9月14日
《港》
「ぽい~!?」
「何なんですかー!?」
「夕立ちゃん、大丈夫!?」
鎮守府へ帰ってきたとたん、いきなり夕立ちゃんの身体が輝き始めたのだ。いきなりのことで本人は当然、私も睦月ちゃんも慌てる。だが、起きていることに対してみんなの反応が薄い感じがして周りを見てみると、慌てている私たち以外は笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「えぇっとぉ・・・。」
「あぁ、ごめんなさいね。つい、慌てるあなたたちの反応がおもしろくてね。大丈夫よ。艦娘なら誰でも通る道なのだから。工廠へ行って来て下さい。そうすれば大丈夫ですよ。」
何かを知っているようで神通さんは夕立ちゃんを安心させるように言う。
「じゃぁ、行って来るっぽい。」
そう言って夕立ちゃんは工廠へ向かった。
「じゃぁ、私たちは提督に帰還報告をしに行こうか。」
「わかりました。」
私は夕立ちゃんの様子を心配しながら提督室へと向かった
《提督室》
「あれ?夕立はどうした。」
私たちが入ってきてからの提督の第一声はそれだった。
「夕立ちゃんは工廠へ行きました。」
「工廠?またどうして。」
「大規模改装ですよ。」
「ふむ・・・なるほどな。」
大規模改装?言葉は聞いたことがあったような・・・。私は隣の睦月ちゃんを見ると同じように首をかしげていた。
「今日は夕立ちゃん、一人でホ級を二隻、ヌ級を一隻撃破しています。おかげでかなり練度が上昇したのでしょう。」
「なるほど・・・一人で三隻も撃破すれば練度の上昇度合は大きいだろうな。」
「あの・・・結局夕立ちゃんは大丈夫なんでしょうか・・・?」
私と同じように神通さんと司令官の話についていけないかった睦月ちゃんが司令官に恐る恐る夕立ちゃんのことを聞いた。
「あぁ、大丈夫だ。今の夕立の状態は君たちが唯一成長できる状態だ。練土上昇に伴って艤装が成長の兆しを見せたんだ。そしてその状態で君たちの肉体を構成するS.V.Lに浸って新たに取り込むことで肉体が成長し、艤装も変化するんだ。それを大規模改装と言うんだ。既に艦娘が誕生して何年も経っているが未だ未解明が多くてね、改装についてもそうだ。判っていることと言えば艦ごとに必要練度が違うと言うところかな。まぁ、練度自体も数値化できないから一概にそうとは言えないのだが。」
「なるほど、大規模改装ってどのくらい変わるんですか?」
「大抵、身長が伸びるのが一般的だな。後は・・・雷巡トリオがいるだろ?あの三人は最初から雷巡じゃなくて、彼女らの姉と同じ軽巡だったんだよ。まぁ、改装で艦種が変わる子もいるってことだ。」
「成長かぁ・・・夕立ちゃんはどうなるんだろう。」
「いくら名前が同じ艦娘が複数いるとは言え、改装後の姿は様々だ。性格が変わる子もいれば変わらない子もいる。これは積んだ練度や所属環境で変化しているのかもしれん。まぁ、楽しみにしていたら良いさ。」
「はぁ・・・。」
司令官は嬉々として話していた。これが『技術屋の血が滾る』と言うのだろうか・・・?
ルルル・・・
賑やかに談笑していた司令官の机にある通信機が鳴り出す。
「あぁ、俺だ。・・・わかった。ご苦労様。」
「どうされたんですか?」
「工廠からだ。無事、夕立の大規模改装が終わったとのことだ。今すぐにでも行こうか。」
「はい!!」
私たちは司令官を先頭に提督室を後にした。
《工廠》
工廠に向かっている間普段司令官に聞けないようなことを聞いたりしていたらいつの間にか目的地の工廠に着いていた。
「ぽい~。」
工廠に着いた私たちを迎えてくれたのは夕立ちゃんと同じ服を着た
「えぇっと、夕立ちゃんのお姉さんですか・・・?」
「いや、違うな。しっかし結構成長したな?夕立。」
「「えぇ!?」」
大規模改装と言うものを見たことがない私たちは驚きの声を上げる。だって、目の前の艦娘は完璧にお姉さんですよね・・・。
「ぽい~。私は夕立だよぉ。二人とも酷いよ~。」
「これが・・・大規模改装・・・。」
夕立ちゃんの変わり様を見て私たちは驚きを隠せないでいた。司令官から成長すると聞いたけど・・・成長しすぎじゃない?
「姿からして改ニか?」
「うん、一気に改ニになったっぽい。」
「改ニ・・・?」
「大規模改装で行える最高の改装、成長のことだ。もう夕立の火力は駆逐艦の域を超えたな。」
「すごーい。よかったね、夕立ちゃん。」
「うん!!」
「それにしても結構背が伸びたな。今の服は小さいだろう?」
「うん、ちょっと小さいかも。」
「そうか、なら売店で何か好きな物を買ってくるといい。」
そう言って司令官は夕立ちゃんに幾らかのお金を渡す。
「三人で行ってくるといい。まぁ、好きな物一つずつな。」
「ぽい~!!」
「やったぁ!!吹雪ちゃん、行こ?」
「うん!!」
私たちは売店で夕立ちゃんは前のと同じ種類の服のサイズ大きめ、睦月ちゃんと私はおいしそうなお菓子を買って寮へ戻った。
翌日
《ケル諸島海域》
現在、私たち三水戦はケル諸島海域の哨戒任務にあたっていた。近々、ケル諸島に近い海域を奪還する作戦に参加するということで周辺海域を重点的に監視するためだ。
「ソナーに反応なし。潜水艦はいないようです。」
「わかったわ。・・・あら、水偵が帰ってきたわね。」
「私のもだ。」
川内さんと神通さんの零式水偵が戻ってきたのだ。二人は水偵から報告を聞いている。
「水偵の報告で敵艦隊がケル諸島北西にいるみたいね。編成は雷巡1、軽巡2駆逐3。すぐに鎮守府に報告して指示を仰ぎましょう。」
「はい!!」
「こちら第三水雷戦隊、神通です。鎮守府、応答願います。」
『こちら鎮守府。どうされました?』
「哨戒海域北西に敵艦隊を発見。指示をお願いします。」
『わかりました。すぐに提督に繋ぎます。』
「お願いします。」
『提督だ。報告は聞いた。編成を見るに偵察部隊だろう。今はこちらの動きは察知されたくない。よってこれの撃破を命ずる。付近に他の艦隊がいる可能性も否めない。警戒は怠るな。』
「了解しました。直ちに行動に移します。」
『あぁ、全員の健闘と無事を祈る。』
提督の言葉で通信は切れる。
「みなさん、聞いての通り、三水戦は直ちに敵艦隊の撃破に向かいます。姉さん、もう一度水偵を。三水戦の周辺を警戒してもらいましょう。」
「オッケー!!」
神通さんと川内さんはもう一度水偵を飛ばす。
「さぁ、行きますよ。」
「「「はい!!」」」
「水偵より報告。目標敵艦隊見ゆ!!周囲に他の艦隊は見えず。直ちに撃破に向かいます。全員、砲雷撃戦、用意!!」
神通さんの宣言で全員が戦闘態勢をとる。
「ソロモンの悪夢、見せてあげる!!」
夕立ちゃんは勢い良く先陣を切りに行った。
「私たちも行きますよ!!」
「うん。アイドルは私なんだからー。」
「夜戦じゃないけど行くよ!!」
「睦月、負ける気がしないのね!!」
みんなも夕立ちゃんに釣られて敵陣に切り込んでいく。
「わ、私も!!」
私も負けじと敵陣に突っ込んでいった。
「当たってください!!」
ドウン!!
私の砲撃は当たらず、反撃の砲撃を避けつつ反撃を伺う。
「にゃんにゃー!!いっきますよー!!」
近くにいた睦月ちゃんが敵ホ級に突っ込んでいく。ホ級を魚雷射程に収め、一気に魚雷を一斉発射し撃破する。
「すごい・・・。」
「次、行きますにゃー!!」
勢い良く次の敵の撃破に向かう睦月ちゃんは最初に三水戦にいた時とはまったく別人に見えた。
「夕立も負けてなれないかも。いっくよー!!」
夕立ちゃんも負けずにイ級を撃破する。次々と敵を倒していく二人を見て私は少し変な気持ちになった。
《鎮守府・港》
「にゃぁ!?」
港に着くと今度は睦月ちゃんの身体が光りだしたのだ。
「良かったわね、睦月ちゃん。大規模改装っぽい。」
「うん、行ってくるね!!」
そう言って睦月ちゃんは工廠へ向かった。
《提督室》
「そうか、睦月も大規模改修か。」
「えぇ、この頃二人はがんばっていましたからね。」
「そうか。睦月にはすまないと思うが俺はお披露目は見に行けない。作戦について対策を練らないといけないからな。これで好きな服を買うように伝えてくれ。夕立、頼めるか?」
「ぽい。私に任せて。吹雪ちゃん、行こう?」
「う、うん。」
私は夕立ちゃんと共に睦月ちゃんのいる工廠へ向かった。
《工廠》
工廠に向かう間に暁ちゃんたちと会い、一緒に見に行こうということになり合計七人で工廠に着いた。(私・夕立ちゃん・暁ちゃん・響ちゃん・雷ちゃん・電ちゃん・島風ちゃん)
「あわわわ、大勢だね。」
工廠に着いた私たちを迎えたのは睦月ちゃんだった。夕立ちゃんと違って見違えるほどの変化は無かった。けど身長は伸び、かっこよくなっている感じがする。
「それにしても以外だね。」
「え?」
隣にいた島風ちゃんが意味不明なことを言う。
「吹雪ちゃんが改装されていないことだよ。」
「私が?」
「だって一人だけでしょ?駆逐艦で旗艦を務めていたの。」
「そ、そうだけど・・・。」
私の謎の気持ちは島風ちゃんの言葉で一層強くなった気がした。隣にいたはずの二人が別のところへ行ってしまうような、そんな感じだった。
アニメでは改ニになったのは夕立だけでしたがプラスで睦月も改ニにしました。理由は睦月の改ニグラがかっこいいからです。
ちなみに舞鶴の改ニ事情は下記の通りです。
改ニ→金剛型・ちとちよ・古鷹・加古・雷巡トリオ・夕立・睦月です。