そのポケモンの世界で俺は   作:puc119

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第43話

 

 やっとの思いでたどり着いたヤマブキシティだったが……何故かやたらとロケット団員が多い。俺はロケット団に対して苦手意識だとかそういうものを特に持ち合わせていないものの、この町に住んでいる住民はそうでないだろう。なんとも残念な集団ではあるが、一応悪の権化みたいな感じの集団なのだし。たぶん。おそらく。

 

 んで、その大量のロケット団員たちが何をやっているのかというと……何やってんだ? コイツら。

 その辺を歩いているロケット団員に話しかけてみても正直なところよく分からない。ヤマブキシティはロケット団が乗っ取る、とか言っている奴もいたが、どの道目的は不明。いやまぁ、そもそもとしてロケット団の目的をよく分かっていないわけだが……

 

 なんとも変な街に来ちゃったなぁ、なんて思いつつヤマブキシティ内を散策。これだけ大量のロケット団員がウロウロしているせいか一般住民の姿を見当たらず、どこもかしこも良い趣味とはいえない黒タイツの男ばかり。

 あと、気づいたのだが、どうやらヤマブキシティにはジムらしきものが2つあるらしい。そのうち1つはロケット団員が入口でつっ立っているせいで中へ入ることはできなかったが、ジムが2つもある街もあるんだな。また、ヤマブキシティの中心には大きな建物があり、タマムシシティにあったデパートよりも大きいんじゃなかってくらいだった。

 また、エスパーおやじとかいう看板が立ててある民家もあったが、なんだか怖いので入るのはやめておいた。その他の民家の入り口はロケット団員たちがふさいでいるのに、エスパーおやじの家だけはふさがれていない。得体の知れないおやじは流石のロケット団でも怖かったのだろう。

 

 さて、せっかくヤマブキシティまで来たというのにやれることが何もない。大量のロケット団員たちは気になるが、あんまり関わりたくないんだよなぁ……いやまぁ、タマムシシティでアジトを襲撃しているのだし今更か。

 

 ヤマブキシティでやれることも特に見つからなかったため、とりあえずサイクリングロードで消耗したポケモンたちを休ませるためポケモンセンターへ。

 ポケモンたちを回復させながら少し考えてみる。せっかくヤマブキシティまで来たのだしこのままこの町を出てしまうのはやはりもったいない。そうなるとヤマブキシティの中心にある大きな建物が気になるところ。

 アレだけ大きく目立つのだし、もしかしたらこの町の観光名所とかなのかもしれない。最上階から見る景色などはさぞ良いものだろう。まぁ、行くだけ行ってみて中へ入ることができればラッキーくらいの気持ちでいってみようか。

 

 

 そんなわけで大きな建物へ。その入り口には例のごとくロケット団員がいたが、何故か寝ている。俺は枕が変わるとなかなか寝付けないのだが、このロケット団員はそんなことないのだろう。羨ましい限りだ。

 

 

 ――レッドは ポケモンのふえを ふいた!

 

 

 ――うーん! すばらしい ねいろ……か?

 

 

 ほれ、こんなところで寝ていないで起きて山へ帰るんだ。あのカビゴンですらちゃんと山へ帰れたのだし、お前だってできるはずだろう。

 相も変わらず残念な音色のポケモンの笛を吹いてみたが、そのロケット団員は起きてくれなかった。どうやらポケモンの笛はポケモンにしか効果がないらしい。

 うーん……まぁ、これで起き上がってから寝ぼけて襲いかかられても困るし、このままにしておこうか。大丈夫だと思うが風邪ひかんようにな。

 

 気持ちよさそうに寝ているロケット団員を脇を抜け大きな建物の中へ。

 その建物の1階であるエントランスホールはなんか池みたいなものがあり、なかなかにお洒落な感じとなっていた。ただ、人が誰もいない。受付カウンター的な場所もあるのにそこにも人はいなかった。入り口は開いていたのだし、休みってことはないと思うが……これ、入っても大丈夫な建物だったんかね? お金なら余っているし入場料を払うのは問題ないのだが。

 ちょいとばかし不安が大きくなっていたがとりあえず進んでみることに。もしダメだったら素直に謝ろう。おっさんは素直に謝れる人間だ。

 

 エントランスホールにある池を軽く眺めてから2階へ。エレベータも用意されていたが、階段を使うことに。エレベータはやたらと酔うことがあるから苦手なんだ。

 

 そして2階へ着くと、もう見飽きたってくらい見てきた黒タイツの男がすぐ目についた。

 ああ、なんだ。ここはロケット団の第2アジト的な場所だったのか。それなら入っても大丈夫か。タマムシシティのアジトではロケット団のボスとポケモンバトルをした仲なのだし、俺はもう顔パスみたいなものだ。中を散策しつつ最上階で景色を楽しませてもらう。

 

「そこの子供! うろちょろするんじゃない! ロケット団はシルフカンパニーと提携するのだ!」

 

 そして始まるポケモンバトル。先ほどポケモンセンターへ寄ったおかげでこちらはいつでもバトルOKな状態。それじゃ、経験値と賞金をいただきましょうか。

 んで……シルフカンパニーってのは確かあのシルフスコープに関係しているものだったはず。いつかのロケット団員がシルフスコープはシルフカンパニーから盗んだ物、とか言っていた記憶がある。

 そのシルフカンパニーがロケット団と提携っていうのはよくわからない。世間一般の評価的にもロケット団の評判はよろしくないはず。そんなロケット団と提携なんてする意味はあるんかね?

 

「ここは子供来るところじゃないんだぞ!」

 

 バトルの方は問題なく勝利。

 相手のレベルは25と高くなかったが、ゴルバットという初めて見るポケモンを使ってきた。有り難い。

 

「ひし形デザインの床はテレポートブロックだ! ハイテクなビルの中での移動手段だぜ!」

 

 ああうん、情報ありがとう。もうあんまり強く言わないが、そういうことはべらべらと喋らない方が良いと思うぞ……

 んで、テレポートブロックとやらは何だろうか。タマムシシティのアジトも無駄に回転させられる動く床はあったが、それと同じような感じなんかな。

 謎は深まるばかりだがどうせ考えたってわからないため、散策を再開。どうやら此処は観光名所などでなくロケット団のアジト的な場所ってことだろう。そうなると見て回っても面白いものがあるとは思えないが、ロケット団と出会えればバトルとなるはず。ポケモンたちのレベル上げには丁度良い。経験値は野生のポケモンよりトレーナーとのバトルの方が多くもらえるんだ。ついでにグリーンもいてくれたら嬉しいんだがなぁ。

 なんてことを考えつつ、歩いているとロケット団以外の人間を見つけた。なんだ、俺以外にも観光客はいるのか、なんて思っていたらポケモンバトルになった。ええ、どういうこと……

 

「ふふふ、ビルの中は複雑だぞ。君に攻略できるかな?」

 

 うん? 攻略……? ああ、ここはそういう意図の建物なのか。ロケット団がそういうアトラクションをやっている……的な? なんか違う気もするが。まぁよく分からんが、そういうのなら頑張って攻略してみよう。時間はかかるかもしれんが、こういうアトラクションは嫌いじゃない。

 ちなみにだが、バトルを仕掛けてきた相手は白衣をきたおっさんで、おそらくコイルの進化先だと思われるレアコイルというポケモンを見せてくれた。あと賞金が約3グリーンとかなり美味しい。

 経験値はもらえるし、新しいポケモンも見せてくれ、さらに賞金までもらえる。ロケット団相手だから何とも思わないが普通の企業がやっていたら逆に心配してしまうレベルだ。

 

 白衣のおっさんとのバトルを終え、攻略を再開。直ぐに次の経験……ロケット団員を見つけまたポケモンバトル。んで、そのロケット団員の近くにやたらと目立つひし形デザインの床があった。

 さっきのロケット団員が言っていた床ってのはおそらくこれのことだろう。ワープとかなんとか言っていたが得体の知れないものはやはり怖い。

 とはいえ、せっかくなのだし踏んでみることに。何事もまずは挑戦してみることが大切なんだ。

 

 そして、そのひし形デザインの床を踏んだ瞬間――視界が暗転した。

 

 何が起きたか全くわからない。そして気が付けば見覚えのない景色。どこかの部屋の中なのは確かなのだが、一瞬で知らない場所へとばされた影響で頭がついていかない。

 なるほど……ワープっていうのはこういうことなのか。

 バクバクと暴れる心臓を落ち着かせつつ状況を確認。身体には特に異常もなく正常なはず。一応、ロケット団員が言ってはくれていたが心臓に悪い。

 

 ただ、驚きとか心配とかそれ以上に感じる心の動き。元いた世界では絶対に体験できなかったことは今、やれている。それが心の底から面白かったんだと思う。

 あのロケット団もなかなか粋な施設を用意してくれたものだ。もしかしたらこのポケモンの世界でこのワープする床は当たり前のものなのかもしれんが、これは面白い。てか、普通に便利だ。この世界の交通事情が事情だけにもっと普及すれば良いのに。

 

 そこそこに長い人生を歩んできたが、ワープを経験したことなぞ初めてであったため、意味もなくそのワープする床を何度も踏んでみて楽しんだ。

 この床だが、どうやらワープする場所は固定らしく、何度踏んでみても行く場所は同じ。まぁ、ランダムで行く場所が変わられても困るが。

 ピョンピョンとワープして同じ場所を何度も行ったり来たりしている俺を見る、先ほどバトルしたロケット団員の視線は気になったものの、それ以上にこのワープが面白い。

 

 ヤマブキシティへ入った時はどうなることかと思っていたが、どうやら予想以上に楽しめそうだ。

 

 

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