雷撃が空気を割る音が大きくなる。
大木の切り株の上からチラと俺を見下ろすモモシキの様子から理解した。アイツ、誘ってやがる。
「シンゲン、ボルトは任せた」
足元の影縛りの術を餓鬼道の力で吸収して駆け出す。近くにいたシンゲンとボルトの足元の影も同時に俺へと吸収されたから二人とも逃げることができるだろう。地面を蹴り、空中に躍り出るとモモシキと目が合う。
「貴様だけは……貴様だけはワレが手ずから殺す」
モモシキは強烈な殺気を俺へと向ける。そして、左手に構えた雷を俺へと放出した。目の前に広がる青い稲妻。だが、その雷撃は俺の体にかすりもしなかった。俺はナルトの前、少し距離はあるが、に立っていることに気が付いた。すばやくナルトに近づいて、餓鬼道の力でナルトの動きを封じ込めている影縛りの術を吸収する。
空に向かって拡散する雷。その中から甲高い金属音が響く。
サスケだ。天手力で俺とサスケの位置を入れ替えたようだ。そして、サスケが囮になってまで俺を後方に戻した理由。それは、シシキが持っていた丹を服用したことでチャクラが回復した俺の方がより速く、そして、同時に拘束を解けるからだ。
「影分身の術」
印を組んで影分身を4体作り出す。次いで、影分身体を影たち、つまり、風影、土影、水影、雷影に向かわせて彼らの動きを封じる影縛りの術を餓鬼道で無効化する。そして、俺の隣にいる火影のナルトはすでにチャクラを練り上げている。
「サスケ!」
サスケに呼びかける。サスケが振り返ると共にサスケの左目が紫色の軌跡を描いた後、俺の姿を捉えた。
変わる景色。
立ち塞がる黒い鬼に向かって全身全霊のチャクラを込めた拳を突き出す。轟音が響き、足元の切り株に大きく罅が入り土煙が上がる。威力は体内門の景門を開いた状態の忍と比べても大差ないほどだ。
が、俺のチャクラを込めた拳は実に簡単にモモシキの掌に止められた。
「シシキの仇だ」
冷たい声が響きモモシキは拳を作ろうと指を曲げようとしたのだろう。逆に足の指を上に逸らしたモモシキの様子を見て推測する。上手くいったことを確認した俺はモモシキの前で印を組む。
乱身衝。
以前、綱手様がカブトにしたものと同じ術だ。
「ワレに何をした!?」
「チャクラを電気質に変え、電界を作りお前の神経系に流し込んだ。手の指を動かそうとすると足の指が動くといったように脳から出る命令を誤認させるために、な。……外導ノ印 封」
モモシキに解説をしながら印を組み上げて彼に術を掛ける。これで、もう奴は輪廻眼の能力を使うことはできない。
チェックメイトだ。後は奴の身体能力を上回る術で奴の体を消し飛ばせば終わり。
瞬身の術でナルトとサスケの元に移動して手を広げる。俺の掌に浮かんだ紋を見て二人は理解したようだ。何も言わずにナルトは俺の右手に、サスケは俺の左手にそれぞれ触れる。
ナルトの右の掌には日華、サスケの左の掌には繊月が浮かび上がっていた。
ナルトがサスケの肩に手を置きチャクラを渡す。
「行くぜ、サスケ!」
「ああ」
ナルトは尾獣化、そして、サスケは須佐能乎を創り出す。天地を揺るがしながら狐と武者は顕現した。
九尾と化したナルトの両手には二つの螺旋手裏剣。サスケの須佐能乎の手には巨大な弓と雷で出来た矢。
それが同時に放たれた。
『六道 神羅天叫!』
二人の術がモモシキを巻き込みながら彼の世界を壊していく。術が通り過ぎた後の地面は大きな溝ができる。術が通り過ぎた後の空は雲が消し飛ばされる。
六道の力は創造と破壊を司る力。モモシキが創造した世界を六道の名の元に破壊する。うわぁ、自分で言ってなんだが、これは酷い厨二病。背筋が震える。
「ヨロイの兄ちゃん! まだ終わってねェ!」
ナルトの声が響くと同時に、俺の体を何かが貫いた感覚がした。体が地面に沈み込む。そして、上から降る声は俺に絶望を齎した。
「外導ノ印 封」
首を回して見上げるとそこには黒い肌の鬼、モモシキが立っていた。急所には当たってないとはいえ、間接を貫かれているせいで身動きがとれない。それに、外導ノ印によって俺の輪廻眼は封じられている。
「死ね」
頭に奔る衝撃。
「永遠に眠っていろ、下等種族」