俺、技術屋だよな?   作:かんせつ

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第五話 鎮守府襲撃

 7月2日

 

《鎮守府・工廠》

 

「で、これはどういう状況なの?」

 

「計画に必要なものを送ってもらっただけだ。」

 

俺は真那に送ってもらった機材に目を通しながら横で訳を聞いてくる霧島の相手をする。

 

「先輩。現在の舞鶴用の機材搬入の進行状況はこの通りです。」

 

「お疲れさん。引き続きリスト通り頼む。」

 

「了解っす。」

 

「技術顧問、ここなのですが・・・。」

 

「あぁ、それはだな―――。」

 

大部分を白鳥に任せ俺は白鳥では捌ききれないような作業を行っていた。

 

「・・・。」

 

その作業を霧島はただ見ていた。だが顔が時たま変化しているのには蒼一は気づいていない。

 

『桐生博士に報告。堺泊地への荷物の搬入を開始したとの事。』

 

「わかった。搬入作業はリスト通りに進めるよう伝えてくれ。」

 

『了解しました。』

 

ヴゥゥゥッ!!

 

作業を進めているといきなりサイレンが鳴り響いた。

 

「敵襲か!?」

 

「大淀、状況は!?」

 

霧島は慌てるように連絡を取り始める。

 

「先輩!!」

 

「あぁ、総員退避。機材は放っておけ!!己の命を最優先とせよ!!」

 

「っ!?」

 

霧島は蒼一の怒声とも呼べる声に一瞬戸惑っていた。

 

「急げ!!非戦闘員は地下シェルターに非難だ!!」

 

「あなたは!?」

 

「霧島、俺なんかに構うな!!お前は自分の成すべき事に集中しろ!!」

 

「は、はい!!」

 

俺は霧島の走っていく姿を見送って呟いた。

 

「さて、お手並み拝見といこうか?」

 

俺は全員の避難を確認してからそのまま鎮守府のある場所へ向かった。

 

 

 

《司令室》

 

私は通信室に向かいながら考えていた。なんで私はあの時返事をしたのだろうか・・・。今はそんなことを考えている暇は無い。気持ちを切り替えないと。

 

「大淀、全艦隊出撃準備!!」

 

「既に第ニ主力艦隊、第三機動艦隊の出撃完了しています。」

 

「敵は?」

 

「観察機の報告では戦艦と空母を主体とするニ艦隊が接近中!!」

 

「第ニ艦隊は戦艦を、第三艦隊は空母の相手を。」

 

 

 

《?????》

 

「おいおいおい・・・そりゃマズイって!!」

 

俺は司令部の無線を傍受しながら手元のタブレットで得た情報から推測できる艦隊配置をすると、とんでもない結果が浮かぶ。

 

「接近中の二艦隊は陽動だ、本命がまだ残ってる!!」

 

俺は急いでその場を離れて霧島が指揮を執る司令室へと急ぐ。

 

 

 

《司令室》

 

「霧島!!」

 

「何、あなたまだ避難していなかったの?それよりもここはあなたの来るところじゃないわ。」

 

「んな事ぁ今は言い合ってる暇はねぇ!!それよりも待機している艦は!?最初の二艦隊は囮だ。よく考えてみろ!!最初に会った時だって水雷戦隊の接近を許していただろう!?」

 

「そ、それは!!「出撃中の艦隊から報告!!鎮守府付近に高速で接近する艦隊を発見!!・・・これって!?」・・・ウソ・・・でしょ?」

 

「狼狽えんな!!」

 

「っ!?」

 

「大淀!!」

 

「は、はい!!」

 

「現時点で出撃可能な艦は!?」

 

「これが今の編成表です。第四艦隊は入渠中、第一主力艦隊は出撃していません。ですが・・・旗艦は・・・。」

 

「霧島!!」

 

「は、はい!!」

 

「すぐに第一艦隊旗艦として随伴艦を率いて本命を討て!!」

 

「はい!!戦艦霧島、出撃します!!」

 

「臨時で俺が指揮を執る。第二・第三艦隊へ通達、ニ艦隊は直ちに合流して一気に敵陽動隊の撃滅にあたれ!!」

 

『りょ、了解』

 

『こちら機動部隊、了解です!!』

 

「第一主力艦隊、出撃しました!!」

 

「わかった。第一主力部隊へ通達。本命への最短ルートで接近し、なんとしてでも撃破しろ!!」

 

『了解!!』

 

「後は・・・祈るだけだ・・・。」

 

 

 

「第二・第三艦隊から報告。敵陽動部隊を撃退とのこと!!」

 

「よし、当艦隊は直ちに鎮守府へ帰投、挟撃を狙うぞ!!」

 

『了解です!!』

 

「ん?接近敵艦隊に変化あり。鎮守府から離れていきます。続いて第一艦隊より報告。敵艦隊の鎮守府近海からの離脱を確認との事!!」

 

「なんとか・・・危機は乗り越えれたかな?」

 

 

 

《食堂》

 

「それで、これはどういうことだ?」

 

俺は昨日のように食堂の一番目立つところに座らせられていた。だが一つ違うことがある。それは俺に向けられる視線だ。昨日のような冷たい視線ではなく、温かい視線だった。

 

「ん~、君の歓迎会じゃない?昨日はまともにできなかったんだし。」

 

「いや、それでもだな・・・。」

 

「あなたを提督として歓迎しているんですよ?それを受け取らないとは。」

 

「霧島・・・?」

 

「あなたを見てわかったんです。あなたなら・・・私たちと共に戦ってくれるって。」

 

「あぁ、共に戦おう。」

 

霧島から伸ばされた手を掴み、今度こそ握手をした。

 

「提督!!」

 

「ん?暁か。どうした?」

 

「えぇっとね、昨日兵装を調整してもらったから今日の戦闘がすっごく楽だったの。ありがとう!!

 

「それは良かった。ん?ひび・・・おわぁ!?」

 

「ちょっと響!!ずる・・・はしたないわよ!!」

 

「これはいいものだ。ハラショー。」

 

響がいきなり膝の上に乗ってきたのだ。ううむ・・・どうしたものか・・・。

 

「よかったじゃん?みんなと仲良くできて。」

 

「北上・・・お前、昨日何かしたか?」

 

「ん~・・・君の昔話をしただけさ。」

 

「ま、おかげで助かったよ。ありがとさん。」

 

「どういたしまして。」

 

その後は頑として俺の膝から離れようとしない響に暁が叫んだり、それをからかう北上、そしてそれを温かく見守る霧島を中心として夕飯は実に楽しい時間となった。

 

――――――――――――

 

《提督室》

 

「んで、これはどういうことかな?霧島さん・・・。」

 

「えぇっとですねぇ・・・。」

 

俺が案内された提督室の机にはあふれんばかりの書類が溜まっていたのだ。

 

「はぁ・・・まぁ、いいか。仕事中、君に艦隊の指揮を委任するよ。」

 

「了解です。ではお願いしますね。」

 

「はぁ・・・。なんか上手くはめられたような気がするな・・・。」

 

俺は仕事を開始する前に携帯で真那へ連絡を入れる。

 

『そう、無事提督になれたのね。いやぁ、よかったわ。』

 

「まぁ、な。計画の機材は送ってもらったが、他の機材についてはどうなってる?」

 

『そうね・・・そっちの重機はどんな感じ?』

 

「一応クレーンはあるが一機だからな。予備で後二つは欲しいな。」

 

『なら各修理も含めて鎮守府を一気に大規模改修でもする?』

 

「そうだな、それがいい。今では廃墟と化した大浦半島全て使えるか?」

 

『かなりの大規模改修・・・というか増設ね。自給生活ができるように畑も作る気かしら?』

 

「それもいいな。幸いにも日本海側の島群にはかなりの資源が眠っていて武器弾薬には困らなさそうだ。先見投資だったとしても少ない方だろう。それに上の保身だけに予算を使われるのは気に入らないしな。」

 

『まったくその通りね。なら試験中の陸地用防衛兵装も送ろうか?』

 

「あぁ、頼む。」

 

『よし、ならそっちに各資材と建造妖精、しかも特級クラスを送るわ。特級建造妖精なら防衛兵装の配備は一日でできるはずよ。』

 

「あぁ、頼む。それと試験中の艦娘用誘導弾発射装置と・・・55センチ砲も頼む。」

 

『誘導弾はわかるけど・・・なんで55センチまで?』

 

念のため(・・・・)だ。」

 

『・・・わかった。だけど、使われないこと(・・・・・・・)を祈るわ。』

 

「俺も祈ってるさ。じゃぁ、頼むぞ。」

 

『えぇ、任せておいて。明後日には全て準備して送るわ。計画の方はどうするの?』

 

「それがミソなんだよな・・・。あぁ、そういえばここに北上が着任していたよ。」

 

『北上・・・あぁ、あの北上?あの一際マイペースな。』

 

「あぁ、おかげで計画についてもしゃべっちまった。」

 

『・・・まぁ、アンタがそう判断したのならそれでいいわ。んで、計画はどうするの?すでに堺の方にも機材の準備は終わっていると報告が来たでしょ?』

 

「あぁ・・・さて、どうしようか・・・。」

 

『上はかなり報告を待っているようだし、時間はそう長くは無いわね。』

 

「北上も言っていたよ。『何時の世も人は変わらない』って。」

 

『まったくね。まぁ、それがあの過剰な量の防衛兵装ね。』

 

「ま、上の自己保身は今に始まったことじゃない。それじゃ、計画は明日にでも堺に向かうとするよ。」

 

『オッケー。それじゃ任せたわよ、桐生提督。』

 

「ふぅ・・・提督か・・・。」

 

俺は通話が終わって雄真の言葉で今の自分の立場を再認識する。

 

「俺の仕事は攻める事じゃない。守ることだ。」

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