こころがぴょんぴょんしそう……しそうじゃない?   作:ほったいもいづんな

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最終回なのにごちうさ関係ないな!!

ごちうさの小説を読みたい方はブラウザバック推進です。

茶々の物語が見たい方はそのままどうぞ。

……淫夢要素は少なめです。


Homo&RABBIT

 夏の避暑地と言えば何を思い浮かべる? 日本における避暑地として有名なのはやはり渓流の側や涼しい山の中などの田舎である。 そもそも木ぐみの街は田舎とも都会とも言えない場所、だが水場は近くにはない。 木ぐみの街のでの避暑地もまた水場の近くになる。

 

 茶々達が到着したコテージは川が流れる自然豊かな山の中にある。 川は透き通り、自然達は彩りよく群生している。 空気も風も、その空間そのものが茶々達の心に清涼な風が吹き抜ける。 非常に良い自然だ。

 

「あーーーッ!!!」

 

 そんな空間にリゼの悲鳴が響く。 何だ何だと皆が駆け寄れば、リゼが開けたであろうクーラーボックスには何もない。 本来ならば食料やら飲み物やらが入っているはずなのに。

 

「すまない……すまない……私がちゃんと確認をしないがために……」

 

 リゼが皆に頭を下げる。 だが誰一人として悲しい顔などしていない。

 

「大丈夫! 山に慣れた私と!」

「ふ、普段から節約している私の知恵があれば!」

「大体何とかなるよ! それに茶々さんもいるしね!」

「ココア……みんな……済まない……ありがとう……」

「ふっふーん、お姉ちゃんにまっかせなさぁーい!」

 

 ココアがこれほどまでに頼れる存在に見えたのは後にも先にもこれだけだとリゼは後に語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、今頃驚いているだろうな……」

「あの……流石にやり過ぎじゃあ……」

「大丈夫だって、それに茶々がいるしな」

「……頑張れ大将……」

 

 そして後に黒幕にお灸をすえることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあさ、俺がテントだとかBBQセットとかの力仕事しとくからさ、お前らは適当に遊んでて、どうぞ」(保護者先輩)

 

 珍しいことに茶々が率先して力仕事をしていた。

 

「わほーい! 釣りしよ釣り!」

「私もー!」

「私は山で山菜でも探そうかしら?」

「お、お供します!」

「あ、うん。 誰も手伝うとか言わないのね……お兄さん悲しい……」

 

 ココア、チノ、リゼ、シャロ、マヤは川で釣りを、千夜とメグは山で芝刈り……山菜集めに。 見事桃太郎配役で分かれたが誰一人として茶々の手伝いなどしない。 (男なんだから馬車馬のように働いて)当たり前だよなぁ?

 

「……ほ、ほ、ほいっと、エイシャア……」

 

 茶々は後ろではしゃぎまくる少女達の楽しそうな声をBGMに黙々と作業する。

 

「……シャアー!! 終わり!」

 

 そして慣れた手つきであっという間にセッティングを終える。 後ろではまだ釣り……をせずに水遊びをしている。

 

「……えぇ。(困惑) 釣りをするとは何だったのか……この分だと山組も怖いんだよなぁ……(戦慄)」

 

 茶々の予感は的中で、ツッコミのいない中着々と毒キノコだけが集まっていた。

 

「あ、コテージには肉があるって言ってたけど足りますかねぇ」

 

 茶々はコテージ内にある貯蔵庫の肉を確認しに行く。 よく考えればこんないつ使うかも分からないコテージに新鮮な肉がある事が問題なのだが。

 

「……」

 

 茶々は肉を観察し、この肉が本当に今日仕入れたての肉である事を見抜く。 そしてリゼの父親にしてやられたことに気付く。(名探偵)

 

「やぁっぱり親父さんじゃあねぇかYO! そりゃ俺の分合わせたらこんなに多い訳だよ」

 

 茶々は一人ため息を付き表に戻る。 戻ってくるとずぶ濡れのココア達と山から戻ってきた千夜達がいた。

 

「あ、茶々さん! いっぱいお魚釣りましたよ!」(透けブラ)

「私も沢山釣ったぞ!」(水着)

「どうだ、中々の戦果だろう?」(透けブラ)

「私は一匹だけでした……」(濡れ透け)

「あ、ちゃんと小さいのはリリースしたわよ」(水着)

 

 気付いているのかいないのか、川組は揃ってずぶ濡れ。 そして水着を着用しているのはマヤとシャロだけであとは服が体に張り付いて身体の明確なラインがくっきりと現れる。

 

「見て〜こんなに美味しそう(毒)なキノコがいっぱいあったの」(確信犯)

「がんばったよー!」(無垢)

 

 千夜の持つ手提げのカゴには禍々しいキノコばかりが入っていた。 そして何故かそれを嬉しそうに自慢する奇妙な二人。

 

「……えぇ」(困惑)

 

 茶々はこの2つの方向から来るボケをどう崩せばいいのか頭を悩ませる。 とりあえず、とりあえずすぐに片付く山組からだ。

 

「あのさぁ……これ毒キノコしかないやん! 山菜って言ったのにどうしてキノコを採ってくるかなぁ! おめぇらは輝子(デスメタル)と魔理沙(紺マリ)か!」

「ええぇ! 毒キノコだったんですかー!?」(無垢)

「流石茶々さん、シャロちゃんに劣らない良いツッコミです!」(ボケ)

「……後で一緒について行ってやるから、ちょっと待っとれ」

 

 そして問題の川組。

 

「魚釣ったのはええんや。 ……どうしてずぶ濡れなん? 夏で川だからはしゃいだの?」

「あ、見るな茶々!!」

「ハレンチです!」(闇)

「はっ?(半ギレ) 勝手に濡れといてどういうこったよ? いいから着替えて、どうぞ」

「はーい!」

「つーか水着着てるのマヤとシャロだけってどうよ? マヤは児ポに引っかかるからいいけど……あれだけ用意していたリゼが用意していないってちょっとガバガバじゃねぇか」

 

 呆れ気味な茶々から離れた所で川に入ろうとしている千夜を止めているメグの姿が。

 

「わー! 水着着てないのに入っちゃ駄目だよー!」

「川に入れば合法的に茶々さんを誘惑出来るはず……」

「……もうお兄さんチカレタ……」

 

 頑張れ茶々、何せまだ昼前なのだから。

 

 

 

 

 

 昼は茶々が取ってきた山菜、川組が釣った魚、コテージに何故かあった保存用の肉、そして千夜のおにぎり(?)のお陰で乗り切ることが出来た。 ずぶ濡れだった洋服達も恵まれた天候のお陰ですっかり乾き、午後の遊びが始まった。

 

「何するー?」

「泳ごう!」

「さっき川で遊びましたよね?」

「ここは水切りとかどうだ? 私は水切りにはちょっと自信があるんだ」

「普通にお散歩をするのもいいですね」

「ちょっと探検するのもありねー」

「動物を探してみたいなぁ」

 

 始まる前にまとまらなかった。

 

「あくしろよ……」

 

 片付けを終えた茶々は小さなあくびをする。 腹も満たされ眠気がやってきたようだ。

 

「俺ちょっと寝るから……」

「はーい」

 

 茶々はコテージに向かう。 後ろの方でかしましい女子達が思い思いの事を始めた。 茶々は一人コテージ内のベットのある部屋に向かう。 が、途中で催して来た(小)なのでトイレに向かう。

 

「トイレ発見、やったぜ」

 

 トイレの電気を点けるためにスイッチを押してからトイレに入る。 だがトイレの中は暗いままだ。 不思議に思った茶々はトイレから出て押したはずのスイッチを確認する。 スイッチはしっかりと押されている。 のに電気が点かないのだ。

 

「おい全然エンジン(?)かからねぇじゃねえかよ!?」

 

 仕方なしに暗いまま用を足す。 そしてスッキリした後にコテージの発電装置を探す。 そして発見したのだが……

 

「…………」

 

 茶々は発電装置に貼られている紙を見る。 そこにはこう書かれている。

 

『茶々へ

 コテージなんざに頼るんじゃねぇ、お前さんなら野営の心得を得ているはずだ。 せっかくのキャンプ、あいつらに貴重な経験をさせてやってくれ。

 PS.水道は通っているから安心しろ☆』

 

 これを書いたのがリゼの父親であることをすぐに理解してしまう。 そして茶々は紙を破り取り丸めて近くに置いてあるゴミ箱に全力投球する。

 

「頭に来ますよ〜」(半ギレ)

 

 茶々は真に願う。 「あのクソッタレ、ファッ!?キン野郎に天罰が下りますように」と。 何だか眠気が消えてしまった茶々は仕方なしに散歩を始める事にした。

 

「もう顔中糞まみれや……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 茶々は一人山の中歩く。 恵まれた自然はあまり人の手は入っておらず、あるがままの自然を感じることが出来る。 そこは茶温家の山と同じような感覚だった。 深呼吸をしてみれば、肺に行き渡る新鮮な空気、鼻腔をくすぐる緑の匂い。 茶々は無性に山の中を駆け巡りたくなった。

 

「……ちょっと走るか」

 

 茶々は言うや否や駈け出す。 地を蹴り葉を踏みしめ、木々の間を潜り埋まっている岩を飛び越し、身体の思うがままに山を駆けた。 その中で茶々はこの山を肌で感じ取る。 地面の感触、木々の質感、凹凸のある岩、山の全てを観て聴いた。

 

「ふぅ……」

 

 茶々は息を吐き地面に転がる。

 

「……ミルクん家の山に似てるな……」

 

 寝転がる茶々を、草が、木が、風が、動物が、山そのものが茶々を包み込む。 その暖かな空間の中、茶々は思う。 ミルクにも見られているかのようだ、と。

 

(やっぱり山は良い)

 

 茶々は目を閉じ耳を地面に当てる。 そして聞く、この山の鼓動を。 まるで母親の胸の中で眠る赤子のように、その心地よい鼓動を聞きながら意識を眠りに落とす……

 

「あれ? 茶々さんここで寝てるの?」

 

 落とせなかった。

 

「……クォクォア?」

 

 茶々に話しかけてきたのはココアだった。 茶々は身体を起こし、他に誰か居るのかと目で探しているも、ココア一人だけだと気付く。

 

「何してんすか?」

「私の実家の方の山に似てるなぁって思って一人でお散歩してたの」

「実家……あ、ふーん」(察し)

 

 ココアも実家の頃を思い出し一人で山を歩いていたのだ。 ……茶々がいる所まで大分あると思ったが、ココアは山に歩き慣れているのかそれほど疲れた様子は見受けない。

 

「ここって寝てて気持ち良いの?」

 

 ココアは茶々の隣で寝転がり両手両足を大の字に伸ばす。

 

「あ、いいここ! すっごく気持ちいい!」

「そうだルルォ?」(巻き舌)

「山に抱かれてるみたい……」

 

 ココアは目を閉じながら茶々と同じように山の音に耳を傾ける。 故郷の自然と同じ空気を味わった後、茶々に話しかける。

 

「昨日茶々さんに言ったよね? ずっと側にいたいって」

 

 茶々はココアの言葉に首を動かしココアを見る。 ココアは目を閉じたまま話し続ける。

 

「私ね、茶々さんの浮気相手になりたいわけじゃないの。 茶々さんがここにいればいいの、私の隣に……たとえ離れ離れになっちゃっても」

「……?」

 

 茶々はココアの言葉の真意が分からなかった。 側にいる、それが離れ離れだったとしても……まるで意味が分からない。

 

「茶々さんと遠く離れたとしても……またここに帰って来れば茶々さんに会えるから……だから私はこのままでいいの」

「…………」

 

 ココアは目を開け茶々に笑いかける。 その笑顔が余りにも似ていたのだ、ミルクに……。 だから茶々は何も言えなかった、言葉など出てこなかった。

 

「さ、そろそろみんなのところに戻ろ!」

「……そうだな」

 

 ココアは軽快なスキップを踏みながら山を下る。 その後ろで茶々は一人誰かに言うようにつぶやく。

 

「……そっくりなんだよなぁ」

 

 ココアとミルク、二人は良く似ている。 言葉が、仕草が、心が、生き方がそっくりなのだ。 故に茶々はココアに心を惹かれる、亡くなった恋人に似ているから。 リゼでも千夜でもここまで心は揺れ動かなかった、だから茶々は……

 

「……相も変わらず、救えねぇクズだぜ」

 

 自らを恨む、心が弱い自分に。 他人に、全く関係のない他人を重ねることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜、それはキャンプの本番の始まり。 星や月明かり、そして焚き火のみを頼りに夜を楽しむ。

 

「むぅ……どうしてコテージを使わないでテントなんですか?」

「コテージの電気が点かなくて……」

「……ならどうしてドッキリなんてしたんですか?」(怒気)

「面白そうだったから! あと私は見てないけどそういうアニメが流行ってたから!(がっこうぐらし!)」

 

 ちょっとしたドッキリがあったが、皆夜の山を楽しんでいる。 夜になって風も穏やかになり静かに皆の髪を揺らす程度、川の近くだが夏の温暖な気候が涼しさと暖かさをちょうどいいバランスで保っている。

 

「みんなが寝ないようにコーヒー持ってきたよ!」

「ヒャッハー! 夜はこれからよー!」(即堕ち)

 

 夜だと言うのにまだまだギアがフルスロットルなのがちらほら。 カフェインを摂取したシャロが落ち着くのはしばらく先だろう。 シャロの酔いが醒めるまで焚き火を囲んでグルグル回ったのは後のシャロの黒歴史入りとなった。

 

「あ、流れ星!」

「流れ星!?」

 

 メグが指差しマヤがそれを探す。 つられて皆が夜空を見上げると、流星群とは呼べないが、流れ星がいくつも発生していた。 街中では拝むことが出来ない澄んだ夜空にかかる流れ星に目を奪われるも、すぐに願い事を口に出す。

 

「みんなとまたこうして遊べますように!」(純粋)

「今回の原因に天罰が下りますように!」(私怨)

「お姉ちゃん力が上がりますように!」(願望)

「も、もうちょっとバイト代が上がりますように……」(切実)

「甘兎庵が世界進出出来ますように!」(儚き願い)

「お前らさぁ……どうして願い事が欲望で汚れているんですかねぇ……」(呆れ)

 

 流れ星に願い事をしたり、本日のキャンプはこれで幕を降ろす。

 

「スピー……」

「やっぱり無理して起きていたんですね……まったくココアさんは」

 

 睡魔に負けたココアによって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 流石にテント一つでは全員寝れないので、事前に用意されていた数は3つ。 一つに中学生組、一つに高校生組、そして茶々用のが1つ。

 

 チノはマヤとメグが寝息を立てたのを確認するとそろりそろり抜き足差し足でテントから出る。 目的は当然茶々のテントだ。

 

(おトイレの帰りに間違ったとか言っておけば大丈夫なはずです!)

 

 などとガバガバな理由付けを考えながら首を外に出す。 が、何とそこにはいくつかの影が……

 

「待て、何故みんな外に出る!」(小声)

「せ、先輩こそトイレはあっちですよ!?」(小声)

「私は茶々と寝ようと思って〜」(小声)

「私もよぉ〜」(小声)

「……えぇ……」(困惑)

 

 よもや同じ考えを持ったのがこんなにもいるとは思わなかった。 思わず困惑し言葉を失うも、このまま見ていては先に越されるかもしれない。 チノは身体を外に出す。

 

「……みなさん揃って何をしてるんですか……」

「あ、チノ!? これはだなぁ……」

「あ、リゼちゃん声大っきい!」

「あんたもよ……」

「マヤちゃんとメグちゃんが起きちゃうわぁ」

「……はぁ、これだと茶々さんも起きちゃいそうですね……ん?」

 

 チノは気付く、茶々が寝ているであろうテントの入り口が開かれていることに。 そしてそこから見える範囲で茶々の姿が見えないことにも。

 

「茶々さん居ませんね……」

「あれ、本当だ。 おトイレかな?」

 

 ココアが首を動かし辺りを見渡すと、川に沿って歩いている茶々を見つける。

 

「あそこにいるよ」

 

 ココアが指をさす、少なくとも数十メートルは離れているだろうか。 こちらに気付かないという事はこちらの声も届いていないのだろう。 茶々は黙々と歩いている。

 

「……散歩かしら?」

「取り敢えず尾行だな」

「何でそんな軍人思考なんですか……」

「匍匐前進だね!」

「バカやってないで行くわよ」

 

 五人は茶々の後を追う。 茶々の姿が視認出来るのは、この夜空を照らす月明かりと絶え間なく瞬く星の光のおかげだ。 見失わず、かといって近づき過ぎない距離をリゼが図りながら進んでいく。 近くの川は静かに水面を揺らす。 そんな中リゼ以外の4人は思う。

 

『(別に尾行しなくてもいいのでは?)』

 

 だが言葉にするにはとっくに過ぎてしまった。 仕方なしにリゼの尾行に付き合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう大した距離ではない。 テントから100メートル離れたところで茶々は川辺の適当な石に腰掛ける。 後ろの5人はそれを確認すると隠れるように茶々の後方の草場に隠れる。 因みに予め虫除けはしておいた。

 

「……ふぅ」

 

 茶々は川の水を手ですくう。 手のひらで作った小さな皿の上にある清らかな水を見る。

 

(この水は川の上流から流れてきた……逆らわず、流れに身を任せ、そして今ここまで流れてきた)

 

 茶々はすくった水を川に戻す。 そして川の流れを見ながら考える。

 

(俺はどうだ? 流れに逆らい続け……今ここまで抗った。 それは正しいのか? 流れに身を任せて、楽になればいいのではないのか? どうなんだよ俺……?)

 

 一人自問自答、その姿を見ている5人。 そして……

 

『相変わらず不器用なのだー』

 

 ()()()()。 茶々の亡霊にして妄想、ミルクだ。 だがこの日は何かが違った。

 

『(っ!?)』

 

 何故か姿も見たことのない5人の目にも映る、かつての恋人の姿が。

 

『まったく、茶々君ったら情緒不安定すぎるのだー。 もうちょっと大雑把でもいいのにー』

「……そうは言ってらんないだろ」

『どうして?』

 

 ミルクは茶々の隣に腰掛ける。 そして覗き込むように茶々の顔を見る。

 

「どうしたもこうしたも……昼のアレ、見てたんじゃないのかよ?」

『あぁ、JKと一緒に山の中でお昼寝してたこと?』

 

 ミルクの言葉にざわつく草場。

 

(ほう? いつそんなことをしていたんですか?)

(ズルいわココアちゃん!)

(てへ!)

(……後で軍法会議だな)

(覚悟しときなさい)

(ヴァェ!?)

 

 草場で修羅場な雰囲気だったが、茶々はそれに気付かないでミルクと話す。

 

「クソッタレな話だ、ココアとミルクを照らし合わせてるクソッタレの話だよ。 ……あんな目でココアの事を見たくはなかったがな……」

 

 茶々の自らに対する軽蔑。 だが隣のミルクはあっけからんとした様子だ。

 

『別にいいんじゃない?』

「……は?」

 

 今度は茶々がミルクの顔を見る。 ミルクは別に何てことない顔をしている。

 

『だってぇ〜それって茶々君があの子にちょっとトキメキを感じちゃったってことでしょー? それは別にいいんじゃない?』

 

 茶々には分からない。 何故それが肯定されるのかが。 何故自分が慰められているのかが。

 

「……嫌じゃあないのかよ」

『だって……私を未だ好きなキミも、あの子達を好きになろうとしているキミも、そんな自分に嫌気を感じているキミも、()()()()()でしょ?』

「…………!」

『だったら私はそれを肯定する。 だって茶々君が好きだから』

「ミルク……」

 

 だが茶々は記憶している。 リゼに告白されてから、昨日のココアと外に出ている時に出てくるまでの間、自分を責め続けるミルクがいた事に。

 

「でもついこの間までずっと急に現れては小言ばっか言ってたじゃん」

『それ? それは知らないなぁ……』

「なに?」

『だって私がこうやって直接話すのは昨日が初めてだよ?』

「亡霊みたいにフワッて消えたり現れたりしてたじゃんよ」

『それはきっと……すでにキミの中に答えがあったからじゃないかな?』

 

 ミルクは茶々の胸の辺りに人差し指をそっと添える。

 

『キミの中に答えがあって、でもキミはまだ答えに満足していない。 答えのさらなる裏側を探しているの』

「裏側……?」

『そ、キミが前を向くための答え。 後ろを向く答えはもう出たんだよ』

 

 ミルクという名の亡霊の正体とは、茶々が後ろを向く理由の答え。 未だに茶々が過去を吹っ切れていない理由が亡霊なのだ。

 

『それじゃあ前に進むための答えのヒント!』

 

 ミルクは立ち上がり音を立てながら茶々の前に立つ。

 

『あの空に輝く星、ポラリスって知ってる?』

 

 ミルクが指差すのは天に輝く北極星。 その澄み渡る夜空ならすぐに見つけることが出来るだろう。

 

「……北極星がどうかしたのか?」

『ポラリス! もう、茶々君はロマンチックな雰囲気を感じ取れないの?』

「えぇ……」

 

 ミルクは一つ息をつき、話を続ける。

 

『もし、空が曇っていても、雨が降っていても、朝になっても、夜が訪れても、ポラリスはずっとそこに変わらずい続けるんだ。 私もポラリスと一緒』

 

 ミルクは腰を低くし、茶々と目線の高さを合わせる。 両手を膝に置き腰を曲げ、まるで子どものように茶々に笑いかける。

 

『茶々君が嬉しい時、楽しい時、哀しい時、寂しい時、涙を流す時……誰かを愛する時、私はずっと茶々君と一緒にいるから。 あのポラリスみたいに、()()()()()()()()()()()()から。 だから私を思い出す時はすぐに思い出して、いつでも()()()()()()()から』

「…………」

 

 ミルクの言葉に、茶々は今日ココアから聞かされた言葉を思い出す。

 

『またここに帰って来れば茶々さんに会えるから……』

 

 今なら分かる気がしてきた、ミルクのヒントによって。

 

「……ようやく分かったよ、ココアの言葉の意味が」

『?』

「帰りたきゃ今すぐここで帰れる、思い出したいなら今ここで思い出せる。 だが俺はずっと自分の妄念に取り憑かれて、本来のお前を忘れていたみたいだ」

 

 かつての思い出も、その時の記憶が、自分の理が、心に残っている場所まで導いてくれる。 ココアが言っていたのはそういう事だったのだ。

 

「……ココアは理を理解していたんだな……そして俺は俺自身の手で理から遠ざかっていた」

 

 茶々は理を遠ざけ、自らが生み出した負の念に囚われ前に進む事が出来なかった。 そして前に進むはずなのに自らそれを無意識に拒んでしまっていた。

 

「……サンキュ、ミルク。 お前のヒントのおかげだ」

『ふふ、頑張れ茶々君。 一人だけとんでもない事考えているみたいだから……』

(……? ふぇ?)

 

 ミルクはほんの少し視線を茶々から逸らす。 その視線の先にいるのは覗き見をしているココアだった。 ココアは何の事だかさっぱり分からずキョトンとした顔をしている。

 

『……じゃあもう時間』

「……そっか」

『最後に茶々君』

「ん?」

 

 ミルクは右手を茶々の頬に伸ばし、そして頬を引っ張り無理やり茶々を笑わせる。

 

『笑って?』

 

 そして右手を離すと……茶々の唇に自分の唇を重ねる。

 

「……!」

『(!!?)』

 

 そしてキスをしたまま……ミルクは消えていった。 茶々の唇に残った僅かな感触、柔らかく……そして優しくて甘い味がした。 茶々はその感触を忘れぬようにする。

 

「……よし」

 

 茶々は立ち上がる。 もう茶々は前を向く理由が出来た。 それはもう忘れる事もなく、手放す事もない理由。

 

「戻って寝るとーーえ?」

 

 今日はよく眠れそうだと思っていた茶々が道を戻ろうとした時、目の前にいるのは5人のストー……う、ウサギだった。(妥協)

 

『…………』

「ファッ!? 何だお前ら!?」(シドロモドロ)

『……して』

 

 5人は茶々に詰め寄ると一斉に喚き立てる。

 

『私ともキスして!!』

「ファッ!? そんな事したら難民に怒られちゃうだろ!!」

『さっきしてた!!』

「お前らどこから見てたんだよオラァン!! 」

 

 この後、何とか2時間かけて寝かしつけた茶々は思った。 「こんな奴らを好きになろうとしているのは間違いなのでは……?」っと、若干後悔の念が来たような気がしたが気のせいにしておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あふぁ……」

「おはよう……ふあぁ……」

 

 朝、マヤとメグが目を覚ました。 そして二人はチノがテント内にいない事に気付く。 外にいるのかと思い表に出てみると……

 

「あっ!」

 

 そこには何故かチノが寝ていた。 チノだけでない、ココア、リゼ、シャロ、千夜、そしてその中心には茶々が。

 

「……何で外で寝てるんだろう?」

 

 実はあの後茶々が寝ようとした所、5人が茶々のテント内に侵入して来たので、仕方なしに外で寝る事にしたのだ。 茶々は腕を横に伸ばし、左手にはシャロと千夜が、右手にはリゼとチノが。 そして何故か茶々に跨るように寝ているココア、そして息苦しそうにしている茶々。 ……一体何の字で寝ているのだろうか?

 

「……何かさぁ、茶々の寝顔さぁ……」

「ね、何だか……」

 

 マヤとメグは気付く。 初めて見る茶々の寝顔だが、その表情は普段の糞の擬人化の様に汚くない。 まるで清廉潔白なノンケのようにシワのない穏やかな表情をしている。

 

「もう少ししたら起こそうか?」

「いや、今起こす!」

「えぇぇぇ!?」

「起きろーみんなぁ!!」

 

 二人は知らない、いや誰も知らない。 茶々がそんな顔をしているのは……ホモからノンケへと向かおうとしているからだ。

 

 

 

 

 

 人は皆ホモである。(至言)

 

 だが男だけの世界では、人はホモであることに何ら特別な事を感じない。

 

 レズなき世界では人は希望を持つ事もなく、何も考えずに生きてしまう。

 

 だが誰かを愛する時、人は初めてノンケになる。

 

 それは人を愛する『理由』をレズから教わるからだ。

 

 レズがいなければ、ホモは前に進むことが出来ない。

 

 だから自分にはない希望を持ったレズに愛を持つ。

 

 ホモからノンケになること、それを特別な言葉で人はこう呼ぶのだ、『勇気』と。(藍染)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつか遠い日、淫夢が忘れ去られる時、どうか思い出して欲しい。

 

 私達に『勇気』、『希望』、『愛』をくれた『淫夢』を。

 

 そして……ホモのこころをぴょんぴょんさせてくれた『ごちうさ』のことを……

 




終わり! 閉廷!(無理やり)

何かBLEACHみたいな締めになっちゃったけど、後悔はしていない。 久保帯人とKBTITをまだやってなかったからね、多少はね。(祝辞)

後日設定公開回を上げますので、もし質問などあればそこで答えます。 ……いや大体コメントの返信で答えているんですけどね。

取り敢えず……やったー! 早めに終わったー!

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。

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