ハリー・ポッターと二人の『闇の帝王』   作:ドラ夫

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途中で非常に分かりづらいと思われる部分があるので後書き解説をに書きました。
ここ理解できねえ、と思ったら後書きを見てください


13 愚かな疑念

【必要の部屋】

「やあ、ただいま」

 

「久しぶりだな、我が主人よ。小鬼共に何かされなかったか?」

 

「『やあ、ただいま』じゃないわよ!私達を人間の中に放り込んどいて、帰ってくるのが遅いのよ、まったく」

 

「心配してくれてありがとう、ヨル。彼らと敵対することはなかったよ。愛想がいいとは言えないけどね。クロも、迷惑をかけたね。彼らの技は一朝一夕で身につくようなものじゃないんだよ」

 

 今、2人には言っていないが2人をホグワーツに潜り込ませたのには大きな理由があったのだ。

 もちろん、学校生活を楽しんだり、人間と親しくなって欲しいという思いもあったのだが。

 

「いつも私達の事を考えてくれている我が主人の事を考えるのは当然だ」

 

「まあいいわ。あんたが他の人間より少しはマシって事がわかったしね」

 

 うーん、2人がいい奴すぎて騙してるのが辛い

 

「さて、今日は『炎のゴブレット』が選手を選ぶ日だね。君達も生徒として紛れ込んで見てくるといい」

 

「あんたは来ないの?」

 

「さあ、どうかな?」

 

「また何か企んでいるのか?我が主人よ」

 

「ほんの少しね。今回は後手に回っちゃったから苦肉の策だけど」

 

 しかも上手くいくかは2人次第

 

「ふん!ここ最近、小鬼共以外の事でも随分熱心に何かしてたものね、私達に内緒で」

 

 これはちょっと良くない流れだな・・・そうだ!

 

「君たちの杖を作った事の反動が来ていてね。ちょっと『吸魂呪文』で魂を回復して回っていたのさ」

 

「本当かしら?あっ、杖といえばあんた、一体どこからこの杖の素材採ってきたのよ」

 

 彼女の杖の芯には『ウクライナ・アイアンベリー種』と『ハンガリー・ホーンテール種』の混血ドラゴンの心臓の琴線が使われてる。本体は『ファイアボルト』の一部をむしりとって使った。30cm、左利き用だ。

 

「まあ、偶然にね。部屋の掃除をしてたら出てきたのさ」

 

「あんた、相変わらずジョークのセンスがないわねえ」

 

「そういえば、感謝の言葉を告げていなかったな、我が主人よ。この杖を贈ってくれた事を感謝しよう」

 

「気にしなくていいよね、僕からのお礼さ。普段助けてもらってることへの、ね」

 

 ヨルの杖は芯には極東の、頭が8つある蛇の尻尾の一部を使った。本体には蛇を『地を這う者』にしてしまった理由である『知恵の木』、つまりリンゴの木、それも黄金のリンゴがなる木を使った。24cm、右利き用。

 

「ヨル、そろそろ時間よ。炎のゴブレットの抽選結果を見に行きましょう。ちょっとあんた!帰ってきたら何してたか全部話してもらうからね!」

 

「ああ、もちろんだよ。それじゃあ行ってらっしゃい」

 

 と言っても帰ってくる頃には全て理解してるんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダームストラング代表、上級生枠ビクトール・クラム!下級生枠ヨル・バジリース!」

 

「ボーバトン代表、上級生枠フラー・デラクール!下級生枠クロ・ライナ・アイベリー!」

 

「ホグワーツ代表、上級生枠セドリック・ディゴリー!下級生枠ハリー・ポッター!皆、拍手を!」

 

 あの2人は気がつかなかったみたいだけど、冷静に考えて、いくら3つの魔法学校が混じり合ってるからって先生の目を掻い潜って部外者が潜入できるわけないだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【過去回想】

「これから色々と世話になるぞ、トム・リドル」

 

「こちらこそ、ゲラート・グリンデルバルド」

 

「さて、この辺で今日は帰るとしよう」

 

「逃すと思う?」

 

「・・・ほお」

 

「君もそこのネズミも今捕まえた方がいいと思わない?君は今老いてるし、杖も本来の『ニワトコの杖』じゃない。僕1人でも君たち2人、簡単に捕まえられる」

 

「なるほど、しかし悪いが『姿くらまし』させてもらおう」

 

「出来ないよ」

 

「なに?」

 

「当たり前だろ?ここは『僕』と僕にとって大事な場所だ。当然『姿くらまし』及び『姿あらわし』、それに『姿くらましキャビネット』の類も含めて僕以外は一切転移出来ないよ。だから君が居るのには本当に驚いたよ、ここまでどうやって来たの?箒?」

 

「・・・」

 

「まあいいや、もう一度聞くよ、今僕が君たち2人を捕まえた方が良くない?」

 

「情報を渡そう」

 

「何の?」

 

「ヴォルデモートの若造に関してだ」

 

「確かにそれは喉から手が出るほど欲しいね」

 

 彼が『原作』と違ってペティグリューを配下にしてない以上、どうやって生き延びてるかも、どこに居るかも全くわからないからね、でも・・・

 

「それはちょっと信用できないよ。僕だって『僕』に関してはこれでもかなり調べてるんだ。でも何の足取りも掴めない。それを出所したての老人が知ってるとは思えないな」

 

「私はあの若造がどこに居るか、何をしているか知っている。何なら『開心術』を使ってもいい」

 

 そう言うと彼は心のほんの一部を僕に見せてきた。驚くべき事に彼は嘘をついていない。

 そして奇妙な事に、僕の『開心術』は世界でも類をみないほど優れている為に、彼が開いていない心の一端を読めたのだが、彼は僕と敵対する意志が薄い?

 

「なるほど嘘はついていないみたいだね、でもそれは君を捕らえてからじっくり聞けばいいと思うんだ。最後に、もう一度聞くよ。今ここで僕が君たち2人を捕まえた方がいいと思わない?」

 

「そうだろうな・・・だが、時間だ」

 

「ん?どういう──ッ!?」

 

 現れたのは『不死鳥』!

 グリンデルバルドとペティグリューを掴むとあっという間に燃えて灰になってしまった。

 

「やられたよ、あれは一切の『移動不可呪文』が効かない『不死鳥の再誕の転移』だ。全く、ダンブルドアとお揃いのペットを飼っていたとはね」

 

『原作』でダンブルドアが魔法省から見事に逃げおおせたあれだ

 

「我が主人よ、強化版『忍びの地図』で追えないのか?」

 

「あれには『探知呪文』の類も効かないんだ。見てごらん、僕の本体(日記)の一部が燃えているだろう?『臭い』を付けようとして逆に一部燃やされてしまったよ」

 

「流石に私達と並ぶ伝説の生き物だけあるわね。あんたの力が及ばないなんて」

 

「やれやれだね。さて、もうここには用はないし、帰ろうか」

 

「切り替えが早いな、我が主人よ」

 

「色々と思うことがあってね、くよくよしていられなくなったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グリンデルバルドは本当に『僕』についての情報を持っていた。つまり『僕』は今、何かしらの行動を起こしてグリンデルバルドに接触したんだ。

 『原作』通りに考えれば『炎のゴブレット』の最後に『僕』は復活する。でもここまでかなりの準備をしたし、ハリー達も強くなってるから大丈夫かな、と思ってた。

 

 しかし、最初グリンデルバルドは僕の事を『僕』と勘違いしてる演技をしていた。つまりあらかじめ僕が『僕』と限りなく近いが、別の存在である事を知った上で接触してきた事になる。それはつまりグリンデルバルドに僕の存在を教えた人がいる事になる。

 それは誰か?

 恐らく『僕』つまりヴォルデモートだ。というか僕の存在を『僕』と勘違いせず理解できるのは彼くらいしかいない。何かしらの『魂感知呪文』で僕の存在を知ったのだろうか?

 そして本当にグリンデルバルドと『僕』が繋がっているのだとしたらグリンデルバルドが『僕』の復活に関与してる可能性は非常に高い。となるといくら強くなったハリー達といえど、これは危険すぎる。

 だが、ハリーが出場するかどうかや、グリンデルバルドと『僕』がどういった手で接触してくるか皆目検討がつかない。

 それにハリーとセドリックのペアになった場合、誰とペアになるか知らないが、フラーとクラムじゃ逆立ちしたって勝てやしない。かといって『原作』通りならもっとも危険な『優勝杯(ポートキー)』をハリーに掴ませる訳にはいかない。

 

 だから本当は僕がこっそり忍び込んで先に『優勝杯(ポートキー)』をとって、代わりに『双子の呪文』で作った偽物を置こうかと思ったのだ。

 しかし、『炎のゴブレット』に選ばれてない選手が試合に直接関与するのは無理だった。かといってまさか『トム・リドル』が出場する訳にも、ハリーに『トム・リドルの日記』を持たせる訳にもいかない。

 

 そこで僕の代わりにヨルとクロに出場してもらう事を思いついた。

 ダームストラングの校長であるイゴール・カルカロフは僕がヴォルデモートだといい、少し脅したら簡単にヨルを編入させてくれた。

 ボーバトンの校長、オリーム・マキシームはクロの容姿を大変気に入った為に快く編入を許した。

 そして校長2人には入学手続きを全てしてもらった後に『錯乱の呪文』でヨルとクロは『全生徒に2人を紹介する必要はない』と思い込んでもらった。

 流石に校長2人に『この学校にヨルとクロが最初からいた』と思わさせるのは無理だったために、こんな回りくどい方法をとった。

 

 そんなこんなでヨルとクロはホグワーツに潜入しているつもりだっただろうが、普通に彼らは生徒扱いだったのだ。

 

 何故彼等に事情を全て説明しなかったかと言うと、結局彼等が『炎のゴブレット』に選手として選ばれるかどうかは僕でも手の出しようがなく、万が一にも彼等が選手として選ばれなかったとき、彼等を落ち込ませないためだ。

 というような事をシリウスにも協力してもらいながら行っていたのだ。

 ボーバトンとダームストラングのほとんどの生徒にヨルとクロが、『そこにいて当たり前だ』と思うように『錯乱の呪文』をかけるのは本当に疲れた。 内容は簡単なものでも、物量というのは本当に厄介だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

【現在】

 そして今、僕はシリウスを通して選手選抜結果を見ていた。無事にヨルとクロは選ばれたみたいで一安心、といきたいところなのだが、そうもいかないようだ。クロが猛烈に怒っているのが見える・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとあんた!聞いてないわよ!あんな事。私達生徒扱いになってるじゃない!」

 

「いやあ、それはサプライズで──」

 

「黙りなさい!あんたが何で私達に説明しなかった理由はわかってるわ!大方、選手に選ばれなかった時にプライドが傷つくと思ったからでしょ?なめんじゃないわよ、まったく」

 

「あー、その通りだ。ごめん」

 

「なにが?」

 

「君達の力を信用しなかった事と、勝手に心が弱いと思った事」

 

「ふん!わかってるじゃない。説教しがいのないやつね」

 

「クロ、そこまでにしておけ。我が主人が私達の事を気遣っての事だ」

 

「そんなことわかってるわよ!それでも、信用されてなかった事がムカつくのよ!ヨルは違うの?」

 

「む、確かにそれはある。しかし、我が主人の信用を勝ち取れなかったのか、と悔いる気持ちの方が大きい」

 

「クロ、ヨル・・・ほんっっっっとうにすまない!僕が出来る詫びなら何でもしよう。今すぐに許してくれとは言わない。挽回のチャンスだけでもくれないか?」

 

「ふん!そんな事しなくていいわ」

 

「そ、そうか。ごめん・・・僕の事はいい。だから、せめて今回の試合でハリーを守ってくれないか?」

 

「勘違いしてんじゃないわよ。挽回のチャンスどころか今すぐ許すって意味で言ったのよ。確かに悔しいけど、あんたがここ最近前にもまして慎重になってる事も、苦労してた事も知ってるもの」

 

「私も同じ気持ちだ、我が主人よ。それより頭を上げて、共にこれからの課題について考えよう。勝たなければならんのだろう?」

 

 僕は何てバカだったんだ・・・

 僕とは比べものにならない程にヨルとクロの心は綺麗じゃないか。この2人が『炎のゴブレット』に選ばれない訳がないのに。

 

「ありがとう、クロ、ヨル。自分で言うのも何だけど、クヨクヨするのは終わりだ!課題について考えよう。バグマンに何て言われたか説明してくれるかい?」

 

「やっと調子出てきたじゃない。さあ、サクッと優勝するわよ」

 

 ニヤリと笑いながらクロが言った

 

「それは聞き捨てならんな。優勝するのは私だ。だろう?我が主人よ」

 

 それが当然!という態度でヨルが問いかけてきた

 

「おいおい、セドリックとハリーを忘れるなよ、足元を掬われるかもしれないよ?」

 

 そう言いながらも、僕は2人のうちどちらかが優勝する事を信じて疑わなかった。




中盤のグリンデルバルドとヴォルデモートがグルである説明が分かりづらいと思います
作中で『オリ主』などの言葉を使う事は不可能なためにここでメタ発言を交えながら説明します













他の人間が今のオリ主を見た場合、ただの好青年です。
そしてヴォルデモートの若い頃、つまりトム・リドルを知る人間が見ればオリ主=ヴォルデモートです

しかしグリンデルバルドはオリ主=ヴォルデモートでない事を知っていました。
オリ主はこれをみてオリ主=ヴォルデモートでない事を知っているのはヨルとクロ、それからヴォルデモートだけだと思ったのでグリンデルバルドとヴォルデモートが裏で繋がっていると判断しました。

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