俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第十五話 CL作戦

 9月1日

 

《提督室》

 

ケル棲地へ攻撃を開始してから3日。着実に周りの随伴艦隊を撃破していった。みんな新しい艦隊に慣れたようで着実に戦果を残している。そこで俺はCL作戦、敵主力への直接攻撃を明日決行することを宣言した。その後、俺は今日も執務をこなしながら艦隊の状況を見ていた。

 

「敵さんに動きは無し。この頃はこちらが仕掛けているから近隣の島群の吸収も止まっている。一応資源採掘の人員も避難をさせている。だが、報告によれば敵主力にはまったく動きが見られないか。それに近頃の敵の動き・・・統率が見えるな。やはり新型の影響か?」

 

俺は紙の束を片付けながら一人、今後について思案していた。

 

「やはり・・・この動きは不自然すぎる。俺たちを外に出したいようだな・・・。」

 

「提督!!」

 

そんな中、霧島が慌てた顔で提督室へ入ってきた。

 

「どうした、何があった!?」

 

「加賀さんが・・・。」

 

《港》

 

「加賀!!」

 

霧島に連れられて俺が港に着いた時にはボロボロで北上と大井に肩を借りて立っている加賀の姿があった。

 

「ずいぶん派手にやられたな。大艦隊とでもかち合ったか?」

 

「私のミスです。」

 

「吹雪・・・。」

 

「旗艦なのにみんなに的確な指示を出せなくて・・・本当にすみません!!」

 

「いいえ、想定していたというのに前に出すぎていた私の失態です。面目次第もありません。」

 

加賀は自力で立って吹雪に非は無いと言い頭を下げる。

 

「かっこ・・・つけないでよ。」

 

「瑞鶴?」

 

加賀の意見を否定するように瑞鶴が呟く。

 

「アンタは私の代わりに被弾したんじゃない。一番悪いのは油断していて出すぎていた私なのに・・・どうして責めないのよ!!」

 

「勘違いしないで。貴方があの無防備な体勢で被弾したらおそらく轟沈していたわ。でも私は被弾箇所を選べたし、それで沈まずに耐える自信はあった。それが例え五航戦でも提督の大事な戦力を失うわけにはいきません。私はあの絶望的な瞬間に見えたわずかな希望に賭けただけ。そして勝ったわ。」

 

「何よ、そんなボロボロのクセに・・・なんでそんな偉そうに!!」

 

「落ち着け!!今はそんな時ではないだろうが。」

 

「ソウソウ。高速修復材を使えばお湯を沸かす前にティータイムは終わりネ。」

 

「すまんが、それは無理だな。」

 

「どうして、Why!?」

 

「ケル棲地への攻撃を開始して以来、こちらの勢力範囲は拡大しているんだが、同時に消費も増えている。燃料等は余裕があるが、出撃が増えているせいもあって高速修復材は底をついているんだ。まだ量産は難しいからな・・・。」

 

「先日被弾した赤城さんも未だに入渠しているありさまですし・・・。」

 

「仕方が無いが、加賀は一時戦線を退かないとな・・・。第五には明日の主力を担ってもらう予定だったが、どうしたものか・・・。」

 

「加賀さん、瑞鶴を守ってくださった事、本当に感謝しています。」

 

「さっきも言いましたが別にお礼を言われることではありません。」

 

「提督、烏滸がましいのはわかっています。それを承知でお願いがあります。この翔鶴を加賀さんの代わりに艦隊に入れてください。」

 

「・・・少し、考えさせてくれ。」

 

俺はそう言い残してその場を去った。

 

 

 

《提督室》

 

「さて・・・あぁは言ったものの、どうしようかね。」

 

俺は翔鶴の艦隊の状況を見ていた。

 

「翔鶴の艦隊にも被弾者は少々見えるな・・・やはり翔鶴の提言通りが良いのか・・・実際にやるのは俺ではない。旗艦である吹雪に聞いた方が良いか。」

 

俺はそう思い、すぐに吹雪を呼ぶ。

 

 

 

「駆逐艦吹雪、入ります!!」

 

吹雪を呼んで数分後、すぐに吹雪はやってきたのだが・・・。

 

「手と足が一緒に出ているぞ・・・。」

 

緊張でガッチガチになった吹雪の姿があった・・・。

 

「別に俺は譴責するために呼んだわけじゃない。艦隊を編成した俺が言うのもなんだけど、良くあの面子をまとめられていることを褒めなければな。何、困った時はいつでも俺に相談しに来て良いし、同じ第五の北上も相談すれば力になってくれるさ。ちゃんと吹雪はがんばっているよ。」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「嘘言ってどうするんだ。だからこそ、吹雪の意見を聞きたいと思って呼んだわけだ。」

 

「私の意見ですか?」

 

「明日のケル棲地直接攻撃の主力である第五艦隊に加賀の代わりに翔鶴を入れるか否か、それをお前の判断に任せようと思う。さっきの様子を見るに、瑞鶴のメンタルも気になる。いけるか?」

 

「それは・・・やれます、やってみせます!!」

 

「その息や良し。それで出撃が決まったところで、明日の作戦で話しておきたいことがある。明日の主力を担う艦隊の旗艦であるお前に伝えなければならない。これからの会話はあまり漏らさないようにしてくれ。」

 

俺はその後、誰にも聞かれること無く吹雪に懸念していることを伝えた。

 

 

 

 9月2日

 

《司令室》

 

「提督、第二・第三カタパルトより第一・第三艦隊の出撃を確認。予定通り先行します。」

 

「わかった。続いて第五艦隊へ出撃命令を。」

 

「了解です。」

 

「頼んだぞ・・・吹雪・・・。」

 

俺の呟きは騒がしい機械音でかき消された・・・。

 

 

 

《ケル諸島海域》

 

私たちは敵主力を守るように展開している敵艦隊と交戦していた。

 

「Fire!!」

 

「海の藻屑となりなさい!!」

 

「ギッタギッタになるといいよ!!」

 

「「攻撃隊発艦!!」」

 

だけどみなさんのおかげで立ちふさがる艦隊はことごとく壊滅していった。私は現在いる場所が安全だと思うとすぐに司令官へ報告をする。

 

「第五艦隊より鎮守府へ報告します。敵護衛艦隊を撃破、敵主力予想地点への直接攻撃可能です!!」

 

『わかった。すでに第一・第三艦隊には第五艦隊と合流を図るように指示している。これより三艦隊を率いて敵防衛網を一極集中して突破し、敵主力への攻撃を図れ!!』

 

「了解しました!!」

 

「吹雪さ~ん!!」

 

「吹雪ちゃ~ん!!」

 

「扶桑さん、神通さん!!」

 

「提督から話は聞いています。がんばって敵主力を目指しましょう!!」

 

「はい!!」

 

私たちはすぐさま敵主力目指して突き進んだ。

 

 

 

《発令所》

 

「提督、第五艦隊から報告。第一・第三艦隊と無事合流し、敵主力を目指して進軍するとのことです。」

 

「わかった。霧島に通達。予定通り行動に移すように指示を。」

 

「わかりました。」

 

さて・・・この指示が無駄に終わってくれればいいんだが・・・。

 

 

 

《ケル諸島海域》

 

「撃ちます、Fire!!」

 

「ブッ飛ばす!!」

 

「その艦もらったぁ!!」

 

「主砲、副砲、撃てぇ!!」

 

みなさん勢い良く敵棲地へ一気に砲撃を開始する。私だって!!

 

「いっけー!!」

 

「吹雪さん!!」

 

「翔鶴さん。どうしました?」

 

「索敵機より入電。敵新型艦が攻撃射程に入ったわ。」

 

「わかりました。みなさん、予定通り敵新型艦へ一斉砲撃を!!翔鶴さん、座標を!!」

 

「了解!!」

 

「いきます・・・撃ってぇ!!」

 

ズドォォォン!!  ドドドドドドン!!

 

無数の砲撃音が一斉に轟き、砲弾は束となって飛んでいく。そして着弾したような音が聞こえた。

 

「翔鶴さん、敵は!?」

 

「待って・・・来た。索敵機より・・・うそ!?」

 

「どうしたんですか?」

 

「目標・・・未だ健在との事・・・。」

 

「まだです。もう一っ「それよりもマズイ!!左右から敵が向かってきている!!」なんで!?・・・あっ!!」

 

私は瑞鶴さんからの報告で私たちに危機が迫っていることが嫌でもわかった。私は戦勝気分で司令官の注意を忘れていたのだ。

 

 

 

 昨日

 

《提督室》

 

「伝えなければならないことは、昨今の深海棲艦の動きだ。」

 

「敵の動き、ですか?」

 

「あぁ、そこでは見えないだろう?こっちに来なさい。それで、これを見てくれ。」

 

司令官は私を机に招いて机にあるパソコンの画面を見せてもらう。

 

「これは海域図ですね。このマークは・・・交戦位置ですか?」

 

「その通り。俺はこの敵の展開を見て、敵の狙いは俺たちを鎮守府から出すことだと予想している。それで自身の場所を教え、ここでいっきに殲滅・・・俺が敵だったらそう考える。」

 

「なるほど・・・確かにこの場所は鎮守府の補給路からも近く、脅威になりやすいと思います。ですが、それが敵の狙いだったとしたら攻め込めないのでは?」

 

「確かに、この艦隊配置だと今は敵主力への攻撃は困難だ。だが、ここを突破した場合はどうなる?」

 

司令官がパソコンを操作すると画面の海域図に変化が起こる。敵の防衛網を突破した場合のシュミレートが出たのだ。

 

「これは!?」

 

「そう、俺たちには敵主力を攻撃する絶好のチャンス。だが、敵も俺たちがここから攻め込めばチャンスになってしまう。もしここへ攻め込めば左右に艦隊を伏せておけば挟撃が可能になってしまう。

 

「なら・・・別の場所から攻め込めば・・・。」

 

「残念だが、どこから攻め込んでも同じ結果だ。敵がどこまで考えてこの展開をしたのかはわからん。だからこそ、常に最悪の状況を考えて行動してくれ。」

 

「わかりました!!」

 

 

 

「司令官の言っていた通りだ・・・。私は・・・。」

 

戦勝気分に浮かれていた自分に苛立ちを覚える。自分だけならまだしも、みんなまで危険に巻き込んでしまったのだ。

 

「吹雪ちゃん、上!!」

 

「・・・え?」

 

睦月ちゃんの声がしたときには既に上空に敵航空機が迫っていた。

 

ヒューーン・・・カァァァン!!

 

「え・・・三式弾?」

 

上空を埋め尽くしていた敵機は後ろから飛んできた三式弾で跡形もなく撃墜される。

 

 

 

《発令所》

 

「・・・用意して正解だったな。」

 

俺は報告を聞いて呟いた。

 

 

 

《ケル諸島海域》

 

「ブッキー!!今のは提督が後方に待機させていた比叡たちの砲撃デース。」

 

「司令官が・・・?」

 

『吹雪、聞こえているか!?』

 

「司令官、すみません。私のせいで・・・。」

 

『今は反省する時ではない。全艦隊へ通達。直ちに作戦海域から離脱しろ!!目標に砲撃が効いていないならどの道作戦を立て直さないといかんしな。支援に無人機の二部隊も向かわせている。後ろを気にせず、撤退に集中するんだ。』

 

「は、はい!!」

 

私はすぐに行動に移した。撤退しているとすれ違うように鎮守府からの航空機が敵目掛けて飛んでいった。今も支援艦隊からの砲撃も継続中だ。私は後悔だけを残して鎮守府を目指した。




新たな作戦です。え?だから展開が早いって?気にしないでください。

活動報告でリクエスト企画の締切日を掲載していませんでしたので新しく活動報告にて締切日を決定しました。ですが、一応ここでもお知らせしておきます。締切日は2月10日にさせてもらいます。ご協力、よろしくお願いします。H28.2/6
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