LUNCH!!【未完】   作:悠魔

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ハンバーガーでたまに無性に食べたくなりません?


伊織とハンバーガー

わざわざ言わなくても分かってると思うけど、私は竜宮小町のリーダーにして皆んなが羨むトップアイドル、水瀬伊織ちゃんよ!

今回は庶民の食事処、貧相なパンに薄い肉を挟み込んだ安上がりな料理を提供しているお店、ファーストフード店に来ているわ!

 

ちょっと、そこのアンタ!このスーパーセレブでエレガントな伊織ちゃんがこうやってわざわざグルメリポートしてあげてるんだから、ちょっとは嬉しそうにしなさいよね!

 

 

 

『伊織とハンバーガー』

 

 

 

「やっぱりお昼どきは混むわね……」

 

自称スーパーセレブなプリティーアイドル、水瀬伊織は自分のイメージとは正反対の大衆向けハンバーガーショップの前で立ち往生していた。実際、超絶プリティーである事には変わりないのだが。

彼女は誰もが認めるステレオタイプなお嬢様。故にこういった俗世間の事情には疎く、彼女はこの店に未知なるオーラを感じていた。

 

(……、皆んな注文するの早すぎでしょ!これあんまり時間かけちゃ迷惑になる奴じゃない、しっかりメニューを考えてからカウンターに行かなきゃ…)

(ってえ!メニューはどこにあるのよ!?ていうか普通のセットを頼むにはどうすればいいのよ!?ああもうホント面倒臭いわね!)

 

ファーストフード店を利用した人は一度は経験があるかとは思うが、この手の店はカウンターの上にメニュー表が置かれてあるのがほとんどだ。故にそこに辿り着くまでが面倒臭かったりする。

取り敢えずファーストフード店の店員も顔負けの猫被りスマイルを装備してカウンターへと向かう。

 

「いらっしゃいませー、店内でお召し上がりでしょうか?お持ち帰りでしょうか?」

「召し上がりでお願いしま〜すっ!」

「ではこちらの期間限定のもやしバーガーセットがおすすめで…」

(…………何かしら、この既視感は……)

 

初めて会ったはずなのに、どこかで会ったような……いや、何故か他人とは思えないこの奇妙な感覚は何だろう。

そういえば、たるき亭の従業員の人に自分と声がそっくりな人がいたと聞いたことがある、確か名前は……

 

「お待たせいたしましたー」

「えっ??あっ、あらどうも〜〜♪」

 

そうこうしている内にバーガーセットが出来上がる。伊織は心に残る違和感に蓋をして、出来立てホヤホヤのバーガーセットを手に適当な席へと座る。

 

(うんうん、この安っぽく不真面目な感じ、一回味わってみたかったのよねー)

 

品行方正な態度を心がけた生活を送ってきた伊織にとって、ハンバーガーなどという俗物は彼女にとっては非日常だ。

豪華じゃなくていい、誰に気を遣う必要もない、己の本能を丸出しにして包み紙を引っ剥がしかぶりつく。

 

(ん〜〜!意外といけるじゃない)

不健康でジャンクな味は、見事年若き麗らかな乙女の心をキャッチした。

気兼ねなく食べられ、その身を委ねる。これこそ食事においての最大の喜びであり現代社会に於ける救済である。

 

仕事終わりのサラリーマンも、勉強疲れの学生も、子供連れの大人も。

皆んながこの食事の前には等しく救済され、豊かで充実した時間を過ごせるのだ。食事だけならば何処だってできる、だが己を解き放ち救済できるのはここだけ。

 

「100%オレンジジュース……うん、ハンバーガーやポテトと良くマッチするわね!油ぎった食べ物の合間に飲むオレンジジュースは最高よね〜!」

 

ポテトを一掴みするだけで、指には多量の塩と油がベッタリくっつく。つまりそれだけカロリーが高いという事でもあり、それと同時にずっと食べていたいという魔力も秘めている恐ろしい食べ物たち。

 

正にダイエットの敵、ダイエット中にハンバーガーショップに立ち寄るのなんて言語道断。経験から言わせてもらうと、なるべく油っこいものは避けてヘルシーな物を採るべし。

 

……だがたまにはこういう不真面目な食べ物も悪くない、と伊織に思わせるだけの力を秘めていた。

 

(ん……ふぅ、氷入りのジュースをストローで飲む時は最後にズズッと音を立てない……っていうのは中々使わないマナーだけれど。覚えておいて損はないわね)

上品に料理を全て平らげた伊織は、満足気に頷く。ふと周りを見ると、先程より人が増えてきてる気がする。ここでふと貴音がいつか言っていた事を思い出した。

 

ーーあんまり長い間いると、お店にも迷惑がかかる…だっけ。いいじゃない、ノってやるわよ。郷に入っては郷に従え、の精神でね!にひひっ!

 

かくして伊織は、店を後にした。彼女には単純な水瀬伊織であるというプライドだけでなく、周りを思いやれる優しさが備わっている。それこそが彼女がスーパーセレブアイドルたらしめる所以なのだ。

この優しさを忘れない限り、彼女はいつまでも美しく、高貴であり続けるであろう。それこそが彼女の誇りなのだから。

 

 

 

「えっ、後片付けも自分でやらなきゃいけないの!?」

後から気付いた伊織は、顔を赤く染めてプレートとゴミを片付けたとか……。




ダイエット中の油っこい物と糖分は本当に敵ですので控えてくださいね。次回は雪歩かな。
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