異世界に召喚された勇者の友人の物語   作:リリカル☆レモン

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今回ちょっと長め。


何かが起こっても前向きに考えれば大体上手くいくと思ってた

「帰れない…帰れない…元の世界に帰れない…」

「大きな光が点いたり消えたりしている…彗星かな?いや、違うな。彗星はもっと、バーッて動くもんな」

 

現在、俺とシンクは絶望していた。突然フロニャルドに連れてこられたと思ったら、元の世界に帰れないとのこと。強制的に連れてこられた上に帰れないとか酷すぎる。ちなみに、点いたり消えたりしているのは彗星ではなく花火である。

 

「おい、変態勇者とハルト。いい加減に戻ってこい」

「へ、変態!?ちょっと酷くない!?」

「お前、この短時間で色々やらかしたんだから変態言われても無理ないぞ」

 

こんなこと、知り合いが知ったらどうなるか…ベッキー辺りの反応が怖いな。

 

「んで、エクレ。何か用があるの?」

「ああ。お前たちを城下町に連れていこうと思ってな」

「なるほど。了解」

 

 

 

俺とシンク、そしてエクレとあの犬で向かい、城下町に着いたのだが、シンクはさすがに疲れたのか、ベンチに座っていた。

 

「あ、そうだ!」

「どうしたシンク?…あ、なるほど」

 

シンクが携帯を取り出したので、疑問はすぐに解けた。

 

「どうだ?」

「…ダメみたい。電波が届いてない」

「だよなぁ…異世界だもんなあ」

 

微かな希望も砕かれ、更に落胆する俺達。

 

「全く、覚悟もないのに召喚に応じるからだ」

「覚悟!?覚悟も何もこのわんこが!」

「そうだそうだ!こいつが急に落とし穴作りやがったんだ!」

「落とし穴?タツマキが?」

 

全員であの犬…タツマキの方を向いたが、タツマキは首を横に振り、小さな紋章陣を出した…というか俺達を落としたあれだった。

んで、タツマキは手を紋章陣の上に置いた。そのすぐそばに書いてある文字を読め、ということらしい。

 

「…なんてかいてあるんだ?エクレ、頼む」

「何々?『ようこそ、フロニャルド。おいでませビスコッティ』」

 

うん、普通だな。それがどうしたっていうんだ?

 

「『注意、これは勇者召喚です。召喚されると帰れません』」

「「え」」

「『召喚を拒否する場合はこの紋を踏まないでください』」

 

タツマキは「ほら、ちゃんと書いてあるぞ」みたいな目をしていたのだが…

 

「「んなもん分かるか!」」

「私に言うな!」

 

文字は読めんわ、シンクは空中にいたんだから踏む以前の問題だし、何なのこれ。

 

「まあ、元の世界に返す方法は、学院組が調査中だ。じきに分かるさ」

「だといいけど…」

「取り敢えずは…その、なんだ。お前たちは、一人はアホだが、賓客扱いだ。ここでの暮らしに不自由はさせん。一先ず、これを受け取っておけ」

 

と、俺とシンクに袋を渡して来た。取り敢えず降ってみると、硬貨らしき音がジャラジャラ鳴った。え、結構重いぞこれ?

 

「エクレ、これって?」

「戦での活躍した報酬金だ。ないとは思うが、受け取りを拒否すれば財務の担当者が青ざめる」

 

との脅迫めいたことを言われたので、俺達は渋々受け取る。

 

「兵士達も楽しみたいから参加するものも多いだろうが、報酬金は自分がどれだけ戦に貢献できたかの目安だ。少なくとも、参加費を取り返したい、というのも本音だろうがな」

「え、参加費!?」

「へー、無料で出れるって訳でもないのか」

「…このことも知らないのか。これはかなり初歩的なことから教えてやらんとな」

 

と、ため息をつかれる。だって、俺達異世界から来たんだから、こっちの常識なんて何にも知らないし…

 

 

 

その後も俺達はエクレに教えてもらいながら城下町を回っていた。幸い、金の使い方は地球とさほど変わらなかったので、その辺りはすぐに分かった。

 

「戦は国交手段でもあるが、同時に国や組織を挙げてのイベント興行でもある。今回はガレットと戦ったが、もっと規模の小さい、村同士や団体同士の内戦があるな」

「村対抗の競技大会兼…お祭りみたいなもの?」

「まぁ、そんな言い方も…出来るか」

「そんで、戦はどうやったら始められるんだ?」

「戦の興行を行う際には、興行主が参加費用を集めて、それを両国がそれぞれに献上する。そして、戦を行い戦勝国が約6割、敗戦国は残りの約4割を受け取る。これは大陸協定で決められた基本の割合だ。分配した費用の内最低でも半分は参加した兵士への報奨金へと当てられる。この割合も協定で決まっている。

そして残り半分が戦興行にいる国益だ。病院を建てたり、砦を造ったり、ホームのために働くものを養ったりと国を守る為に使われている」

「「へぇー」」

 

何か、本当に皆で一から作ってワイワイやるお祭りって感じだな。

 

「後さ、えーと、本物の戦争というか大陸協定っていうのを守らなかったり人が死んじゃったりとかは……」

「歴史を紐解けば、そういった争いもなくはない。まず魔物との戦いではな」

 

…さすがに死んだりしたこともあるのか…ん?

 

「魔物?魔物も存在するのか?」

「あぁ。我々が負傷せずにいられるのは戦場指定地に眠る戦災守護のフロニャ力のおかげだ」

「じゃあ、守護されてる場所ってどれくらいなの?」

「元々守護力が強い街や国、砦が出来ているが、街道や山河は危険が多いな。特に街道は大型野生動物の危険度も高い。だが、戦のために移動する隊列に加われば、逆に安全な旅が出来るという利点もある」

 

なるほど。ていうかエクレ、かなり丁寧に説明してくれたな。

 

「ありがと、エクレ。だいたい分かったよ」

「ああ。…しかし、お前達は本当に何も知らんのだな」

 

悪気はないのだろうが、ちょっと気に障る言い方だな。まあ、そういう性格なんだろうけど。

 

「取り敢えず、リコのとこに行くぞ」

「リコ?リコに何か用があるの?」

「何だ、もう会ったのか」

「えーっと、僕は知らないんだけど、そのリコって誰?」

「さっき言っただろ、学院組が調査していると。そこの主席がリコッタ•エルマール。私の友人で、皆からはリコと呼ばれている。で、何か進展があったかも知れない」

 

…主席?あのちっさい子が?確かに詳しく説明してくれたから頭良いのかなとは思ったけど…

 

「春人、どうしたの?」

「あ、うん。今行く」

 

 

 

「申し訳ないであります!このリコッタ•エルマール、勇者様とハルト様がご帰還される方法を探していたのでありますが、どうにもこうにも…」

 

開口一番、全力で謝って来た。

 

「落ち着け、リコ。私達も、そんなにすぐ方法が見つかるとは思っていない」

「え」

「ああ。今すぐ見つけようと思わずに、出来る範囲で探してくれればいいよ」

「そ、そうだよ、うん!」

 

シンク…

 

「そ、それで、いつ頃までに見つければ宜しいのでありますか?」

「えっと、春休み終了の3日前…の、前日に帰らないと行けないから…」

「後16日。それまでに見つけてくれれば」

「16日!それなら希望が湧いてきたであります!」

 

暗かった表情から一転、明るい笑顔に変わった。何か、小動物っぽい感じがするな。

 

「あ、そうだ!リコ。ちょっと試してみたいことがあるんだけど…」

「なんでありますか?」

「召喚されたところで、電波って繋がるかな?」

「…電波?」

 

 

 

「ぐっ…ぬうぅぅぅぅ!!」

「どう、リコ?そっちは準備整った?」

「もうちょっとであります〜」

 

現在、俺達は召喚された所に来ている。シンクは通ってきた穴から帰れないかと頑張っているが、あの様子だと無理だろう。

で、俺はリコと一緒に機械の準備をしている。俺も一緒に見てみたら手伝えそうだったので一緒にやっている。

 

「よし、出来たであります!」

「こっちも。おーい、シンクー!準備出来たぞー!」

 

で、機械を運ぶ。

 

「えっと、これは?」

 

「放送で使うフロニャ周波を強化、増幅する機材であります。自分が5歳の時に発明したものでありますが、今は世界中で使われているのでありますよ」

 

中身、どうなってんだろう…解体させてくれないかな…あ、そうだ。

 

「なあ、エクレ」

 

俺はエクレに小声で話しかける。

 

「何だ?」

「リコって今何歳なの?失礼だってことは分かってんだけど…」

「13だ。まあ、初めて知るやつは皆驚くがな」

 

うん、俺も驚いた。俺達と同年代か。体にいく栄養殆んどが脳にいってるんじゃないかな。

そして、リコが機械のレバーを降ろした。

 

「では、勇者様、ハルト様」

「あ、うん」

 

と、確かめるか。携帯を開いてみると、圏外だったものが3本立っていた。

 

「おお!本当に繋がった!」

「立った!凄い、リコッタ凄い!」

「ありがとうございます!感激であります!」

 

よし、じゃあ取り敢えず家族に連絡するか。

 

 

取り敢えず、暫く帰れない事と、自分は元気だ、ということを伝えておいた。

 

「さて、と…シンクはまだ連絡してるんだな」

「そうでありますね…あの、ハルト様?」

「何?」

 

なんか、変な感じがする…

 

「ちょーっと、私にその、けーたい、というものを解体させて欲しいのでありますが…」

 

嫌な予感的中。そして思った。この子は俺と同類だと。

 

「んー、解体はダメだけど、材料さえ揃えば同じものは作れるよ」

「本当でありますか!?」

「ただ、元は俺達の世界のものだから、普及させていいのか不安だし、そもそもサーバーっていう大きな機械がないと電話とかは出来ないから、たぶんリコ専用になると思うけど…それでいい?」

「構わないであります!お願いするであります!」

 

やっぱり、自分が知らないものを見たり、新しい機械を見ると興奮するタイプだったな。

 

「本当ですか!それは心強い!」

「ん?」

 

突然、エクレが嬉しそうに大きな声を出した。そして、シンクも連絡が終わったらしい。

 

「どうしたの、エクレ?」

「何かあったでありますか?」

「ダルキアン卿が戻ってこられる!」

「本当でありますか!?ならユッキーも一緒でありますね!」

「「ダルキアン卿?ユッキー?」」

 

誰?

 

「ビスコッティ最強の騎士、ダルキアン卿と我らの友人ユキカゼだ!」

「二人とも、とっても頼りになるのであります!」

「へぇー」

 

…最強ってことは、あのレオ閣下より強いんだよな?一体どんな人なんだろう…

 

 

 

あの後、俺達は城に連れていかれた。滞在中はここで過ごしてくれ、とのことと、汗臭い状態でコンサートに行ったら失礼だと言われたので、リコに案内して貰い、風呂に入った。ちなみに、俺はリコ、シンクはエクレに案内してもらった。が、正直言って、シンクは城の中を詳しく案内してもらってないと思う。ちゃんと風呂入れたのか?

で、俺は現在リコにこの世界の文字を教えてもらっている。なんでも、主席は働きすぎだ、とか言われて暇だったらしく、俺の部屋にわざわざ来てくれて文字を教えてくれている。

 

「…というわけなのでありますが、覚えられたでありますか?」

「取り敢えずは。ありがとう、リコ」

「いえ、自分も暇だったので。ハルト様に教えて差し上げられて良かったであります」

「…その様っての、やめていいんだぞ?エクレと話す時みたいに軽くでいいよ」

「…じゃあ、ハルトって呼ぶであります」

 

そんな感じで、リコと話していた。

 

暫くして、

 

「きゃー!」

「今のって…」

「姫様であります!」

 

どうやら一大事らしく、急いで外に出た。何処かと上を見上げたら、その様子が中継されていた。

屋根の上に3人の女の子が立っており、姫様がその一人に抱えられていた。

 

『我ら、ガレット獅子団領!』

『ガウ様直属秘密情報部隊』

『『『ジェノワーズ!』』』

 

自己紹介を終えた後、花火が上がった。

 

「リコ、あの3人は?」

「ガレットの仲良し3人組で、ガレット領王子のガウル•ガレット•デ•ロワの護衛のような部隊であります」

「…ん?ガレット•デ•ロワってことは…」

「はい。レオ様の弟であります」

 

リコから簡潔に教えてもらった後、3人組は話を続けた。

 

『ビスコッティの勇者殿。貴方達の大切な姫様は我々が攫わせて頂きます』

『うちらはミオン砦で待ってるからなー!』

『姫様のコンサートが始まるまで後一刻半。それまでに無事助けられますか?』

『つまり、大陸協定に基づいて、要人誘拐奪還戦を開催させて頂きたく思います。此方の兵力は200。ガウル様直轄の精鋭部隊』

『で、ガウル様は勇者様との一騎打ちをご所望です』

 

…大陸協定?てことは、これって国同士の正式な戦?…やばい。

 

「マズイ、リコ。シンクの奴、絶対に国同士の戦じゃなく個人的な戦だと勘違いしてる!」

「え!?そ、それはピンチなのであります!」

 

頼む、気づいてくれ!

 

『勇者さんが断ったら姫様がどうなるか…』

『受けて立つに決まってる。僕は姫様に呼んでもらった、ビスコッティの勇者シンクだ!どこの誰とだって戦ってやる!』

 

…よし。

 

「リコ。俺が昼の戦で使った装備って用意できる?」

「も、勿論であります。私も参加するので、少し遅れると思うでありますが…」

「大丈夫。ちょっと出発する前にやることが出来たから、準備してて」

「は、はいであります…」

 

そして、車椅子を出口に向かって全力で漕ぐ。暫くして走るシンクと、俺の反対側から全力で走るエクレの姿が見えた。恐らく考えていることは同じだろうから、目で合図する。

 

「あ、春人、エクレ!姫様が攫われちゃったんだ!」

 

シンクが何か言っているが、俺達は止まらない。

 

「姫様を助けるために、協力して欲しいんだ、けど…」

 

エクレは飛び、そして俺は右腕を後ろに下げ、

 

「「こんのど阿呆がぁぁぁぁ!!」」

 

飛び蹴りと全力の殴りを同時に直撃させ、シンクを吹っ飛ばした。




そこまで変わらなかった話。正直ここまで露骨にかけばヒロインバレてるよね。
次回のミオン砦どうしよう…ハルトをどう扱うか全く考えが浮かばない…
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