救われる話   作:高須

14 / 26
14話

今日も俺達はコミュニティセンターに来ている。あの意味不明な会議をまたあると考えると、俺はだるいなと思ってしまう。でも、一色からの頼みだから頑張ってみるか、そう決めて俺は会議に参加する。

 

講習室には海浜高校と総武高校の面々が集まっている。皆が席に座り、視線が玉縄に集まる。

 

「じゃあ、始めようか」

 

玉縄の号令により、会議が始まる。

 

「じゃあ、まずは、昨日のブレストの続きからやっていこう」

 

俺はどういった流れになるか考えるために、会議に耳を傾けた。最初に意見を出したのは海浜高校側である。

 

「せっかくだし、もっと派手なことがしたいよね」

 

「あるある。やっぱり大きいことっていうか」

 

それを聞いていた玉縄が難しそうな顔で言った。

 

「……確かに、小さくなりすぎていたかもしれないな」

 

何を言っているんだ?俺はあきれてしまう。

今のところ決まっているのは、日程と場所、そして目的ぐらいだ。そして今決めるべきなのは、肝心の中身。これが決まらないと先に進まない。なのに、それを決めようとしない。

 

「それじゃあ、ちょっと規模感を上げようと思うんだけど、どうかな?」

 

「えぇと、そうですね……」

 

意見をきかれた一色は困った表情をみせる。まずい。このままではまた何も決まらない。ここで何かをしなければ。

 

「ちょっといいか」

 

俺は玉縄に話しかける。

 

「なんだい」

 

「規模を大きくするには時間と人手が足りないぞ」

 

この発言で規模を大きくする意見を、なくすことが出来ればいいが。

 

「ノーノー。そうじゃない。ブレインストーミングは、相手の意見を否定しないんだ。時間と人手をどうするかを話し合って、議論を発展させるんだよ。すぐに結論を出しちゃいけない。だから、君の意見はだめだよ」

 

やはりだめか。しかも、それだけじゃない。この発言で否定的な意見は出せなくなった。失敗したかな……

 

「待ってください!」

 

全員の視線が声がする方向に向く。声を出したのは藤咲だった。

 

「訊きたいことがあります。規模を大きくしたいとのことですが、規模を大きくして何がしたいんですか?」

 

一番最初に規模を上げたいと発言した生徒に視線が集まる。

 

「えーと…その……特にないです……」

 

その生徒は多くの視線により萎縮して答えた。

まぁ、当然の回答だろう。彼等は具体的にしたいものがない。ただ、こういうことがしたい等の曖昧なものでしかない。もし具体的なことがあるのなら、もう会議は終わって、準備が始まっている頃だ。でも、海浜高校の面々はそれがないから遅れている。

 

「そうですか……なら、規模を大きくしなくてもいいんじゃないんですか、玉縄君?」

 

今度は玉縄に質問を向ける。

 

「そ、そうだね。でも、規模を大きくすることで盛り上がると思うんだけど」

 

玉縄が慌てて答える。

まだ、玉縄は規模を大きくすることに執着している。

 

「無駄に大きくしても、薄ぺっらいものになると思います。だとしたら、小さくても中身のあるものにした方が、いいのではないでしょうか」

 

藤咲がそれに対して反論する。

 

「じゃあ、皆でどうするか話し合おう」

 

まだ玉縄は一人で決めれない。周りの意見を聞こうとしている。このままだと、また戻るだけだ。だが、藤咲によって流れができた。この流れを無駄に出来ない。だから俺は席を立ち発言する。

 

「提案したいことがある」

 




久し振りの投稿のうえ、短い文ですみません。次からは1週間に一回は出来るようにしていきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。