俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第十八話 ヤシマ作戦

 9月5日 10:23

 

《鎮守府管制棟・発令所》

 

「通電設備の状況は?」

 

『鎮守府から冠島要塞及び沓島要塞への電導ケーブルの敷設作業中。冠島要塞への変圧機設置作業も続行中です。本日1130までには全線通電の予定です。』

 

『艦娘母艦神威と沓島要塞間との電導ケーブルは敷設完了。』

 

『こちら鎮守府第一発電所。既に通常発電機に加えて増設発電機も試験稼動開始。ケーブル敷設が完了次第、専用ケーブルへ通電を開始します。』

 

「狙撃システムの状況は?」

 

『現在、組立作業中です。作戦開始時刻までには間に合わせます!!」

 

「艦娘及びダミー武装艦艇の展開状況は?」

 

『既に展開完了との報告が入ってます。』

 

『ダミー武装艦艇と発令所の接続完了。』

 

「敵棲地の状況は?」

 

『敵主力及び随従艦隊に変化は見られません。こちらの動きは察知していない模様。』

 

「わかった。各班、作業を予定通り続行。完了次第報告を頼む。」

 

俺は忙しなく部屋中に設置された通信機から聞こえる報告を聞いて指示を出す。決戦は近い・・・。

 

 

 

      11:30

 

『こちら敷設班。鎮守府から冠島要塞及び沓島要塞への電導ケーブル敷設完了。同じく艦娘母艦神威との接続も完了。冠島要塞への変圧器設置も完了です!!』

 

「わかった。鎮守府全発電所に通達。これより全ての発電機を稼動開始。陽電子砲は?」

 

『組み立て完了!!これより戦艦霧島の艤装との接続を行います。』

 

「よし、敷設班は直ちに避難開始。」

 

『了解。直ちに避難を開始します。』

 

「霧島、聞こえるか?」

 

『こちら霧島。聞こえています。』

 

「陽電子砲との接続状況は?」

 

『無事、接続完了です。』

 

「よし、現活動班全てに通達。以降は作戦開始時刻まで待機。異常があれば逐次報告するように。」

 

『了解!!』

 

「後は・・・時間が来るのを待つだけ、か・・・。」

 

俺は全ての作業が完了したことを確認して呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      12:00

 

『ただいまより、午後0時をお知らせします。』

 

ピッピッピッピー・・・

 

「時間です。」

 

時報が聞こえ、傍らにいた大淀が時間だと知らせる。俺は決意して目を開け、艦隊に通信を繋ぐ。

 

「総員、聞こえているか。この作戦には鎮守府の総力を上げてあたらねば成せないものだ。提督として笑える明日のために各自役割を全うし、全員が無事帰還することを命令する!!いいな!?」

 

『はい!!』

 

発令所に無数の位置にいる全員の声が集まる。俺はみんなの意気込みを受け、宣言する。

 

「ヤシマ作戦発動、陽電子砲狙撃準備。第一次接続開始。」

 

『了解。鎮守府全ての発電機の接続を開始。鎮守府仮設変電所への系統切り替え。』

 

『全変換機稼動開始。接続を開始。』

 

『各発電設備は全力運転を維持。出力限界まで後、0.7。』

 

『電力供給システムに問題なし。』

 

『変圧器に異常なし。』

 

『第一次遮断システムは順次作動中。』

 

『電圧安定。系統周波数は60Hzを維持。』

 

「第二次接続。」

 

『鎮守府仮設変電所より冠島要塞仮設変電所へ接続開始。』

 

『冠島要塞発電所より同変電所へ通電開始。』

 

『電圧変動幅、問題無し。』

 

「第三次接続。」

 

『了解。全電力を沓島要塞仮設変電所へ。』

 

『電力電送電圧は最高電圧を維持。』

 

『全冷却システムは最大出力にて運転中。』

 

『超伝導電力貯蔵システム充電率78%。』

 

『第三次接続問題なし。』

 

「わかった。艦娘及び神威へ伝達。予定通り行動を開始。観測機は直ちに第二観測ポイントまで退避。」

 

『了解。』

 

通信機から艦娘たちの声が聞こえる。

 

「ダミー武装艦艇も直ちに攻撃開始!!」

 

『了解。射撃管制装置に異常なし。順次砲撃および誘導弾発射開始!!』

 

モニターでは観測機からの映像で敵棲地への多角超火力攻撃が映し出される。しかし敵も黙っているはずなく戦艦級や重巡級がこちらへ砲を向けて反撃してくる。だが敵に移動する動きは見えない。

 

『第一ダミー被弾、機能停止!!』

 

『同じく、第八ダミーダウン!!』

 

『第十七ダミーダウン!!』

 

『こちら第一艦隊、被弾。ですが被害軽微!!』

 

『第六艦隊、被弾。されど被害軽微!!』

 

「敵に移動する隙を与えるな。間髪要れずに続けろ!!」

 

映像では無数の砲弾が艦隊も敵棲地も問わず殺到している。その間もこちらの作業は続く。

 

『沓島仮設変電所、第二変圧機ダウン!!』

 

『陽電子加速器、蓄積中。プラス1テラ。』

 

『収束回転数は3万8千をキープ。』

 

『圧縮濃度、発射点へ上昇中。』

 

『事故回路遮断。』

 

『電力低下は許容数値内。』

 

『系統保護回路作動中。復旧運転を開始。』

 

『第四次接続問題なし。』

 

「よし、最終安全装置解除!!」

 

『映像を砲手に切り替えます。』

 

オペレーターの声と共に映像が観測機の映像から陽電子砲を観察するために設置されたカメラの映像に変わる。そこには陽電子砲を構える霧島が映っていた。

 

『撃鉄おこせ。』

 

合図と共に最終接続装置のヒューズが装填される。

 

『射撃用諸元、最終入力を開始!!』

 

『地球自転、及び重力の誤差修正。プラス0.0009!!』

 

『射撃盤目標を自動追尾中。』

 

『照準器、準備完了!!』

 

『陽電子加速中。発射点まであと0.2、0.1。』

 

「第五次最終接続。」

 

『全エネルギー、超高電圧放電システムへ。』

 

『第一から第九放電プラグ、受電準備よし。』

 

『陽電子加速管、最終補正。』

 

『発射体勢に入ります。カウント開始。10,9。』

 

『観測機から報告!!機甲棲姫の艦砲が旋回を開始!!方角は沓島です!!』

 

「ちぃ・・・悟られたか?カウント中断!!直ちに護衛班は防御盾を展開、霧島及び陽電子砲の防衛体勢に入れ!!」

 

『了解!!』

 

『機甲棲姫砲撃、砲弾飛来!!』

 

ドドン!!

 

沓島に設置されているカメラからの映像には砲撃の影響でノイズが走る。

 

「状況は!?」

 

『最上です!!霧島さん及び陽電子砲は防衛成功!!されど防御盾損失!!』

 

『艦娘母艦神威、被弾無し。損傷、ありません。』

 

「よし、カウント再開『機甲棲姫再度砲撃!!』やばい!!予備の防御盾を使え!!」

 

『はい!!』

 

ドドン!!

 

ただでさえノイズが走っている映像に音だけが響く。

 

「大丈夫か!?」

 

『二度目の防衛に成功。ですが再度防御盾を損失してしまいました。』

 

「今度こそカウント『敵第三波来ます!!』マズイ!?全員退避!!」

 

ドォォン!!

 

『吹雪ちゃん!!』

 

先ほどとは違う鈍い一つの着弾音が響く。それに誰かの悲鳴のような声が聞こえた。続いて霧島の叫びが聞こえた。

 

「どうした!?」

 

『吹雪ちゃんが私を庇って盾も無しに身体で砲弾を受けて・・・。』

 

「吹雪・・・霧島!!今は吹雪の行動を無駄にはできん!!神威陽電子砲は!?」

 

『神威の方には複数の損傷が確認できますが、陽電子砲は大丈夫です!!既に目標をロック完了!!』

 

「よし、カウント省略・・・発射!!」

 

合図と共に陽電子砲が発射されるが光が強すぎて神威からの映像には白が映る。すぐに観測機への映像に切り替わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったか!?観測機、直ちに報告を!!」

 

『目標ロスト!!機甲棲姫の消滅を確認!!』

 

「よっしゃぁ!!残存艦は!?」

 

『既に陽動砲撃で大部分を撃破。さらに今の砲撃の余波でさらに被害増大。残存艦はこちらよりも少数です!!』

 

「わかった。展開中の艦隊に通達。動ける者は直ちに敵残存艦の掃討に入れ!!」

 

『了解!!』

 

「霧島!!吹雪は!?」

 

『大丈夫です!!大破していますが無事です!!』

 

「よかった・・・霧島及び護衛班は直ちに鎮守府へ帰投せよ。ドックの準備もだ!!」

 

『了解!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―12:42を以ってケル棲地残存艦を全て撃破。こちらの被害は軽微。作戦完了。

 

俺はその報告を発令所で聞いてこれまで以上に安堵し、崩れるように椅子に座った。連日睡眠の時間すら削って作戦発案をしていたのが祟ったのか疲れがどっときた。まぶたがすっげぇ重いよ・・・。 

 

 

 

 

 

 

 

この後、疲れと安堵に負け、作戦報告や消費資材の決済等をほったらかして爆睡して、次の日霧島に怒られたのは余談である・・・。




この話どこかで見た気がするって?気のせいだ。あぁ、一緒に『BattailleDecisive』を聞いたらテンション上がりますよ。多分・・・。
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