LUNCH!!【未完】   作:悠魔

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貴音なら、コンビニをこんびにって言うはず。


貴音とコンビニ

「……小腹が空きました」

 

四条貴音は、冷静に今の状況を分析する。歌の仕事を終え、のんびりと歩いていると…唐突に腹が減ってきたのだ。

しかし、周囲には喫茶店どころか食事処と呼べる所はない。

 

「私のお腹を満たしてくれる所は、どこにあるのでしょう…」

 

貴音はそう独り言を言いながら歩く。

すると、よく見かける目に飛び込んできた。

 

「こんびに…ですか」

 

コンビニエンスストアなら貴音もよく通っている。

場所によって置いているホットフードやお菓子、ジュースの種類が違ったり、期間限定の食べ物が置いてあるので行く度に違った顔を見せてくれるのが魅力だ。

まさに、二十四時間営業の宝石箱。

 

ーー運命は私をここへと導いたのですね。

貴音は宝石箱の中へと飛び込んだ。

 

 

 

「いらっしゃいませー」

 

コンビニの店員は愛想の良い挨拶で出迎えてくれた。

やはり態度の良い店員のいる店での買い物は気分の良いものだ。

 

さてらコンビニの醍醐味は、商品を選ぶ楽しさにある。

なにせ千円あれば弁当にデザートをつけられるリーズナブルさが売りなのだから、貴音は一万円札を使って商品を買い占めるといった真似はしない。

 

ーー自分の目で見て商品を選ぶ楽しさ。それは何にも代え難い至福のひとときですね。

 

さて、貴音はまずホットフードへと視線を向ける。

何しろコンビニフードの中で唯一品切れを心配しなくてはいけないジャンルがホットフード、ホットスナックの部類だ。

食べたいと思っていた物が売り切れていたり陳列されていない事などよくある。

 

(よかった…。肉まん、チキン、おでんに品切れはないようですね)

 

そうと分かれば、まずホットフードで何を頼むかを考えておく。レジに商品を持って行った時にまとめて買うためだ。

さて、スナック菓子か、パンか、おにぎりか…。

 

ーーこれはいったい何でしょう?

ーー卵焼き?なるほど、最近のこんびににはこのような物も売られてあるのですね…。面妖な!

 

とりあえず目に付いた卵焼きはキープ。

するとなると、ここはご飯ものが欲しくなってくる。

となるとやはりおにぎりか。

貴音はお惣菜コーナーへと向かって行った。

 

 

 

 

 

ーー普段あまり食べられる事がないと思われがちな海苔だが、実は消費量は年々右肩上がりだ。

その原因がコンビニで食べられるおにぎりである。

 

コンビニの海苔には、パリッとした歯ごたえを出すために厚めの海苔を使っている。大量生産ができ、病虫害に強い品種のスサビノリだ。

 

ーーさて、おにぎりの具財はどれがよろしいでしょうか。

 

ここは無難に、安心と安定の定番の具財、梅や鮭、ピリ辛高菜で攻めてみるか。

それとも、しめ鯖や海老マヨへと手を伸ばしてみるか。

はたまた、米に変革を求めた焼きおにぎりにしてみようか。

 

ーーおにぎりと言えば美希ですね。

ーー今頃は何をしているのでしょうか、プロデューサーに甘えているかもしれませんね。

 

貴音はその光景を想像して、クスリと微笑んだ。

 

 

 

おにぎりを選び終えると、お次は飲み物だ。

コンビニの飲み物といえど侮るなかれ、例えば麦茶一つとってもコンビニ会社によって味も違ってくる。

 

(おにぎりとの組み合わせを考えるならばお茶がベスト、ですがお茶でなくても口当たりの良い飲み物はいくらでもあります。例えば…)

貴音は小さなペットボトルを一つ手に取る。

 

紅茶。

 

通称午後ティーとも呼ばれる、巷で話題の人気商品。

種類も一つに留まらず、ストレート、ミルク、レモン、果てはビターミルクティーやハニーレモンスパークリングなどといった様々な味が発売されている。

中でもお気に入りはレモンティーだ。

 

ーー他にも…これなんかも私が愛してやまない飲み物ですね。

 

カルピス入りのオレ。

 

カルピスの旨味を残しながらも、フルーツの素材を活かしたドリンク。

カラオケの時に飲んだり、運動後に飲むのには向かないが…それでも、飲んだ時の濃厚な味は筆舌に尽くし難い。

 

 

ーーおにぎりに合う飲み物といえばやはりお茶を想像しがちですが…せっかく和洋中揃ったコンビニなのですし、こういった異色のコンビは合わせてみると意外にも美味しいものです。

 

 

 

「ーーくしゅんっ、誰かが噂してるにゃ。異色とか何とか言ってるにゃあ…」

「みく、急にどしたの?風邪でもひいた?」

「みくは可愛い猫ちゃんアイドル目指してるんだから、手洗いうがいはバッチリなのにゃ!」

「またそれだよ…。今はロックでクールなアイドルがキテるんだって!」

「りーなちゃんだって全然ロックに詳しくないにゃ!ギター弾けないでしょ!」

「なっ…そ、それは今関係ないでしょーっ!?ていうか弾けるし!」

「いやエアギターでしょ!?」

 

 

 

「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

(……何だかどこかで喧嘩が起きているような気がするのですが…気のせいでしょうか?)

 

そんなことはどうでもいいのだ。

今重要なのは貴音のコンビニで何を買ったかなのだ、アスタリスクは今はさして重要ではない。

 

ーー貴音'Sセレクションーー

 

オレンジジュース 110円

おにぎりピリ辛高菜炒め 110円

おにぎりツナマヨネーズ 110円

塩むすび 84円

コロッケ(ソース無し) 65円

切れてる厚焼き卵 120円

ストロベリーブランマンジェ 176円

チョコケーキ 239円

 

合計 1084円(税抜)

 

ーー千円をオーバーしてしまいましたが、まあいいでしょう。

ーーまずは熱々のころっけを食べましょうか。…はふ、美味しゅうございます。

 

ソースを付けなかったのは、ホットフードのコロッケだとソースをかけにくいからだ。袋の構造上、どうしても片側にだけソースがかかってしまう。

袋を開け、ソースの袋を破り、コロッケにかける。この作業は両手を使ってもやり辛いのだ。

 

そこでソースを貰わずに食べてみると…意外とソース無しでも美味しい。その上100円以下で買えるので一度は試してみるべきだ。

 

もちろんソースがかかったコロッケも美味しいので注意されたし。

 

「さて、おにぎりは…あむ、んぐ……はむっ、もぐっ」

 

ーー美味しい。

塩むすびは具材がないくせに整った味だし、ツナマヨのサッパリとした味わいもたまらない。そして緩急をつけるようにピリ辛高菜だ。おにぎりを食べる手が止まらない。

おにぎりブラックホールに飲まれていく貴音だった。

 

 

 

「ーーふぅ」

 

オレンジジュースで一息つく。

口の中に酸味が広がり、一転して爽やかな気持ちになる。

おにぎりは食べていると顎が疲れるし水分もなくなるので飲み物は必須だ。

オレンジジュースのように甘くサッパリとした飲み物だと尚良し。

 

デザートは苺味のブランマンジェ、悪魔風チョコケーキをチョイス。

口どけスッキリ、いい感じの甘さに舌鼓を打つ。

 

ーー自己主張をし過ぎず、でも地味すぎず。丁寧できめ細やかな甘さが魅力的ですね…。値段が高くてもつい買ってしまいます。

 

「………ご馳走様でした」

 

コンビニと言えど侮ってはいけない。

そこには無限の可能性が秘められた宝石箱。それを見つけ出してみれば、最高の輝きが待っている。

 

 

 

ーー雲間に隠れる月の如く。

 

 

 

「あのー、すいません!さっきから買い物する様子を見てて気になってたんですけど、もしかして765プロのアイドルの四条貴音さんですか!?」

「……ええ、そうですよ」

「やっぱりそうだ!自分ファンなんですよー!…あの、もしよければ出身とかアイドルになった理由とか教えてほしいなーって…」

「………ふふ、」

 

 

 

「ーーとっぷしいくれっとですよ?」




商品名についてはふわっと誤魔化したつもりですが…大丈夫でしょうか…。
元ネタのコンビニは近所の家族マートです。
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