《提督室》
「以上が今日の哨戒報告です!!」
元気良く話すのは私たち第五艦隊の旗艦吹雪である。今日も無事、全員が鎮守府へ帰ってくることができた。
「うむ、ご苦労様。後はゆっくりと休んできなさい。」
「はい!!失礼します!!」
私たちは吹雪の言葉で提督室を後にした。
《甘味処間宮》
「なるほど・・・ムグ・・・これは勉強になります。」
「ねぇ北上さん、これ食べますか?」
「あぁ、いいよ大井っち。自分で食べなよ。」
「フーン、紅茶も良いけど、抹茶もイイネー。」
「・・・。」
いつものように休憩で甘いものを取るために間宮さんのところを第五全員で訪れていた。いつも通り全員ばらばらの行動を取る。吹雪さんは本を読み、雷巡コンビはイチャつき(大井が一方的に絡んでいる)、帰国子女は抹茶を嗜んでいる。まったくと言って良いほど行動が被っていないのだ。
「ちょっとぉ!!私は!?」
うるさい七面鳥は放っておいて私も目の前の特製アイスをいただきましょうか。
「七面鳥ですってぇ!?」
「うるさいわね。静かにできないの?だから七面鳥言われるのよ。」
「関係ないよね!?うるさいのは七面鳥関係ないよね!?」
「ムグ・・・やりました。」
やはり間宮さんのお菓子はおいしい。とは言え、私はここ以外の和菓子を食べたことがない。何せ私は戦うためにだけ作られたのだから。前も、今も・・・。
「―――さん、加賀さん?」
「!?あぁ、吹雪さん。どうしたの?」
「加賀さんこそ、何かあったんですか?深刻な顔をしてましたよ。」
「そう・・・気にしないで良いわ。」
「わかりました。何かあったら、言ってくださいね。」
「えぇ・・・。」
さっきの事が顔に出てしまったようね。でも、仕方ないことなのでしょうか。これが私の定めなのでしょうか・・・。
「間宮さん。お代、ここに置いておきますね。」
「はい、お疲れ様です。」
「加賀さん?」
「少し疲れが溜まっているみたいだから先に部屋で休んでいるわ。」
私はそういい残して甘味処を後にした。
《岬》
「はぁ・・・。」
私は一人、一番見慣れた景色である海を見て溜息をつく。思い出すのは私が一度失った生を再び受けた時のこと。そう、提督の手によってサルベージされた時のこと。なぜあの時私は戦う選択肢を選んだのでしょうか。提督は戦わなくて良い選択肢も用意してくれたのに。戦うことを選んだのは赤城さんがそれを選んでいたから?それとも・・・。私は一体何のために・・・。
「何故、私は戦うのでしょうか・・・。」
「それは私たちを救ってくれたあの方のため、そうではありませんか?」
独り言だったはずの呟きに返答があった。聞こえた方向を向くと見慣れた人が立っていた。
「赤城さん・・・。」
「あの方は唯一私たちをちゃんと見てくれている人です。だからこそ、命を懸けて戦い守る意味があると私は思っています。」
「戦う意味・・・。」
「『戦う意味などに囚われていては守りたいものも守れない。』そう、提督は仰っていました。私が加賀さんと同じように迷った時に。」
「赤城さんも?」
「えぇ。私がサルベージした後このまま戦うか否か、提督からどちらを選んでもいいと言われて私は迷ったの。そうしたら提督が仰ってくださって、今の私がいる。その時提督の目は何かを知っていた気がしたの。強い意志のようなものが。提督にも守りたいものがあるのでしょう。」
「守りたいもの・・・。」
私の守りたいものは・・・。
「赤城さん、ありがとうございました。」
「いいですよ、お礼なんて。だって私たち友達じゃないですか。」
「そうでしたね。」
私は新しい決意を胸にその場を後にした。掛け替えの無い親友と共に。
《甘味処》
「やりました。」
私は目の前にある特大餡蜜を見て口癖になった言葉をこぼす。
「ねぇ、大井っち。近いよ~。」
「いいじゃないですかぁ、北上さぁん。」
「ムグ・・・これはおもしろいですね。」
「フーン、今日も間宮の抹茶は美味しいデスネー。」
「これも中々いけるわね。」
いつものように私たちはバラバラで、でも同じところを見つめている。でも全員その目は、顔は、いつも笑っている。それが私が守りたいもの・・・だから絶対に守ってみせる。この笑顔も、提督も。
ちょっと(大分)日常というかシリアスになってしまったような・・・。