そのポケモンの世界で俺は   作:puc119

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誤字報告に変わらぬ感謝を




第24話

 

 

 イワヤマトンネルを抜けた先にあったシオンタウンと言う街は、何と言うか……重い雰囲気を感じる街だった。

 シオンタウンと言うことは此処は紫苑色――つまり淡い紫色の街なんだろう。しかし、植物の紫苑はキク科ってこともあるけれど、どうにもおめでたい花と言うイメージはない。

 せっかくあの長いトンネルを抜けてきたと言うのに、これじゃあなぁ……できれば、もう少し明るい街が良かった。まぁ、とりあえずポケモンセンターへ向かおうか。それにいくら暗そうな街とは言え、散策はしておいた方が良いだろう。

 やはり気は進まないが。

 

 

 

 

 そして、ポケモンセンターで回復させてから、街の人と雑談をしたり建物を回ってみたのだが……

 

 

 ――此処はお墓で有名な街だよ。一緒にいたポケモンが死んだとき、そこのポケモンタワーに持っていって冥福を祈るんだ。

 

 ――カラカラの種族って頭に骨を被っているだろ? アレが高く売れるんだってさ。

 

 ――私、カラカラのお母さんがロケット団から逃げるところを見たの。逃げる途中でお母さんはロケット団に……

 

 ――最近、ポケモンタワーに幽霊が出るらしい。どうもロケット団に殺されたポケモンの幽霊だとか……

 

 

 ああ、もう、なんかとんでもない街へ来ちゃったなぁ。ってのが素直な感想。

 お墓だとかそう言う場所は苦手だ。別に悲しい気分になんてなりたくないのに、其処へ行くだけで気分は沈んでしまうから。

 

 そして、ロケット団がねぇ……

 アイツらが悪い集団だってことは分かっていた。分かっていたつもりだった。現にハナダシティでは泥棒をしているロケット団を見たわけだし。

 しかし、何と言うか……こう、聞いているだけでキツい行いをやっているって言うのは初めて聞いた。いや、泥棒だってかなり悪いことなんだけどさ。けれどもあの時は――ああ、ロケット団ってこう言う集団なのね。くらいの生暖かい気持ちにしかならなかった。だって、アレじゃあねぇ。

 その程度の集団だと思っていたんだがなぁ……こりゃあ、なんとも面倒なことだよ。できればもうロケット団とは関わりたくはないけれど、どうせダメなんだろうなぁ。結びついてしまった縁の糸って奴はそうそう解けるものではないのだし。

 

 さて、これからどうしようか。つまりこの街の名物……と言って良いか分からんが、まぁ、一番有名なものがポケモンタワーってやつなのだろう。だから寄ってみても良いのだが、全く知らない他人のポケモンの墓を見てもなぁと思う。

 少なくとも見ていて面白いものではないだろう。

 それと、捨てられたポケモンなどの世話をしているフジ老人の家にも寄ってみたが、生憎留守にしているらしかった。世の中には立派な人もいるものだな。また今度寄って話の一つでも聞いてみようと思う。

 

 さてさて、うだうだと考えたが此処まで来たのだ。せっかくだからとは言わないが、ポケモンタワーの中の様子を見るくらいはしておこう。残念ながら喪服などを用意することはできないが、このままでも流石に怒られたりはしないだろうし。

 

 

 

 

 

 そんなことでポケモンタワーの中へ。

 

 

 ――死んだピッピのことが忘れられん……

 

 ――ああ、ああ、私のガーディ……どうして死んで……

 

 

 うわぁ、もう帰りたい。

 最初からこの様子ですか、本当に勘弁してください。しまったなぁ、やはりやめておけば良かったか。7、8階はありそうだし、最上階まで行けば見晴らしが良さそうだ。とか思っていた自分を恨む。

 い、いや、俺は行くと決めたんだ。今更、戻るわけにもいかないだろう。男には引いちゃダメな時だってあるんだ。

 それに、何人かが話していたが、ポケモンの幽霊と言うのがどうも気になる。俺は幽霊の存在を否定も肯定もしない派だが、見られるものなら見ておきたい。こんな機会はなかなかないし。

 

 そんなポケモンタワーだが、どうやら1階が受付となっていて、それよりも上の階がお墓となっているっぽい。今までの旅でポケモンのお墓は見てこなかったから、此処には相当な数の墓があるのだろう。そりゃあ、街の雰囲気だって重くなるはずだ。

 

 そんなことを考えながら、ポケモンタワーの2階へ。

 

 其処には――何故かグリーンがいた。

 

 ん~……うん? なんでコイツはこんな場所にいるんだ? アイツの性格からするとこう言う場所へ訪れるような奴ではないと思うんだが。

 

「おう! レッドじゃねーか。こんなところで何をやってんの?」

「いや、それは俺のセリフだ。俺はただポケモンタワーの様子を見に来ただけだよ。お前こそ何やってんの?」

 

 ああ、しまったな。これは言わない方が良いセリフだった。グリーンとはこれまで何度も会っているが、コイツの過去に何があったのかは知らない。そしてそのグリーンが此処にいると言うことは……まぁ、そう言うことなんだと考えるのが普通だ。

 ちょっと気を使い過ぎかもしれないが、こう言うことばかりはどうしても気にしてしまう。“死”と言う言葉はそれほどに重いのだから。

 

 

「あ~……まぁ、俺は色々だよ。とにかく、ポケモンバトルだ!」

 

「…………は?」

 

 いや、何を言っているんだコイツは。

 

「な、なんだよぉ。急に真顔になるなよぉ。ほ、ほら! かかってこいよ!」

「このバカタレが。ポケモンバトルは良いが、場所を選べ場所を」

 

 此処をどこだと思っている。

 流石の俺でも此処でポケモンバトルをやろうと言う気にはなれない。最低限守るべきマナーって言うのはあるだろう。

 

「あぅ、い、いや、俺も流石に此処で戦うのはなぁって思ってたよ! 思ってたけど、そうしないと俺が……」

 

 ……ああ、なるほど。そう言うことか。

 そりゃあ、アレだ。……うん、お前も大変なんだな。

 

 これは困ったな。多分だが、此処で俺が戦わなければグリーンはずっと此処にいるのだろう。このお墓に囲まれた場所に。うん、それは流石に可哀想だ。グリーンが俺をどう思っているのかは知らんが、別に俺はグリーンを嫌っているわけじゃない。

 

 ……仕方無いか。怒られないことをひたすらに願おう。

 

 

「はぁ……わかったよ。ハラマキ――叩き潰してやれ」

 

 

 俺にできるのはこれくらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ! ちくしょー、やりやがったな!」

 

 運が良かったのか、そう言うものなのか、とりあえず誰かから怒られることはなかった。

 そしてグリーンが出してきたポケモンは全部で5匹。そのうち2匹はガーディとタマタマでグリーンが出してくるのは初めて見た。その代わり、今まで出してきていたラッタがいなくなってしまったが、何かあったのだろうか?

 まぁ、考えたところで分かりはしないが。

 

「じゃ、俺はもう行くわ! お前と違って忙しいからな!」

 

 そう言って去って行くグリーン。

 忙しいねぇ。アイツって普段はどんなことをしているんだろうな。俺よりもポケモンを多く捕まえているらしいし、確かに忙しそうではあるが……

 

 そんじゃ、俺もサクサクっとポケモンタワーを見てこようかね。

 

 それにしても、このポケモンタワーはもう少し規則正しく墓石を置くことはできなかったのだろうか。

 なんで、こんな迷路みたいに設置したんだよ……

 

 







~補足とか~

・グリーンの出すポケモンについて

グリーン――ライバルの出してくるポケモンですが、自分が選んだ御三家によって変わります
また、ピジョット(Lv.61)とフーディン(Lv.59)、サイドン(Lv.61)はどの御三家を選んでも使ってきます

・主人公がヒトカゲを選んだ場合
ナッシーLv.63
ウインディLv.61
カメックスLv.65

・主人公がゼニガメを選んだ場合
ウインディLv.63
ギャラドスLv61
フシギバナLv.65

・主人公がフシギダネを選んだ場合
ナッシーLv.61
ギャラドスLv.63
リザードンLv.65

となっています

上記のレベルとポケモンはラストバトルでライバルの出してくるものです
紛らわしかったのでちょっと修正
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