俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第五十話 空っぽの封筒

 12月16日

 

《鎮守府・提督室》

 

俺はいつもどおり西波棲地の偵察報告を見ながら執務を進めていた。そんな時、携帯が鳴った。

 

「真那か。どうした?」

 

『久しぶり~。っとそれどころじゃなかった。今日の朝、舞鶴の戦力増強案の詳細を送ったからそろそろ届いている頃なんだけど、どう?』

 

「いや、まだ「提督、大本営から戦力増強案と書かれた封筒が届きました。」丁度届いたようだ。それで中身は・・・空?本当にこれであっているのか?」

 

『空でいいのよ。』

 

「はい?」

 

『まぁ、今回はちょっと秘密にしておこうと思ってさ。』

 

「それ、良いのか?」

 

『まぁこれはお父さんの考えだからね。これが決まった瞬間思いついたそうよ。』

 

「・・・はぁ。さすがに人数くらいは教えてくれないか?部屋の準備をしないといけないからな。」

 

『数は五人。艦種は二種類。後は想像に任せるわ。』

 

「面倒な事で・・・。わかった。それだけか?」

 

『後出迎えはできるだけ揃っていた方が良いわ。結構実力者揃いだから。それじゃぁ、がんばってね。』

 

「おい、ちょっと!?・・・切りやがった・・・。」

 

「提督、結局この封筒に意味は?」

 

「ただ戦力増強案が可決されて、五人配属される事になったらしい。出迎えはできるだけ揃っていた方が良いらしい。だが・・・誰だ?」

 

「さっきの会話からそれ以外は不明なんですよね?」

 

「あぁ。三人は予想はついている。」

 

「どなたですか?」

 

「雲龍型空母の三人だ。最近演習期間が終わったと聞いた。後は残る二人だな。」

 

「大鳳さんは?」

 

「確かに大鳳もありえる。あと一人・・・艦種は二種類らしい。装甲空母と正規空母だとしたら後は・・・正規空母が一人ということになるが・・・他の正規空母はうちには揃っているからな。だからといって装甲空母は大鳳以外が建造されたという話は聞いた事が無い。それに鎮守府総出で出迎えないといけないほどの実力者か。ますます・・・わからんな。」

 

「要は五人分部屋を用意すればなんとかなるということですね。」

 

「そうなるな。」

 

そして結局わからないまま翌日の配属手続きを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日

 

《リニア駅》

 

「大和型戦艦一番艦、大和。」

 

「同じく二番艦、武蔵。」

 

「秋月型駆逐艦一番艦、秋月。」

 

「同じく二番艦、照月。」

 

「四番艦初月。」

 

「計五名、舞鶴鎮守府へ配属となりました。よろしくお願いします。」

 

「あ・・・あぁ。そうか・・・。」

 

俺は未だ開いた口が塞がらないでいた。他に出迎えに来ている娘も同様に呆然としている。何せ目の前にいるのは大本営最終防衛戦力と言われるほど強大な五人なのだ。確か保身派直属と言って良いくらい行動を制限されていたはずだ。それなのに何故だ?俺はそう思うと急いで大本営にいる真那に電話をかける。

 

『やっほー蒼一。電話をかけてくるっていう事は驚いてるんでしょ?』

 

「当然だ。何をどうなったらこうなるんだ!?」

 

『ちょっと言いづらいんだけどさ、この前蒼一から受け取った開発データを基礎として大本営の防衛戦力が一新されたの。それで弾薬消費が激しい大和たちとその護衛艦の秋月たちがお役ごめんになったの。それで戦力増強を望む舞鶴にデータと交換でってことになったの。』

 

「なるほどな。わかった。悪いな、いきなり電話しちまって。」

 

『ううん、大丈夫よ。じゃぁ、五人のことよろしくね。』

 

そう言って真那は通話を切った。さて・・・。

 

「まさかお前達がここに来るとはな。正直まだ信じられん。まぁ、保身派を守るという訳のわからない役目、ご苦労さんだったな。」

 

「確かに。守れと言われても何もしていませんでしたけどね。訓練ばかりで実戦経験は皆無なのにいきなり激戦区への配属は荷が重い気がします。」

 

「そう気負うな。訓練での成績は優秀だったじゃないか。大丈夫だ。」

 

「まぁ、実際に矢面に立っている提督がそう言うのだからお言葉に甘えさせてもらうとする。」

 

「まぁ、作戦前に練習航海を入れておこう。それなら少しは作戦前に経験が積めるはずだ。なんなら俺が演習相手に「それはダメです。」え~なんでさ~。霧島のケチ~。」

 

「何ででもです。あなたは規格外なんですから普通の演習になるわけがありません。」

 

「むぅ・・・。」

 

「提督のお気持ちだけ頂いておきます。」

 

「まぁ、わかった。さて、正式な配属書はあるか?」

 

「はい。真那さんから出発前に受け取っています。この封筒の中に。」

 

「わかった。その処理を提督室でするから五人はついて来てくれ。後の者は解散してくれ。」

 

「はーい。」

 

「それじゃぁ、俺たちも行こうか。」

 

《提督室》

 

「ふむ・・・正式な書類だな。これに印を押して送り返せば終わりだな。五人とも知っての通り舞鶴は規模がデカイ。と言うわけで霧島、五人を案内してやってくれ。」

 

「了解です。」

 

「では、後は霧島に従ってくれ。」

 

「わかりました。」

 

霧島に連れられて五人は提督室から出た。俺はすぐさま戦略を練り始めた。

 

「まさか大和たちが来るとは思っても見なかった。だが、おかげで少々強引に行く事もできる。まさか速吸のための策がここまで結果を出すとはな。」

 

今浮かんでいる作戦は二つある。一つ目は敵防衛線を無視して一気に敵本陣に乗り込み鬼・姫級を撃破し、第二陣が到達するまでに抵抗してくる敵を倒し、布陣を整え、正面からぶつかる。これは大和型という超火力を発揮できる艦が加わったからこそできる作戦だ。そしてもう一つは当初から考えていた奇襲作戦。同じように西波棲地を時間をかけずに攻略し、第二陣が到達した後に柏崎泊地からの奇襲部隊でもう一つの棲地を奪還し敵を挟撃すると言った作戦だった。だが現在柏崎の新司令官は着任していないのでこの作戦自体実行不能だ。

 

「どっちにしろ大和たちに頼らないといけないな。演習では成績は最高だったが、いざ実戦となるとどうなるのやら・・・。そういや大和たちの艦隊を決めなければな。俺もそこへ転属にしよう。そうすれば一艦隊でかなりの打撃力が見込めるな。さて、名前は主力ではダメだな・・・。高火力を誇る戦艦三隻と空母無しでも制空戦が可能な防空駆逐艦三隻が配属するから海上強襲部隊とでもしよう。」

 

新しい艦隊表を作成してそこに俺を始めとして艦名を書いていく。そして第四要撃部隊の方も俺の名前を消した編成を記した。

 

「これを後で通達するとして、今日の歓迎会の準備は整っていると報告が来ているから大丈夫だろうが、大和と武蔵は食べるからな。一応食事の量は増やしてもらうとするか。」

 

今日の歓迎会は大和型が配属されたことで大食い祭りに発展するだろうな・・・。ウチには既に赤城、加賀、比叡と三人の大食いに加えて大和型の発展型の俺もいる。加えて大和・武蔵とくれば一気にヒートアップするだろう。特に武蔵はな・・・。

 

「さて、作戦から逸れてしまったな。一応作戦は敵が第二陣を備えていることを前提としたものだ。だが敵も新しい作戦を執る可能性もある。そうなれば単純な数の勝負になる可能性もある。そうなるとこちらが圧倒的不利になるのは必然だ。さて、どうしたものか・・・。」

 

色々と考えるが中々良い策は浮かばなかった。敵の動きが未知数かつ後方にどれだけ鬼・姫級がいるのかも不明なのは不利だ。だからといって強行偵察はリスクが大きすぎる。柏崎が機能しないとなると舞鶴のみで二つの棲地を攻略しなければならない。戦力は揃いつつあるがやはり情報が不足している。

 

「前回の作戦時に確認できた姫級は戦艦棲姫・空母棲姫・装甲空母姫・水母棲姫の四種。水上型でこれだけいるなら棲地本陣には陸上型も複数いるだろうな。逆に作戦後西波棲地で陸上型を発見したと言う報告は無い。西波棲地には重巡棲姫と軽巡棲姫がいるのか。大型艦がいないのはありがたいことだ。」

 

重巡棲姫は発見されてからまだ日が浅いから詳細は不明だが艦種は重巡だがかなり戦闘能力は高いらしい。軽巡棲姫はそこまで脅威になるわけではないらしいが、油断は禁物だ。

 

「提督、戻りました。」

 

「あぁ、お疲れさん。今、何時だ?」

 

「もうすぐ6時です。そろそろ歓迎会の方に行かれてはどうですか?」

 

「あぁ、そうする。」

 

「そう言えば大和さんと武蔵さんからの伝言で提督の艦娘姿が見たいそうです。」

 

「・・・わかった。」

 

どうやらかなり作戦を練っていたせいで時間を忘れていたようだ。さて、今日の歓迎会は騒がしそうだ・・・。




いつの間にか五十話まで到達することができました。これも皆様のおかげです。これからもどうぞよろしくお願いします。
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