全てが終わってしまった日の前夜、俺達は夜更かしをした。
姫柊「ーーー先輩!」
古城「うーん...」
姫柊「暁先輩!」
古城「ん....」
姫柊「いいかげん、起きてください!」
古城「ん?ひめ...らぎ?何でここに?」
姫柊「はぁ...やっと起きてくれましたか、凪沙ちゃんから、聞いていませんか?今日、凪沙ちゃんは、日直なので先に学校に行くって」
古城「あぁ、そういえば、昨日そんなこと言っていたような」
姫柊「それで、私が代わりに暁先輩を起こすように頼まれてたんです」
古城「・・・成る程、悪かったな姫柊...それで、今何時だ?」
姫柊「・・・え、えっとですね、先輩...」
古城「ん?」
姫柊「えーと...10時です」
古城「10って....うぉい!おもいっきり、遅刻じゃねえか!」
姫柊「わ、私だって寝坊くらいします...それに、私が寝坊したのは、先輩のせいでもあるんですよ!」
古城「いや、確かに昨日のことは、俺の責任だが、あの状況なら仕方なかっただろ」
姫柊「確かに、そうですけど、警察に届けるっていう方法もあったはずです!」
昨晩のことである、姫柊はマンションの俺の部屋に...まぁ隣どおしなのだが、遊びに来ていて、夕食を食べ終わり、9時を回ろうとしたとき、小腹が空いたので、コンビニに行こうとしたら、姫柊も一緒に行くと言い出したのである。
コンビニに着いた俺達は、コンビニの前で小さな女の子が泣いているのに気づき、話しかけると、迷子だと分かったので、中々要領を得ない説明を聞きながら、なんとか、家まで連れていったのだ、そのあと、マンションに着いたのが、深夜の2時になっていた。
古城「そ、それを言うなら、あの子の家を探しにいくときに、姫柊に先に帰っていいといったはずだ!」
姫柊「そ、そんなに、小さな女の子と二人きりになりたかったんですか?」
古城「んなわけねぇだろ!!」
姫柊「・・・いやらしい」
古城「もう、分かった、俺が原因でいいから「当たり前じゃないですか」・・・はぁ」
姫柊「それに、私が暁先輩から離れるわけないじゃないですか、私は....先輩の監視役なんですから」ニコ
古城(姫柊って笑うとほんとに、可愛いよな...)
古城「あ、あぁ...そうだな」
姫柊「では、そろそろいき「きゃあああ!」!?」
古城「何だ今の悲鳴は!?」
姫柊「分かりません、ですが、外から聞こえてきたようですが」
俺と姫柊は、急いでマンションからでて、外に出ると、信じられない光景が広がっていた。
古城「な、なんなんだよ、これ...」
姫柊「・・・ひ、人が人を食べて...いる?」
古城「なぁ、姫柊これって一体「分かりません」・・・」
姫柊「すいません、先輩...ほんとに、分からないんです」
古城「とりあえず、凪沙のことが気がかりだ、凪沙に電話してくる」
姫柊「・・・はい」
Prrrr.....Prrrr
古城「くそっなんで繋がらねぇんだ!」
姫柊「・・・先輩、もしも、この現象がここだけではなく世界中で起こっているとしたら...」
古城「電話回線の混雑で繋がりにくくなる...てことか」
姫柊「はい、恐らくそれが原因だと思います」
古城「でも、何故だ、なんでこんなことを!」
姫柊「私だって、分かりません!!...こんなことできる、文献も、眷獣も私は見たことも聞いたこともありません...」
古城「打つ手なしってわけか...」
姫柊「・・・はい、ですが、とりあえず学校に向かいましょう、凪沙ちゃんが心配です」
古城「あ、あぁそうだな」
俺達は、周りの奴らをなんとかかわしたり、姫柊が、雪霞狼で吹っ飛ばしながら、駅についたのだが...。
古城「やっぱり、電車こねぇな...」
姫柊「・・・はい、淡い期待を込めてきたんですが...」
古城「時間は、かかるが走っていくか..」
姫柊「いえ...先輩、今回だけ、状況が状況なので、眷獣を使ってください」
古城「・・・良いのか?」
姫柊「この状況では、仕方ありません...それに、先輩なら、暴走なんてしませんよね?」
古城「あぁ!もちろんだ、来やがれ....て、俺の眷獣乗れるやついないんだけど....」
姫柊「え...な、なんでいないんですか!?」
古城「知らねぇよ!てか、眷獣ってそもそも乗るもんじゃねぇだろ!」
姫柊「仕方ありませんね...これほど、つか...危ない眷獣ばかりとは思いませんでした」
古城「なぁ、今、使えないって言おうとしてなかったか?」
姫柊「そんなことあるはず、ないじゃないですか、そんなことよりも、先輩、走りますよ」
古城「あ、あぁ」
しばらく、走り続けていると、ようやく校舎が見えてきた。
古城「はぁはぁ、姫柊見えてきたな」
姫柊「は、はい...先輩...っ!?先輩止まってください」
古城「はぁはぁ、ひ、姫柊どうした?」
姫柊「何か...きます」
古城「急いでるってのに」
姫柊「あれは!?」
古城「敵か?...カラス?」
1羽のカラスが飛んできた。
姫柊「あれは、紗矢華さんの式神ですね」
古城「そ、それってあの時の?」
姫柊「あ、いえ...今回のは攻撃ではなく、伝達用ですね」
式神「ゆ、雪菜!?無事なの!?」
姫柊「はい、なんとか...紗矢華さんも無事でよかったです」
古城「煌坂、頼む、今の状況を教えてくれ」
式神「て、暁古城、あんたも無事だったのね」
古城「あぁ、なんとかな...それで、この状況は」
式神「私だって、分からないわよ!こんな、状況...でも、奴ら」
古城「ん?奴ら?」
式神「あの、人を食ってるやつよ、あんなの、もう、人間じゃない...だから、奴らよ」
古城「成る程な...でも、そうか、煌坂でも分からなかったか...」
式神「その、奴らについて少し分かったことがあったから、報告と安否の確認を兼ねて連絡したのよ」
古城「ほんとか!煌坂」
姫柊「紗矢華さん、それで、分かったことって?」
式神「奴ら...奴らは、心臓を刺しても死なないわ」
姫柊「!?」
古城「!?そ、そんなの...どうやって倒すんだよ!」
式神「落ち着きなさい、暁古城、倒す方法はあるわ」
古城「それって!?」
姫柊「先輩、落ち着いてください」
古城「あ、あぁすまん...」
式神「まず、1つ目は、首から上を切り離せば、死ぬわ、そして、あとひとつ、脳を破壊する....しかないわ、足を切り離せば、動けなくなるけど、死ななかったわ」
古城「・・・まじかよ...」
姫柊「それは、擬似的に、吸血鬼化してるってことですか?」
式神「ううん、それは違うわ、雪菜」
姫柊「で、では何故?」
式神「まだ、そこまでは分かっていないわ」
姫柊「・・・そうですか」
古城「まぁ、教えてくれてありがとな、煌坂」
式神「まだ、終わりじゃないわ、むしろ、ここからが本番よ」
古城-姫柊「?」
式神「奴らには、視覚、嗅覚、触覚が無くなっているわ、ただ、聴覚は残っているわ、だから、音に集まってくるわ」
古城「・・・まるで、ゾンビだな...」
姫柊「そ、そんな、ゾンビなんて、非現実的な」
式神「雪菜、そうでもないのよ「えっ?」ゾンビの説が一番有力なのよ...」
姫柊「・・・そんな...」
古城「・・・まじかよ...」
式神「そして、奴らに噛まれたら、噛まれた人はどんなに、傷が浅くても...奴らになるわ」
姫柊「少しでも、噛まれたら...」
古城「そんなもん、どうやって...倒すんだよ」
式神「だけど、奴らには、知能がなくて、歩きも遅いわ、だから、よほど、大勢に囲まれさえしなければ、雪菜と暁古城なら倒せるはずよ...ただ、力がかなり強いから、絶対に取り押さえたりはしないでね」
姫柊「力が強いのは、厄介ですね...」
古城「あぁ、煌坂、まだあるか?」
式神「そして、最後よ...奴らは、もう人間じゃない...だから、迷わずに殺しなさい」
古城「っ!?で、でも、あいつらだって、元は人間の「あいつらじゃないわ、奴らよ」」
式神「良い、暁古城...あいつらじゃない、奴らよ、奴らになった、人間は絶対に元には戻らない」
古城「そ、そんなの、まだわかんねぇじゃねぇか!!」
式神「分かってるのよ!!はぁはぁ...1度死んでっから生き返るのよ...そんなの、どうやって元に戻すのよ...」
姫柊「二人とも、少し落ち着いてください」
古城「わ、悪い...」
式神「・・・だからね、暁古城、これは、私からのお願い...もしも、友達や、知り合い、そして、家族...勿論、私や雪菜も...奴らになったら...躊躇わずに殺しなさい...じゃないと、本当に救いたい人が救えないで終わるわよ」
古城「!?...そんなこと、できるわけねぇだろうが!お前や、姫柊を殺すなんて、俺には...」
姫柊「先輩...私からもお願いがあります」
古城「・・・なんだ、姫柊」
姫柊「私が、奴らになったときは、先輩が私を殺してください」
古城「・・・ひめ..らぎ?」
姫柊「殺してもらうなら、私は...先輩が良いんです...他の人は嫌...なんです」
古城「クッ....」
自然と、拳を握る力が強くなり、唇からは血が流れる。
姫柊「ですから、先輩」
古城「・・・」
姫柊「私が、奴らにならないように、私を守ってください」ニコ
古城「・・・あぁ、約束する、絶対に姫柊は奴らには、させない」
姫柊「ですが、先輩...私を守るために、先輩が奴らになるなんて、選択は絶対にしないでください」
古城「それは...約束できない」
姫柊「フフ、先輩、その気持ちはすごい嬉しいのですが、先輩が奴らになってしまったら、たぶん、私も...奴らになると思います」
古城「な!?お前...なんで」
姫柊「そんなの、決まってるじゃないですか、私は....」
古城「ゴクリ...」
姫柊「先輩の監視役なんですから♪」ニコ
古城「はぁ...」
姫柊「先輩...何期待してたんですか?」
古城「い!?...いや何も」
姫柊「・・・ほんと、先輩は、いやらしい人ですね」
古城「ちょ、姫柊...」
式神「私、お邪魔かしら?」
姫柊「っ!?紗矢華さん!」カー
古城「き、煌坂!?」
式神「まぁ、その様子なら、大丈夫そうね...それじゃあ、そろそろ、式神出してるのもきついし、そろそろ、切るわね」
姫柊「紗矢華さん、ほんとにありがとうごさいました」
古城「あぁ、ほんとに、助かったよ煌坂...煌坂..お前も死ぬなよ?」
式神「ええ、死なないわよ」
姫柊「紗矢華さん...また会いましょう」
式神「ええ、雪菜...暁古城も...またね」
その言葉を最後に、カラスは消えた。
姫柊「・・・それでは、先輩学校に向かいましょう」
古城「あぁ」
古城(凪沙...無事でいてくれ!)
そこから、15分ほどかけて、学校の中等部に到着した。
古城「凪沙ーー!どこだー?」
姫柊「ちょ、先輩...大声だすと、奴らが寄ってくるって、紗矢華さんが、言ってたじゃないですか!」
古城「あ、あぁ...すまない」
姫柊「いえ、気持ちは分かりますから...とりあえず、教室を探して見ましょう」
古城「あぁ」
△ △ △ △ △
古城「全部の教室を見たが...いなかったな...」
姫柊「ええ、後は....体育館ですかね」
古城「そこに、いることを願うか」
中等部・体育館
古城「凪沙....凪沙ー!」
姫柊「良かった、凪沙ちゃん!無事だったんですね!」
凪沙「!?古城君ーー!雪菜ちゃんも!良かった、ここから、動けなくて大変だったの!」
女子生徒「う...うぅ」
古城「凪沙ー、その子は?」
凪沙「分からないけど、体育館に逃げ込むときに一緒になったの!」
姫柊「何か、彼女苦しそうですね」
古城「あぁ、まぁこんな状況だしな、具合も悪くなるだろ」
女子生徒「あ、ああ...」
女子生徒は、何やら呟き、その場に倒れる。
凪沙「!?だ、大丈夫!?」
姫柊「せ、先輩!あれって...」
古城「凪沙ーー!!そいつから、離れろー!」
凪沙「ん?」
凪沙が、古城達の言っていることの意味が分からずに、首を傾けていると、女子生徒は起き上がった。
女子生徒「・・・あ...あヴ..ヴぁ....」
女子生徒は、人が発するであろう、声ではない声をあげながら、凪沙の首に噛みついた。
凪沙の首からは、赤い鮮血が辺りに飛び散った。
凪沙「い、いやぁーー...痛い...痛っ...こ、古城君...」
古城「凪沙ーー!!」
古城は、この時、ショックから、足が痙攣してしまい、その場から動くことができなかった。
姫柊「雪霞狼!!」
雪菜が、ものすごい、速さで近づき、女子生徒の首をはねる。
凪沙「・・ゲホ...ゴボ」
凪沙は、首を噛みちぎられ...女子生徒は、離れたが口から血を吐いていた。
姫柊「凪沙ちゃん、しっかり...しっかりしてください!」ポロ
姫柊の目から大粒の涙がこぼれた。
古城「・・・なぎ....さ」
凪沙「こ、ゴフ...ごほごほ...古城君...エヘヘ...噛まれちゃったみたい...」
古城「凪沙ーー!」
古城の目からも大粒の涙がでた。
凪沙「古城君...私...ね、知ってるんだ...噛まれたら、どうなるか...ごほ」
姫柊「・・・」
姫柊は、後ろを向いて、顔を両手で覆っていた。
古城「な、凪沙...」
凪沙「ねぇ...古城君、私を...殺して?」
古城「ば、バカ野郎...お前を...お前を殺せるわけがないだろうが」
凪沙「私ね...私は、あんな変な化物になりたくない、古城君を、雪菜ちゃんを襲いたくない...普通の人間で死な...せて?」
俺は、この時...煌坂が言っていたことを思いだしていた。「もしも、友達や、知り合い、そして、家族...勿論、私や雪菜も...奴らになったら...躊躇わずに殺しなさい...じゃないと、本当に救いたい人が救えないで終わるわよ」
古城「煌坂...こう言うことかよ...」
凪沙「こ....じょ...君...もう、声も出なく...なってきたみたい...お願い」ニコ
凪沙の覚悟の笑顔を見て、俺は覚悟を決める。
古城「・・・姫柊」
姫柊「・・・はい」
古城「雪霞狼を貸してくれ」
姫柊「あ、暁先輩が...やる必要は、ここは、私「いいんだ!」・・・」
古城「・・・頼む、姫柊...」
姫柊「・・・分かりました」
俺は、姫柊から雪霞狼を借りて、凪沙の前にたつ。
凪沙「古城君ーーーーーてね?」ニコ
最後の言葉は、声が出ていなくてよく聞こえなかったが、この笑顔だけは、絶対に忘れない...忘れることは出来ないだろう。
俺は、振り上げた、雪霞狼をそのまま凪沙の首めがけて、降り下ろした。
凪沙の首からは、鮮血が飛んで、古城の服が赤く染まる。
姫柊「・・・先輩...」
古城「俺は、殺したん..だな...凪沙を、妹を...う、うぅ」
姫柊「せ、先輩!」
古城「うわぁーーーー!」
古城の体から、電撃がほとばしり、体育館の窓が全て割れる。
姫柊「先輩、落ち着いてください!先輩!」
古城「うわぁーー!」
姫柊「これは...眷獣が暴走している...」
姫柊「先輩、暁先輩!正気に戻ってください!」ダキ
姫柊は、古城の背中から抱きつきながら言う。
古城「うおーー!」
古城の声に集まって、外から奴らがたくさん、入ってきた。
姫柊「そ、そんな...」
姫柊(でも、先輩と一緒に死ねるなら...私は...いや、駄目だ、ここで死ぬなんて)
姫柊「先輩..言ったじゃないですか、私を守ってくれるって!...それとも、約束忘れちゃったんですか、先輩、暁先輩!!」
古城「あ、ぐ....ひ、姫柊?」
姫柊「先輩!私を守ってくれるって言ったじゃないですか!」
古城(俺は、何をしてるんだ...凪沙を殺したショックで、勝手に暴走して..姫柊を守るんじゃねぇのかよ、危ない目に遭わせて、どうすんだよ!)
古城「お、俺は...」
その時、古城は先程、凪沙が最後に言おうとした場面が、頭に流れてきた。
凪沙「古城君、雪菜ちゃんを守ってね」ニコ
古城「そうか、凪沙は、最後にそれを言いたかったのか...」
姫柊「暁先輩!もう...」
周りには、姫柊と古城を囲んで、50人以上の奴らがいた。
古城「大丈夫だ、姫柊...お前は、俺が守る」
姫柊「せん...ぱい?」
古城「来やがれ!5番目の眷獣獅子の黄金(レグルス・アウルム)」
獅子の黄金(レグルス・アウルム)は、雄叫びをあげて、そのまま俺達以外の奴らと体育館を吹き飛ばした。
姫柊「せ、先輩...いつのまに、眷獣の力の制御を!?」
いままでの、古城なら力の加減がつかずに、姫柊も、古城自身もあの状況では、危なかったのだ。
古城「なぁ、姫柊」
姫柊「は、はい...何でしょうか、先輩」
古城「俺は、決めたよ」
姫柊「?」
古城「絶対にお前を守るよ」ニコ
姫柊「はい!」ニコ
古城の優しい声に姫柊は、頬を染めながら笑顔で答えるのだった。
書き終えて、言うことは.....暁凪沙ファンの方々申し訳ありません....。