憂鬱な気分で家に帰る。玄関には小町の靴があった。どうやら、学校から帰ってきてたようだ。小町はいつものように、リビングにいるだろう。俺は、今は小町と会いたくないと思ってしまう。だから、自分の部屋に行く。そのままベッドで寝てしまう。そのまま何も考えず、ぼーっとする………
「お兄ちゃん~ご飯できたよ~」
その声で意識を覚醒させる。小町には心配させたくない。その気持ちで、いつも通りにする。リビングに向かう。イスに座る。美味しそうな食事が並んでいる。けれど、今は食べられる気がしない。
「「いただきます」」
「……………………………」モグモグ
「……………………………」モグモグ
俺達は食べ始める。しかし、何も会話がない。静かだ。そうしているうちに、小町が沈黙を破った。
「……ねぇ、学校で何があったの?」
「………何もねぇよ」
「嘘だよ!学校で何かあったのはわかるよ………雪乃さんと結衣さんと何かあったんでしょう?」
「……………………」ピク
「約束したでしょう!何かあったら、相談「うるさい!」……」
「お前には関係ない!もうきくな……」
「…………ばか」
そのまま自分の食器を片付け部屋に戻る。小町が何かを言ったが、聞こえなかった。ベッドに身体を預け考える………小町には酷いことをしてしまった。あれでは、ただのやつあたりだ。後で謝らないと……
風呂に入り、寝る。なかなか寝られない。だから、考えてしまう。……これから俺はどうすればいい?どうあの二人と接すればいい?結局はわからない。だけど、あんな辛いところにはもう行きたくない。………奉仕部を辞めよう。そう結論づけて俺は深い眠りにつく。
翌朝。リビングに行くと、もう小町はいない。先に学校に行ってしまった。だがテーブルには朝食がおいてあった。小町が作ってくれていたようだ。後で何かしてやろうと、思いつつ朝食を食べる。そして、学校に向かう。
学校につく。いつものように何事もなく、時間はたつ。そして、昼休み。今日は平塚先生に呼ばれているので、職員室に向かう。俺は覚悟を決める。今日奉仕部を辞める……
「やっと来たか。比企谷」
「はい。俺も話があるんで」
「なんだ言ってみろ」
「……俺は奉仕部を辞めます」
「駄目だ。それは認められない」
「……それは……どうして……ですか?」
「君の更正はまだ終わっていない。今の君では駄目だ。」
「………そうですか」
俺は俯いてしまう。俺は辞められないのか……覚悟を決めたのに。それに、今の俺では駄目……どうしてなのかわからない。
「比企谷、今日の部活は来い。来ないのは、私が許さない。これで話は終わりだ。帰りたまえ」
俺は職員室から出ていく。結局辞めれなかった。自分がこれからどうすればいいのかわからなくなってしまった…………
そして、放課後。俺は奉仕部のドアの前に立っている。二人が楽しく話している声が聞こえる。入りたくないが、入らなければならない。だから、いつものようにする。ドアを開けた瞬間、空気が凍ったように静かになった。俺は気にせず、自分の定位置に座る。そのあと、長い長い沈黙を雪ノ下が破った。
「………来たのね」
「そうだな……」
再び沈黙が訪れる。その沈黙を破ったのは、ドアから現れた平塚先生だった。
「全員いるな。今から話がある。そろそろ勝敗を決めたいと思っている」
「それって、どういう事?」
由比ヶ浜がたずねる。それは、俺が入部した時に出来たものだ。
「誰が一番奉仕できたのか、依頼を解決できたのかを勝負する。そして、勝った者は何でも言うことをきいてもらえる。」
「………どうして今になって言うんですか?」
「それは、今の君達が仲違いしているからだ。何があったのかは知らんが、今回はいい機会だと思っている。まぁ、今のところ私の独断により、まだ勝敗は決まっていない。よって今回の依頼、一色いろはの件で決めたいと思っている。」
「そうですか。わかりました」
俺達二人も頷く。
「では、そういうことで。あと比企谷、今回の依頼について二人に聞くといい。それでは、私は帰る」
そう言って、平塚先生は帰っていった。俺は今回の依頼について二人に聞いた。要約するとこんなもんだ。クラスメイトのせいで生徒会長に立候補させられた一色。本人はやる気はない。けれど、信任投票で落選するような、カッコ悪いのはしたくない。はっきりいって無理に近い。そう考えていると、雪ノ下が話し出す。
「今回の依頼は、貴方にはどうすることも出来ない。だから、邪魔しないで」
「………ゆきのん。そうだね。今回はヒッキーは居なくても、私達でできるよ。だから、ヒッキーは休んでていいよ」
「…………そうだな」
そう言って、俺は部室から出ていく。俺は今回どうしたらいいんだろう。俺ひとりでは、到底わからない。小町に相談してみるか。いや、出来ない。ケンカ中だからな。やはり、ひとりで考えるしかない。考えて……考えて……
「いつでも来てください。待ってますよ」
何故かあの時の言葉を思い出してしまう。今頼ることができるのは彼女しかいない。たった一度だけ。彼女に頼ってみることにする。そうすればきっと、何かが見つかるような気がしたから。そして俺は、文芸部のドアを開く。
予定してたより、投稿するのが遅くなってしまいました。次回からは、なるべく速く投稿していきたいです。