広西大洗奮闘記   作:いのかしら

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どうも井の頭線通勤快速です。

遅れてすみません。


広西大洗奮闘記 77 かいはつぐらし!

どうも、こちらは南シナ海の北、広州の沖合の島、大万山島です。私は新川佐紀。生徒会の開発班のうち、島に残った二人のうちの一人です。新学園都市の中核となるであろうこの島をどのように人が住めるようにしているのか、お伝えしていきたいと思います。

まずは生きるのに必要な水。これはペットボトルに入れて大陸から持って来たものと、あとは島にある山の上にタンクを設置して、雨水を集めて対応しています。水の排出口には濾過設備が設置してあるので、飲むのは煮沸してからの方がいいですが、それ以外ならそのままで問題なく使えます。

海水も出来ればここに入れて使ってはみたいのですが、海水を使うと塩とかのせいで濾過用の膜の消耗が早くなるので、淡水だけで持ちこたえます。海水淡水化装置も来る予定ですが、燃料が満足にあるかわからない以上、膜もいつかは自分たちで生産せざるを得ないでしょう。

あとは食事は備蓄を割いて運んで来たのを、開発班の皆と分け合いながら食べてます。あまり量はないので、私も現在は1日2食です。腹は空きますが、堪えます。

開発方針としては、上陸した南西部の沿岸では港の建造。近海を掘って土を取り出し、輸送船が湾の奥に入れるようにしているのですが、なにぶん機械などは海中には入れませんので、スコップですくってゴムボートで島に持ち込む作業を繰り返している者らがいます。土からは貝や塩が取れるのですが、塩の方は今の所回収していません。焼いた貝は美味いんですがね。

内陸では住居の建設と農地の場所の選定及び開発を行っています。目下はプレハブの仮設住宅の設置に力を割いています。しかしこれだけでは学園艦の全住民は住めませんので、島の木材を切り出して家を建てています。壁と屋根と窓しかない簡易的なものですが。洪水や地震が来たら一発でおじゃんになりますが、とにかく今は数です。

コンテナ仮設住宅の方が早く設置できるのですが、コンテナは運ぶのに船のスペースを使いますし、新造するなら窓などを開ける為に工学科の力を借りねばなりません。彼らは学園艦からの鉄鋼切り出しで仕事が一杯な為、こちらに振り分けて貰うのは厳しいでしょう。

この地は基本珠江河口にあるため、基本的な地質も礫、砂、泥という中学受験で習う一般的なもので、中国で4番目に大きい川の河口ゆえ土地の栄養は豊富で、農業は十分可能です。耕地面積もこの島だけでそこそこ確保できると思われます。住人全員分の食糧は全ての島の耕地面積を限界まで広げたら自給出来るかもしれません。

基本は農業科が移植するものと、支援物資として届けられたというサツマイモを植える予定です。大唐米(赤米。土地が悪くても作れるが味は悪い。)が手に入ったら植えて行こうかと思います。5年くらいはそれで堪えるかもしれません。残りは漁業と商業科の購入に期待しましょう。

さて、私はそろそろ夕方の学園艦へ今日のの報告をしなくてはいけません。無線の中継拠点のお陰で学園艦とのやり取りもしやすくなりました。ちょいっと無線を繋いで来ますので、御機嫌よう。

 

 

やっと2週間近く続いた全国大会も終わりを告げ、私たちも広東へ戻る運びとなった。一応12月の頭には全国大会よりも小規模の中全会があるのだが、討議内容が中央の事に限られるとのことで私たちは参加しない。行きと同様中華門の外にある大校場飛行場まで車で送ってもらい、飛行機で帰ることとなる。

帰り際、私が今回の全国大会で注目されたからか、いろんな人から声を掛けられた。新しく外交部長になった張さんのようなお偉いさんもいれば、名前も詳しく覚えていない普通の役人もいた。これらの対応は私の握手を除いては冷泉ちゃんがやってくれたが、言語が通じているところを見ると、どうやら大会でいろんな話を聞いてるうちに上海語も習得してしまったらしい。確かに教材は貸したが、だからと言って早すぎるだろう。だがそれができる脳みそがあるから、私の秘書としては頼もしいのだが。

そしてその蔣介石は国民政府の建物の前までわざわざ我々の見送りに来た。理由は分からないが、恐らく我々より正式に優位に立ったことを見せる為だろうか。その為か秘書と軍人数人を侍らせている。

私は冷泉ちゃんを通してその男と言葉を交わす。

「因此次的全國大會出現可喜的結果的,衷心感謝。

(この度の全国大会での喜ばしい結果、誠に感謝します。)」

「期待著今後的兩廣的發展。角委員長。請無論如何發揮那個才幹。

(これからの両広の発展に期待していますよ、角委員長。ぜひその手腕を発揮してください。)」

「還到明年旁邊不過是黨員、蔣閣下。角杏因為中華民國的發展,僅僅援助。因此祝您一切順利。

(まだ来年までは一端の党員に過ぎませんよ、蔣閣下。中華民国の発展の為、角杏ささやかながらお力添えします。それでは御機嫌よう。)」

最敬礼を返す。正式に国民党員として認められてからは、制服であるチャイナドレスを着ているが、思いの外動きづらい。制服というものは大概がそうであるものだが。

私たちは行きと同じく少し高いところの座席へ登り、先に登った冷泉ちゃんの隣に座る。車はまたカタカタと音を鳴らしながらエンジン音を鳴らして、この国の中心を離れた。

今日はもう昼過ぎ。昼食は取ったので行きみたく腹の虫に困ることはない。街の風景はあまり変わらず、そろそろ昼の時間の店を閉じ始め、外に出ていた机などをせわしなく中へしまい込んでいることが少し違う程度だ。街の人は車に目を向けることはない。ただ己の世界の為に必要なことを着々と進めている。

角を二回曲がるとまた見えてきた。低層アパートの窓の外に時々洗濯物が見える。天気は曇りだが干さねばならないものは干すしかないのだろう。時々子供がこちらの方を見るが、直ぐに目をそらす。我々は異物でしかないのだろう。

四つの石の門を抜け、左に曲がる。また見えるのは工場も少しあるが、大半は畑と時々家。場所によっては米がまだ穂を垂らしている。ただ暫くその風景を眺めていた私は少し言葉を発する気になった。

「冷泉ちゃん。」

「どうした?」

「これからさ、暫く帰れないんだよね?」

「学園艦には後一回だけ返してくれると言ってたな。だがそれ以外は人などと会ったりするのに忙殺されるそうだ。」

「まぁ確かにたった一月で政治組織を築くんだから、人脈は重要だよね。」

「外交が封じられてるから国内に限るけどな。一応そこそこ上海語もいけるようになったし、これからも秘書暮らしだろうから今後も頼むぞ、委員長。」

「冷泉ちゃんまで言うか!……それにしても、外交ねぇ……香港の人とか元気にしてんのかなぁ。」

「香港か……繋がりはあると思うが、正式な付き合いは出来ないぞ。」

「ピール卿とかアーサーさんとか世話になったから、いつかはお礼に行きたいねぇ。」

車は空港の敷地へと足を踏み入れた。先程から聞こえてはいたが、訓練中なのだろうか。時折複葉機が車よりも大きな音とともに、大空へと旅立っていった。




次回予告

7と7

最近『生命の焔』というガルパンSSがハーメルンに投稿され始めました。私個人としては支援していきたいと思います。
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