ヴァルキリードライヴ 7人の戦乙女と小さき勇者 作:ダーク・リベリオン
いよいよ定期戦開催当日を迎え、学園中が逸る気持ちを抑えながら今か今かとその時を待つ
そんな中、紆余曲折を経てちひろの定期戦でのパートナーが桃に決まり、ちひろは桃に共に定期戦に臨むことにワクワクしていた
一方桃の方はちひろに対して複雑な心境を抱きつつもちひろと共に定期戦に臨む
そしていよいよ開催しようとしていた時、四神が一人、ゴウザンゼが生徒たちに語りかけたのだった
『さて、では定期戦を始める前に少し理事長から発表があります』
「発表?」
「なんだろう?」
理事長からの発表があるということで生徒達がなんだろうとソワソワする
『五期生のみなさんおはようございます』
するとモニターが起動し、理事長が生徒達全員に挨拶をする
『先ほどゴウザンゼ先生から聞いたと思いますが、発表というのは他でもありません。先日みなさんに提出してもらったパートナーの申請書のことだけど、あれ、全部なしにします。ごめんね~』
「……はっ?」
『はあぁぁぁぁ~~!?!?!?!?』
理事長からの突然の発表に生徒達が発狂する
『静粛に!みなさん静粛になさい!理事長の話しの途中ですわよ』
それを見ていたゴウザンゼがちひろ達を注意する
「ええぇっ!?ちょ、なにそれ!?」アセアセ
『今回の定期戦は無作為にペアを決めてもらおうと思いましてね。という訳で、今からみなさんに封筒を配りますね』
理事長がそう言うとロボットが生徒たちに封筒を配っていく
「ねぇねぇ、ムサクイってどういうことなの?」
「う~ん。多分これは理事長が僕たちにいつもとは違う人とペアを組んで定期戦に挑んで欲しいってことなんじゃないかな?」クイッ
『ちひろくん、正解よ。その封筒の中には番号が書かれた札が入っているの。中を確認してもらって書いてある番号が同じ人と一緒のペアを組んでもらうということです』
「つまりくじ引きみたいなものだね」
倫花が理事長の説明をわかりやすくとらえた
「じゃあつまりこれって1チャンありってことじゃない!」キュピ~ン
それを聞いた瞬間、乱花の目が光り出し、その視界にちひろをとらえた
「(さっきはがっかりしちゃってたけど、ようはちひろが持ってる番号が私の番号と同じならちひろと一緒に定期戦を戦えるってことじゃない!しゃあっ!燃えてきたわ~!!)」
「乱花ちゃん?」
唐突に盛り上がる乱花を見て倫花は小首をかしげた
「でもそっか~。せっかくペアを組んだのにそれがなしになっちゃったのはちょっと残念かな~」
『気持ちはわからなくはありませんがそれは仕方ないことなのです。ここビクニにおいては理事長の決定は絶対なのですから、それに従わないのであれば定期戦への参加資格を剥奪されてしまうのですし』
「な、なんだか手厳しいな~」アセアセ
『このビクニにいるからにはそれが当然のことなのです。そのことをよく覚えておいてくださいね』
少ししょんぼりとしていた倫花をゴウザンゼがなだめた
「ところで理事長先生、少しいいですか?」
『何かしら?鉋咲ちひろくん?』
「無作為で選手を決めるというのはわかったんですけど、急にどうして?」
「そう言われればそうね。実際いきなりだったもんね。なんでこんなことになったかちょっと気になるわね?」
ちひろの疑問に同感してないといえば嘘になる
実際ほかのみんなもなぜ急にこんなことになったのか理由も知らされないままだったことがどうにも解せなかった
『いいでしょう、よく聞きなさい…』
理事長が真面目な顔をしながら語り始める
「(僕たちにとってパートナーはとても重要なこと。それを急に変えるんだもん。これは何かしらの理由がある筈だよね)」
ちひろは頭の中で理事長がきっと重要な何かをいうに違いないと思っていた
『急遽こうした理由。…それは』
「それは?」
『それは…』
「「「それは~?」」」
『そのほうが面白そうだったから』
ポッポ~ポッポ~ポッポ~ チ~ン
「「「…はい?」」」
『単にそのほうが面白いと思ったから、以上よ』ニッコリ
「「「……ズッゴ~!!」」」ザザァァァァァ
思っていたのとまるっきり見当はずれな答えにちひろたちは滑ってしまった
「いちちち…って、それだけですか!?」ガビーン
『はい。それだけです。あとは~そうね?……あなたたちの驚く顔が見たかったからかしらね』
「はっ、はぁ~」アセアセ
理事長の突拍子もない理由で今回のこの無作為選抜が行われると知ってちひろは苦笑いするしかできなかった
「…も、桃さん」
「なんだ?」
「なんかとんでもないことになっちゃいましたね」アハハ
「仕方ないだろう。戦えるのであればべつにどうということはないからな」
「そ、そう…ですよね」
ちひろは桃の言葉に少し残念な気持ちになった
そんな中、それを見ていた桃は定期戦前のちひろとのことを思い出していた
『……桃さん。僕と一緒に定期戦に出ませんか!』
『これを期に桃さんと仲良くなれたらいいなって』エヘヘ
パートナーを見つけられず困っていた自分にちひろが声をかけてくれたおかげだ
自分が定期戦に出れたのは彼がいたからであることを改めて思い返す
「まぁ、その~なんだ。……すまなかったな。無駄足を踏ませてしまったようで」
「えっ?」
「感謝するぞ。多少は……な」
そう言い残し桃はそこから行ってしまった
「桃さん…」
彼女の背中に一瞬、寂しさを感じたかのようにちひろは黙ってその後ろ姿を眺めていた
「ち~ひろ♪」ダキッ
「うわっ!ら、乱花お姉ちゃん!?」アセアセ
すると突然、乱花が後ろから抱きついていきた
「ねぇねぇ!ちひろはもう封筒の中身見た!」
「えっ、ま、まだだけど?」
「私、是が非でもちひろのパートナーになってみせるからね!」
乱花の心は燃え盛る炎のように熱く燃えていた
「わ~。乱花ちゃん張り切ってるね。でもそれは私もだよ。私もちひろちゃんと一緒になりたいもん」
ちひろと一緒になりたいという想いは倫花とて負けてはいなかった
『じゃあそろそろみなさん。封筒から札をだしてくださいね』
理事長が生徒達に封筒を開けるよう促す
「じゃあちひろ、お姉ちゃん。いっせいのせで引こうよ」
「うん。いいよ」
「じゃあ決まり。いくよ~いっせ~の!」
「「「せっ!」」」
3人が同時に封筒から札を抜き取った
「(誰となるんだろう?)」
「(ちひろと同じ番号!もしくはお姉ちゃんと同じ番号!)」
「(ちひろちゃんか乱花ちゃんならいいな~)」
それぞれの思いを胸に札を抜き取った
「すみませ~ん。61番のひといますか~?」
「24番!24番いますか~?」
他の札を確認し終えパートナーを探す生徒達を他所に静かに中に入っていた札の番号を確認する
「二人とも何番だった!私は41番だったよ!」
「う~ん。残念、私は40番だったよ」
「あ~、そっかお姉ちゃんとは逃したか…で、でもちひろは!?」
「そうだね。ちひろちゃんは何番だった?」
番号を確認した二人はちひろのほうに顔を向けた
「ねぇねえどうだったのちひろ?当然ちひろも41番だよね!他の番号なんてありえないっしょ!」
「どうなのちひろちゃん?もし私と一緒だったら嬉しいな~」
「倫花お姉ちゃん…乱花お姉ちゃん」
笑みを浮かべながら札をゆっくりと二人に見せようとする
ゆっくり、ゆっくりと札の表が見え始め、最初に見えたのは4の文字、あと一文字でも揃えばどちらかがパートナーになれる
考えただけで二人はドキドキしていた
そして番号が判明した
その結果は
『42番』
「「ウソダドンドコドーン!!」」
「あははは」アセアセ
結局のところ倫花と乱花はちひろとパートナーになれず、全員が別々の人とパートナーを組むことになってしまった
「はぁ~ちひろちゃんもダメだったか~」
「しょうがないよ。クジ引きみたいなもんだし」
「まぁそうだね。ねぇ乱花ちゃん…乱花ちゃん?」
一緒になれなかったことに惜しむも気を取り直すちひろと倫花
しかしなぜか乱花の反応がない
「ど、どうしたの乱花ちゃん?」
「乱花お姉ちゃん?」
二人が顔を覗き込むと
「うがああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「っ!?」」
盛大な発狂にちひろと倫花は驚く
「なぜじゃあ!なぜちひろと一緒のチームじゃないんだぁぁぁ!!」
納得できずに乱花が地団太を踏む
「ら、乱花ちゃん落ち着いて!」
「そうだよ乱花お姉ちゃん!」
「……ふ、ふふふふ。こうなったらちひろと同じ番号を持ってる奴と私の番号を交換させてやる。たとえ力尽でもね」ニヤリ
「「そ、それはだめえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」
急に笑いだすとともにとんでもないことを言い出す乱花に取り乱しながらちひろと倫花は叫ぶのだった
なんとか乱花を説得し終え、二人と別れてパートナーを探すため拠点に来ていた
「さて、僕のパートナーさんは誰なんだろう?」
定期戦を自分と戦い抜いてくれるパートナーが誰なのか期待を高まらせる
「っと、まずは探さないとね。すみませ~ん42番の人はいますか~?」
ちひろはなるべく聞こえるように大きな声で呼びかけるも返事がなかった
「…ここにはいないのかな?しょうがない、別の場所に行ってみよ…っ?」
そんな時、ちひろはあるものが目にとまった
「うにゃ~」グ~
「…ま、満腹丸さん?」
そう、満腹丸だったのである