俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第十四話 反攻作戦

 8月29日

 

《鎮守府管制棟・提督室》

 

「これが今日の演習結果です。」

 

「ふむ・・・これを見る限り吹雪は上達しているようだな。」

 

「うむ。演習の時は満身創痍だったからのう。あれはかなりの特訓を積んだようじゃ。」

 

「なるほどな、霧島。」

 

「はい。」

 

「直ちに全員をブリーフィングルームに集めてくれ。次の段階に移る。」

 

 

 

《ブリーフィングルーム》

 

「皆、集まったな。これより新たな作戦を開始する!!」

 

ザワッ

 

俺の言葉に全員が顔を変える。

 

「つい先日より敵深海棲艦が鎮守府近海に出現する頻度が高まっている。俺はこれを周辺海域に新たな敵棲地が存在していると見た。よって敵棲地を直ちに発見しこれを叩く、反攻作戦を執る!!」

 

ザワッ

 

俺は周りの反応を見て思う。このごろ敵との戦闘は近海に現れる偵察隊のみで大掛かりな戦闘は無かった。おかげで士気は薄くなり、大規模な反攻作戦への反応はただ事じゃないようなものだった。やはり気は熟してないか・・・。

 

「先日の敵残存艦を泳がして偵察にあたっているとは言え、つねにどんな状況にでも対応ができる柔軟な行動が求められる。よって錬度を上げるために全艦隊を再編成する。編成表は追って通知する。以上、解散!!」

 

 

 

《鎮守府教習棟・駆逐級教室》

 

「いいな、いいな、いいな・・・。」

 

私は絶賛落ち込み中だ。何せやっと慣れてきたというのに新しく艦隊が再編成されたのだ。睦月ちゃんや夕立ちゃんの艦隊と違って私の艦隊は問題ありというか・・・問題しか無い様な艦隊だったのだ。

 

「はぁ・・・どうなっちゃうんだろう・・・。」

 

私の呟きは今日も晴れている空へ虚しく消えていった・・・。

 

 

 

《提督室》

 

「提督、本当に良かったのですか?」

 

「良かったって、再編成の事か?」

 

「えぇ。艦隊を役割ごとではなく、バランスよく編成したのはわかりますが・・・。ここはちょっと荷が重過ぎるんではないでしょうか。特に吹雪ちゃんには・・・。」

 

「まぁ、それも試練と思えばいいさ。それぞれが各艦隊に慣れるまでは旗艦も自由にしている。各々動きやすい方法を考えさせる、それがこの編成の狙いだ。」

 

「そうでしたか・・・。では私も新艦隊での親睦会があるので、失礼してもよろしいでしょうか?」

 

「あぁ、楽しんできなさい。」

 

「ありがとうございます。」

 

霧島を見送って俺はパソコンで昨今の戦闘データを照合していた。

 

「やはり・・・か。どうも遠征隊との遭遇が多いと思ったらそう言う事か・・・。」

 

目の前の画面には俺から見ればある場所を守るように敵艦隊が展開されていた。すぐさま俺は机のマイクを取り、待機していた偵察隊へ指示を飛ばす。

 

「偵察隊へ通達。敵新棲地の予測地点が出た。敵主力はケル諸島付近にいると思われる。警戒態勢をレッドにして向かえ!!」

 

『了解!!』

 

「さて、見つかったとしても・・・どうしようかね・・・。」

 

俺は敵棲地が見つかった場合の事を考えたが、やはり実際に見なければわからない・・・か。

 

 

 

 

 

 

 

 

『偵察機より報告!!至急応答を願います!!』

 

偵察機の出撃を命じてから数十分が経った時、不意に提督室の通信機に声が灯る。

 

「どうした!?」

 

『敵棲地と思われる場所を発見!!座標はケル諸島全域です』

 

「ケル・・・全域だと・・・?ちぃ・・・敵主力は!?」

 

『発見済みです!!』

 

「よし、すぐさま偵察隊は帰還せよ。警戒は怠るな!!」

 

『了解です!!』

 

「さて・・・どうしようかねぇ・・・。」

 

 

 

《作戦会議室》

 

「帰還後すぐで悪いが、得た情報を見せてくれ。」

 

「了解です。」

 

帰還後というのに文句一つ無く提督室に来てくれた妖精たちは偵察機から抽出したデータを見せてくれる。

 

「これがケル諸島全域の映像です。」

 

「思った以上に広いな・・・。ただでさえ開拓中だというのに・・・。して、敵主力は?」

 

「こちらです。」

 

「かなりの数がいるな・・・む?この島の中心に居るヤツ、データベースでは見たことが無いな・・・。」

 

俺は急ぎ鎮守府の敵深海棲艦のデータベースにアクセスするが、これといって今映っている敵艦と似たような艦は見つからなかった。

 

「どうやら・・・敵の新型艦のようだな・・・。」

 

「そのようですね・・・。どうします?」

 

「まだみんな、再編成直後で今の艦隊に馴染めてないだろうが、見つかった以上、挑むしかないだろうな・・・。以上、今日はゆっくり休んでくれ。」

 

「了解。では、失礼します。」

 

妖精たちが去っていった後、俺はもたらされた情報で可能な限りの予測を立てるため、何度もシュミレートを行っていた。

 

「コイツは・・・装甲型か・・・?」

 

俺は長年培ってきた経験で大まかながら予想ができた。だが、実際に確かめてみなければわからないな・・・。

 

 

 

 8月31日

 

《発令所》

 

俺は発令所で直接指揮を執っていた。何度も攻撃を仕掛けたが乗ってくるのは随従艦隊のみで敵主力には反応は見られなかった。攻撃を開始して二日目。新しい艦隊編成で馴染めていないのもあり、まだこれといって戦果は上げれていない。

 

『第三艦隊より入電。会敵した敵艦隊を全て撃沈。続いて第六艦隊より入電。同じく敵艦隊を全て撃沈したとのこと。』

 

「後は第五艦隊だけか・・・。あそこは一クセも二クセもあるからな・・・。」

 

『第五艦隊より入電。会敵した敵艦隊を全て撃沈とのこと。』

 

「よし、出撃中の三艦隊に通達。直ちに鎮守府へ帰投せよ。」

 

『了解。』

 

『はい、了解です!!』

 

『同じく第六艦隊、了解です。』

 

・・・ん?今、吹雪の声がしたような・・・。まぁ、後でわかるだろうし、そのままにしておくか。

 

《提督室》

 

俺は提督室でゆったりとしていた。ゆったりとは言ったがパソコンで作戦の事を確認しながらだ。

 

「第五艦隊、入ります。」

 

加賀の声と共に第五艦隊全員が提督室へ入る。

 

「お、予想よりも早かったな。どうした、旗艦が決まったか?」

 

「モッチロン。ほら、ブッキー。」

 

「え・・・は、はい!!この度第五艦隊旗艦を務めることになりました、吹雪です!!」

 

「ふむ・・・なるほど。わかった。吹雪、がんばれよ。」

 

「は、はい!!」

 

俺は第五艦隊が出て行くのを見送った後もパソコンに目を移してさらに綿密に敵主力を動かせるような作戦を練っていた。

 

 

 

ふと気がつけばいつの間にか日は傾いていた。それを見て自然と口が開いた。

 

「結局、俺はあいつらを守れていないよな・・・。なぁ、親父・・・。」




またも反攻作戦です。

え?展開が早いって?気にしないでください。
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