなし。先程は考えつくことすらなかったが、コーエンを捕虜にすることも可能な状態だ。MSがいれば確保までするできるだろう。連邦軍高官を確保するというアドバンテージはかなりデカい。情報も聞き出せるし、何かの交渉材料にもなる。いいことづくしだし、ガンダムもGP計画も出来ないだろう。2号機は…まぁザクに核武装させればいいだろ。実質2号機。声をかける。
「コーエン将軍!貴様は先程俺たちの戦争は終わっていないと言ったな!俺たちの戦争はまだ終わってはいない。悪いがこちらに同行してもらおうか、」
「この残党どもめ…お前らの好きにはさせん…!」
やはりいた。集団の奥からコーエン将軍の姿が出てきた。褐色の年配の男、いかにも軍人といった風貌で、アジア系の顔つきだ。負傷したせいで頭から血を流している。返答はできているから、意識はある。すぐ死ぬということはなさそうだが、出血が激しい。早く確保しなければならないかもな。
「どうにも状況がわかっていないようだな?こちらはMSがあり、そちらにはMSはない。決定的だ。降伏を勧めますがね?」
先程のコーエン将軍の言葉を真似て喋ってみる。どうも気分が高揚しているようだ。まぁ、こんな大物を捕虜にできる機会などない。しかも原作で出てくる人物だ!これはかなりの歴史の分岐点になるだろう。ガンダム2号機のサイサリスができないのが痛いが、その分ステイメンガンダム3号機もできずに、被害を抑えられると考えればトントンだろう。
ガンダム3号機の性能は圧倒的だからな。ガトーでも苦労したくらいだ。勝てても辛勝になる。
「くっ敵の有利材料になるくらいならば…」
「おっとこちらを攻撃しようとしても無駄ですよ。上のガルバルディがそちらを狙っている。撃たれても次の瞬間にはミンチ肉だ」
「…何をする気だ?今更貴様程度の艦隊…30隻程度だったか、その程度では何も出来まい。先程の戦闘も、貴様らが大きな顔をしてられるのも今だけだ。いくら技術面で優位に立とうとも、すぐに連邦は追いつく。このわしがが追いつかせてみせる。先程のゲルググもどきよりも、高性能な機体をな…!テロリストども!貴様らには、勝ち目はないぞ」
先程は死にかけそうと言った印象だったが思ったよりピンピンしてるな。技術面の有利?そんなの高々数年で、開発。量産まで行けるものか、Zまだかかるだろうな。
「何をバカな、今から我々の捕虜になろうとされる方がそんなことできるはずがないでしょう。」
「…今更ワシを捕虜にしたところで状態は変わらん。停戦はなるだろう。この身も無数にいる高官の1人でしかない。…歴史は変わらんぞ」
「いいや?変えてみせるさ。好きだろう?みんな。圧倒的強者を倒し、弱者が勝つ物語。スペースノイドの自治確立。これは妄言ではない。さぁ世界征服の始まりだ」
??「ええぃ。こうも歩かされてはキャノンが!」