こころがぴょんぴょんしそう……しそうじゃない?   作:ほったいもいづんな

4 / 16
今回後半にちょっと描写が変わります。 苦手な方はブラウザバック推奨です。

前半? ぴょんぴょんしてください。


いい加減話進める

 シャロは茶々の事が嫌いである。 クッソ汚い言動に汚物の擬人化に成功したような見た目、どれをとっても『生理的に無理』な存在だ。 だが茶々が嫌いな理由はそれだけではない。 茶々を嫌う一番の理由、それは心から敬愛するリゼと仲が良いからである。 シャロにとってリゼは憧れの存在、それにヘラヘラしながら側にいる茶々の事が気に入らないのである。 しかも幼少の頃のリゼを知っているのだ、羨ましくて仕方がないのであろう。

 

 シャロは茶々を嫌っている、だがリゼの事を自分よりも理解している。 そんな茶々を羨ましいと思う反面、茶々の事を信頼している。 自分が気付かない微細なリゼの変化を茶々ならば気付くことが出来る、いざという時に真っ先に信用出来るのは茶々なのだと心では理解している。 だがシャロは茶々が嫌いだ。

 

「だってあいつはリゼ先輩と仲が良いから」

 

 茶々のことは好きじゃないし大嫌いである。 でもお互いリゼを大切に思っていることは理解している。 友と呼べない、ライバルとも言えない、奇妙な関係が茶々とシャロの間にはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっはー!!」(卒業祝辞)

 

 今日も汚い声が木組みの街に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝からおかしかったのはココアだった。 いや、ココアはいつもおかしいが。

 

「何やってんだあいつら……」

 

 よく分からんがココアがチマメ隊を自分の部屋に入れて怪しげな話し合いをしている。 それを俺とリゼとモカ姉貴が見ている。

 

「ココアが……何やら危ないことを……。 これが姉離れ……っ!」

「いや、誰かの真似して遊んでるだけだろ」(原因)

「お、そうだな」(原因その2)

 

 いやリゼの所為だってそれ一番言われてるから。 悔い改めて。 ちな、さっきモカ姉貴が部屋に入ろうとしたら、『やめろォ!(建前) ナイスゥ!(意味不明)』と言って部屋に入れさせなかった。 いやぁ〜一体誰に似たんだぁ〜??

 

「お姉ちゃん……悲しい……哀しい……」

 

 どうやら本気で凹んでるみたいだ。 ……しょうがねぇなぁ。(救いの手)

 

「モカ姉貴、どうすっか? 俺たちがこの街案内しますよ?」

「……そうだな、まだこの街をよく知らないんだろ? 案内してやる」

「二人とも……ありがとう!」

 

 モカ姉貴の笑顔で……Ah^~ My heart will be hopping^~

 

 

 

「あっちが〜……で、あそこが〜……」

 

 リゼがモカ姉貴に色んな店を教えている。 よく考えたら俺もこの街よく知らなかったわ。 ……にしても今のリゼは何だか頼りになる。 お兄さんうれしい……うれしい……

 

「ふふ、ありがとうねリゼちゃん」

「な、何だよ急に……礼には及ばん!」

 

 いつも思うけどリゼってあれだよな、お礼を言われるのに慣れてない系女子だよな。 ……大体俺が甘やかした所為だってそれ親父さんにも言われたから。(懺悔)

 

「お礼に……もふもふしてあげる!」

「ファッ!? やめてくれよ……」

 

 あ、何かジリジリと距離を詰め始めるモカ姉貴。 同じようにジリジリと距離を離そうとするリゼ。 ……これがデジャビュかな?

 

「やだ! 小生やだ!」

「今度も逃がさないわよぉ〜」

「やだやめてもふもふしないでもふもふしないでよ!」

 

 などとのたうちまわるヒデ……リゼだったが、健闘空しくモカ姉貴にもふもふされてしまう。

 

「つっかまえた♪」

「あ゙あ゙あ゙も゙お゙お゙お゙や゙だあ゙あ゙あ゙ああ゛」(断末魔)

「私はねぇ、リゼちゃんみたいな可愛いねぇ、子をもふもふするのが大好きなんだよ」(ガンギマリ)

「こいつら街中でうるせぇな……」(傍観者)

 

 ほら、さっさとしなさい。(カッチャマ)

 

 

 

 

 

 

 何か甘兎庵にシャロもいるらしいんで甘兎庵に行くことにしました、まる。

 

「いらっしゃいませ〜……あ、茶々さん、リゼちゃん、モカさん!」

「リゼ先輩!? どうしたんですか!?」

「あぁ……本物の姉には勝てなかったよ……」

 

 そういって力尽きるリゼ。 ……可哀想に。

 

「リゼ先輩ぃ! ……(無言のシャッター)」

 

 あ、おい待てい。 何レイプ目のリゼ撮ってんだ。 俺にも回してくれよぁ頼むよぉ〜

 

「リゼ先輩がこんなんになるなんて……」

「逃げる子を見ると余計追いかけたくなっちゃうのよねぇ」(原因)

「分かります分かります」(便乗)

「意気投合するな!」

 

 もうさ、ツッコミは全部シャロに任せればいいんじゃない? 俺はキャピキャピしたボケをツッコムのは厳しい。

 

「つーかシャロォ、お前今日はバイトどうしたんだよ? あれだ、あの……フ、フ、フルール・ド・シュヴァリエ?(シンクロモンスター」(デュエル脳)

「誰がレベル8の戦士族シンクロよ……今日は休みよ」

「じゃあ明日は?」

「神社閉店の……って何言わせるのよ!!」

 

 ノリツッコミも出来るシャロはゲイ人の鏡。

 

「千夜のその格好なかなかハイカラね!」

「分かりますかぁ?」

 

 向こうは向こうでまた意気投合してるし。

 

「シャロちゃんの所の制服も可愛いんですよ? 兎さんみたいで」

「本当? 着てみたいわぁ〜」

「えっ!?」

 

 フルール・シンクロンの制服を着たモカ姉貴? ……そりゃアンミラの制服みたいな乳袋と化すんだろ? やだねぇ男子ったら。

 

「やめて下さいよ! マズイですよ!」

「えぇ何で?」

「……あ、そうか。 シャロのサイズじゃあ胸がはち切れるか」

「死ねぇ! この世の歪みぃ!」(鞭打)

「パキケファロ!?」

「あ、アレは鞭打!? 鞭のように体をしならせ皮膚にダメージを与える特殊な打撃!」(一般解説リゼ)

 

 何故だぁ……俺は事実を言っただけだぁ……

 

「黙れ! この! オッパイ星人!」

「ホモだってオッパイ飲んで育ったんだから(オッパイ星人なのは)当たり前なんだよぁ……」

「オッパイ星人って何だ……」

「えっとね……」

「説明しないで下さい!! リゼ先輩に余計なこと吹き込まないで!」

 

 そもそもオッパイ星人って男に共通して言えることなんだよぁ。

 

「……茶々さんは大きい方が好きなんですか?」

「え、それは……」

「千夜も変なこと言うんじゃない! あぁもうツッコミ疲れた!! 私帰りたい!!」

 

 じゃあギャラ貰って帰るから。

 

 

 

 

 

 

「所でお前ら……昨日ピクニックに行ってたろ」

「そうだ。 パン食べたり……何かよく分からんがボートを漕いでたな」

「ああ〜いいっすね〜」

「でも用事だったんですよね?」

「そうだよ。(肯定) だって明日にはモカ姉貴帰っちゃうんでしょ? 俺もなぁもっと遊びたかったなぁ」

「小学生かお前は……」

 

 何か昨日パン作りすぎたからピクニックに行ったらしいっすよ?(他人事) その後何かボートでレースしたとか……。 俺? 俺は野暮用よ。

 

「でもそっか……明日には帰っちゃうんですよね?」

「ええ。 妹に避けられていたのが心残りだけど……」

「そうか……」

「まあでもみんなをもふもふ出来たから満足かな!」

「わぁーお、私の心配がたった2秒で吹き飛んだぞ」

 

 え、てかみんなってシャロも千夜ももふもふされたのか。

 

「たったの2日で陥落させるとは……もしかして対魔忍シリーズ出身か何か?」

「あれ? だが茶々のやつは……まだもふもふされてないよなぁ?」(暗黒微笑)

「ファッ!?」

 

 おい待てリゼ、れれれ冷静になれ!(素)

 

「あぁ確かに茶々さんはもふもふしてなかったね〜」

「ええぞええぞ!」(レ)

「おいシャロ、申し訳ないがレスリングはNG!」

 

 クッソこのレズ校生達、人の嫌がる事でテンションが上がってやがる!

 

「男の人はどんなもふもふなのかなぁ……♪」(漆黒の意志)

「だ、ダメです!!」

 

 お、いいぞ! 言ってやれ千夜!(他力本願)

 

「茶々さんをもふもふしていいのは私です!」

「……は?」

「あらぁ〜? そうなの?」

「そうです! もふもふはもちろん頰ずりとか大好ゅきホールドとか『ピー』とか『ピー』とか!」

 

 え、そんなの許可してないんですけど……(ドン引き) ……痛い! 何だよレズ校生!

 

「人間の屑がこのやろう……」

「さぁ、汚物の解体ショーの始まりよ……」

「やめてくれよ……」

 

 リゼもシャロも今にも人をタヒらせることが出来るくらいの殺気を放っている。 ……やめてくれよ。(命乞い)

 

「ふふ、でもこの私のもふもふしたい欲求は一度でも発生したらモフるまで収まらない!」

「(胸が)ダイナマイッ!!」

「なっ!?」

 

 リゼとシャロの方に向いてたら後ろからモカ姉貴にもふられてしまう。

 

「おお〜以外ともふり心地がいい!」

「にゃあ〜女になっちゃう!」(課長)

「むむむむ……」

 

 オォン! アオォン!(悲鳴) リゼがレイプ目になる訳が分かる! これはダメだ、ココアのもふりとは格が違う。 これが本家本元のもふもふ……ッ!!

 

「茶々さん!」

「千夜…………ん? 千夜!? 何してんすか!?」

 

 何故か千夜が俺の真正面から抱きついてきた。 ……あぁん、どういうことなの?

 

「あらら〜?」

「負けません!」

 

 いつから勝負してんの? 一体何で競い合っているの? お兄さんちょっと頭が追いつかないんだけど……

 

「……先輩、こういう時は真っ先に110番でよかったんですよね?」

「救急車も呼んでくれ……今から死体が出来上がるから」

「やめちくり〜!」

 

 誰か……ライダー助けて!!

 

 

 

 

 

「…………」

『…………』

 

 …………

 

「ウェルカムカモーン」

『……誰だ……!?』

 

 ウサギ……ウサギのキグルミなのか? ちょっと趣味悪いゾ。

 

「パーティの始まりだぁ!」

「ドンドンパフバフ〜」

「わ、わー……」

 

 キグルミの後ろからチマメ隊が出てきて勢いよくクラッカーを鳴らす。 ……説明しろハラルド!(?) まるで意味が分からんぞ!

 

「えっとね、何かお姉ちゃんが元気なさそうだったからサプライズで元気出してもらおうと思ったんだ」

 

 そう言ったのはキグルミの頭の部分を外したココアだった。 やっぱり趣味悪いのはココアだったからか。

 

「……原因はあなたよ!!」

「ヴァェ!?」

『(こいつら仲いいな……)』

 

 

 

 

 何かぁ、モカ姉貴がぁ、元気なさそうに見えたからぁ、ココア(原因)が元気付けようと色々用意したらしいっすよ?(他人事)

 

「千夜も知っていたのか」

「えぇ、だからほら、他にお客さんいないでしょ?」

「たしかし……」

 

 言われてみれば通報されなかったな。 セーフ。

 

「もう! あなたが素っ気ないからお姉ちゃん悲しかったわぁ」

「え、そういう理由だったの!?」

「昔はよくお姉ちゃんお姉ちゃんって……」

「あ! 小っちゃい頃の話はやめてー!」

 

 姉妹仲良く談笑してる。 美しき姉妹愛ってやつだな!

 

「ケンカですか……?」

 

 チノがよく分からん感想を言う。

 

「ん〜違うと思うよ?」

「ウチも兄貴といつもあんな感じだ。 兄妹とか姉妹とかみんな一緒だ」

「そうなんですか……」

 

 メグとマヤの話を受けてチノは何だか羨ましそうな顔をしてる。 一人っ子だったし、多少はね?

 

「チノにはココアいるじゃん」

「茶々さんだって」

「いや、百歩譲ってココアさんはいいですけど、何歩譲ったって茶々はあり得ません」(冷酷)

「そんな恥ずかしがるなよチノォ〜」

「キモいです汚いです臭います離れてください頭に手を置かないでください」(聖なるバリア ーミラー・フォース)

「辛辣すギィ!!」

 

 そんなマシンガントークで否定しなくたっていいだルルオォ!?

 

「さぁ、お姉ちゃんに合わせたい人がいます!」

「合わせたい人……? 誰かしら」

 

 ココアがどうぞと言いながら一人の人を引っ張ってくる。 ……あ、ブルマ先生(失礼)だ!!

 

「青山ブルーマウンテンさんです!」

「あ、あなたは……! 本当に本物……!」

「どうも〜」

 

 青ブルマ姉貴は何か照れ臭そうに現れる。 そう言えば青ブルマ姉貴の本が好きだってモカ姉貴言ってたっけ?

 

「あ、握手してもらっていいですか!!」

「もちろんです。 あ、サインもつけましょうか?」

「本当ですかぁ!? えっと……じゃあ……」

 

 モカ姉貴が服をパンパン叩きながら何かないか探している。 そして勢いよく何かを取り出す。

 

麺棒(コレ)に書いてもらってもいいですか!」

「一体どこに持っていたんですか……?」

「失敗してしまいました。 テヘペロです」

「字ぃ書くの下手か!!」

 

 小学生がよくやりそうな最初の方がデカくて後ろになっていくにつれて小さくなる現象が麺棒に起きている。 サイン下手か。 あ、リゼとツッコミ被った。

 

「ココアの友達は色んな層がいるのね」

「うん! みんな大切な友達だよ!」

 

 今日一番の笑顔をモカ姉貴に向けるココア。 モカ姉貴は嬉しそうに眼を細める。 その様子は本当に嬉しそうに思える。

 

 

 

 

 

「……ここに茶々がいなければ完璧だったのに」

「おいシャロォ! いい話だっただルルオォ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何やかんや騒いであっという間に夜になった。 また千夜に拘束されそうになったがシャロのお陰で助かった。 ありがとナス!

 

 そして……

 

「ココアさんくっつき過ぎです、暑苦しいです」

「ええ〜いいじゃん折角一緒に寝てるんだしぃ〜」

「折角って何ですか……。 あとモカさんも触りすぎです」

「ええ〜いいじゃん折角なんだしぃ〜」

「……助けてください茶々さん」

「何でそんなことしないといけないんですか?」(正論)

「はぁ……」

 

 何でこんな会話が起こっているのか? それは単純明解。 みんなで寝てる(?)からだ。 左から俺、モカ姉貴、チノ、ココアの順に寝てる。 川……いや心の字の形? になっている。 ……どうしてこうなった。 最初に一緒に寝ようって言ったのは……そう、ココアだ。(ルシフェル) それからチノも一緒にと言って……最終的に俺も巻き込まれた。 ……抜けたい。

 

「逃がしませんよぉ♪」(黄金の左手)

「ほ、ほ、ほああぁぁぁ!!」(鷲掴み)

「え゛、モカさんどこ掴んでるんですか」

「どこって……胸よ?」

「女になっちゃう! 女になっちゃう!」(霞鳥クラウソラス)

「……うるさいです」

「みんなで寝ると楽しいね」

「どうしたらそんな感想が出てくるんですか……」(困惑)

 

 はぁ! ようやく解放された……チカレタ……。 もう寝ようぜ? こんなに疲れたのリゼと24時間耐久鬼ごっこ以来だ。

 

「チノちゃんが暖かいからすぐ寝れるよ」

「茶々さんも暖かいわよ?」

「本当ぉ?」

「あ、おいバカやめろ、ニャメロン!」

 

 ココアが俺のマウントポジションを取る。 重くはないけど軽くもないよ。(体重)

 

「あ、本当だぁ」

「いや苦しいんですけど、めっちゃ寝づらいギャランティ何ですけど!」

「諦めてください。 茶々さんに矛先が向くことで必然的に私が寝やすくなるのです」(便乗犯)

「ファッ!? チノ、やめて下さいよ!」

 

 チノが反対方向に移動して俺にひしっと抱きつく。 両手を抑えられココアに覆いかぶさられる。

 

「離せこら、流行らせコラ!」

「三人に勝てるわけないです!」

「バカやろうお前俺は勝つぞお前!」(不動の精神)

「逃がさな〜い♪」(鷲掴み)

「逃がさないですよ!」(見よう見まね鷲掴み)

「お姉さん許して! (乳首取れ)ちゃ〜う!!」(課長)

 

 そうして、俺は朝まで身動きどころか寝返りも出来ずに朝を迎える。 羨ましいと思ったやつ、やめた方がいい。 結構キツイ……

 

 

 

 

 翌日、モカ姉貴の帰りを見送ることに。 店もあるので店先での見送りになった。

 

「もう! たまにはココアが帰りなさいよ」

「えぇ〜チノちゃんに会えなくなるからやだぁ寂しいぃ〜」

「小学生ですか……」

「だって私お姉ちゃんだよ!?」

「違います」(一刀両断)

「チノちゃんを一人には出来ないよ!」

「ココア……」

 

 よう言うたココア、それでこそ姉や!

 

「ココアはちゃんとお姉ちゃん出来てるのね」

「あれで俺より長いからねプロテインだね」

「……いよいよこれをココアに託す時が来たみたいね」

 

 そう言って取り出したるは青ブルマ姉貴のサイン(失敗)が書かれた麺棒。

 

「受け取ってココア」

『それを渡しちゃうの!?』

 

 やんやあって麺棒はまた別の機会となった。 ……当たり前なんだよなぁ。

 

「茶々さんもありがとうございました」

「礼には及ばん」(殿下)

「今度うちに遊びに来てください。 たっぷりサービスしますよ♪」

 

 サービスって何だよ。 パン屋のサービスってどんなんだよ。

 

「……ま、今度行くからはいよろしくぅ!」

「待ってますね」

 

 ……近いうちに『アレ』もあるしな。

 

「それじゃあまたね〜」

 

 手を振りながら去るモカ姉貴。 俺たちも大きく手を振った。 店に戻るとモカ姉貴が作ったラテアートがあり、その出来はココアの物より遥かに上手で上品だった。 去っていきながらチノ()の心を奪うモカ姉貴だった。

 

 

 

 

 

 

 それから数日後のラビットハウス。 そこにはいつもの面々が揃っていた。 ココア、チノ、リゼ、シャロ、千夜。 そう『いつもの五人組』である。 だが足りない、あと一人、最近加わった一人がいない。

 

 そう、茶々がいないのだ。 別に事故があったり事件があった訳ではない。 ただ単純に茶々が朝早くからどこかへ出かけていったのだ。 その行く先を誰も知らない。 一体何の用事なのか? この間言っていた野暮用と関係があるのか? そう考えているとリゼがふと思い出したように言う。

 

「そう言えば……あいつ、年に一度必ず外せない用事があるって言っていたことがあったな」

 

 それはまだリゼが高校に入りたての頃、いつもの様に遊びに来ていた茶々と色んな話をしたりしていた時だった。 リゼは茶々に泊まっていけと提案した。 リゼからして見れば自分の趣味を共有できるのは茶々くらいなものだから、長い時間一緒にいたかったのだろう。 だが茶々はこれを断る。 何故と問えば、明日は野暮用があるから、と答え準備するためにその日は帰って行った。 それはちょうど今の時期の話であった。

 

「その時に聞いたんだ。 今まで気にも止めたことはなかったが……今日何かあるのか?」

 

 ますます深まる謎、話を聞いていると今日だけでなく何年か前からのようだ。 五人が頭を悩ませていると店から出てきたタカヒロが皆に言う。

 

「今日、茶々君がどこに行ったか……気になるかい?」

『はい!』

 

 口を揃えて返事をする五人。 茶々のことが嫌いなシャロでさえ即座に反応する。 その様子を見てタカヒロは何を感じたのか、茶々の行く先を教える。

 

「茶々君はココに行ったはずだ」

 

 そう言って住所が書かれた紙を見せる。 それはここではない別の場所の住所であった。 誰も知らない地、もしや誰も知らない茶々の秘密があるのでは? そう思わずにはいられない。

 

「ここに何があるんですか?」

 

 至極真っ当な質問、それにタカヒロはボカしながら答える。

 

「……行けば分かるさ」

 

 その雰囲気から察するに、そんなに心躍るようなモノはないことが察せられる。 なら考えてもしかたない、行くしかない。 五人の考えがまとまる。

 

 そうして五人は茶々の後を追う。 ラビットハウスに残されたのはタカヒロとティッピーだけだ。 残されたティッピーがタカヒロに質問をする。

 

「一体そこには『ナニが』あるんじゃ?」

「……実際には見たことはないが、彼から聞いたことはある」

 

 タカヒロは目を細め、茶々の姿を思いながらティッピーに教える。

 

「そこにはーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 茶々は一人歩いていた。 山だろうか、いや誰かの私有地なのかもしれない。 広大な土地で緑が生い茂る中をひたすらに歩く。 そうして進んで行くと開けた場所にたどり着く。

 

「……ここも変わらないな」

 

 誰かが手入れでもしているのかと思うくらいに整えられた地、そして崖の側にある『ソレ』を目指す。

 

「……よぅ、1年ぶりだ」

 

『ソレ』ーー『墓石』に挨拶する茶々のようすはいつものホモ臭い雰囲気とは違う、まるで爽やかな好青年のような印象を与える。

 

「あ、これ土産のパン。 一緒に居候している女の子の実家がパン屋なんだ。 美味しいぞ」

 

 ココアの実家のパン屋から買ってきたであろうパンの袋を墓前に置く。 その隣には炭酸水が置かれる。 茶々の趣味ではない、きっと『この下にいる人物』の趣味だろう。

 

「お前、好きだったろ? 炭酸水。 いつもアホみたいにガバガバ飲んでたもんな」

 

 ペットボトルの炭酸水なのでキャップを開ける。 すると溜まっていた炭酸が勢いよく飛び出す。 そして墓石に炭酸水をかける。

 

「最近暑くなってきたからな、たっぷり飲めよ」

 

 ペットボトルが空になるまで墓にかける。 その墓に刻まれている文字、恐らくは眠っている人物の名前だろう。

 

 そこにはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこには彼の『恋人(・・)だった女性』の墓石があるそうだ」

「……マジか」

「大マジだ」

 

 タカヒロの言葉に驚くティッピー。 それもそのはず、よもやあの汚い汚物の擬人化に恋人が、しかも女性だとはエイプリルフールでも信じてもらえないからだ。

 

「名前はなんと?」

「名前は確か……ーー」

 

 

 

 

 

 

 

茶温 美流玖(ちゃおん みるく)

 

 そう墓石に刻まれている。

 

 ミルクと茶々、その関係とは? それは今から十余年遡る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 茶々は元々日本人ではない。 どこかの国で、しかも紛争地域で産まれた。 本来の名前は本人は知らない。 知る前に両親が死んだからだ。 理由は知らない、動く大人がいた、それだけだろう。 まだ赤子だった茶々はいきなり天涯孤独の身となった。 赤子だった彼を拾ったのは見知らぬ男性、きっと正義感に溢れた男性だったのだろう。 泣き叫ぶ茶々を拾い、茶々の成長を助けた。

 

 だがその男も死んだ。

 

 殺したのは小さな武装集団。 武装集団と言ってもギャングやマフィアなどの類いではない。 チンピラのような集団だった。 男は殺された、当時6歳まで成長していた茶々を待っていたのは……辛い拷問のような日々だった。

 

 朝から晩まで召使いのように働かされ、夜は男達の慰み者にされる。 もちろん抵抗したり拒否したりすれば暴力を振るわれる。 半年も経てば全身の至る所にアザが出来、性欲の捌け口にされるのも慣れていた。

 

 そんな茶々を助けたのはタカヒロとリゼの父親だった。 たまたま手を組んで動いていた二人はチンピラ集団を瞬く間に始末し、茶々の保護に成功した。 この時の茶々は7歳であった。

 

 地獄の1年を生きた茶々に生まれた弊害、それは男でありながら『男性恐怖症』に陥っていた。 もちろん助けてくれた二人には感謝している。 特に、自分に名前をくれたタカヒロには恩義を感じている。 二人だけでなくタカヒロ達の仲間の助けもあり、茶々は日常生活に支障がでない程度には克服できた。 しかしそれでも肌が触れたり裸を見たりするのはNGであった。 茶々が日本に来たのは9歳の頃であった。 タカヒロやリゼの父親に家に誘われたが、教えてもらった知識と技術で茶々は一人で生きていくには不自由しなかったので誘いを断った。

 

 そうして一人旅に出た茶々は人混みの中から外れ、豊かな農村地を訪れた。 そしてそこで出会った……一人の少女に。

 

「あなた……中々いい体してるのだ。 何かスポーツでもやってたのか?」(事情聴取)

「え、あ、……え?」

「そこは「アメフトぉ……」って言うところなのだ!」

「えぇ……」(困惑)

 

 この少女、茶温 美瑠玖が茶々の全てを変える。

 




最後のキャラ、ミルクティーのミルクです。 そして綺麗な茶々。 本当にこれはごちうさなのか……?

次回に最終回……?

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。