理の錬金術師   作:ヤーマラーマ

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第6話

 列車に揺られること二時間、ルークたちは目的地に着きつつあった。狭い車内でナツとグレイが、ルーシィとエルザの間にルークが座っている。ナツはお決まりの乗り物酔い、そして何故かルークは魂が抜けたようにピクリともしない

 

「お、おい....エルザ....ルーク大丈夫か?あの後何があったんだよ....」

「大丈夫だ、少し寝てるだけだ。着いたら起こす。」

「あ、あぁ....で、あの後ーーー」

「え?」

「いや、あれからーー」

「んん?」

「........ルーシィ、知ってるか?.....」

「??何のこと言ってるか分からないわね」

「いや、もういい....分かったから....」

 

そう言ってグレイはあの後ルークがどうなったか考えるのをやめた。だが思う。相当な事をされたのだなと、これを見てエルザと闘おうと思ったナツはどっかイカれてんなと。

 

「そ、それより仕事の話だ、何でわざわざ俺たちを連れてきたんだよ」

「そうよ、何でこの私がアンタと一緒に仕事しなきゃいけないのよ。しょうもない事だったら私帰るからね」

「元々貴様は呼んでない。帰りたいなら今すぐ帰ってもいいのだぞ。一人でな」

「先生も一緒に決まってるじゃない。もう、いいから話なさいよ」

「ふん、あれはな。先の仕事の帰りだ。オニバスで酒場に寄った時、少々気になる輩がおってな....」

「あら!!ついにエルザったら先生を諦めたの?良いことじゃない!それでそれで?」

「誰がそんなことを言った?切り殺すぞ」

「おいおい、やめろって....これじゃあ話が進まねぇよ....」

 

今にも喧嘩しそうな二人をグレイが仲介する。何時もは喧嘩をする側の自分がなぜこんなことをしなきゃならんのか、と悲観に暮れていた。

そしてエルザの話を纏めるとこうだ。酒場には柄の悪い魔導士がテーブルの一角で騒いでいてララバイ、封印などの事を言っていた、とのことだがそれだけではないとエルザは言う。

 

「その者たちがエリゴールと呼ぶものにその時は気付かなかったが、後になって思い出したのだ。魔導士ギルド鉄の森(アイゼンヴァルト)のエース、死神エリゴール。」

 

曰く暗殺系の依頼ばかりを遂行し続けたことが奴にその二つ名を与える理由となったそうな。勿論暗殺などの依頼は評議院によって禁止されている。その禁を破った彼ら鉄の森は解散命令が出た、当時のマスターは逮捕され事実上ギルドは無くなった。しかし彼らはその命令を無視し未だに活動している、所謂闇ギルドというものである。

 

「で、そんな(こす)い奴ら相手に私達を呼んだわけ?」

 

ルーシィはそれでもなお、強気の姿勢を緩めなかった。正規の仕事も出来ないようなチンピラを相手に先生を呼ぶのかと

 

「はっ!バカを言うな。そんな事でわざわざルークを呼ぼうとは思わん。だが奴らはこうも言っていた。『これで石さえあれば計画は完璧だ』とな」

 

石、その言葉を放ったと同時に今まで死んだような様だったルークの目に光りが灯る

 

「ほぉ、それはそれは」

 

ルークは体を起こすとエルザに視線を向け続きを促す

 

「うむ、奴らが何に石を使おうとしているのかは知らんがろくな事ではないだろう」

 

「おいおい、ちょっと待てよ。そもそも石って何のことだよ?」

 

「それについては私が説明してやろう.....」

 

そう言うとルークは神妙な面持ちで語り始めた

 

「おそらく奴らが石と呼ぶものの正式名称は賢者の石、伝説上にしかない万能増幅器。これを用いれば少ない魔力で莫大な成果を出すことが出来るとされている」

 

「そんな物が実際にあるのか?」

 

「否、文字どうり伝説上にしかない。今まで賢者の石を作ろうと試みた魔導士は数多いるが未だ成功したという事例はないのが現実だ」

 

「そんなおとぎ話の代物を奴らは宛にしてんのか?馬鹿馬鹿しいぜ」

 

「ああ、その通りだ。連中はそんなお伽噺の伝説を計画の一部に組み込んでいる。普通なら馬鹿らしいと切り捨てるところだが鉄の森は六魔将軍(オラシオンセイス)、奴らの傘下だ。」

 

六魔将軍(オラシオンセイス)って確かバラム同盟の....」

 

「そうだ。あの屑どもが仮に成功し、今まさに性能テストを行おうとしているのならば....」

 

口の端を釣り上げ邪悪な笑みを浮かべクックックと笑うルークにグレイは思う。あぁ、エルザやルーシィはこいつの弟子だったなと。

 

「まぁ、仮定の話だ。今回は........今回は........ん?何故私はこの仕事を受けたのだ?と言うかここ最近の記憶がないのだが....」

 

「おいおいしっかりしろよ、確か報酬にミラがごふるぁぁぁぁ!!」

 

「ぐ、グレイ?!」

 

「もう、先生からお金がないから依頼を受けようって言ったんじゃないですか。忘れちゃだめでしょう?」

 

「グレイもナツと同じく乗り物酔いのようだな、着くまでゆっくりするといい」

 

「いや、思いっきり腹に一撃入れられてるんだが....」

 

「乗り物酔いだよなぁ?」「乗り物酔いですよね?」

 

「そ、そうだな........」

 

そんなこんなで列車の旅は終わりを迎え列車から降りた一向はとりあえずエルザが目撃した酒場へ行くことにした。奴らの本拠地が何処にあるのか分からないのが主な理由だ。だが列車を降りた一向はナツがいないことに気づいた。

 

「あ、あれ?....ヤバイヤバイ....誰かナツを連れてきた?」

 

「「「あ」」」

 

 

 

 

 

 

そのころナツは鉄の森のカゲヤマと対峙していた。エルザたちが居なくなったことにも気付かず列車に乗り続けていた

 

「おいおい、無視するんじゃないよ?」

 

「あ、あぁ?....こちとら今気分がわりぃんだ....話をする気分じゃないんだよ....」

 

「そうつれないこと言うなよ?妖精の尻尾だろう?君。正規ギルドかぁ....羨ましいなぁ…」

 

「そ、そういうお前は正規ギルドじゃねぇのかよ…」

 

「あぁ、そうだよ?僕たちは鉄の森、闇ギルドさ」

 

「そ、そうか…それで?」

 

「だからぁ、ムカつくってンだよ!」

 

ナツの腹に蹴りを入れた。

 

「妖精のくせに!でけぇ態度取りやがって。俺たちの方が優れてるのに!」

 

「…あ?んなこと俺には関係ねぇだろうが…いい加減にしねぇと…」

 

「おお?やるってのか?」

 

ナツは拳に炎を纏って振り上げた。がその拳はカゲヤマに届く前に勢いを無くし終いには

 

「…お、おらぁ!........うっ!うぼろろろろろろろろ!!」

 

「おぃぃぃぃ!吐くんじゃねぇぇぇぇぇぇ!」

 

「ちょっ…ちょっとそのげろ袋貸して…おろろろろろろろろろろろろろろ!!!」

 

「ば、馬鹿野郎ぉ!!そ、それは!!」

 

ナツがげろ袋と思い思いっきり吐いたその中から骸の模様の笛が転がり落ちた。

 

「……うぅ、ん?んだこの気味悪い笛は…」

 

「み、見たな!!っっっっっっ!」

 

その時急に列車が急停車した。これはエルザたちが緊急停車信号を押したからであるがこの時のナツは知りようもない

 

「........止まった」

 

「列車が停まったからなんだってんだ!てめえの魔法なんざーー」

 

「ごちゃごちゃうるせぇ!!!」

 

先ほどまでとは比べるまでもないほどの炎をまとったナツの拳がカゲヤマの顔面に突き刺さった。数回バウンドしたカゲヤマはふらつきながらも立ち上がった

 

「く、くそ....ふざけやがって…」

 

『先程の急停車は誤報であることが確認されました。まもなく発車いたします。大変ご迷惑おかけしました。』

 

「や、やべ…」

 

その知らせを聞いたナツは一目散に荷物を手に取ると列車から逃げ出す準備を整えた

 

「に、逃がさんぞ!!鉄の森に手を出してただで済むと思うなよ!!」

 

「こっちこそお前の顔は覚えたぞ。覚悟しとけよこの野郎」

 

列車の窓の縁に足を掛けると躊躇なく窓を突き破った。飛び降りると追ってきたエルザ一向の魔導四輪と少々手荒な方々で合流はたし一同は列車を奪った鉄の森一向を追ってオシバナ駅に向かうこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労だったな、カゲヤマ」

 

「あ、あぁ....」

 

「それで、ララバイの方はーー」

 

「こ、これです....」

 

「ホウ…」

 

呪歌をエリゴールに渡すカゲヤマの表情は暗い。疑問に思ったエリゴールだったがそんなことより呪歌についてだ。

 

「皆聞け!!これこそが黒魔導士ゼレフが残した禁断の魔法、集団呪殺魔法呪歌だ!!これより我らの作戦は始まる」

 

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!さすがカゲちゃんだぜ!!

正規ギルドの連中に目にもの見せてやんぜ!!!

 

「ちょっと構えて見てくださいよエリゴールさん」

 

「あぁ、俺たちはその勇姿を見れないからな!!たのんます!!」

 

「おう、任せろ。........っう!!」

 

そう言って口許に呪歌を持ってきたエリゴールに酸っぱい匂いが飛び込んできた。下呂の匂い、まさしく下呂の匂いである。だがここで吐くわけにはいかない。鉄の森のエースとしての面子があるのだ!!

 

「…こ、こんなもんだろ…も、もうすぐ着くぞ、準備ーー」

 

「あっ!!写真!写真取っときましょうよ!」

 

「え?いや、写真なんて....」

 

「記念ですよ。記念!こんなこと二度とないですよ?ほらほらポーズ」

 

「ほらほら、エリゴールさん!呪歌を口に当てて!もっともっと!」

 

「そうそう!そんな感じです!いいですよ!ほらいつものニヒルな笑顔下さいよ!」

 

「あれ?エリゴールさんの顔色悪くね?」

 

「気のせいだろ気のせい…あ、あと一枚!動かないでくださいね」

 

作戦が始まる前からグロッキーなエリゴールであった

 

 

 

 

 

 

 

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