俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

42 / 55
第三十九話 リスク

 11月18日

 

《ケル諸島北東海域》

 

「へっくしょい!!・・・あ~さっみ・・・。」

 

「提督~いくら寒いからってここは戦闘海域だよぉ?」

 

「まぁ、そうなんだけどさ・・・ふぇっくし!!・・・寒いからちょっと本気出して敵さん潰してくるか・・・。」

 

「まぁ、私も同感だしさっさと潰しましょうか。んで、肝心の敵さんの構成は?」

 

「出撃時に聞いてなかったのか?・・・ったく、敵艦隊の構成は空母機動部隊がニ、水雷戦隊が一、水上打撃部隊一。敵打撃部隊は霧島たち第一主力部隊が、敵水雷戦隊は第三水雷戦隊があたっている。そしてこのニ艦隊の支援に第一機動部隊を展開、敵機動部隊二つは俺たち第四要撃部隊が単独であたる事になっている。」

 

「提督、それって大丈夫なんですか?」

 

「まぁ、大丈夫でしょう。何せ先日も二人で三艦隊を撃破したぐらいですし大丈夫でしょう。愛宕ちゃん心配しすぎですよ。」

 

「しかし俺も心配だな。前回は提督は遠方からの支援狙撃だったが今回は通常行動だ。いくら規格外でも難しいだろう。それに今回は空母が前回の三倍、六隻はいる。空母の支援無しに制空権は守れないだろう。」

 

「その点なら問題ない。今回の俺の役割は対空専門だ。俺の艤装を見てみろ。」

 

「副砲の15.5cm砲ではなく、小口径砲を満載していますね。背部にも対空機銃を多数装備・・・過剰載積では?」

 

「元々背部の大口径主砲を一基とっぱらっていて今回はさらに副砲も小さい物に変更して数を増やしてプラマイゼロだ。これで事足りるだろう。」

 

「・・・わかった。そろそろ戦闘海域に突入するぞ。」

 

「いや、そのまえに見つかったな。」

 

「!?敵機直上!!数からして偵察機の模様!!」

 

「さらに対空電探の反応増加、数からして攻撃機だな。どうする!?」

 

既に前方の空には無数の敵艦載機がこちらへ向かって飛んできている。

 

「慌てるな。陣形を俺を先頭に単縦陣に変更。開幕は派手に行くぜ!!」

 

ドガガガガガッ!!

 

蒼一の掛け声と共に主砲から三式弾、機銃からは無数の弾幕、小口径砲からも弾幕が展開され先ほどまで空を埋め尽くしていた黒い艦載機は数秒で一機残らず爆散した。

 

「・・・。」

 

北上を除いた第四要撃の四人は惚けた顔をしていた。いくら規格外の艦とは言え、単独で数十機はいたであろう敵艦載機を一瞬で撃破したのだ。そして展開された弾幕も異常な量だった。驚くのは当然だろう。まぁ、例外として彼の異常行動をよく知っている北上だけは同じように呆れた反応をするが驚きはしなかった。

 

「さぁ、空母は艦載機を失えば案山子同然だ。今の内に突っ込むぞ!!」

 

「了解!!」

 

「会敵次第、以降の判断は各自に委任する。引き続き空母の相手は俺が引き受ける。突撃!!」

 

蒼一の号令で六人は敵艦隊へ一直線に突撃する。空母ヌ級六隻は迎撃しようと艦載機を発信させるが悉く蒼一の対空砲火で役目を果たす前に撃破される。そして相対数で負けていたはずの戦況が艦隊構成の半分を占める空母が役立たず状態になった現在、たった五隻で残り護衛艦六隻を相手取れていた。

 

「オラオラァ!!弱すぎるぜ!!戦艦を出せ!!」

 

「木曾さん?少々出すぎですよぉ。まぁ、軽巡と駆逐艦と言うのは私たちにとって不足しかないのだけれどね。愛宕ちゃん、行くわよぉ。」

 

「りょーかーい。」

 

「北上さん!!」

 

「オッケー大井っち。魚雷一斉射、いっけぇ!!」

 

五隻の艦娘は各々見つけた相手を反撃をさせる前に撃破していった。

 

「はぁぁぁ!!」

 

ザクッ!!グシュアッ!!

 

蒼一も負けじとヌ級六隻を単独で撃破していた。接近を許してしまうと接近戦に何も対策がないヌ級はなす術も無く次々と前腕に装備されていた射突型杭で蒼一に屠られていった。

 

「こちら桐生。空母ヌ級六隻全て撃破完了。各自状況報告。」

 

『木曾だ。軽巡ホ級を無事撃破。』

 

『こちら高雄です。愛宕ちゃんと駆逐イ級ニ隻を撃破。』

 

『こちら北上。大井っちと軽巡ホ級と駆逐イ級二隻を撃破完了。』

 

「了解。第四要撃部隊は任務完了だな。霧島、神通。そっちはどうだ?」

 

『こちら第一主力部隊。敵水上打撃部隊の撃破完了です。』

 

『こちら第三水雷戦隊、神通です。敵水雷戦隊を撃破。負傷艦は無し。』

 

「わかった。現時刻を以って本作戦は完了とする。全艦隊は鎮守府へ帰投せよ。帰還時も警戒は怠るな。」

 

『了解。』

 

『わかりました。』

 

「よし、俺たちも戻ろうか。」

 

「はい!!」

 

蒼一の言葉で第四要撃部隊も鎮守府への帰路に着いた。

 

《鎮守府・作戦会議室》

 

「提督、私たちに招集がかかったということは何かあった、ということですね?」

 

「すまないな、休憩もしたい時間なんだろうがな・・・。まぁ、召集の理由はそんな感じだ。」

 

作戦会議室には蒼一・霧島・大淀・青葉・北上、その他分析妖精が数人集まっていた。そして中央の机には日本海海域図が置かれていた。

 

「んで、何があったの?」

 

「あぁ、まずは夏に奪還したケル諸島、さらに北の方角に新たな棲地・・・いや、我々の活動範囲が広がったことで新たに見つけることができるであろう新棲地があると俺は睨んだ。」

 

「先日より北方からの襲撃頻度が増加している件ですね。」

 

「あぁ、そういうことだ。して、先には大規模作戦が控えている。舞鶴は作戦自体には本格参戦はしない。だが、俺のせいで舞鶴の代わりに主力を担うことになった呉の艦娘たちのためにも、敵援軍の存在は排除しておきたい。だから偵察を行いたいのだが、見つけた場合を考えたらさらに悩みの種が増えてしまう。して、実際に動くのは俺でなく君たち艦娘、ということで呼んだ次第だ。」

 

「なるほど・・・確かに提督の言うとおり、新たな棲地を発見したとなれば作戦自体の練り直しも考えられますからね。それに私たちもまた作戦参加を余儀なくされる可能性も再浮上する可能性もありますからね・・・。」

 

「ふぅむ・・・確かに霧島さんの言うとおりですね。ここ一ヶ月の敵の侵攻はほとんどケル諸島海域付近で迎撃、撃破していますがこの海域図を見るに侵攻経路は北方からの線が濃いですね・・・。」

 

「そうだねぇ、でもどうするの?先手を打つ?後手に回る?どちらにしろ、リスクは必ずあるね・・・。」

 

「そうだな。大淀、ここ一ヶ月の侵攻艦隊全てを北方にある新棲地からのものとして、規模はどのくらいと予測できるか?」

 

「そうですね・・・侵攻時に確認できた艦隊構成は考えられる基本的な艦隊構成を確認したことから予測すると規模は中規模棲地以上ですね。鬼・姫級は存在するかと・・・。それに深海棲艦側の前衛基地であったと思われたケル棲地に新型艦がいたことからこの新棲地にも新型艦が存在する可能性も否めません。」

 

「やはりそうか・・・。こりゃぁ北上の言うとおりどっちを選んだとしてもリスクは必ずあるな。先手を打つと現在進行中の杜松棲地攻略作戦への再参加させられる可能性。後手だと敵の勢力増大、か・・・。さて、どうしたものか・・・。」

 

「むぅ・・・あ、そうです。先手を打ち、短期での棲地攻略を狙ってみては?」

 

「青葉・・・実現は不可能ではないかもしれないが、いくらなんでもそれは難しいだろ。棲地攻略には最低でも五艦隊は必要だ。それは鎮守府の半分の戦力を割くことになる。鎮守府については防衛兵装があるから大丈夫だが問題は舞鶴が動くということだ。一応大本営には俺が復帰したことの報告は済ませてある。だが、棲地攻略に動くと戦線復帰が可能ということを示してしまう。これが問題だ・・・。」

 

「確かに・・・。どちらにしてもリスクは伴う。ならば先手を打つほうが結果的には良い方向になるのでは?我々が戦線復帰できることを知ったとしても新棲地攻略にあたれば単独での行動が可能なのでは?」

 

「まぁ、そうなるな。・・・つーかまだ新棲地の存在は掴めていないのだがな・・・。」

 

「あ・・・。」

 

「棲地は無いことに越したことはない。俺もだったが存在があるということに固めてちょっと熱中してしまったな。んで、結局のところ新棲地探しはしたほうが良いのか否か、どっちがいい?」

 

「偵察はしたほうがいいと思うねぇ。君の言葉を借りるとするならば『切れる手札は大いに越したことは無い。』と『情報が戦いを統べる』だね。」

 

「私も同意見です。」

 

「私も同じく。」

 

「青葉も同じですぅ。」

 

「満場一致だな。では明日にでも偵察を行う。偵察に使用するのはいつもどおり無人機の三編隊、いや、今回は四編隊がいいか。ケル棲地は元々予想はついていたが今回の予測海域の北陸海域は島が多いから候補が多すぎるからな。それで通達しておこう。何か意見は無いか?」

 

「特に。目下のところ新棲地が見つからないと始まりませんからね。」

 

「確かにな。まぁ、明日の報告を受け次第また集まって欲しい。では、解散。ゆっくり休んでいてくれ。」

 

「了解です。お疲れ様でした。」

 

蒼一はみんなが部屋から出て行くのを見て自身も部屋を後にした。




今回からちょっと蒼一の規格外っぷりが目立ちます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。