GATE 自衛官 彼の地にて 潔く戦えり   作:ほにゃー

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准尉は、たたき上げの古参陸曹に対して、さらにずば抜けて優秀な人のみが昇進する特殊階級だから、I幹部が准尉になることは無いとの感想を頂いたので、オリ主は元々三等陸尉だった設定に変更しました。

伊丹は銀座の一件での、指揮能力を評価され昇進したことにしました。


第三話 生存者

異世界に来て最初に俺達を出迎えたのは異世界の軍勢だった。

 

数は俺達よりも多く、数だけ見れば俺達の不利にも思えた。

 

だが、向うの武器は剣や槍、弓などで、乗り物は馬やワイバーン。

 

それに対し、こちらは銃や迫撃砲、高射機関砲、乗り物だって戦車や戦闘ヘリ。

 

いくら数が多くても、昔のローマ兵の様な装備の彼等は、現代兵器の前では無力に等しかった。

 

そんな事を思いながら、俺は伊丹と倉田と一緒に、昨夜、夜襲を仕掛けてきた軍勢を攻撃した後の跡地を歩いていた。

 

「敵の死者、概算で六万だそうですよ」

 

「銀座でも六万だったな」

 

「合わせて十二万か」

 

伊丹が折れた弓を拾い言う。

 

「敵の心配ですか?」

 

「だって、十二万だぞ?俺たちの相手、一体どんな国なんだよ」

 

そう言い、折れた弓を遠くに投げる。

 

その後、俺と伊丹は第五戦闘団団長、要するに上官に呼ばれた。

 

その内容とは、今後の方針を決めるため、この地の人間・産業・宗教・政治・経済の調査が必要と言う物だった。

 

「調査ですか。それが良いかもですね」

 

こんな時に何を呑気な事を。

 

「良いかもじゃない!」

 

「つまり、その調査を俺と伊丹にやれっと言うことですか?」

 

「橘の言う通りだ」

 

やっぱりか。

 

まぁ、俺達を呼んだってことはそう言う事だって予想してたけど。

 

「まさか二人だけでいけと?」

 

「そんなこと言う訳ないだろ。まず六個の深部情報偵察隊を編成する。伊丹、君の任務はその内の一つの隊の指揮だ。そして、橘の任務は伊丹の補佐、つまり伊丹の隊の副隊長をしてもらう。担当地域の人間と接触して民情を把握。可能なら友好的な関係を結んで来たまえ」

 

「はぁ……まぁそう言う事なら」

 

「了解です」

 

「よろしい。伊丹耀司二等陸尉は第三偵察部隊隊長を、橘真司三等陸尉は第三偵察部隊副隊長を命じる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

副隊長を命じられた後、俺と伊丹は第三偵察部隊のメンツと顔を合わせ、簡単な挨拶をした。

 

部隊の中には倉田やおやっさんと呼ばれて親しまれてる桑原さんもいた。

 

他のメンツも大体は顔見知りだ。

 

てか、副隊長ならおやっさんがした方がいいと思うんだが……………

 

これも全部、あの日伊丹が遅刻した所為だ。

 

倉田が運転する高機動車に揺られながら窓の外を眺めている内に、俺達は担当地域のコダ村に到着し、捕虜として捕まえた兵士から教わったこの地の言語を使い、村長と話す。

 

すると少し行った先に集落があるらしくそこに向かうことになった。

 

向かう途中伊丹は窓から空を眺め

 

「流石、異世界。空が青いな」

 

そう言った。

 

「こんな風景、北海道にだってありますよ。ドラゴンや妖精が飛んでたりするのを想像してたんですけどねぇ。これまで通って来た集落は人間ばっかだし、がっくりっす」

 

「そんなに猫耳娘がいいのか?」

 

「別に猫娘でも、妖艶な魔女でも。隊長の好みはどうなんです?」

 

「俺は………魔法少女かな」

 

伊丹がだらしない笑みを浮かべ言う。

 

「マジっすか?」

 

「メイコンのエミュがなぁ~」

 

「ああそこっすか」

 

「何?お前、俺の嫁を悪く言うと怒るよ?」

 

「あ、でも、俺メイコンのOP歌えますよ」

 

「本当か!?」

 

「はい!」

 

すると、俺達の車両からメイコンのOPを合唱する伊丹と倉田の姿がそこにあった。

 

OPを歌い終わると、倉田は思い出した様に後ろに座る俺に言葉を掛ける。

 

「それで、副隊長の好みは何ですか?」

 

「…………教えない」

 

「ええ~!教えてくださいよぉ~」

 

「………引かないなら教える」

 

「引きませんから!」

 

そこまで言うなら教えてもいいかな…………

 

「ロリキャラ。それで貧乳キャラなら尚良し」

 

「うわっ………マジっすか?」

 

「お前、今引いただろ!」

 

「いや!引いてないっすよ!」

 

「いや引いたね!絶対引いた!」

 

俺と倉田のそんな姿を見て、助手席の伊丹は笑っていた。

 

それからずっと高機動車を走らせていると、陽が沈み、空が夕焼け色になり始めた頃、富田が口を開いた。

 

「しかし、何で持ち込んだ武装は全部旧式装備なんでしょうかね。一応、車両は現存ですが」

 

「予算の都合じゃないかな。最悪こっちに全部投棄して退却ってこともあるかもしれないし」

 

富田の質問に伊丹が答える。

 

「捨ててしまっても良い武装ってことですか」

 

「それに最新式は電子装備満載だが、衛星も無いこんな所じゃGPSも使えないしな」

 

付け加えるように俺も富田に言う。

 

「適材適所って奴ですな。あ、倉田この先の川を右折して川沿いに進め。そうすればコダ村の村長が言ってた森が見えるはずだ」

 

するとおやっさんの言った通り、川が見え、倉田は言われた通り右折し、川沿いを進む。

 

「本当だ、流石おやっさん。頼りにしてるよ」

 

「頼られついでに意見具申をします、伊丹隊長。森の手前で夜営しましょう」

 

「賛成」

 

「一気に乗り込まないんですか?」

 

夜営と言う言葉に倉田が反応をする。

 

「今はいれば何が居るかも分からない森で夜になっちまう。そうなれば暗い森で立ち往生の可能性もある。それに、森の中に集落があれば現地の人間を脅かし兼ねない。だからでしょ、隊長」

 

助手席の伊丹に尋ねるように聞くと、伊丹は「正解」っと笑って言う。

 

「俺達、国民に愛される自衛隊だよ。それに、この任務は友好的な関係を結ぶのが任務だからね」

 

そう言い、伊丹はこの国の言語を纏めた手帳を見ながら会話できように練習をする。

 

だがかなりたどたどしい。

 

「棒読みっすね。駅前留学に通ったらどうです?」

 

「うるせぇ!」

 

手帳を倉田に投げつけ、伊丹が怒る。

 

「あれ?」

 

すると倉田が急に前の方を見てそう言う。

 

伊丹もそれにつられ、前を見るので、俺も見る。

 

「あれは!?」

 

おやっさんが声を上げる。

 

何故なら、森からは黒い煙が大量に上がり、赤く燃えていた。

 

「火事か!?」

 

俺達は森の手前で車両を止め、火事を見つめる。

 

「大自然の驚異だな」

 

伊丹は火事を見つめそう言う。

 

「と言うより、怪獣映画です」

 

「え?」

 

おやっさんが双眼鏡で見ている方向を向き、俺も双眼鏡で見る。

 

するとそこには、ドラゴンが口から火を吐き、森を燃やしてる姿があった。

 

「マジかよ………」

 

「まるで首一本のキングギドラだ」

 

「おやっさん、古いな」

 

「伊丹隊長」

 

隊員の栗林が伊丹の方を見て話す。

 

「これからどうなさいますか?」

 

「栗林ちゃ~ん、俺一人じゃ怖いから一緒に付いて来てくれる?」

 

「嫌です」

 

「あれま」

 

すると、ドラゴンは一吠えすると、翼を動かし、空へと飛び上がる。

 

それに反応し、全員が銃を向けるが、ドラゴンはそのまま何処かへと飛び去った。

 

「なぁ、橘。ドラゴンって何も無い森を燃やす習性ってあると思うか?」

 

「………普通に考えて、それは無いと思います」

 

俺は燃え盛る森を見ながら、喋る。

 

「コダ村の村長言ってたよな。あの森には集落があるって」

 

そのことに、全員が慌てだす。

 

「まずい!」

 

「おやっさん!夜営は後回しだ!全員すぐに乗車!移動するぞ!」

 

俺は全員に命令を下し、森へと向かう。

 

移動してる最中、豪雨が振り、火事は鎮火された。

 

集落は完全に燃え、建物は焼け落ちてしまい何も残っていなかった。

 

遺体も完全に燃え、炭化していた。

 

酷い物だな………………

 

焼けた集落の調査を終えると、伊丹は井戸の縁に座り息を吐く。

 

俺はその隣に立ち、鉄帽を抜き、額の汗を拭う。

 

「隊長、副隊長」

 

すると栗林が近づいて来る。

 

「この集落には建物の様な構造物が三十二軒。遺体は確認できたので二十七体です」

 

「建物の数に比べて人の数が少な過ぎだな」

 

「恐らく、建物が焼け崩れた際に下敷きになったのかと」

 

「あるいは、骨が残らないぐらいに燃えたかだな」

 

鉄帽を被り直し、俺はそう言う。

 

「一軒に三人として、百人近い人数が死んだのか」

 

「酷い物です」

 

「こっちのドラゴンは人を襲うことがあるって報告しておかないとな」

 

「ゲートの防衛線で倒した小さなドラゴンも、12.7mm徹甲弾で腹部をどうにか貫通とのことでした」

 

「ちょっとした装甲車だね。ドラゴンの巣と出没範囲を調べて置かない」

 

そう言い、伊丹は桶を井戸に落し、水を汲もうとする。

 

すると、井戸の底からコーンと言う音が聞こえ、俺達は井戸を見る。

 

「今、なんか……」

 

「コーンって音がしましたね」

 

そう言うと、伊丹が井戸の中を覗く。

 

俺と栗林も一緒に覗き込み、底の方をライトで照らす。

 

すると、井戸の底には水に浮かぶ人がいた。

 

「人がいるぞ!」

 

この集落での唯一の生存者か。




次回辺りでレレイが出す予定です
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