ヴァルキリードライヴ 7人の戦乙女と小さき勇者   作:ダーク・リベリオン

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DRIVE9 真実と現実はいつも無慈悲なもの

ちひろたちはビクニに来てから2日目の朝を迎えた

 

 

そんな中、2日の授業を受けるにあたり理事長が自分たちを指導してくれる先生を紹介すると言い出した

 

 

しかし、そうは言ってもその場には自分たちのほかに先生というような人がいない

 

 

いったいどう言うことなのかとちひろたちは疑問に感じていたが

 

 

その理由に気づくのにさほど時間はかからなかった

 

 

目の前にそびえる山が動いたかと思ったが

 

 

彼らが見ていたのは山ではなかった

 

 

そう、彼らの前に現れた機械仕掛けのヴァルキリーこそこのビクニを守護する「四神」の一人にして

 

 

ちひろたちを指導する先生ことコンゴウであった

 

 

コンゴウから放たれるプレッシャーは半端ないものだった

 

 

ちひろたち今年の新入生の威勢のよさに喜びを感じているコンゴウはふと、ちひろに目を向けた

 

 

会うのを愉しみにしていたコンゴウは好奇心からかちひろに戦いを申し出た

 

 

本来であれば先生であるコンゴウから戦いを申し出るというのはおかしな話しではあったが

 

 

この島での目的地に関してそれはさほど問題ではなかったため

 

 

理事長からも許可を経たコンゴウはちひろと戦うことにした

 

 

いきなりコンゴウと戦うということに納得できずにいた乱花であったが

 

 

ちひろに説得され、彼とドライヴした

 

 

そして今、ちひろと四神の一人、コンゴウとの戦いが幕を開けるのであった

 

 

 

 

 

 

 

「っ…」

 

 

その場は張り詰めた空気に支配されていた

 

 

剣を構えるちひろとその前にそびえ立つが如く圧倒的な存在感を放つコンゴウがどっしりと構える

 

 

その様子を倫花たちは見守っていた

 

 

『ふふ。遠慮はいらんぞ鉋咲ちひろ。お主のもつありったけの全力を我に見せてみよ!』

 

 

「はい、先生……では、行きます!!」

 

 

『こい!』

 

 

コンゴウの一言に緊張気味の心を落ち着かせ

 

 

いよいよちひろはコンゴウに攻め込んでいった

 

 

「はぁぁぁぁ」

 

 

ちひろは飛び上がるとともにその手に掴んでいた剣を勢いよく切り裂く

 

 

「やあぁぁぁぁ!!!」

 

 

『ふんぬ!』スッ

 

 

ちひろの斧とコンゴウの剣がぶつかり合う

 

 

凄まじい衝撃波があたりに広がる

 

 

「ぐっ!」シュタ

 

 

『…』

 

 

ちひろがざざあと地面を引きずりながら距離をとる

 

 

それを見ていたコンゴウはなにやら思うところがあるような顔をしていた

 

 

『次はわれの番だ。かわしきれるか!』

 

 

するとコンゴウは火器を使い全砲門に乱れ撃つ

 

 

「っ、うわわわぁぁぁ!!?」

 

 

辛くも回避するが

 

 

この威力、まともに喰らえばひとたまりもないものであった

 

 

しかし、コンゴウの攻撃はこれでは終わらなかった

 

 

『ぬぇい!!』

 

 

「っ!?うわぁぁぁぁ!!?」

 

 

「ちひろちゃん!?」

 

 

コンゴウが勢いよく振りかざした剣撃をとっさにガードするも力で押され、吹き飛ばされた

 

 

「(コンゴウ先生、近距離だけじゃなく遠距離まで…きついっ)」

 

 

地べたにうずくまりながら内心呟くちひろ

 

 

『そりゃあぁぁぁ!!』

 

 

「っ!うっ、うわぁぁ!!」

 

 

休む暇すらないと言わんばかりにコンゴウが刀を振り下ろし、ギリギリで回避こそすれど

 

 

地面に突き刺さると共に発生した風圧によりちひろは吹き飛ばされ

 

 

飛んで行った先にあった岩に体を思いっきりぶつけられた

 

 

『ちひろ!大丈夫なの!?』

 

 

「だっ、だいじょうぶだよお姉ちゃん」

 

 

大丈夫だと言うもそれが嘘だと言うのはこの場の誰しもが分かりきっていた

 

 

『どうした?おまえの力はそんなものなのか?』

 

 

「こ、これくらいっ!」

 

 

コンゴウの言葉に異議を唱えながらちひろは立ち上がる

 

 

「ちひろちゃん!もうやめて!」

 

 

見るに耐えなくなった倫花がちひろにやめるように言うも

 

 

「いやだっ!やあぁぁぁ!!」

 

 

「ちひろちゃん!」

 

 

倫花の話しに聞く耳持たず、再びコンゴウに挑んでいく

 

 

「えぇい!」

 

 

『っ!』

 

 

「僕はあの頃と違うんだ!強くなるんだ!やあぁぁぁぁ!!」

 

 

ちひろは今もてる渾身の力で技を繰り出す

 

 

………しかし

 

 

 

『踏み込みが浅い!』

 

 

「うわぁぁ!!?」

 

 

今もてる渾身の力を振り絞ってもコンゴウに軽く防がれ、逆に吹き飛ばされてしまうのであった

 

 

「まだ…まだっ!」

 

 

それでも尚戦おうとするちひろだったが

 

 

『もうよい、ここまでだ』

 

 

「っ!?」

 

 

そういうと、コンゴウが構えをとく

 

 

「ど、どう言うことですかコンゴウ先生!?」

 

 

『ちひろよ。…正直に言おう。我はお主に失望したぞ』

 

 

「っ!?」

 

 

コンゴウからのダメ出しにちひろはショックを受ける

 

 

「ど、どうしてですか先生!?ちひろちゃんは一生懸命に『喝!』っ!?」

 

 

『……ちひろ。主はリブレイダーでありながら、エクスターの能力を生かしきれてはおらん。何より、お主たちのドライヴは名ばかり、真の意味でドライヴを完成させてはおらぬ』

 

 

「そ、そんな…っ?」

 

 

自分たちのドライヴが完璧ではないと聞かされたちひろはさらなるショックを受けた

 

 

『お主は気づいておらぬだろうが、本来、ドライヴとは互いにバランスのとれたシンクロ率によって成り立つ、しかしお主たちのドライヴはリブレイターのシンクロ率が低すぎるため、エクスターがそれに合わせていることで成り立っている。つまり、倫花と乱花があえてお主に合わせているうえに力も通常以上にリブレイターに分け与えているため、こやつらの負荷は相当なものとなっている。お主が2人に頼りきっているせいで2人は無理をしているのだ』

 

 

「僕の…せいで」

 

 

「やめて!先生、やめてください!ちひろちゃんは悪くないんです!これは私たちが望んでしてるんです!」

 

 

「っ!?」

 

 

倫花がフォローするも、ちひろは姉たちがそれを知りながら何も言ってくれなかったのだという事実に絶望した

 

 

「やっぱり……僕の…せいなんだ」

 

 

激しく自分の弱さをちひろは痛感した

 

 

「……っ」

 

 

『えっ?…ちひろ?」

 

 

するとちひろは突然、乱花とのドライヴを解除した

 

 

「ごめんね倫花お姉ちゃん、乱花お姉ちゃん…僕のせいでそんな負担をかけていたんだね」

 

 

「そ、そんな!私たちは気にしてないんだよ!?」

 

 

「ちひろが気に病むことなんてないんだよ!」

 

 

暗い顔をしながら自分たちにそう告げるちひろを必死に慰めようとした2人だったが

 

 

「事実そうでしょ!?」クワッ

 

 

「「っ!?」」ビクッ

 

 

「僕がダメダメだから…僕が弱いから……お姉ちゃんたちにそんな負担をかけちゃってたんだ。言いわけなんて出来るわけないよ」

 

 

ちひろに論破されて言葉を失う

 

 

「っ!!」バッ

 

 

「「「『『っ!?』』」」」

 

 

少しの沈黙を破り、ちひろは一人駆け出していく

 

 

「ち、ちひろちゃん!?」

 

 

「まってちひろ!」

 

 

「ついてこないで!!」

 

 

追いかけようとする倫花と乱花をそういいとどめながら二人のほうを向いてちひろは告げる

 

 

「変われると思っていたけど…やっぱり僕はあの頃から何も変わってない、弱いままだ。こんな…こんな足でまといがいたらお姉ちゃんにこれからも迷惑がかかっちゃう。僕はもうお姉ちゃんたちのそばにはいられないんだ…っ!!」

 

 

「あっ!!」

 

 

「ちひろ!!」

 

 

そう言い残しちひろは振り返るそぶりも見せず、どこへともなく走り去って行ってしまうのだった

 

 

「ちひろちゃんが…ちひろちゃんが…うぅぅ」ウルウル

 

 

ちひろの失走に倫花はその場に泣崩れた

 

 

『……少し追い詰めてしまったようだな』

 

 

コンゴウもこれには自分も言いすぎたと反省の意を込める

 

 

「…先生!先生がちひろを追い込んだせいでちひろがいなくなったんですよ!?どうしてくれるんですか!!」

 

 

乱花が怒りのかぎりコンゴウに怒鳴りつける

 

 

『乱花さん!』

 

 

「っ!?」

 

 

『確かに今回は私たちにも非はあるかもしれません。あなたの気持ちもわかる。でもこうなった原因の一つはあなたたちが彼を甘やかしたことも原因よ。一概にコンゴウだけのせいというわけではないわ』

 

 

「そ、それは…」

 

 

理事長の私的に何も反論できなかった

 

 

『ともかくまずはちひろくんを連れ戻すことが先ね。直ちに数名に捜索依頼を出しましょう。では私はこれで』

 

 

そう言うと理事長が通信を終了する

 

 

「お姉ちゃん私たちも行こう!」

 

 

「うん!ちひろちゃん、待っててね!!」

 

 

そう言うと倫花と乱花はちひろを捜索に動き出していくのだった

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、コンゴウとちひろの戦いを遠くから観察していた者がいた

 

 

それは金髪のポニーテールの少女だった

 

 

「ふん。…思ってたほど大した事はなさそうね。相手を前に逃げ出すなんてとんだ臆病者ね」

 

 

ちひろとコンゴウの戦いを目にし、負けてしまい、そのまま失走したちひろの姿を目にしそうつぶやいた

 

 

「確かに今はそうでしょうね…今はまだ」

 

 

「っ?…小春?」

 

 

そんな彼女のもとに小春がやってきた

 

 

「なんであんたがここに?」

 

 

「その言葉、そっくり返しますよ。普段なら興味ないとか言って見向きもしないのに」

 

 

「別に、ただほんのちょっと興味が出ただけよ…でも所詮は期待はずれだったわね」

 

 

そう言いながら女性がその場を去ろうとする

 

 

「あまりちひろくんを見くびらないほうがいいですよ」

 

 

「っ?」

 

 

しかしそれを小春がいいとどめた

 

 

「今はまだ自分を見いだせずにいるけど、彼にはなにかとても不思議なものがあると私はそう思っています」

 

 

「あんたがそこまで入れ込むなんてね……まぁ、私には関係ないことよ」

 

 

「……ヴァイオラさん」

 

 

小春にそう言い残しながらヴァイオラはその場から去っていった

 

 

「(……ちひろくん。私はあなたがここで終わる人でないことを信じてますよ)」

 

 

ちひろにそう期待を寄せる小春だった

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに同時刻の時だった

 

 

 

ビクニ内のプールエリアにて1人の女性がその中を泳いでいた

 

 

しばらく泳いでいた女性はプールから上がる

 

 

「エルカ、エルカはいますか?」

 

 

「はい、お側に」

 

 

そんな中、彼女の呼びかけに応え、歩み寄ってくる女性がいた

 

 

エルカと呼ばれる女性がバスタオルを女性にかぶせる

 

 

「…例の件の方はどうなってますか?」

 

 

「はい、やはり最大限の手は尽くしておりますが、そう簡単には…」

 

 

エルカが歯がゆそうな顔をする

 

 

「焦らなくても機はいずれ来ます。その時が来れば……ね?」

 

 

「左様にございます」

 

 

女性の問いにエルカはうなづく

 

 

「少し出かけましょうかエルカ」

 

 

「今からですか?」

 

 

「気分転換です。もしかしたら何か面白いことがあるかもしれませんから。ふふふ」

 

 

「承知しました。お伴しますファサリさま」

 

 

そう言うとエルカは女性、ファサリの後についていく、

 

 

「今日はどんなことが待ってるのかしら?」

 

 

そしてファサリはなにやら楽しげな顔を浮かべながら1人呟くのであった

 

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