アイドルマスターxGE「神を喰らいしアイドル」 作:HiRO12
第一話「荒ぶる神々」
「ん…、…なに、ここ、え?どういうこと?」
春香が目を覚ましたそこは、崩れ落ちた建物が辺りに広がっていて夕焼けが差し込み、奇妙な雰囲気を晒しだしている。
「日本じゃ、ないよねえ…?」
明らかに見慣れない風景、教科書でみた戦後の日本もここまでひどくはなかったのではないだろうか。しかしまたそんな光景に春香は興味も唆られる。
「すごい、まるで未来を題材にした物語に出てくる荒廃した町って表現がぴったりだね、ん、体は動く見たい、でもあの夢…朧気だけどあの女の子、私をこんなところに連れて来て何をさせたいんだろう…?」
じっとしていても仕方ない。現状を把握するために春香は行動を開始する。
「とりあえず歩いてみるかな…、わぁすごい、今にも崩れそうなほど脆い建物…、何かに襲われたのかな?、わっ、ざらざらする…、そこは柱の崩れ跡なのか飛び乗れそうだね」
階段を飛び乗る時の要領で二段になっているその崩れ後に飛び乗り周りを見渡してみる。地面が何かにかじられたのかえぐれていたり周りにはドラム缶やガレキが乱雑に散らばっている。
「…すごいなぁ、高いビル、日本にもあれほど高いのはなかったよね、アメリカとかだとどうだったかな」
そんなことをつぶやいていると自分が登った方向に建物があり、大きく穴があいていてそれが入り口になっている。
「あ、入れる。ちょっと入ってみようかな、抜き足差し差し脚忍び足っと…」
砂利混じりなのでどうしても音は立つができるだけ物音に気をつけつつ。春香はそろーりそろりと足を進めて入ってみる、やがて内部にはいるとガラス張りの部屋にたどり着く
「すごい…黄昏をガラスが反射しててとても幻想的、破られたガラスから差し込む光がまたなんとも。ここ教会だったんだろうなぁ
自分の状況忘れて見とれちゃいそうだよ…」
混乱と不安、そして見とれる気持ちが交じり合い、感じているものをいつもより言葉にだす春香。それは彼女が不安を押し殺すためにしている行為なのかもしれない。
少しの間、時間も忘れて見とれていた。自分が世界の中心になったかのような錯覚さえ覚えそうな其の幻想的な雰囲気に目を閉じて浸っている。
「っと…いけない、そろそろいかないとね、しかしこの町広いなぁ、何に襲われたらこんなボロボロになるんだろう?、逆に気になるよねこれ。それにまるで…」
上を見上げるとそれが春香は気になった、真上だと見難いので少し歩いて先ほど登った柱にもう一度登ってみる。
「うん、まるで…喰われた跡、みたい、一点だけ丸く開いた穴、あんなの雪歩がドリルで掘るか。それとも喰いちぎられたか、だよね。こんなのがいくつもあるのかぁ、少し警戒したほうがいいかもなぁ、否応でも何かいそうな予感するし」
せっかくの光景に浸る暇も与えてくれないらしい。これだけのものを見せられては警戒をせざるを得なく腰を落としながら壁に手をつけ歩く。
静かに数分歩きながら広い場所に出る。周りには廃墟や残骸があり、戦闘があったような形跡がある。
「バリケードの跡…突破されたのか。見た感じ古そうだしだいぶたってるのかも」
そうして警戒している春香の耳に、一つの声が聞こえる
「キャアアアアアアア!!!!!」
「え…あの、声…?」
それは春香にとってあまりにも聞き慣れた声、この世界に呼ばれるその日共に収録をして別れたはずの親友、如月千早の声だったのだ
「(嘘、千早ちゃんが…?、それにあれ、悲鳴、だよね!?、千早ちゃんっ!!!)」
行動を決めた春香は早かった、バリケード跡を飛び越え走り、声の方向へと駆け抜ける。
「いつもより体が動く…?、気になるけど、もっと早くっ!!」
その感情のまま残骸や瓦礫が散らばる大地を踏みしめ駆ける。
走ること数分,体を動かし壁に手を突きながら曲がり、ただひたすら走る、其の先に彼女はいた。
「誰か!誰か~!!」
そう言って背後を見ながら走ってくるのは間違いなく如月千早本人である。、そして彼女を追っているのは形容しがたい生物だった。
白い鬼のような顔に巨大な尻尾、二足歩行でかけてくる其の様は犬のようだが其の威圧感や恐怖感はとても犬何かとは比べ物にならない。
「(なにあれ!?、とにかく今は千早ちゃんを連れて逃げないと!!)」
春香は駆け寄り其の千早の手をつかむ。汗が滲んでいる、恐怖に震えてることは想像に難くない。
「千早ちゃん!!」
「え…?、は、春香!?どうしてあなたがこんなところに!?」
「それはこっちのセリフ!!、でも、今はとにかく逃げるよ!!」
「ええっ!!!」
「(とにかく今は逃げる!、お姉ちゃんから護身術程度は習ってるけどあんなのに効きそうにないことぐらいはわかるし!!)」
軽く会話を交わすやいなや二人は全力で逃げの一手を撃つ、武器は愚か素手ですら戦う技術がない自分達に戦うなんて選択肢はあるわけがない
「は、春香!!後ろっ!!」
千早のその声に目線で振り向けば其の生物が尻尾を上げながら軽く吠えていた、軽く二度か三度尻尾をふる予備動作を行う
「あの尻尾、こっちにむい・・・!?、千早ちゃん飛んでっ!!!」
「え、きゃあああ!?」
其の春香の声に慌てて二人で飛べば先刻まで千早が踏みしめていた地面を尻尾から放たれた針のような攻撃が貫いていた
「は、春香がいってくれなかったら間違いなく足を貫かれてたわっ…!!」
「何なの!?何なのさこれ!?」
「普段より何故か疲れないのは救いだけど、どこかに隠れなきゃ!!」
必死に走り針を交わし、砂利や瓦礫に足を取られ転びそうになりながらも踏ん張りひたすら走る。がある程度の距離から引き離せない、やがて二人は体力の限界が訪れ始める
「千早、ちゃん・・・まだ、行ける…?」
「ごめん春香。そろそろ。厳しいかも…でも、諦めたくない…!」
「そうだよ、ね…って、行き止まり!?」
「そん、な…!!」
走るのに必死すぎて二人は周囲の確認をしていなかった、其のことが仇となり行き止まりに出くわす。
せまるその生物がようやく捉えたとばかりに吠える。
「はぁ、はぁ…!!、千早ちゃん、最後まで、諦めちゃ、だめだよ」
「春、香…、でも、どうするの…?」
「私が気を引くから千早ちゃんは横を通り抜けて!、振り切ったら必ず追いつくから!」
「ダメよ!?あなたがもし何かあったら私、もう…!」
「泣いちゃだめだよ千早ちゃん、あなたは必ず私が守るから…!、それに最期の時が来るまでは諦めない!!」
そうして春香が踏み出そうとしたその時
「…良い覚悟だ、よく頑張ったな」
その声とともに遠くから銃声のような弾ける音が二人の脳裏に響き
ズドン!!!!
「があああ!?」
次の瞬間にはその鬼のような生物が、何かによって撃ちぬかれていた
ゆっくりと倒れる其の生物を春香と千早は唖然と見下ろす
「…え?」
「ど、どういう事…?」
「よ、お前さん達無事か?」
その声とともに姿を表したのは黒いコートを身に羽織った青年だった
身の丈ほどはあるであろうチェーンソーのような剣を片手で軽々と肩に担ぎ、タバコを咥えながらゆっくり歩いてくる
「あな、たは…?」
「ふー…、…それはこっちのセリフだ、と言いたいがとりあえず今は怖かっただろう?安全なところに連れて行くから付いてきてくれ」
「ありがとうございます、…春香!、見て!?」
「え…?嘘、死骸が消えていく…?」
千早の声に見下ろせば、二人を追っていた生物がまるで霧散するかのように消えていく。
「…お前さん達、…いや、あれこれ聞くのは後だな、とりあえずアナグラヘ連れて行く。ここにいるより安全だろ?」
そういう青年に、二人は黙ってゆっくり頷くのだった
自己満足でも書いていくのは結構楽しいですね。
そしてはい、彼のご登場です。次からアナグラヘ参ります