俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

41 / 55
第五章 忍び寄る闇
第三十八話 師弟コンビ


 10月13日

 

《鎮守府近海》

 

ドウンッドウンッ

 

鎮守府近海では派手な砲撃音が響いていた。現在ここは戦場と化している。

 

~♪

 

そしてその戦場には到底合わない一つの鼻歌があった。

 

『もう、提督。何時まで歌ってるの?そろそろ敵が想定射程に入るはずでしょ?』

 

「言われなくても、既に確認しているさ。そっちは?」

 

『もう少しで目視で確認できる距離まで近づいている。それより、本当に大丈夫なの?』

 

「大丈夫って、今日準備したやつのことか?」

 

『霧島のこと。』

 

「あ~そっちね。一応、実戦運用試験って名目で霧島から許可貰ったから大丈夫。」

 

『そう聞いたらどっちが上かわかんないね。』

 

「別に上下関係とか俺はどっちちゃ良いんだがな。」

 

『まぁ、君らしい言葉だね。む、敵艦隊を目視で補足。』

 

「りょーかい。んじゃ、予定通り・・・始めるか。」

 

そう言って蒼一は背負っている艤装を稼動させる。通常装備の55.5cm連装砲を接続していた右舷上部にはさらに大型の単装砲が代わりに接続されていた。長砲身狙撃砲、蒼一が新たに考案した艦娘用兵装だ。艦娘用、とは言っているがそれは当然建前である。実際は蒼一用兵装である。排水量、搭載量、共に最大規模である超大和型戦艦桐生、それを最大限に生かすべく生み出された装備だ。

 

「狙撃砲の展開を無事完了。照準開始・・・おぉ、見えてる見えてる。」

 

蒼一の視界には北上たち第四要撃部隊と現在鎮守府へと侵攻中の敵艦隊が見えている。

 

「目標を確認。艦隊構成は水雷戦隊、空母機動部隊、そして水上打撃部隊の三艦隊。目標との距離およそ15km。発射から着弾までおよそ20秒。仰角修正、完了。直ちに狙撃開始。」

 

ドウンッ

 

準備が完了したことを確認するや蒼一は狙撃を開始した。

 

 

 

「電探にこちらへ高速で接近する物体を確認。これは?」

 

「多分提督の砲弾だと思う。私たちも行くよ!!」

 

そう言って北上たちは敵へとさらに接近していくのだが・・・。

 

シュンッ!!ボン!!

 

「はい?」

 

目の前で一体の敵が爆散したのだ。

 

『おーおー、聞こえてる?こっちでも着弾は確認はできたが、撃破かどうかは確認できてないんだ。どうだ?』

 

そして嬉々とした提督の声が聞こえた。どうやら先ほどの敵の爆散は提督の狙撃によるものみたいだ。

 

「敵は見事爆散。一撃必殺、ちょっとやりすぎなんじゃないかなぁ?」

 

『一撃の方が被害も無いだろ?』

 

「そりゃそうだけど・・・まぁ、いっか。んじゃ、バックアップ頼める?」

 

『仰せの通りに。』

 

「それじゃ、突っ込むね!!」

 

「えぇ!?北上さん!?」

 

そう言って北上は一気に敵の本隊へと突っ込んでいく。だが立ちふさがるはずの敵は蒼一の狙撃で次々と爆散していく。そしてすぐに敵水雷戦隊は壊滅、北上は交戦することなく敵機動部隊へと接近する。

 

『おいおい、予想はしてたが無茶しすぎなんじゃねーの?』

 

「大丈夫、大丈夫。それとも自分の狙撃に自身が無いのかな?」

 

『へいへい、わかりましたぁ。』

 

「うん、よろしい。」

 

そう言って北上はさらに速度を上げて敵艦隊へと突撃する。それを追い越すように砲弾が殺到し敵空母を護衛する駆逐艦を撃破、さらに蒼一は左舷主砲塔で三式弾を発射し敵艦載機を撃墜し北上の道を拓く。そして北上はさらに突撃し魚雷を一斉射しただの的と化した空母を屠る。そして間をおかずさらに突き進む。

 

「いやぁ、まさか魚雷だけでここまで近づけるとはねぇ。やっぱ君って規格外・・・いや、元からかな。」

 

『なんかすっげー蔑まれた気がするんだが』

 

遂に一度も直接火砲を交えることなく敵主力部隊に接近した。

 

『さぁて、最後の締めだ。派手に行くとしようじゃないか!!』

 

「さて、片舷20門両舷合わせて40門の魚雷受けきれるかな?」

 

北上は一気に魚雷を一斉射する。敵は蒼一の狙撃で注意を分散されまともに避けることができずに次々と魚雷の餌食になっていった。戦艦がいくら装甲が厚くても喫水下の装甲は薄い。そこを魚雷に攻撃されてはなす術はなく次々と撃破されてしまった。

 

『ひゅぅ。戦艦一隻と雷巡一隻で水雷戦隊、空母機動部隊、水上打撃部隊の三艦隊を撃破とは、ちと大きすぎるな。こりゃぁ、霧島からお小言頂いちまうな。』

 

「まぁ、そりゃぁ仕方ないんじゃない?張り切りすぎた君が悪いんだからさ。まぁ、想定以上の戦果を挙げたから軽いものだと思うけど。まぁ、私には関係ないんだしぃ。」

 

『そりゃねぇぜ・・・俺はお前に付き合ったって言うのによぉ・・・。』

 

その後も提督はぶつくさ言ってきた。まぁ、一応手伝ってもらったお礼として聞き流す程度に聞いていた。みんなと合流した時はかなり驚かれた。提督も言っていたけど戦艦と雷巡一隻ずつだけで敵三艦隊を撃破したのだ。そりゃぁ驚かれるはずだ。

 

《鎮守府・港》

 

「お帰りなさい、提督。」

 

「あ、あぁ、ただいま?」

 

帰還直後に霧島と鉢合わせした提督の顔は見ものだった。

 

「では、夕食もありますしできるだけ急いでくださいね。」

 

「あ、あぁ。」

 

「よかったじゃん。何も言われなくて。」

 

「まぁ、な。だが、夕飯が終わったら仕事があるんだろうなぁ・・・今日の実験データもまとめねぇといけねし、こりゃぁ徹夜決定だな・・・。」

 

「お疲れさまぁ。それよりも早く夕飯に行くよぉ。」

 

「お、おぉ、わかった。」

 

北上は蒼一を引っ張るように食堂へと向かった。いつものように賑やかな場所へと・・・。




投稿が一週間以上遅れてすみません・・・。やはり春という時期は忙しい・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。