俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第二十七話 襲来

 9月26日

 

《鎮守府・提督室》

 

――それは突然やってきた――

 

俺は霧島といつものように執務をしながら帰還する艦隊を労っていた。つい先ほど、第四要撃部隊が哨戒中にヌ級主体の機動部隊と遭遇し撃破するも、損傷が激しい状態で帰ってきた。おかげで当部隊は入梁中だ。

 

「しかし、この頃は北西からの侵攻が増えたな。杜松棲地からだろう。それと北からの侵攻も確認されているな。新しい棲地がケル諸島から北上したところにできたのか・・・やることは山積みだな。」

 

そう愚痴っていると机に設置された電話が鳴る。それも赤の方だ。白い方は通常の報告用の回線で赤は緊急時の非常事態用の回線だ。という事は何かがあったということだ。

 

「どうした!?」

 

『敵の侵攻によって沓島要塞が壊滅!!第三防衛ラインを突破されました!!』

 

「何!?さっき北上たちが哨戒から戻ってきたばかりだぞ!?」

 

『侵攻元は北西、杜松諸島棲地からと思われます!!』

 

「わかった。直ちに冠島要塞を迎撃体勢に。それから展開可能な艦隊に全てに緊急召集だ!!俺もすぐそっちに向かう。」

 

『了解!!』

 

通信が切れると同時に鎮守府に緊急招集のサイレンが鳴り響く。

 

「霧島、行くぞ。」

 

「了解です。」

 

俺と霧島もすぐに発令所へ向かった。

 

《発令所》

 

「現状は!?」

 

俺は発令所に入ってすぐ現状報告を求めた。

 

「現在、冠島要塞が迎撃を開始しました。敵艦隊の数は未だ不明。」

 

「観測機一編隊を向かわせろ。北西からだとすると冠島の影で鎮守府正面カメラは使えない。」

 

「了解。直ちに出撃させます。」

 

「それと艦娘は艦隊ごとに第ニ第三カタパルトで待機命令。念のため霧島はここで待機。第一主力にはそう伝えてくれ。」

 

「了解。」

 

「か、冠島要塞ダウン!!第二防衛ライン突破されます!!」

 

「なんだと!?交戦して数分で落ちるなんて、ただごとじゃないな・・・。」

 

『観測機より報告!!敵艦隊を発見!!およそ80はいるかと。」

 

「小規模棲地分か・・・偵察機は直ちに帰還。鎮守府全体に非常事態宣言を発令。非戦闘員はシェルターに避難。鎮守府迎撃設備を全て展開。」

 

『了解。非常事態宣言を発令。鎮守府、戦闘形態に移行します。』

 

俺は妙に嫌な予感を覚えていた。手に汗を握り、背筋に悪寒が走る。

 

『固定砲、対空機銃、VLS、鎮守府全ての迎撃兵装の展開を確認。』

 

「わかった。直ちに迎撃開始。目標、敵大艦隊。できるだけ数を減らせ。」

 

『了解。直ちに攻撃を開始。』

 

『全誘導弾発射。次発装填まで70。』

 

『鎮守府レーダーで敵艦数を補足。戦艦8、空母7、重巡12、軽巡19、駆逐艦27。予測艦数、63!!』

 

「一鎮守府にこれだけ用意するとは、敵の資源情報を是非とも教えてもらいたいものだ。後方にもまだいるだろうな。鬼・姫級は?」

 

俺は気分を変えるために軽口を挟んだがまったく気分が晴れることは無かった。

 

『未だ反応なし。』

 

『誘導弾着弾!!』

 

『固定砲の最大射程範囲に入ります。』

 

「わかった。90秒間敵艦隊中心へ砲撃。加えて第二第三カタパルトに出撃命令。出撃後は固定砲の砲撃終了まで鎮守府側面で待機。砲撃終了と同時に攻撃開始。」

 

『了解。順次出撃を開始。』

 

モニターでは普通だと安心するような数の砲弾が敵へと向かっていく。だが、それでも俺の不安は拭えなかった。

 

 

 

『カウント0!!』

 

「よし、全艦隊へ通達。交戦開始!!」

 

『了解!!』

 

『レーダーに新たな反応あり!!』

 

「とうとう姫級か?データ照合を。」

 

『データ照合開始・・・出ました。照合率0%・・・これは!?』

 

「新型か・・・厄介にもほどがある。詳細は?」

 

『カメラが光学で補足。主モニターに出ます。』

 

「これは・・・?」

 

深海棲艦は常識ではありえないような異形が多い。だがモニターに映し出されたのはさらにその上をいくようなものだった。

 

「なんだ、これは・・・。装甲だけで中身が無い?」

 

「鎧・・・?」

 

「霧島の言うとおり、鎧と言えるな。だが目に位置する部分は発光しているな。元々深海棲艦は亡霊の一種だ。鎧の亡霊が深海棲艦化したと捉えるべきか・・・。周囲の敵残存艦は?」

 

『赤城です。敵残存艦は残り僅か。損傷も大きいものばかりです。』

 

「わかった。敵残存艦は無視、目標を敵新型に固定。VLSの目標も全て新型に固定、集中砲火だ。」

 

『了解。目標変更、敵新型!!』

 

『発射準備完了!!』

 

「よし、攻撃開始!!」

 

鎮守府のいたるところから誘導弾が発射され敵新型へ向かっていく。同じように艦隊からも無数の砲弾が敵新型へ向かっていく。

 

『誘導弾着弾まで14!!』

 

「・・・。」

 

『着弾!!』

 

着弾の爆発でモニターには白い光と黒煙だけが映っている。

 

『着弾地点にエネルギー反応!!』

 

「ダメか・・・。陽電子砲を直ちに準備!!鎮守府本館と各種兵装以外の電源を強制停止、余剰電力を全て陽電子砲にまわせ。発電機も予備も含めて稼動開始!!」

 

『了解。』

 

『敵新型に変化あり!!』

 

「なんだあれは・・・。」

 

報告が聞こえた時には敵新型の両脇に化け物の首が生えていたのだ。そしてそれは口を開けると同時に火を噴いた。

 

ドォォォォン

 

「敵の砲撃か!?あれが砲とはね・・・。被害報告!!」

 

『第ニ機動部隊被弾!!隼鷹と千歳が中破!!』

 

「一発がでかいな・・・。全艦隊へ通達。直ちに鎮守府正面から離脱後、側面から鎮守府へ一時帰還。固定砲の集中砲火で敵障壁を削る。」

 

『了解。』

 

「正面の固定砲全ての照準を敵新型艦に固定。全艦隊が射程範囲から離脱次第砲撃開始。」

 

『了解。固定砲の照準を修正開始。』

 

『全艦隊の固定砲攻撃範囲からの退却を艦隊報告およびレーダーで確認。』

 

「よし、砲撃開始!!」

 

合図と共に映像では無数の砲弾が敵新型目指して向かっていく。

 

爆炎で敵の姿は見え隠れするが時折見える障壁が敵の無傷を物語っていた。

 

『敵の障壁を解析。機甲棲姫と同じ一極集中型と思われます。』

 

「やはり陽電子砲しかないか・・・。できるだけ時間を稼げ。艦隊は帰還次第弾薬の補給に。別命あるまで待機。陽電子砲の状態は?」

 

『現在、収束回転数は出力限界の30%強。出力限界まで15分はかかるかと。』

 

「ヤシマ時はバッテリーと各要塞の発電機も使っていたが、今回は鎮守府の発電所だけだ。間に合うか・・・?」

 

現在鎮守府の通常火力と全艦隊の一斉砲撃を以ってしても敵新型の障壁は破れなかった。誘導弾は優に100を超えていたはず。それだけでも陽電子砲の最大威力の半分はある。それに艦隊の砲撃を加えても不可能だった。俺には切れる手札は既に無く、切った後の一枚、陽電子砲しか残されていなかった。もう、限界か・・・?

 

 

 

『だ、第一カタパルトより出撃反応!!』

 

「誰だ!?今は待機命令中だぞ!!」

 

『出撃を確認・・・該当艦は北上です。まもなく砲撃範囲に突入します!!』

 

「・・・一旦固定砲の砲撃を中断。北上、何してんだ!!早く戻れ!!それに修復中のはずだろ!?」

 

『・・・。』

 

「北上!!答えろ!!上官命令だ!!」

 

『・・・。』

 

北上は俺の問いに答えず敵目掛けて突撃するのが正面カメラが捉えてモニターに映る。命令違反だが、北上は自惚れだが俺が直々に指導したことがあるやつだ。何か思惑あってのことだろうかと俺は考えた。そう思っていたのだが北上の装備を見ると違和感があった。

 

「魚雷を装備していない・・・?それにあいつが持っているのは・・・確か試験中のやつだったはず・・・。」

 

北上が脇に抱えるように持っているのは開発中の艦娘用携帯型噴進砲だ。それに砲身には携帯型なため、不要なものは一切取り付けていないはずだった。だが現に北上が持っている砲の先端には白い棒がいくつも取り付けてあった。

 

「・・・まさか!?」

 

俺は謎の白い棒を重視してみると一番最悪なことが浮かぶ。

 

「北上!!今すぐ止まれ!!やめろ!!」

 

俺は北上を止めるために叫んだ・・・。




はい、死亡フラグ全開でさらに突入です。 by作者
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