俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第四十九話 二人は戦いに戻る

 12月8日

 

《大本営・元帥執務室》

 

俺と真那は昨日と違い、昼まで仕事を忘れて楽しむことができた。温泉街を周っただけだったがそれだけで幸せだった。何事にも終わりがあるように、楽しかった時間にも当然終わりはある。現に俺たちは大本営に戻ってきて鎮守府に戻る事を伝えるため元帥の部屋にいる。

 

「さて、どうだったかな?二人きりの時間は。」

 

「おかげさまで楽しめました。」

 

「ねぇ、やっぱり大本営に戻ってこない?」

 

「俺を舞鶴へ送った奴の台詞か?確かにそれも良いだろう。だが、俺にはやることがある。だから、ごめん。」

 

「ううん、そう言うと思ってた。でも、たまには戻ってきてよね?」

 

「もちろん。」

 

「ゴホン・・・さて、少し良いか?」

 

先ほどとは違って真剣な孝三さんの声で俺と真那は表情を変える。

 

「先日見つかった二つの棲地。これの攻略を正式に舞鶴に命ずる。」

 

「はっ!!」

 

「それから職務を怠った柏崎泊地の司令は既に昨日の内にこちらへ呼んで司令官の地位を剥奪した。新しい司令官の選定は神代一佐に一任する。同時に舞鶴の戦力増加案も任せる。」

 

「はい!!」

 

「先日我々は国民に宣言した。人間は反撃に出ると。だからこそ、頼んだぞ。」

 

「「はい!!」」

 

「それでは桐生提督、帰りも気をつけて。」

 

「はい。では、失礼します。」

 

「真那、送って行きなさい。」

 

「はい!!」

 

俺と真那はそのまま大本営のリニア駅まで向かった。

 

《リニア駅》

 

「別れ際になるとやっぱり行ってほしくないわ。」

 

「言うな。名残惜しくなる。」

 

「そうね、ごめんなさい。それにしてもやっぱりあなたには軍服なんてものより今の方がさまになっているわね。」

 

「元は技術屋だったからな。さて、そろそろ行くよ。」

 

「えぇ、がんばって。」

 

そう言って真那は敬礼をする。俺も敬礼で応える。リニアが駅に着くと俺はそのままリニアに乗り込んだ。そして俺を乗せたリニアは舞鶴へと向かった。

 

《舞鶴鎮守府・リニア駅》

 

一応霧島に『今から戻る』と連絡は入れたが出迎えに全員来ることは無いだろう?

 

「たった一日空けただけでこうも懐かしく感じるとはな。」

 

「何言っているんですか。やることは山積みなんですよ?」

 

「事務処理やりたくなかったから残したと言え。」

 

「何の事でしょうか。それと、提督にご報告があります。」

 

「何かあったのか?」

 

「それは彼女から聞いてください。」

 

霧島の視線の先には速吸がいた。

 

「提督。」

 

「おう。」

 

「昨日の夜、八村海将・・・保身派の老人から連絡がありました。私は用済みだそうです。」

 

「そうか・・・というかその呼び方は・・・。」

 

「その後北上さんから詳しい事を聞きました。あなたは正しい人で、私は騙されていた事を確信しました。」

 

「そうか。」

 

「先日の反逆行為でどのような罪になろうと構いません。ですがその前に、本当に申し訳ありませんでした!!」

 

そう言って速吸は勢いよく頭を下げた。俺はそんな速吸の肩に手を置いて話し始める。

 

「速吸、君はここで何を望む?」

 

「桐生博士のお役に立てるならば、これほど光栄なことはありません。」

 

「わかった。夕張!!」

 

「はい!!」

 

「お前に速吸の指導を頼む。補給艦だから直接戦闘は無理だと思うがその分戦闘艦ではできない特殊な支援ができるはずだ。特に作戦行動中の兵装交換とか弾薬補充とかな。だからその点をみっちり仕込むのと同時に各種へ移送の扱い方も教えてやれ。」

 

「了解です!!」

 

「速吸、何が自分にあっているか、ここで見つけるといい。」

 

「はい!!」

 

「さて・・・俺も自分の役目を果たすとするか。」

 

そう言って俺は鎮守府に入った。

 

《提督室》

 

「それにしても、この量はなんだ?」

 

「地元メディアを初めとした鎮守府へ情報開示を求める文です。」

 

「まぁ、当然だろうな。鎮守府は設置当初は、残された国土を守るのが役目だったが今は反撃の拠点に変わった。そりゃぁ気になるだろうな。だが、いくらなんでも地元とは言え軍の機密を公にするわけにはいかん。全て断りを入れる。」

 

「了解です。後は保身派筆頭八村海将から大本営へのデータ内容の詳細報告を求める文がありますが?」

 

「それは無視だ。別に届いてから確かめさせればいい。さて、ご希望通り、データを送るとしよう。霧島、このデータディスクを明日の大本営直行便で届けれるように手配してくれ。」

 

「了解です。」

 

「さて、後は今後の作戦行動の練り直しに入るか。行動表全てを見直さないとな。それと、その後の西波棲地付近の偵察報告はあるか?」

 

「帰ってきたらそう言うと思ってこれだけ用意しました。」

 

一抱えくらいある紙束を霧島は新たに机に載せる。

 

「こりゃぁ少し篭ることになるな。」

 

「少しではなく一晩では?」

 

「わかっているならいい。それといつもどおり、頼んだぞ。」

 

「了解しました。」

 

そう言って霧島は郵送便の手配と艦隊指揮のために提督室を離れた。俺は山のような偵察報告を見て今後の行動を練っていた。だが報告書を見る限り現舞鶴の戦力を全て使用してなんとかいけるかという結果しか出なかった。やはり真那が進めている戦力増強案の結果を待つしかないだろう。




やばい・・・ストックが切れそうだ・・・。
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