湖面の月は未来を映す   作:クロム・ウェルハーツ

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@7 殺意

 俺は目を覚ます。

 

 始めに気づいたのは綱手様の元で修行した時のことを思い出す匂いだ。そこで、俺は今の状況、そして、この状況に俺を貶めたクソヤローたちのことを思い出す。

 

「許さん……絶対に許さんぞ虫けらども! じわじわとなぶり殺しにしてくれる!」

 

 おっと、俺としたことが直接的過ぎる表現だった。息を吐いて落ち着き、改めて呪詛の言葉を呟く。

 

「もはや楽には殺さぬ。肺と心臓だけを治癒で再生しながら、爪先からじっくり切り刻んでやる」

 

 負けフラグが立ったような気がするが気のせいだろう。ここは冬木のアインツベルン城じゃないし。

 

「ヨロイさん、意識が戻られたんですね?」

 

 そう俺に話しかけたのは褐色肌のスキンヘッドの男。DJ風で、きっとコラ画像上ではビートも刻める“デキル先輩スタイル”を身に着けた男……ジェイである。原作では名前すら語られなかった後輩くんであるケーよりも恵まれているとはいえ、それでも、完全無欠に無駄死にをしたのは多くの読者の涙を誘ったことだろう。

 これは、全てビーさんのせいである。彼が演歌忍者の頭領であるサブちゃんを探しに行かずに、生きていることを雲隠れに早く知らせていれば彼は死ぬことはなかったというのに。汚いなさすが忍者きたない。

 

「ヨロイさん?」

「ああ、ごめん。少しボーッとしてた。で、状況を教えてくれない? ビーさんはどうなった?」

「ビー様は襲撃者の攻撃を上手く躱し、無事です」

「上手く躱した?」

「ええ、八尾の尾足に身を潜めることで襲撃者をやり過ごしました。うちはサスケを欺いたのと同じ手法です」

「あ、あの……なんかごめん」

「いえ、気にしないでください」

 

 ビーさんとサスケの初エンカウント後、尾足を変化させた分身体を持って行ったサスケたち“鷹”を尾行したジェイは、尾行していたことに香燐に気づかれ、そして、セオリー通り殺された。ジェイさんにとっては悲しい出来事だろう。ナルトスを見て『彼は犠牲になったのだ』と笑っていた俺は少し恥ずかしく思う。

 

 いや、待てよ。その後の第四次忍界大戦で穢土転生をした後に輪廻天生をすることで生き返らしてあげたから許してくれるな、きっと。黒ゼツを殺すための副産物的な効果で俺は生き返らせる気はなかったが、結果は同じであるので特に問題はない。

 

「そして、ここから重要なのですが……」

 

 そう言って、ジェイは言葉を切る。嫌な報告だろう。ならば、早く済ませるに限る。

 

「何?」

「ビー様が言うには、何でも襲撃者たちの狙いは“狐”だとか」

「……ナルトか」

「そう思われます」

「ビーさんは?」

「勝手な行動はしないように先代が捕まえています」

「それなら、安心か」

 

 チャクラ解剖刀(メス)を左手に作り、右手の肘に巻かれた包帯を切り外していきながらジェイからの情報を纏める。

 

 どうやら、奴らは神樹を持っていると見える。そもそも、神樹の核であった外道魔像は俺が俺固有の瞳術であるアメノウズメでその存在ごと書き換えてこの世から消し去っている。本来なら、尾獣をいくら集めても意味はない。

 

「忍法 創造再生」

 

 そして、その仮定はパターンAに入っている。奴らが外道魔像を探すために、しばらく時間がかかるパターン。そして、もう一つのパターンBはすぐさま奴らが尾獣狩りにでるパターンだ。シシキの輪廻眼は俺が使う術を前情報無しで見破っていた。それが奴の瞳術なのだろう。人物の情報を見ただけで得ることができるというところか。これはつまり、俺が使うことのできる術を一つ一つ精査していけば、アメノウズメで外道魔像を消したことが分かる。

 

「ッ!」

 

 そして、そのことが分かったのなら……何か強力な器を用意して尾獣たちのチャクラを埋め直すことで神樹が復活できるということを知っているならば……尾獣を狙うのは想像に難くない。そして、その対策として人柱力たちには監視を付けさせ、更に連絡が俺の元に来るようにしていたという訳だ。

 

「どっちにしようか。右足からかな」

 

 だが、ここでパターンCが来やがった。奴らは神樹を既に持っている。パターンBから派生する方法ならば、外道魔像でもない限りは一尾から順に入れていかなければ圧倒的なチャクラで器が壊れる可能性がある。その上、外道魔像であっても、九尾は最後に封印しなければ壊れるという恐ろしいほどのチャクラ量。

 

「ッ!」

 

 しかし、尾獣たち、特に九尾を上回るチャクラを持つ器があればその限りじゃない。膨大なチャクラを膨大なチャクラで均衡を取れば器は壊れない。その膨大なチャクラを持つ器なんぞは神樹しか思いつかない。

 だが、第四次忍界大戦以降は神樹が現れたなんて報告はないし、そもそも相当な距離がない限りは目視で確認することができるほどの巨大な樹だから、奴らは神樹を地球に植えてはいない。恐らく、奴らは天之御中(アメノミナカ)で創り出した亜空間の中に神樹を保管していると見て間違いない。

 

「次は左か」

 

 輪廻眼の瞳術の中に天之御中(アメノミナカ)という術がある。術者が指定した空間を自身が持つ亜空間の中に引きずり込むという術だ。尤も、使用するには多大なチャクラが必要で連発することができるような代物ではないし、亜空間には飛雷神の術で付けたマーキングで行き来することができるので、天之御中を使ったことは数度しかないが。

 

「ッ!」

 

 ならば、次の行動方針は決まった。奴らをぶっ殺す。

 単純明快な答えだが、最終目標はそれでいい。シスイの別天神も輪廻眼保持者には瞳力の関係上、効果はないから説得などは無駄無理無謀。

 

 殺すか殺されるか。それしか俺たちにはない。

 

 再生させた右手と両足の調子を確かめながら俺はジェイに向かって口を開いた。

 

「……飯を」

「え?」

 

 伝わらなかったようだ。

 

「飯を用意してくれ。チャクラの回復に努める」

「分かりました」

 

 そう言って、ジェイは部屋を出ていく。雲隠れにある総合病院。サクラによる木ノ葉の医療施設の拡充のケースを見て、それに倣った雲隠れの最新医療センターの一室に俺はいる。

 まずは体力とチャクラの回復。その後は……。

 

「やられたらやり返す。倍返しだ!」

 

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