俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第三章 在りし日の風景
第二十話 加古の日常


《鎮守府・就寝棟》

 

ここは鎮守府でも少ない静かな場所だ。それは艦娘がいないときの話であって、起床時間である現在は例外で賑やかである。

 

zzzzzz・・・

 

しかし、ある部屋にはまだ、いびきが一つ響いていた。

 

「加古~起きてよ~。」

 

「ん~なんだよ古鷹~、まだ昼じゃん・・・。」

 

「起きてって。」

 

「むにゃ・・・後少し・・・三十分・・・。」

 

「そりゃぁ少しじゃないと思うな。」

 

「う~・・・うるさいなぁ。ほら、起きたよ。」

 

「遅いよ、もうご飯の時間だよ?」

 

「古鷹が早いんだよ~。」

 

「それは加古が起きるのが遅いからでしょ。」

 

「むぅ・・・。」

 

こうしたやりとりで私の一日は始まる。

 

《鎮守府・食堂》

 

「ねぇ、古鷹。今日はなんか予定入ってたっけ?」

 

「うぅんと、今日は任務は入ってないわね。久々にゆっくりできるね。」

 

「ならもう一眠りできるね、ふわぁぁ。」

 

「加古っていっつも寝てばっかりよね。もう少ししっかりしないと。」

 

「まーたいつものお小言が始まったぁ。」

 

私は古鷹のお小言を聞き流しながら朝食を食べる。コーヒーも飲んで眠気ともしばしのお別れだ。

 

「ふぅ・・・満腹満腹。さぁて、古鷹。散歩でもどう?」

 

「もう、加古ったらいつも自由なんだから・・・。」

 

私たちは食堂を後にして広大な鎮守府を歩き回るため外へ出た。

 

《鎮守府》

 

「っにしてもここは広いよね~。もう一ヶ月ちょいは経ってるけど全部回った自信は無いよ。」

 

「そうだね~。確かにここは広い、というか広すぎる気がする・・・。」

 

「でもおかげで今まで食べれなかったものとかも食べれるようになったし、私はオッケーかな?」

 

「戦いの最中なのにこうしてゆっくりできる。私たちは幸せだね。」

 

「これも私たちを助けてくれた提督には感謝だよ。」

 

「そうね、また加古とこうして歩くことができたのは提督のおかげだもんね。」

 

「お、今度はあっちに行ってみよう。」

 

「あ、ちょっと加古~。」

 

私は自分の好奇心がそそられるところを見つけ、駆け出した。それに慌てたように古鷹も着いて行く。

 

《鎮守府・農場区》

 

「ふ~む看板を見るに畑、か・・・。ここでは何を作っているのかな?」

 

「ちょっと加古。ここは入ったらダメそうだよ。」

 

「いいじゃん別にぃ。何も実ってないみたいだから大丈夫だって。」

 

「もうっ・・・。」

 

私たちは普通の鎮守府では無い筈の畑へと踏み込んだ。

 

「ここは・・・根菜を作っているみたいだね。」

 

「根菜?」

 

「大根とか根っこが食べれる野菜の事。でも、これはなんだろう?大根ではないよね・・・。」

 

「まぁ、いいじゃん。結局食べれば同じだから。」

 

「加古ったら・・・。」

 

「っにしても、ここ普通の畑みたいだね。他の鎮守府の食料用の畑とは雰囲気というか何かが違う気がする。」

 

「明らかに趣味って感じがするわね。それよりも、そろそろ別のところへ行きましょ。」

 

「そだね、次はどこへ行こうかなぁ。」

 

「次は工廠辺りがいいわ。あそこは煩いようで一番活気があふれているからね。」

 

「りょーかーい。」

 

私と古鷹は誰の物かわからない畑を後にして工廠へと向かった。

 

《工廠区》

 

工廠区は予想通り辺り一面忙しい雰囲気に包まれていた。あちこちで妖精がパタパタ服を揺らしながら働いている。

 

「いやぁ、ここは熱いねぇ。もう夏は終わったって言うのに熱気で溢れているよ。」

 

「提案した私が言うのもなんだけど、元気で溢れかえっているね。」

 

「あ、古鷹に加古じゃん。今日はどうしたの?」

 

工廠区に来た私たちを迎えたのは艦娘きっての技術屋夕張だった。

 

「あ、夕張じゃん。今日はフリーでさ、散歩がてらに寄ってみたんだ。」

 

「夕張はいつもここにいるの?」

 

「そうねぇ、哨戒任務とかが無い時は大抵ここで機械弄ってるよ。いやぁ、機械弄りは案外飽きないものよ。」

 

「へ~、まさに博士提督の懐刀って感じだねぇ。」

 

「そうねぇ、たまに提督が見に来た時はつい血が騒いで盛り上がっちゃって仕事放っておいて時間が過ぎちゃうからねぇ・・・。仕事の合間に来ているのに何時の間にか仕事そっちのけになっていた提督を追って霧島が乱入したりでしっちゃかめっちゃかよ。まぁ、それが楽しいんだけどね。」

 

「なるほどねぇ、私はたまに一緒に酒を飲むぐらいだねぇ。」

 

「それでも十分だと思うよ。私は提督と飲んで酔いつぶれた加古を部屋まで連れて来てもらった時に少しお話しするくらいかな?」

 

「今の提督って馴染みやすいんだよねぇ。今まで見てきた人間と違ってさ。」

 

「めずらしいね。加古がそんなこと言うのって。」

 

「でも、加古の言う通りじゃない?でも何が違うんだろう・・・。」

 

「それは私も同じ。趣味が一緒だからでは済まない何かがあるんだろうけど・・・未だにわからないままね。」

 

「でもまぁ、私はわからなくてもいいや。」

 

「えぇ!?なんで?」

 

「だってそれを知ったら何かが変わっていしまいそうな気がするんだもん。」

 

「こういう加古の突拍子のない発言が結構当たるのよねぇ・・・。まぁ、私もそこまで知らなくて良いかも。」

 

「そうねぇ、私も二人に賛成かな。」

 

「まぁそんなこと気にするくらいだったら私はどうやって昼寝の時間を確保するかを考えるかな。」

 

「はぁ・・・。」

 

「ほんと加古らしいわね。あ、そろそろ私は仕事に戻らないといけないから、じゃぁね。」

 

そう言って夕張は工廠区の一際大きい建物へ向かっていった。

 

「夕張も大変だね~。」

 

「私は加古に着いていくだけで大変だよ・・・。」

 

「さぁ、次はどこに行こうかなぁ?」

 

私たちは残りの時間も散歩に使って広大な鎮守府を巡った。

 

《鎮守府・就寝棟》

 

「いやぁ、今日は楽しかったねぇ。」

 

「そうだね、鎮守府のいろんなところに行って楽しかったね。毎日がこんなだったらいいのに・・・。」

 

「・・・次は絶対に負けない。」

 

「加古?」

 

「絶対に古鷹と離れないって約束する。」

 

「・・・私もだよ。もう加古とは離れたくない。」

 

「うん・・・約束。」

 

私と古鷹は改めて日常を見て約束をする。絶対に負けない、絶対に離れないと。




初めての日常編です。こんな感じで良いでしょうか? ((((;´゚Д゚)))
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