7月3日
《舞鶴鎮守府・地下リニア駅》
「提督、お疲れ様です。鎮守府への襲撃及び鎮守府近海への敵反応はありませんでした。」
「ご苦労さん。」
「えぇっと・・・その荷物は・・・?」
「すぐに新しい作業に移る。工廠にシフトに入っていない艦娘を集めてくれ。無論、霧島も来てくれ。それと・・・
「え・・・艤装ですか?」
「そうだ。じゃぁ頼んだぞ。」
俺は霧島にそう指示して工廠へと急いだ。
《工廠》
「桐生博士。リスト70までの作業、完了しました。」
工廠に着いた俺に気づいてその場の指揮を任せていた妖精が現状を教えてくれた。どうやら現段階では全ての作業が終了したようだ。
「提督。休憩中の艦娘、全員揃いました。一応、艤装も準備できています。」
「よし、役者は揃ったな。これよりKS計画・・・艦娘サルベージを行う!!」
「サルベージ・・・?」
「意味は沈没船の救助・・・轟沈艦の蘇生だ。」
「それって!?」
「まだ確証は無い。なにせこれが初めてだからな。今からは俺は忙しくなる。少しそこで待機していてくれ。」
「はい・・・。」
「よし。ジェネレーターへS.V.Lの注入開始!!」
『了解。ジェネレーターへS.V.Lの注入を開始。完了まで13。』
「注入後、鋼材を投入しろ。」
『注入完了。続いて鋼材を投入します。』
「ジェネレータへの電力供給準備!!」
『了解。電力供給状況、既に最終絶縁体までの供給に異常無し!!』
『鋼材の溶解を確認!!』
「よし。これよりサンプル体を投入する。」
『了解。サンプル体を投入します。』
「・・・あれは!?」
指示を飛ばしていた俺の耳に霧島の驚愕の声が聞こえた。どうやらわかったようだな。目の前にある艤装の持ち主が・・・。
『サンプル体の投入を確認!!』
「よし、ジェネレーターの最終絶縁体を解除。S.V.Lへの電力供給を開始!!」
『了解。最終絶縁体の解除を確認。これより電力供給を開始します。』
「よし、ここにいる艦娘に通達。ジェネレーター前で艤装を展開し警戒態勢に入れ。」
「えぇっと・・・わかりました。」
一応霧島は返事をして他の艦娘と共に艤装を展開したがジェネレーターの様子を見守る俺の隣に立つ。
「どうして艤装を展開する必要があるんですか?それにあの艤装は・・・。」
「轟沈艦の蘇生と言ったが前例が無い。何せ今日が最初の実験だからな。それに君たちを構成する大元は一度轟沈した艦の魂の欠片であることがわかっている。そしてその魂の破片が沈み朽ちた肉体の代わりに艤装に宿っている状態だと俺は考えている。だが、敵である深海棲艦も同じく沈んだ船の魂が怨霊化したもので構成されている。だが、今の金剛の状態はわからない。怨霊化している可能性も十分考えられる。最悪の・・・万が一の事も考えてだ。」
「もしも!!」
「今は祈っていろ。マイナスな事は考えるな。」
「はい・・・。お姉様、どうか・・・。」
今もなお、ガラスの中が見えないほどの泡を出しながら化学変化を起こしているジェネレーターを前に俺たちは祈るしかないのだ。
《?????》
私は忙しなく聞こえる声で目が覚めた・・・そんな気がした。でも何も見えない。ただ闇の中にいて周りの声だけが聞こえていた。ここは死後の世界なのかな・・・?そう思った瞬間、何かに引っ張られるような感覚を覚えた。でも周りが闇なのには変わりは無かった。
「―し、す―さま――鎮――へ―――俺も―――――。」
断片的な声しか聞こえない。でもなんでか私はここが死後の世界だとは考えられなかった。そして揺れるような感覚がして次は液体に浸かる感覚があった。
「お―様―――か。」
そして、聞き慣れた声が聞こえたのだ。そう、私を呼ぶ妹の声が。その瞬間、私の目の前に光が見えた。
『ジェネレーターにパルス確認!!これは・・・艦娘のものです!!』
「すぐにパーソナルデータを確認しろ!!」
『照合開始・・・出ました。照合率97%、戦艦・・・金剛です!!』
「内部状況は!?」
『すでに肉体の構成は終了。ですが、意識は不明です。』
「よし、直ちにS.V.Lを排水!!」
『はい!!S.V.Lの排水を開始。完了まで13。』
「上手く・・・いったのか・・・?」
俺はナビ妖精の報告を聞いてもまだ、目の前の状況を信じきれてなかった。
「提督~、持って来たよ~。」
「北上か、いいタイミングだな。」
悩んでいる俺の隣に特命で動いてもらっていた北上が現れた。どうやら無事、目的の物は持ってこれたようだ。
『S.V.Lの排水を確認!!』
「よし、ハッチ開放。霧島、行ってきなさい。」
「はい!!」
霧島は開いていくジェネレーターのハッチへ最初はゆっくりだったが、近づくにつれて早足になって向かっていく。
「全員艤装の展開を解除。実験は・・・成功だ。」
「あれ?どこ行くの?」
「いくら艦娘と言えど花も恥らう乙女だ。男は出ておくよ。」
「なるほどねぇ。ま、わかったよ。これを渡さないと君は入れないだろうしね。」
泣き叫ぶ声が聞こえる集団に向かっていく北上をよそに俺は一時工廠から離れた。
十分ほどして俺は北上に工廠に呼び戻された。工廠には実験の成功を喜ぶ妖精や今も涙が残る霧島と同じような服を着た艦娘が増えていた。
「戦艦金剛、でいいんだよな?」
「ハーイ。戦艦金剛デース!!よろしく提督ぅ。そして、ありがとう!!」
金剛の溌剌とした声と共に金剛は俺へ抱きついてくる。
「えぇっと・・・金剛?」
「なんデスカ?」
「一旦離れてくれるかな?周りの目が恐いんだけど・・・。」
そう、特に霧島となぜか響の顔に影ができているように見えるのだ。
「ちぇー。」
「えぇとそれじゃ、金剛の歓迎会をしようか・・・。」
連日の宴で既に鎮守府の金庫はすっからかんなのだがそこは俺の余りある金を使ってよしとしたのは余談である・・・。
ありがたく第六話投稿後、二件の感想を頂きました。そしてお二方ともその内容が伏せていたはずのKS計画の意味を解読しておられました。感想を見たときはテンションマックスと共に解読されて ∑( ̄ロ ̄|||) って感じでした。今後ともよろしくお願いいたします。