ヴァルキリードライヴ 7人の戦乙女と小さき勇者 作:ダーク・リベリオン
謎の女性、ファサリが送り出した刺客に捕らわれ、拉致されてしまったちひろ
そんな彼を攫った刺客達の元にファサリとの戦いを放棄し、探しに来た乱花と遭遇した
乱花は奪われたちひろを刺客達から取り返そうと闘うも、ファサリとの戦いでのダメージが災いし、逆に窮地に落ちてしまった
その時、目を覚ましたちひろが乱花達の前に現れ、乱花の代わりに倫花とドライヴし、刺客達に挑んだ
最初こそ押していたものの、進むにつれてだんだんと押され始め、結果的に乱花の二の舞となってしまった
もはやこれまでという状況に陥りながらも、最後まで守りたいと3人が思った時、奇跡が起き
光とともに現れたちひろが、手にした大鎌を振るい敵をなぎ倒した
しかし、異変を感じ駆けつけた小春の前で力つき倒れるとともにドライヴが解除され、3人はそのまま気を失ったのであった
「倫花お姉ちゃん、乱花お姉ちゃん、お願い!」
「うん!」
「OK!」
訓練所にてちひろが張り切る中、倫花と乱花がその訓練に協力し
マナたちは少し離れた場所からその様子を見学していた
「ちひろくん、あれから妙に張り切っているようですが何かあったんですかね?」
「戦いに恐れをなして尻尾巻いて逃げたと思ったら、まるで別人のような感じたな?」
ここ最近の様子を見ていたマナと桃がちひろについての話題を話していると
「「「ドライヴ!!」」」
ちひろ、倫花、乱花の3人がその掛け声を一斉に唱えると
3人を中心としてエネルギー波が発生する
「あっ、始まったみたいですね」
「今日こそは成功するか?」
マナと桃が見守る中、倫花と乱花がエクスターとなり、光となった2人を掴む
しかし、掴んだ時、制御しきれない程のエネルギーが逆流し、荒れ狂う波のごとく凄まじい勢いを放ち、ちひろたちのドライヴの完成を邪魔する
そして次の瞬間
「ふみゃっ!?」
「きゃあっ!?」
「うわっ!?」
エネルギーを制御しきれずにドライヴが失敗し、3人がその場に倒れこむ
「だ、大丈夫ですかみなさん!?」
マナが急いで3人に駆け寄る
「今回も失敗……正直信じられないな。1人のリブレイターと2人のエクスターでのドライヴなど」
何度も失敗した光景を見ていた桃はそんなことをつぶやく
「ち、ちひろくん、大丈夫ですか?」
「あっ、はい…なんとか」
「えへへ、また失敗しちゃったね」
「くぅ~。やっぱ難しいわね」
ちひろ、倫花、乱花の三人はこのドライヴの難易度にそれぞれ口をこぼしていた
さて、まずは話を進める前になぜちひろたちがこのようなことをしているかについて語ろう
『ちひろくん。呼び出された理由は言わずともわかりますね?』
「……はい」
それはちひろ拉致事件から翌日のこと、ちひろは理事長から呼び出され、個室に入るとそこにはモニター越しの理事長と小春がいた
恐る恐るちひろは理事長の顔を覗くと、理事長はやはり怒っているみたいであった
『コンゴウ先生との授業中に無許可の逃亡はもとい、不審な女子生徒達から拉致事件が起こりビクニに混乱を用いた。被害者であるとはいえ、君が逃亡したことが招いた事態なのよ』
「…はい」
『君が勝手なことをしたせいで倫花さん達がどれだけ心配したか…もちろん私達だって心配したんだから』
「っ…はい」
理事長の言うことはどれもこれも正しいし、正論のため何も言い出せないちひろはただただ椅子に座りながら蹲るしかできなかった
『今回は大目に見てあげるけど、本来なら処罰として謹慎処分を与えられても仕方ないことなのよ?そのところ肝に命じて起きなさい』
「はい。もうしません…ごめんなさい」
『よろしい、よく反省するように』
言い訳もせず、素直に自分の非を認めたちひろを見て理事長はこれ以上のことは責めないことにした
「理事長、そろそろよろしいでしょうか?」
『えぇ、わかってるわ小春さん。……ちひろくん。今回の件を不問に付す代わりに一つ質問に答えてくれるかしら?』
「質問ですか?」
ちひろは理事長と小春が今以上に真剣な表情で自分を見つめていることにおどおどする
いったいなにかと不安を募らせた
「ちひろくん。君にどうしても聞きたいのです。…教えてください、あれはなんなのですか?」
「あれ?」
小春がちひろに質問するも当のちひろは小春の言っていることの意味がわからず小首を傾げる
「あの時、私が駆けつけた時、私は見ました。あなたが倫花さんと乱花さん、2人とドライヴした姿を」
「えっ?」
「本来、ドライヴはリブレイターとエクスター、互いに1人ずつでなければできない…ですが君は倫花さんと乱花さんとドライヴし、見事成功させた。君にそんな能力があったなんて驚きですよ」
何故なら倫花と乱花、2人のエクスターとドライヴし、敵をなぎ倒したちひろの強さは本物だったことを小春はこの目でしかと見たのだから
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!僕があの時ドライヴしたのは倫花お姉ちゃんですよ?」
「『えっ?』」
「いけると思ったんですが、やっぱりダメで、お姉ちゃん達が僕を庇おうとして…あの時は焦りましたよ」
誤魔化している様子もなく、本当にわからないのだと言うことは彼の反応を見れば一目瞭然だった
「(…やっぱりちひろくんも知らないようですね理事長。先ほど倫花さんと乱花さんにも訪ねたんですがはやり同じ反応を示してましたし)」
『(つまりちひろくんは自分でも気づかぬうちに自身に隠された能力を使い事件の犯人グループを倒したということのようね)』
理事長と小春はちひろに聞こえない程度の音量で会話する
「どうしたんですか2人とも?」
そんな2人をちひろが覗き込む
「……ちひろくん」
「はっはい?」
「これから話すことをよく聞いてくださいね」
「話すこと?」
なんだろうと不思議そうな顔をしていた
『あなたにはまだ私たちはもちろん、君自身も知らない能力があるみたいなの』
「えっ?僕に?」
「君や倫花さんたちは覚えてないようですが、君はあの時、倫花さんたち2人とドライヴして犯人たちを倒したんですよ」
「えぇ!?」
犯人たちが捕まったのは聞かされていたが、彼女たちを倒したのは自分であったと言う2人の証言にちひろはただただ驚きを隠せないようであった
「僕にそんな力が…」
自分の胸に手を当てながら、ちひろはその力に可能性を見出した
「理事長先生!」
『何かしらちひろくん?』
「僕、その力をものにしてみせます!もう目の前の現実から逃げないためにも、僕は本当の意味で強くなりたいんです!」
ちひろは理事長に自分の思いをあるがままうち明かした
そんな彼の顔は事件前の時より少したくましさを感じさせた
『いいでしょう。自分が満足できるまでとことん頑張ってみなさい、でもあまり倫花さんたちに負荷をかけさせてはダメよ?』
「はい!」
そして時は今に戻る
「「「はぁ…はぁ…」」」アセアセ
「ま、まだダメか~」
「こんなにやってもダメだなんて」
「もう!どうすりゃいいのよ~!!」
一向にあの力が出せず3人は途方にくれていた
「体力の無駄遣いだな」
その光景を見ていた桃は呆れたものを見るような物言いでつぶやく
「う〜ん…どうしたらできるんだろ?」
「ていうか、私。ちひろくんにお聞きしたかったんですけど?」
「なんですか?」
「ちひろくんはどうやってその力を引き出せたんでしょう?」
マナが素朴な質問をしてきた
「はい、僕たちもあんまり覚えてないんですが…」
「でもあの時は必死だったよね」
「うん。私もお姉ちゃんもちひろを守りたい、その思いでいっぱいだったもん」
「僕もお姉ちゃんたちのことを思ってましたね」
などと考えた時だった
「「「思いっ?」」」
何気ない一言に3人は一斉に反応する
「もしかしてちひろの力って」
「私たちがより一層心と体も一体化させた時に使えるんじゃ?」
「僕ら全員が互いのことを思い、求め合う…そうかもしれない!」
3人は早速試して見ることにした
「よし!今度こそ成功させよう!」
「「おー!」」
今度こそこのドライヴを成功に導くと強固な意思を胸に秘める
「行くよ!」
「「うん!」」
「「「ドライヴ!!」」」
意を決し、ちひろたちがドライヴしようとする
「ぐっ…うぁぁぁぁぁぁぁ!?」
しかし、またもエネルギーが逆流し、ちひろを襲う
『『ちひろ!?』』
「だっ大丈夫だよお姉ちゃん!負けないっ!…僕はもう逃げないって誓ったんだ…本当の強い自分になるためにも負けられないんだぁぁぁぁぁ!!」
力強い思いがちひろの気力を高めた
『ちひろちゃん!』
『ちひろ!』
「お姉ちゃん!」
3人の互いを想う気持ちがついに奇跡を起こす
ピカァァァァァン!
周囲を眩しい光が包み込み、あまりの眩しさにマナたちは目を瞑る
そして光がだんだんと弱まり、瞑っていた目を開ける
「「っ!?」」
目を開けたマナたちが見たもの、それは
「」シャキィン!
斧だったはずのそれが変形しており、先端からエネルギー状の刃を光らせた巨大な鎌を構えたちひろがいた
「な、なんだあれは?」
桃が驚きの声をあげる
「ち、ちひろくん?」
恐る恐るマナが声をかけると
「…マナ、さん?」
その声にちひろは反応した
「どうしたんですか驚いたような顔して?」
「ち、ちひろくん、気づいてないんですか?」
「えっ?」
マナが指差す方を見ると自分の手に巨大な鎌が握られていることに気づいた
「こ、これって!」
『ちひろちゃん!』
『ちひろ、私たちやったんだよ!』
何度も挑戦し、その度に失敗を重ねたちひろの努力がついに身を結んだのだ
ちひろは手にした力を心の底から喜び、倫花たちもそれを祝福するのだった
「ふふっ。やりましたねちひろくん」
「嬉しそうね小春」
「えぇ、とっても♪」
ちひろたちの様子を遠くから眺める小春とヴァイオラ
「…それにあなたにもわかってもらえたと思ってますよちひろくんの凄さ」
「ふん、私からして見れば多少は驚かされたけどそれ以外はなんともないわ」
「もう、薄いリアクションですね…でもあなたも知ればもっとちひろくんの凄さがわかるはずですよ…さて、私は他にも用があるのでこれで」
そう言うと小春はその場を後にする
「……鉋咲ちひろ」
ボソリと呟くとヴァイオラもまたその場を後にするのだった