ハリー・ポッターと二人の『闇の帝王』   作:ドラ夫

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12 蛇の王と最強の竜と時々凡人達02

【ホグワーツ】

 

「しかし、我が主人は世話焼きというか何というか…」

 

「あいつ私達が本来人間と敵対してる種族な事忘れてるんじゃないの?」

 

「無いとは言えんな…」

 

「全く、『他校の生徒に混じって学校生活を楽しんでこい』なんて、ほんっっっと、アホよねえ、まったく、しょうがない奴だわ」

 

「・・・ニヤけておるぞ、クロ。大方あの日の事でも思出しているのだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【過去回想】

「僕は今からホグワーツをしばらく離れる」

 

「なんでよ?」

 

「『主人を選ばぬ杖』の取引さ。悪いけど君達は連れて行けない。正体がバレたら宣戦布告してるのと変わらないからね」

 

「良いのか、我が主人よ。あいつらはいつ襲ってくるか解らぬぞ」

 

「これでも交渉は得意な方なんだよ、きっと大丈夫さ。さて、僕がいない間なんだけど、君達には人間としての仕草を学んで欲しいんだ」

 

「どうやってよ。まさか教師でも呼ぶの?」

 

「いや、今この学校は3つの魔法学校が集まったばかりだ。だから見ず知らずの生徒が2人位混じってても気がつかれないさ」

 

「はあぁ!生徒として紛れ込めって事?」

 

「その通りだ!君達も学生気分を味わうといい。もし気に入ったらそのまま入学してもいいよ」

 

「我が主人よ、私達が貴方の側から離れる事はあり得ない。よって入学する事はない」

 

「おっと、これは嬉しい反撃だね。そうだとしてもホグワーツの立地を実際に見てもらいたいし、悪いけどこれは決定事項だ。それに、もし入学させたとしても僕が君達2人を手放すなんてあり得ないよ」

 

「な、何言ってるのよあんた!」

 

「本当のことさ、少なくとも君達が僕を嫌わない限り、ね」

 

「ふん!私もしょうがないから一緒に居てあげるわ。普通ドラゴンと一緒に居るなんて不可能なんだから、感謝しなさいよ」

 

「何言ってるんだい?僕はいつだって君達といれることに感謝してるさ」

 

「な、ななな、何をいっひぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【現在】

「思い出してないわよ!しかしヨルってダームストラングの制服似合うわねえ。普段は分かんない筋肉が半端なく目立ってるわ」

 

「蛇は骨でなくほぼ筋肉で動くのでな、日々筋肉を鍛えているようなものなのだ。クロこそ、ボーバトンの制服、似合って居るぞ」

 

「そう?ありがと。でもちょっと胸のところがキツイわ、これ」

 

ドンッ!

 

「あら、ごめんなさい。立てるかしら?…ちょっと貴方、聞いてる?・・・ヨル、貴方この人間を石化させてないわよね?」

 

「・・・しえ・・さい」

 

「は?」

 

「名前を教えてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ!

 

 痛ッ!角を曲がったら人とぶつかっちゃったよ、こんな力で押してくるなんて、どんなゴリラだ?全く顔を・・・見て・・

 

 果たして、そこに居たのは銀髪の美女

 

 目は暗赤色であり、その活発そうな性格とは裏腹に、所謂『ハイライトが行方不明』という目をしていた。そして長く、薄い銀のまつ毛も合わさり幻想的な印象を与える。

 そして身長は高く、また生地が厚いボーバトンの制服の上からでもハッキリ身体つきがわかるほど肉欲的な身体つきをしていた。

 肌は病的なまでに白く、1度も外に出てないのではないかと思うほどだ(実際、普段は皮膚が鱗で覆われているため本当に今まで日焼けしたことがないのだ)。

 しかし、何より目を惹くのは膝まで届きそうな銀髪だ。全ての髪が常に濡れほそばっているかのように輝いている。

 神秘的な赤い眼と銀の髪、白い肌が相まって儚げな印象を受ける。尤も、本人の性格は全く儚げとは言えないのだが……

 

「あら、ごめんなさい。立てるかしら?……ちょっと貴方、聞いてる?・・・ヨル、貴方この人間を石化させてないわよね?」

 

 こんな美しい人見た事がない、まるで人間じゃないみたいだ。ボーバトンと制服の青色は彼女の銀髪が映えるように作られたに違いないや。

 

 今、この娘に声をかけなかったら絶対に後悔する!

 

「・・・しえ・・さい」

 

「は?」

 

 ダメだ、緊張で声がうまく出ない

 

「名前を教えてください!」

 

「嫌よ。それじゃあ行きましょう、ヨル」

 

 ヨル?誰だ?そう思って隣を見てみると細身ながらも筋肉質、そして知的さを感じさせる男がいた。

 

 髪は黒と赤が混じった不思議なメッシュの様な色をオールバックにしていた。

 そして、少し厚すぎるくらいの眼鏡と、黒目の周りが黄色い眼が非常によく似合っていた。

 身体つきはシャキッとしたスポーツマンといった印象だが、纏う雰囲気は非常に落ち着いていて、深い叡智を感じさせた。まるで学生であるのにも関わらず、何百年も生きてきているかのようだ

 

「お前はこの娘と付き合ってるのか!?」

 

「恋仲という意味か?私とクロ、あー、この娘は兄妹の様なものだ」

 

「ちょっとヨル!さりげなく私の名前は言うんじゃないわよ」

 

「クロって言うのか!僕はロン!ロン・ウィーズリーだ」

 

「だからどうでもいいって……ちょっと待ちなさい、ウィーズリー?へえ、貴方あのウィーズリーなの、そう。いいわ、少しお話ししましょうか」

 

「君も新聞でウィーズリー家を知ったの?でも残念、僕は他の兄妹と違って優秀じゃあ──」

 

「そんな事はどうでいいわよ」

 

「え?」

 

「別に貴方の他の家族が優秀かどうかなんてどうでも良いわ」

 

「クロは僕が他の家族に劣っていても気にしないの?」

 

「なんで私が貴方の家族を気にしなきゃならないのよ」

 

「おったまげえ!そいつは嬉しいや!」

 

 ロンが歓喜する中、急に態度を変えたクロにヨルが『開心術』で話し掛けた。

 

『おいクロ、お前何をする気だ?』

 

『ウィーズリーって言ったらあいつが大事にしてるあの女の親族でしょ?こいつからあの女の事聞き出してやるわ!』

 

『我が主人にバレて怒られても知らんぞ』

 

『うぐっ!バ、バレなきゃいいのよ!バレなきゃ!』

 

『はぁ……私は止めたからな』

 

 クロは夜との会話を切り上げると、早速ロンに話し掛けた。

 

「あら、貴方の周りは家族の事ばかり話す人しか居ないのかしら?」

 

「本当に周りにいる人達は気にしないんだけど、ちょっとした知り合いの奴らは妹の話ばっかりするんだ。でも、いつか僕の事を見直させてやるけどね」

 

「そう、頑張ってね、応援してるわ。貴方の目標とする妹さんはそんなに凄いの?」

 

「ありがとう!クロって本当に良いやつだね!僕に寄ってくる妹目当ての人間に爪を煎じて飲ませてやりたいよ」

 

「私の爪を煎じるには特別な器具が必要よ。そんなに妹によってくる人間が居るのね、妹は八方美人なのかしら?」

 

「爪を煎じるのに、特別な器具が必要だって!?君ってばジョークの才能もあるんだね!よかったらこの後お茶でもどうだい?ジョークなら僕も自信あるんだ」

 

「・・・貴方、人の話を聞く気ある?」

 

「もちロン!君の声はずっと聞いてたいよ!」

 

「はあ……ヨル、行きましょう。全く、人間の基準があいつになっててダメね、他がゴミに見えるわ」

 

「我が主人は特殊だからな、他の人間に当てはめるのは少し酷だぞ。それではさらばだ、赤毛の少年」

 

「あ、ちょっと待って!」

 

 追いかけようしたらクロから『武装解除』が飛んできて僕の杖を吹き飛ばした

 

「私、弱い人に興味ないの」

 

 クロはスルスルと他の人を抜けていって、やがて姿が見えなくなってしまった……

 

 あんなに綺麗で僕の家族の事を気にしない上に、ジョークにも付き合ってくれたんだ!多分向こうも僕の事はそこまで嫌ってないはず!すぐにまた会えると良いなぁ。

 クロに気に入られる為にももっと強くならなきゃ!

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

「あいつなんなのかしら?人間ってあんなに他人の話を聞かないもんなの?」

 

「全てがああな訳ではない。それに普段はあの少年はもう少し会話が出来ると思うぞ」

 

「なにそれ?私達を怖がってたってこと?」

 

「いや、そうではなくてだな。つまりあのしょうねーーー」

 

ドンッ! ドサドサドサ!!

 

「ああ、すまない。本が落ちてしまったな。『ブックアービス 本よ動け』それと、埃を『スコージファイ 清めよ』よし、これで良いな。邪魔したな」

 

「ち、ちょっと待って!今の『ブックアービス 本よ動け』って見たことない呪文ね!?貴方何年生?」

 

「私か?四年生だ」

 

「私とおなじじゃない!?」

 

「そうなのか?まあ、これから同じ教室になったらよろしく頼む。それでは」

 

「待って!貴方のその制服ダームストラングよね?ダームストラングの教科書とそれにボーバトンの教科書は全部読んだの。でも『ブックアービス 本よ動け』なんて呪文は1つも載っていなかったわ!他にも私、結構たくさんの本を読んでいるんだけどそんな呪文は載ってなかったの。つまりそれは、貴方のオリジナル呪文ってことよね?」

 

「この呪文は私ではなく、私に魔法を教えてくれた人が開発したものだ。なんでも自分の移動に便利なそうだ」

 

「その人も相当な読書家って事ね。確かに私も本が多くて苦労するもの。でもわざわざ新しい呪文を開発するなんて、面白い人ね。だってそうでしょう?本来なら『ウィンガーティアム・レビオーサ 浮遊せよ』を使えば一応は本を持たずに済むわ。でも常に杖を向けてなきゃいけないし、本が重ければ重いほど疲れるもの。でもその呪文があれば勝手に本が動いてくれるんですもの、便利よね。その為だけにオリジナル呪文を開発するなんて凄い魔法使いなのね。その呪文、よければ教えてくれないかしら?それから貴方に魔法を教えた人ってダームストラングの先生?その人の授業って私でも受けれるのかしら?」

 

「落ち着け、そう一気に捲し立てるな」

 

「あら、ごめんなさい。癖なの」

 

「うむ、まず言っておくがこの呪文を教える事も、私に呪文を教えた人も紹介する事は出来ぬ」

 

「貴方も三大魔法学校対抗試合を気にしてるの?いい、この大会の目的はお互いを高め合うとなの。それなのに──」

 

「待て、私が拒否した理由はそういった訳ではない。その理由は・・・我がある……いや、その魔法を教えてくれた人は、その……非常にシャイ!そう、シャイなのだ!それこそ、私と目を合わせられないほどに」

 

「そうなの?それは残念ね。そうだわ!貴方が私に呪文を教えてくれればいいじゃない!その代わりに私も何かあれば何でも言ってちょうだい!」

 

「ま、また次に会うことがあればな。さ、行くぞクロ」

 

「やっと終わった?」

 

「待って!貴方、名前は?」

 

「ヨルだ。それではな」

 

「私はハーマイオニーよ!ハーマイオニー・グレンジャーって言うの。また会いましょうね!」

 

 

    ◇◇◇◇◇

 

 

「聞いてくれよハリー、ハーマイオニー!今日僕ったら運命の出会いをしちまったんだ!」

 

「また新しい箒でもでたの?ロン」

 

「箒?そんなの掃除用具入れにでも突っ込んでおけよ!僕が出会ったのは女の人さ!クロって言うんだ。凄え綺麗なんだぜ!」

 

「こないだはフラーが可愛いとか言ってなかった?」

 

「フラーより綺麗なんだよ!それに少し話してみたけどボーバトンなのに全然お高くとまってないし、僕の事を個人として見てくれるんだ」

 

「よくそんな人と話せたわね」

 

「偶々廊下の角でぶつかったんだ!これって運命だと思わない?」

 

「廊下の角といえば、私も今日学校の角でぶつかったのよ!ダームストラングの生徒だったんだけど凄い魔法使いだったわ。三大魔法学校対抗試合はきっとあの人、たしか名前はヨルって言ったかしら。それとビクトール・クラムでしょうね」

 

「おいハーマイオニー、僕の話に割り込んでくるなよ、今はクロの話をしてるんだ。でも、きっとボーバトンの代表もクロに違いないや。目にも止まらぬ速さで『武装解除』を、しかも無言呪文で唱えたんだ!あの速度はハーマイオニーよりも速かったよ」

 

「そう、ということは貴方よりもずっと早いって事ね」

 

「なっ!?これから僕も強くなるんだよ!ハリー、行こう。今から特訓だ」

 

「はあ、わかったよロン。じゃあねハーマイオニー」

 

「ええ、また」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

【???】

「やあ、元気かい?」

 

「ほう、人間の癖に『ゴブリディグック語』を話せるのですかな?」

 

「まあね、今日はお願いがあってきたんだ。貴方の言語で話すのは礼儀だと思ってね」

 

「それは結構。それで何ようですかな?」

 

「君たちの特別な銀の加工方法を教えて欲しい」

 

「それは不可能です。お引取りを!」

 

「まあまあ、待ってよ。代わりにこっちもそれに見合う報酬を用意したよ。魔法使いの杖、欲しくない?」

 

「杖ですと?しかしあれは魔法省が他の生物に行かないように厳重な管理をしている筈では」

 

「それは正式に作られたやつだけだよ。僕が作ったこの『主人を選ばぬ杖』は非公式だし、魔法使いだろうと、小鬼だろうと誰でも使えるよ」

 

「むう・・・」

 

「それにもし魔法が使えるようになったらグリフィンドールがラグヌック1世から盗んだ剣を取り戻せるかもしれないよ?」

 

「それは!なんとも、しかし・・・いえ、わかりました。小鬼の銀の加工方法をお教えしましょう。ただし人間が使えるかどうかは別です」

 

「助かるよ!『主人を選ばぬ杖』は5本用意してある。とりあえず前報酬として2本渡しておくよ。教えてくれた後で残りの3本を渡す、いいね?それからもしそれ以上の働きをしたと僕が思ったら報酬を増してもいい」

 

「わかりました。早速今から取り掛かりますか?」

 

「そっちの都合がよければ僕は構わないよ」

 

「それではこちらへ──」


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