3月未明
《淡路仮設泊地》
『敵襲よ!!みんな戦闘配置について!!』
「はい!!」
霧島の放送でみんなが各々の持ち場に向かう。私は妹をサポートするために司令部に向かう。
『観測機より報告。敵艦の数、およそ50!!』
「50!?お姉様、どうしましょう・・・。」
私が着いた時ちょうど絶望の報告が告げられているところだった。今は提督に相談しなければならない。
「提督に相談しまショウ。」
「わかりました。すぐに舞鶴の提督に繋げて!!」
無線士の大淀に提督とのコンタクトを頼む。程なくして提督との会話ができるようになる。
『どうした。俺は今忙しいんだが。』
「緊急事態です。敵艦およそ50がここ淡路泊地に進行中です。多勢に無勢、一時泊地を放棄して撤退の許可を。」
『はぁ?ふざけてんじゃねーよ。お前らの仕事は深海棲艦を沈めることだろ?油売ってないでさっさと殲滅しろ。』
「ですが数が・・・。」
『うじうじ言ってんじゃねぇよ。俺は今忙しいんだ。』
そう言って提督は通信を一方的に切った。
「お姉様・・・。」
「仕方ありませんネ。総力戦よ。全火力を持ってあたりまショウ。」
「はい!!私たちもすぐに出撃準備をしましょう。大淀も出撃を。」
「わかりました。」
「よし、レッツゴー!!」
《淡路海域》
戦いは困難を極めていた。先の淡路島奪還作戦ですでに主力空母を失っている私たちの頭上には悠々と敵の航空機が飛んでいて遠慮なく攻撃を仕掛けてくる。一人・・・また一人と轟沈者が増える一方で敵は一向に減らすことはできていない。
「キャァァ!?」
「霧島!!」
「おねぇ・・・さま・・・残っているみんなを率いて脱出を・・・。」
「でも霧島は!?」
「私は・・・もう・・・無理です。ですので・・・早く・・・。」
「お姉様!!ここは私たちが食い止めます!!お姉様は霧島とみんなを連れて脱出を!!」
「比叡・・・榛名・・・あなたたちも退くのデス!!」
「流石に誰かが残らないといけません。幸いまだ榛名たちには余力があります。だから大丈夫です。必ず戻りますので、早く!!」
「くっ・・・霧島、みんな!!殿は比叡と榛名に任せてこの海域を脱出しマス!!」
「比叡お姉様、榛名・・・。」
「霧島、お姉様を頼むわ。」
「ダメッ!!一緒にぃ・・・。」
私は泣き叫ぶ霧島を強引に引っ張って他のみんなと海域を離れる。合流したみんなの中に怪我をしていない子は一人もいなかった。しかしここまで来れば・・・みんなは助かる。私は二人を助けに!?
ドウン!!ドウン!!
「チィ・・・もう追っ手デスカ・・・つっきー、響!!霧島を引っ張って行って!!」
「おねぇ・・・さま・・・?」
「でも、金剛さんは・・・。」
「幸い敵は一艦隊だけデス。私だけでも十分時間は稼げマス。だから早く!!」
「お姉様、私も!!」
「暁、響!!」
「お姉様ぁぁぁ!!」
暁と響に引っ張られて霧島は本土へと帰っていく。それを見届けてから私は敵と対峙する。
「ここから先は一歩たりとも踏ませない!!」
私は死力を振り絞って敵へ突撃した。
《?????》
「沈んでいる・・・のかな・・・?もう、霧島は逃げれたはず・・・。」
私はしっかりと沈んでいく感覚を覚えながら朦朧とする意識の中言葉を紡ぐ。
「比叡と榛名の反応も・・・いつの間にか消えていた。私も・・・すぐに二人のとこ・・・ろへ逝くわ。霧島、あなたは・・・まだこっちに来・・・てはダメよ?」
私の意識はそこで途切れる。沈むのは二回目だけど、やはり恐い・・・。
7月3日
《鎮守府・ブリーフィングルーム》
「ってな訳で今日の午後に堺泊地で行われる兵装実験に立ち会うことになった。着任早々ですまないが一時鎮守府を離れる。よって、霧島に艦隊指揮を委任する。」
「了解です。えぇと、お戻りは何時ぐらいでしょうか?」
「今日の夕方には戻れるはずだ。それとバックアップを横須賀・・・大本営に頼んでいる。もし何かあった場合は俺ではなく戦術一課・神代作戦部長にかけろ。緊急コード0038-0394でアイツに直接通じる。報告をすれば直援で部隊を派遣してくれる手筈になっている。遠慮なくかけろ。」
「わかりました。」
「それじゃぁ後を頼む。」
俺は他鎮守府・泊地を結ぶ大本営専用車両に乗り、大阪・堺泊地へと向かった。
《大阪・堺泊地》
俺は今、計画の責任者なので白鳥たちとは別行動でこの堺泊地の司令官のところを訪れていた。
「桐生提督、お待ちしておりました。堺泊地司令、菊谷です。」
「出迎え、ご苦労さまです。えぇと、すぐに機材の搬入に移りたい。」
「はっ!!妙高、案内してあげてください。」
「了解しました。こちらです、どうぞ。」
「よろしく頼む。」
《堺泊地・仮設試験場》
「俺が頼んで言うのもなんだが、よくもまぁ一日でここまで作れたもんだ。」
「あ、先輩。遅いですよ。」
「これでも責任者なんでね。それで、状況は?」
「機材の搬入は終了。すでにリスト1から20までの作業は終了しています。」
「わかった。引き続きリスト21からの作業を進めてくれ。」
「了解っす。」
「俺もセッティングに入らないとな・・・。」
俺もリスト通りの場所で周りと同じように作業をする。
「実験予定時刻、1500を確認。これより艤装捜索を行う。探査機発進!!」
『了解。探査機、発進します。』
『探査機に異常無し。探照灯を点灯。続いて探査カメラ・・・異常無し。映像、主モニターに出ます。』
オペレーターの言葉と共に目の前に設置されている画面に海中の様子が映し出される。そして探査機はその後も異常は見られず、捜索ポイントに到着する。
『探査機の捜索ポイントへの到着を確認。これより探索作業に入ります。』
「わかった。まずはリスト01から05まで実行、反応を見る。」
『了解。リスト01から05、開始します。』
まずは超音波からだ。周囲の地形を把握し、自然とは異なる場所を探す。
『地形情報の計算完了。主モニターに出します。』
主モニターの映像がワイヤーでできた予測地形情報を映し出す。
「よし、これに鉱脈情報を照合させろ。」
『了解、照合開始します。』
「さて、海域図を見たところ、海流によって艤装が別の場所に流される可能性は低い。特にこの地形じゃ一度海底に落ちてしまえば波程度では動かないだろうしな。」
『照合完了。付近に鉱脈は見られません。』
「わかった、次に移る。金属探知開始。」
『了解。金属探知開始。』
「さて、一発でヒットしてくれればいいんだがな・・・。」
『金属反応あり。反応数およそ50。』
主モニターの3D地形図に複数の点が映し出される。
「よし、続いて金剛のパーソナルデータを照合して数を絞れ。』
『了解。照合を開始します。』
「元々正確な轟沈ポイントは把握できていないから時間はかかるだろうな・・・。」
『複数の反応あり!!対象パーソナルデータとの照合率78%!!』
「よし、すぐに目標付近に探査機を向かわせろ。」
『了解。探査機は直ちに向かわれたし。座標はH-24海底。』
『了解。探査機の移動開始。ポイント到達まで残り10。』
「しっかし一発目からヒットとは。幸先が良いのか悪いのか・・・。反応が複数って事は轟沈時の爆発によって四散したということか?」
『探査機の該当ポイントへの到達を確認。主モニターを海底映像に切り替えます。』
主モニターが切り替わり探照灯によって照らされた海底の様子が映る。
『艤装と思われる破片群を発見!!』
「よし、探査機は回収作業に入れ。」
『了解。回収作業に入ります。』
「破片と言ってるがサイズは予想より少し大きいし量もあるな。だがその方がありがたい。」
『目標物の回収、完了しました。』
「よし。続いて探査機はすぐさま帰港。サンプルは直ちにコンテナに搬入後地下リニアで搬送。直ちに舞鶴に直行だ。」
『了解。』
「よし、俺もすぐに舞鶴へ帰投する。白鳥、後は任せた。」
「了解っす。」
俺は回収されたサンプルと共に直通リニアで舞鶴へと向かった。