俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第四話 再会

 7月1日

 

《工廠》

 

工廠に着いた俺の目の前には戦闘の要となる兵装が辺りに転がっていた。なんでここまで悲惨なのかは聞かないでおくのが普通だろう。

 

「さて、俺は何をすればいいのかな?」

 

「まずは装備を整えてもらいましょうか。暁ちゃん、響ちゃん。この人のことよろしくね?」

 

「私に任せなさい!!」

 

「・・・わかった。」

 

「じゃぁ私はここで失礼するわ。これでもここの指揮官だからね。」

 

そう言い残して霧島は工廠を出て行った。

 

「さってと、まずは装備を整理しないとな。手伝ってくれるか?」

 

「良いわよ。暁に任せなさい。」

 

「・・・いいよ。」

 

食堂では嫌悪の目を向けられたが、作業をしながら話をしていく内に少しは打ち解けれた気がした。

 

「えぇと12.7単装砲が9、12.7連装砲が5。14単装砲が8、20.3連装砲が14。35.6連装砲が8か。さてまずは駆逐艦の装備からだったな。よく使うのは12.7連装砲か?」

 

「えぇ、そうよ。」

 

「ふむ・・・。」

 

俺は一つの連装砲を手に持って確認する。

 

「よく使い込まれているが、手入れが言ったらあれだが雑だな。砲身に微量だが火薬が蓄積しているな。これじゃぁ少しは照準がズレるだろうな。」

 

俺は近くにあったクリーニングロッドを使い砲身内の火薬を取り出す。次に砲身接続部分のカバーを取り外して、ブラシで塵などを掃っていく。最後に回転部分にグリスを少量塗ってカバーを再び取り付ければ完了だ。

 

「これで幾分マシになっただろう。艤装につけてみてくれ。」

 

「わかったわ。」

 

暁は背中に艤装を展開し、俺が手入れした連装砲を接続する。すると・・・、

 

「すごい!!砲の仰角調整がスムーズになったわ!!」

 

ただ掃除しただけでここまでのはしゃぎようだ。艦娘もちゃんと個性が、年相応のようなものがあるんだろうな・・・。そう思っていると服を引っ張られたような気がした。その方向を見ると響が何かを言いたげな目を向けていた。なるほど、はしゃいでいる暁を見て興味が湧いたということか。じゃぁその期待に応えるとしますか。

 

「じゃぁ、響も自分の連装砲を持っておいで。」

 

「・・・わかった。」

 

静かだがその言葉には嬉しさがあったような気がした。そしてすぐに自分のであろう連装砲を持ってきた。

 

「じゃぁ貸してごらん?」

 

「自分でやってみる。教えて?」

 

「お、おぉ・・・わかった。まずはそのロッドで砲身を削るように動かすんだけど力は入れすぎないように。下手したら砲身が削れてさらに悪くなってしまうから。」

 

「わかった。」

 

俺は響に一つ一つ丁寧に教えながら作業を進めることにした。一方、暁は調整された連装砲ではしゃいでいる。もう少ししたら実際に撃ってみたいとか言い出すんだろうな。まぁ、それは響のが終わってからだな。

 

「次は?」

 

「次は砲身の接続部分のカバーをはずして仰角調整に使う回転部分とかをブラシで掃っていくんだ。」

 

「外し方は?」

 

「防盾との接続部分にボルトがあるからドライバーで外すんだ。」

 

「こう?」

 

「うん、それで次にこの回転部分とかの塵を掃うんだ。」

 

「ふむ・・・。」

 

響は不慣れな手つきで作業を進めていく。そして無事、塵などを掃い終わりグリスを塗り、カバーを付けて作業は終わる。

 

「さて、つけてごらん?」

 

「・・・ホントだ。変わった!!」

 

「よし、じゃぁ模擬弾だが実際に撃ってみようか。」

 

「うん!!」

 

「暁~実射撃行くぞ~。」

 

「あ。待ってよぉ。」

 

《演習場》

 

ドウン、ドウン!!

 

定期的に砲撃音が演習場に響く。俺は調整された砲で遊んでいる二人を演習場の沿岸から見守っていた。すると俺の隣に誰かが来たようだ。

 

「やぁ、いつも通りいい腕してるねぇ。」

 

「?・・・誰かと思えば北上か。」

 

「大本営以来だねぇ。まさか君がここに来るとは・・・まぁ、実力はお墨付きなのはわかるよ。」

 

「お前さんも相変わらずだな。」

 

「・・・聞かないのかい?」

 

「何のことだ?」

 

「大井っちのこと、ここで何があったかを。」

 

「資料を見るだけで十分だ。」

 

「辛かったよ・・・苦しかったよ。あの5ヶ月は、本当に地獄だった・・・。」

 

「北上・・・。」

 

「でも、来てくれたのが君でよかったよ。」

 

「・・・そうか。」

 

「ねぇ、なんで上は大艦隊でも不可能だった作戦を再び命じてきたの?君は知ってる、というかどう見る?」

 

「真那は知ってるだろ?あいつから聞いたよ。保身派の考えだそうだ。こっちの身・・・艦娘のことを考えろってんだ。」

 

「何時の世も人は同じだね・・・。」

 

「そうだな・・・。」

 

「それで、君は四国奪還・・・どうするの?」

 

「ただ敵を倒して進む・・・それだけさ。」

 

「そのどうやって進むかを聞いてるんだよ。」

 

「まずは、ここにいる全員の信頼を得て提督にならねぇと始まらねぇよ。」

 

「そうだねぇ・・・霧島が一番の難所だろうね。」

 

「まだ全員会った訳じゃないが、確かにそのようだな。」

 

「まぁ、君ならできるさ。私も手伝うし。」

 

「あぁ、頼む。それじゃ、動くとしますか。」

 

「動くって、どういうこと?」

 

「ゲッ・・・霧島・・・。」

 

「北上、ゲッて何?」

 

「いやぁ・・・気のせいじゃない?」

 

「・・・まぁいいわ。それで、技術屋さん?動くってどういうことか説明してもらいましょうか。」

 

「さっき『ある計画を実行するために来た』ってことは言ったよな?その計画の準備だ。」

 

「何をするつもり?」

 

「今すぐに話せるような内容じゃない。だから悪いが話すわけにはいかないんだ。」

 

「何よ、それ。」

 

「霧島、私はこの人がどれくらいすごいか知ってるからわかる。この人の計画は決して悪い物じゃない。そうだよね?」

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

「だから私からもお願い。彼を手伝って上げて。」

 

「もしこちらに不利益が生じるとわかったら・・・容赦しないわよ。」

 

「状況の判断は君に任せる。君の判断に俺は何も抵抗しないさ。」

 

「霧島・・・ありがとう。」

 

「じゃぁ、早速動くのかしら?」

 

「あぁ、そうさせてもらいたいが、はしゃいでる二人はどうする?」

 

「そうねぇ・・・あら、もう夕飯の時間じゃない。」

 

「ん、もうそんな時間か。」

 

「もう準備できているかもね。君もここで食べる?」

 

「お言葉に甘えて、ありがたく頂こうか。」

 

「おっけー。暁~響~ご飯行くよ~。」

 

「「は~い!!」」

 

はしゃいでいた二人も元気のいい返事をして俺たちと合流する。

 

《食堂》

 

「それじゃぁ、私から改めて説明するね。この人は桐生蒼一。大本営じゃ技術屋なのに裏作戦部長って呼ばれいるすごい人だよ。ほらっ。」

 

「なんでこうなるんだ・・・?」

 

俺はなぜか食堂の一番視線の集まるところで北上からの自己紹介を受けている。

 

「桐生蒼一だ。えぇっと・・・どうすりゃいいんだ?」

 

「まぁまぁ、これ持って・・・鎮守府の新しい仲間に乾杯!!」

 

「乾杯・・・。」

 

北上は元気よく乾杯の合図をするが他のみんなの反応は冷たいものだった。そりゃそうだろう。彼女たちは人を嫌っているのだから・・・。俺はそそくさと席に座って用意してもらった夕飯を口にしながら冷たい雰囲気を作った北上に話しかける。

 

「おい・・・なんでこんなことした。」

 

「・・・やっぱダメだったね。」

 

「やっぱ?」

 

「んとね、ここにいるみんなはね、人間をアイツみたいに思っている人ばかりなの。」

 

「アイツ・・・問題の提督か・・・。」

 

「そう。私みたいに君みたいな人間を知らない。だから人間は全部アイツみたいなヤツって思ってる。ちょっと印象を変えようと思ったんだけど、無理だったかな?」

 

「暁・響とは打ち解けたはずだけどな。」

 

「確かにそうだったね。あの響まではしゃいでたんだもん。あの二人がきっかけになってくれれば・・・。」

 

「かなり楽だろうな。それよりも早く食べて動かないとな。真那が大本営で首を長くして待ってるかもしれんしな。」

 

「そだね、私もその準備が気になるし、ペース上げよっと。」

 

俺たちは急いで夕飯を済ませて次の行動に移った。

 

 

 

《資料室》

 

「さて、霧島から許可は出たけどさ、『この鎮守府の設備云々の詳細が見たいから』って理由、嘘でしょ?後ブリーフィングルーム使用許可まで貰っちゃって・・・何するの?」

 

「すぐにわかるさ。」

 

「まぁ、霧島も嘘には気づいていると思うけど・・・。で、本当に見たい資料はどれ?」

 

「聞き辛いが・・・『第三次四国奪還作戦』の詳細・・・特に轟沈記録についてだな・・・。」

 

「・・・本気で言ってるの?それ。」

 

「あぁ、計画の要だ。」

 

「・・・これだよ。」

 

当然北上は苛立ちを覚えたようだが、一応資料は渡してくれた。

 

「これは持ち出し可能か?」

 

「戻してくれるなら目を瞑る。後、霧島に見つからないように。」

 

「それじゃぁ、ちょっと失敬。」

 

「相変わらずよく思いつくねぇ・・・。」

 

俺は本命の資料から必要なページと四国周辺の海域図をバインダーから外して、嘘の言い訳で使った施設資料のバインダーに挟めて資料室から持ち出す。北上は俺の手際の良さに呆れるように呟く。

 

《ブリーフィングルーム》

 

「それで、ここではどんな隠し事をするのかい?」

 

「隠し事って・・・、まぁそうだけどさ。それじゃぁ始めるか。」

 

俺は床に海域図を置いて作業を始める。

 

「えぇとこの子はここ、この子は――よし。これで終わりだな。」

 

床に置かれた海域図には何十枚ものラベルが貼られていた。特にある場所に集中しているがそれよりも・・・、

 

「うん。予想通りほとんど淡路で轟沈しているな。そして一人は本土に近い場所で轟沈しているな。」

 

「結局どういうつもりなの?私には全然わかんないだけど。これって轟沈した子たちの場所だよね?これで何がわかるの?」

 

「わかったのは希望が繋がったってことだ。早速真那に連絡入れねぇとな。」

 

俺は未だに疑問を浮かべる北上を放って置いて携帯で真那へ連絡を入れる。北上にも会話が聞けるようにハンズフリーにしてだ。

 

『あら、蒼一。そっちは無事提督になれた?』

 

「いや、技術屋としてここにいるよ。」

 

『ははっ、アンタらしいわ。それで、計画の方はどう?』

 

「全て予想通りだ。当初の予定通り、計画に必要な機材一式諸々を送ってくれ。」

 

『機材設置の人員は当然として、お付きの人員はどうする?』

 

「白鳥以下技研の数人を+αで寄越してくれ。それと技研以外の人員は全て妖精にしてくれ。余計な反感はないほうが良いからな。」

 

『わかった。全て朝一でそっちに着くようにでいいのよね?』

 

「あぁ、頼む。」

 

『オーケー。それじゃぁ、がんばって。』

 

「もちろんだ。」

 

その言葉で通話は終了する。

 

「それで、その計画って何?これだけ隠し事に付き合った私には教えてくれるよね?」

 

「あぁ、もちろんだ・・・とは言いたいんだが、この計画は実際にやってみないとわからないもんでね。予定じゃ内容は喜ばしいことだが、リスクや失敗することも考えたらお前にぬか喜びを、後悔させるかもしれない。それでも聞くか?」

 

「・・・聞くよ。」

 

「わかった。俺は大本営上層部にある計画を発案した。それが俺の言う計画、KS計画だ。それで内容は―――だ。」

 

俺が内容を話し終えた時の北上の顔はとても信じられないような、でも嬉しそうな顔だった。

 

「ねぇ、それって本当の話なの・・・?」

 

「あぁ、予定ではな。だが、実際にやってみないとわからん。この計画だけは全て実験するには犠牲が必要だからな・・・。」

 

「その計画・・・何時始めるの?」

 

「明日には機材が揃う。だが聞いたお前ならわかるだろ?この計画がどれだけの意味があるのかが。」

 

「うん・・・。このことは胸の内に隠しておく。」

 

「そうしてもらえると助かる。」

 

俺と北上はブリーフィングルームを出て資料を戻し、霧島に終わったことを報告して俺の寝る場所に案内してもらい、霧島は夜の警戒へ北上は自分の寝所へと各々の場所へ行きそれぞれ夜を越した。




兵装の手入れについてはうろ覚えですので気にしないでください。響のキャラについても気にしないでください。
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