アイドルマスターxGE「神を喰らいしアイドル」 作:HiRO12
そして…
第四話「決意」
「いやぁリンドウ君やサクヤ君からひょんなことから君たちを助けた話を聞いていた矢先に、君達が居住区で立ち回りを演じてるのを聞いてね。興味が唆られたんだよ」
二人はあの後リンドウとサクヤにガードされながらアナグラの廊下を歩いていた。
エレベーターを使いこの前やってきた医務室と同じ「ラボラトリ」と呼ばれている区間へとやって来る。
そのままサカキは楽しそうに話している。
「いやぁすまないね、先程から一方的に。だが私も研究者である以上人との会話はやはり楽しくてね」
「いえ大丈夫ですよ~、私も対アラガミ技術の開発者に会えるなんて思っていませんでした。神器を開発したのもサカキ博士なのですか?」
「よく言うよサカキのおっさん、あんた研究者とか言っておきながら開発責任者じゃないか」
「そうですよ。偏食因子を発見したのも博士ですのに」
「え?」
「そ、それって。本当にすごいことなのでは…?」
「…何、大したことじゃないさ、大切な仲間を失った末におこぼれだけ頂戴したようなものだよ。だがそれだけにこの仕事に生命をかけているのも本当さ」
そのサカキの言葉に二人共押し黙る。いきいきとした表情で語る彼にもやはりそれだけの過去はあるのだろう。
「さて、ついたよ。ここが私の研究室だ」
IDカードのようなものを通して中へ入る。そこには様々な機械やコンピューターで溢れかえっていた。
「改めて聴かせてほしいんだけど、君達は贖罪の街で倒れていたところをリンドウ君とサクヤ君に拾われて保護された。それでいいのかな?」
「はい、それからお世話になっていて今日は外部居住区を見て回ろうかと思いまして」
「そうなんです。まぁそこでコウタ君の家族と知り合って、そこからは先程サカキ博士がおっしゃるように。あはは」
立ち回りを演じた春香はバツが悪いのか頭を手で掻きながら笑っている。千早は真面目に受け答えを交わしている。
「なるほど、それでここからが本題なんだが、気を悪くしないで聞いてほしい。君達の事情はリンドウ君から聴かせてもらった」
「え?リンドウさん!?」
「…悪い、サカキのおっさんは少なくともこんな飄々としてるおっさんに見えるが信用はできる。どっちかいうと知られたくないのは支部長の方でな」
「そうよ、それにリンドウも私も任務でいない時もあるの。そうなると事情を知ってる人が内部に一人でも味方を作っておきたかった。白羽の矢が立ったのがサカキ博士でね」
二人が自分たちのために手を回してくれたのはわかるが、それでも少し腑に落ちない部分もある。
だがそれで納得しないところで、今の自分達に他にあてがないのも事実なので納得することにした
「ヨハン、ああ、ヨハネス=フォン=シックザール支部長は現在少々事情があってフェンリルロシア支部に出張中でね、今は私が支部長代理なのさ」
「あの、それでサカキ博士は私達をどうしようと…?」
「何、別にどうこうしようというわけではないんだが、ただね。アラガミと立ち回りを演じた上に天海君に至っては二度もだ。それで二人共疲れをあまり感じてないんだろう?技術者としては少し不安でね。簡単なメディカルチェックをしておきたいんだ」
「メディカルチェック、ですか?」
「ああ、そっちの言葉で言うなら人間ドックみたいなものだね。機械に身体を通しておかしいところがないかをチェックするのさ」
「なるほど、わかりやすい説明ですね!」
本当に人間ドックするのかと思いながら二人はうなずき了承の意を示す。
そしてサカキが何かを操作し通信を送る。
「ああ、サカキだ。メディカルチェックをしたい子が二人いてね、少し準備をしてもらってもいいかな?」
二言三言会話を皮した後に通信を切断し、その後少ししてから準備完了の通信が入ってくる。
「待たせたね、じゃあいこうか。ああ、服は来たままで大丈夫だからね」
「そ、そうなんですか?こっちの世界の技術ってすごいんですね」
「人間ドックでも、分厚いタオルを巻いて服は脱ぐのに…」
「ははは、特殊な赤外線みたいなものを使っていてね、服越しでも身体だけを通すようにできてるのさ」
「ふぇええ…女の子には受けやすそうですね」
「そうだね、うら若き乙女の肌は魅力的でもあるが男としては目のやり場に困るところもあってね、内心助かっているよ」
「もう、サカキ博士ったら」
「俺は多少残念なところも…」
「何かおっしゃられましたか?隊長殿?」
「いででででで!?、脛をつねるんじゃねえよサクヤさん!?」
「ふんっ!」
そんなお約束のやり取りにサカキも含め全員から笑いが漏れだすのだった。
「でも千早ちゃん、人間ドックなんて受けるの初めてだね」
「そうね、でもいい人達ね。こうして色々世話を焼いてくれる。春香、私この世界の人たちの為にできることをしようと想う」
「千早ちゃん?」
親友の積極的な発言に春香は思わず問い返していた。
「私ね、コウタさんの言葉を聞いてすごく想った。家族に恵まれてるのは羨ましいけど、彼はできることを見つけてるんだって」
「そうだね、どうせすぐ帰れるはずもなさそうだしね。何かできることを見つけようか」
その発言に春香は嬉しくなっていた。消極的であまり人に関わろうとしなかった千早が変わりだしている。
できることを見つけようと思い始めている。其のことが、たまらなく嬉しかった。
『そうそう、そのまま軽く息を止めて。OKだ。もう大丈夫だよ』
「悪いな、サカキのおっさん」
「なぁに、それに君の言うこともわかる。世界を超えたというのなら何か副作用があってもおかしくないはずだからね、しかしタイムワープをしてきた二人の少女か。っと…む?」
「どうしました博士?」
「…これは、ふむ。リンドウ君、どうやら君の予感はあたったようだね」
その結果をサカキは見ていた。
「おっさん、なんかあったのかよ」
「博士?まさか本当に?」
「其の結果は二人も交えて話さないといけないね、…選択するのは、彼女達自身になりそうだが」
「やぁ、おかえり」
「ええ、只今戻りました。どうでしたかサカキ博士、何か異常はありましたでしょうか?」
「ちょっとドキドキしちゃいましたね~。それで博士、結果の方は?」
「結果を言おう。天海君、如月君、君達の身体はこの世界に来てから「造り変えられた」と言ってもおかしくはないことになっている」
「え!?」
「ど、どういうことですか?」
其のサカキの言葉に、二人は思わず問い返す。
「まず、これが普通の人間の細胞部分なんだが、コレが君達の場合、こうなっている」
通常の人間の細胞部分を見せた後に、春香と千早の細胞部分を見せられるが、それは明らかに変わっていた。
「これはね、オラクル細胞なんだ。つまりこの世界にきて君達が疲れを感じにくくなったというのは恐らくはこれなんだ。オラクル細胞が遺伝子に組み込まれ、身体部分や回復力が常人よりも強化されている」
「(それにコレはP73偏食因子、私やヨハン、アイーシャの忌まわしい計画の産物、コレがどうして彼女達に…)」
「つまり何だサカキのおっさん、この二人も、半分アラガミになっちまってると…?」
「そんな…」
「そういえば私、あの外部居住区での戦いの時さすがに避けきれなくてかすったりこそしたけど、痛みって言う痛みを感じなかった」
「…私も、いつもの疲れから回復するより全然早かったわ」
思い返すと思い当たる部分は多かった。
「そして、ここからが本題だ」
「本題、ですか」
「…」
神妙に問い返す千早に無言で先を促す春香。
「君達もね、GOD EATERになれるんだ」
「え、あ、そっか。オラクル細胞が内部にあるから」
「なれるのですか?」
「ああ、ついでにと想ってした適正審査がクリアだったからね。だが君達がGOD EATERになるということはこの世界の情勢に完全に巻き込むことになる。思うように動きにくくもなる」
「お前さん達帰りたいんだろ?、もし其の情報集めようにも、フェンリルの命令に従わないといけなくなるところも出てくるぞ?」
「そうよ、貴方達まで生命を張ることはないわ。私達で動くから大丈夫よ」
「だからね、二人でちゃんと考えて欲しいんだ。今日一日、ゆっくり考えてほしい。決して勢いだけで決めて良い問題ではないからね」
本当に良い人達だ。この人達は心から自分たちを心配してくれるのがわかる。だからこそそれに応えたかった。
「わかりました、ゆっくり考えようと思います。サカキ博士、ありがとうございます」
「それじゃ、失礼します」
「待て待て、部屋まで送る」
「そうよ、貴方達一応一般人扱いなんだから勝手に歩かれると色々目をつけられちゃうわ」
「あ、それではお願いします」
「すいません、いつもいつも」
「んじゃサカキのおっさん、またな」
「博士、ありがとうございました」
そして四人は退出する
「さて…異世界からの来訪者君達、君達はどう考えてどう決断するのかな…?」
四人が出て行った後サカキは座っていたソファに体重を預け思考するのだった。
部屋についてから二人は少しの間無言だった
「春香は、どうしたい?」
「私は戦いたい、かな。今日も昨日と同じで色々体験したけどさ。やっぱり護って戦いたいッて思う」
「そうよね、私も自然に悩まなかった。あの時コウタさんの家に走る時も私にも戦う力があればって想ってたの。それに戦う力のない人を死なせたり、家をなくす子供達は出したくないわ」
ベッドに横になりながらお互いの気持ちを打ち明け合う。
「でも千早ちゃん、死ぬかもしれない。元の世界に帰れず喰われて死ぬかもしれないよ?」
「…そうかもしれない。でも春香と一緒ならきっと戦える。一人ではできないこと、仲間とならできること、でしょ…?」
そういって二人で歌ったあの歌の歌詞を言う千早に春香も応えるように重ねあう。
「乗り越えられるのはUnity is strength、力ある団結だよね、…うん分かった。千早ちゃん」
「ん、明日からもよろしくね、春香…お休みなさい」
そういって千早は春香の手をにぎりすうすう眠りにつく。
「千早ちゃん、私だって宜しくね。大好きだよ」
そう微笑みながら春香も眠りにつくのだった。
翌朝、二人は真剣な顔持ちでサカキ博士の研究室にいた。
「其の顔だと、決意はついたようだね?」
「はい、私達二人はGOD EATERに志願します」
サカキは其の言葉を聞いて、ふー…っと大きく息を吐く。
「できることなら君達には君達なりに平和に生きて欲しかったところもあるが、君達自身でそう決めたならもう何も言わない」
「サカキ博士、リンドウさんは関わってしまったので私達を守ろうとしてくれています。それなら私達ももう、この世界に関わってしまった」
「ええ、それにアイドルも運命も、自分の手で切り拓かなきゃいけません!、私達なります」
「…強いね、君達は。おいで、適合試験を始める」
『はい!!!』
二人は力強く返事をしてサカキの後へ付き従う。
そうして通された大きな部屋には、二つの機械があった。両方とも同じ形をしているが、其の中に置かれているのはおそらく神器だろう。
そして其の神器を挟むようにまるでプレスするかのような機械だった。
「うわぁ、神器だ」
「で、サカキ博士、適合試験というのはどのようにすれば宜しいのでしょうか?」
其の千早の言葉にサカキはこう応える
「何簡単だ。心の準備ができたならその神器を握るように手を入れてくれればいい、そうすれば試験が始まる」
「…まさかプレス、ですか?」
「そんな生易しいものじゃないさ。普通の子ならここからプレスされた後に偏食因子が注入され適合が始まるんだが、君達はすでにオラクル細胞持ちだからね。偏食因子がすでにあるはずだ。だから後はその神器が、君達を受け入れるかどうか、だ」
「失敗すれば?」
「その場でアラガミ化だね、神器に喰われるということはそういうことなんだ。生きるか死ぬか、選んだのは君達だ。心の準備ができたならその中に手を入れてくれたまえ」
いざ言われると心を、しっかり落ち着ける必要があるとおもった。自分から言い出したものの千早は動き難くいた。
「千早ちゃん、先に私が行くね」
「え、春香!?」
「…天海春香、行きますっ!!」
春香は自分を鼓舞させるようにそう言ってからサカキの言葉通りに手を入れる。
刹那!!、ガシャンと機械が降りてくる。
「あああああああ!!!、ぐぅ、あぁ、あああああああああああああああ!!!!!!!!」
絶叫が周りに響く。千早も其の様子を心底心配そうに見ていた。
「(天海くん、心を強く持ちたまえ。君にはなさなければならないことがあるはずだ。それを思い出すんだ)」
「くううああああああ!!!!!「
なおも絶叫が続く春香の頭のなかに声が響いてくる
「(春香!こんなところでまける春香じゃないだろ!?)」
「(うっうー!春香さん帰ってくるの待ってます~!)」
「(春香!自分春香に負けないぞ!アイドルとしてもっと上にいってるからな!)」
「(はるかちゃんの強さ、私知ってるよ。絶対に負けない明るい子ってことも知ってる)」
「(春香は美希のライバルなの!こんなところで負けるなんて許さないからね!)」
「(天海春香。貴方の気高き心は私達も見習うところ。必ず帰ってきてください)」
「真、やよい、響ちゃん、雪歩、美希、貴音さんっ…!!」
頭のなかに響く声、流れていく仲間たちの顔。そして…
「(春香…)」
「お姉ちゃん…!!」
「(貴方はこんなところで朽ちるような人間ではないでしょう?、分かったならさっさと事を成しなさい。そんなことでは私に一生追いつけないわよぉ?)」
腕を組み自信に満ちた表情で自分を見つめてくる瓜二つの姉。その声を焼き付けながら春香は叫ぶ。
「こんな、こんな程度の場所で、躓いてる場合じゃないんだああああ!!!!!」
そして春香は機械のブレスが弱まるのを感じ、一気に引き抜く。
「はぁ、はぁ、はぁっ・・・!!!」
両手で引きぬいた際に地面についたそれを杖代わりにし、肩で息を荒くする。
「…合格だ。頑張ったね、天海くん」
「え、ごう、かく・・・?うわっ!?こ、これが私の神器…」
それを掲げてみる。綺麗な銀色が室内のライトに反射して映え渡っている。
「あ、腕輪」
「神器使い、GOD EATERの象徴なんでしょうね。この時につくのね」
「そう、其の腕輪は正式名称「P53アームドインプラント、肉体と融合しているからね。だが極秘にして欲しいのだが君達はすでにオラクル細胞が体内にある。だからそれはあくまで中継としてでいい」
「ふぇえ…」
「え、じゃあ他の神器使いは?」
「他のGOD EATERたちはね、其の腕輪を通して偏食因子を投与されるんだ、つまり其の腕輪が万が一破壊されたら、アウトだからね?絶対これで攻撃受け止めるなんてバカな真似しちゃいけないよ?」
「こ、心得ました!」
「…それじゃ、次は如月君だね」
「はい、如月千早…、いきます」
千早も同じように手を重ねる。
「千早ちゃん、頑張って」
「…うん」
其の言葉に頷き返し、千早にもまた、プレスが降りてくる。
「ぐっ…、ああああああああああ!!!!!!!!」
千早の声は声帯がよく通るために春香のものよりもすさまじい悲鳴となって周りに反響する。
「千早ちゃん!自分を強く持って!!」
「自分を、つよ、く」
「(私、負けない、負けられないっ!!)」
「(ちょっと千早!、この伊織ちゃんを置いて死ぬなんて許さないからね!あ、あんたは…そんな弱い子じゃ、ないでしょ?)」
『(千早お姉ちゃん!、亜美も真美もまってるよ!、いーっぱいお話聴かせてね!)』
「(千早ちゃん~、お姉さんはいつでも側にいるわ。頑張ってね)」
「(千早、貴方は誰よりも頑張れる子よ。負けないでね、それがたとえ、私達の手が届かない場所でも信じてるわ)」
「(姉ちゃん…)」
「水瀬さん、亜美、真美っ、あずささん、律子っ・・・!!、っ…優っ!!!?」
「(僕の好きな姉ちゃんは、歌が好きで、どんなことも頑張れるお姉ちゃんだもん。絶対に負けないよね?」
「優…、ユウー!!!!」
引き抜き勢いのまま地面に突き刺す。
「はぁ、はぁ…!!あ、あれ?優、幻、だったのね…」
「如月くんも合格だ。君達はよほど素晴らしい仲間に恵まれていたんだろうね。精神的に支えになってくれる親友はかけがえのないものだ。大切にしたまえ」
「…博士、はいっ!!」
「いやぁそれにしても、二人共新型か。この極東支部にも新しい風が吹きそうだね」
「しん、がた?」
「まぁそれについてはおいおい説明しよう。二人共すごく疲れているだろう?とりあえず再度メディカルチェックをしておこう。吐き気などは大丈夫かな?」
「大丈夫です!」
「ええ、ありません」
「よろしい、それでは向かおう」
そういうサカキについていく二人。ようやくGOD EATERになれた二人。二人の本格的な戦いが、これから始まるのだった
はい、こんな感じになりました。適合試験の光景も難しいね、ゲームじゃ一瞬だったもんねえ。苦しそうなのはみえてたけど。
しかしGEになるまで4話かかりましたね。しかし色々描きたいことも多かったので自分では満足しています
さて今度から戦いの話に、なっていくと思います。では、そんな感じで!