ひよりミカゲ。それが今回の依頼主であり、依頼内容は家で起こる不可解な現象を解明してほしいというものだ。
メンバーは隊長に千手ソウ、私、ナルトのスリーマンセルなのだが、いくつか問題がある。
まず、千手ソウって誰??なんでうちはと千手を一緒に?そもそも知らんやつ連れてくんなや。いくら任務の難易度がCだってなんで千手と組むの??
水と油、うちはと千手っていうだろ?アホ違う??
「はぁ、千手ソウよ。」
「はじめましてだってば。俺うずまきナルト!こっちは――」
「知ってるわ。うちはミコ。うちはのお姫様。」
私に対するお姫様は皮肉だろうけど、千手の姫様は年増だからね?
ソウは一見女。乳あるし。いや、千手だから怪しいかもしれないけど、乳のある男かもしれないけど。
年齢は二十代後半ぐらい?
黒髪に黒い瞳、没個性で忍らしいっちゃらしいけど、千手らしくまぁそう。うん。地味だ。
うちはと千手はハッキリ言って仲が悪い。いや、言うまでもなく仲が悪く、水と油のようにうちはと国内外に千手と知れ渡っている。
なにより卑劣様と呼ばれていた千手扉間がうちはの脳を調べてたとか二代目関して嫌がらせしてきたとか、当代神主に毒を盛ったとかがあったから。詳しく言い伝えられてはいないのだけれども、潜在的にうちはは千手が嫌いなのだ。
火影室に呼ばれて、そんで依頼内容知ってメンバー紹介で、メンバーに千手を入れられたんじゃ、こっちの機嫌も悪くなる。
ちらりと火影と千手ソウを見る。火影は苦笑いを浮かべている。
火の国の歴史は原作とは異なり、うちはは木ノ葉設立時に火の国の貴族の仲間入りを果たしているため、領地を持ち政治に関わる権利を持っている。
うちはが領地を持っているという理由で、これまで大きな戦闘はなかった。
千手は当然で忍の一族であり、その行動範囲は里内に留められ、初代火影の一族であるという理由と、生命力の高さから子宝に恵まれ他の一族と血縁を結ぶ確率が高く、忍間に限りとてつもない名声を得ている。
それに反しうちはは火の国の国教に不可欠な存在だ。木ノ葉設立前からうちはは火の国に、審神者として使いに出されたりしていたため、火の国の面々はうちは=忍一族ではなく、うちは=神の眷属である印象が強い。
幻術をかける瞳は、神秘を広める瞳として捉えられていた。大名との血縁での繋がりはないものの、国家的に重要度は高い。
警務部隊という組織もあり、国民からもうちはは人気なのだ。
国との繋がりとして千手は弱く、設立から何年後ほどかに千手から大名に側室として嫁いだものもいたらしいが、城の文献に『千手からの妻がいたが、その仲は悪く子供を授かることさえ無かった。』と一文が添えられているだけである。
それの相性が悪いばかりか、木の葉の里はうちは領内に存在しているのが一番大きい。赫映さまのお陰でうまくその時の大名を丸め込んだのだ。デメリットとしては他里からの攻撃を受けやすい。というものがあるが、それを含めても里の収入はいいものだ。
「ミコ、今日はどうしたってば?」
「別に。」
「うちはと千手ってば、仲良くないのか?」
「まぁね。」
必死に取り持とうとしてくれるのは嬉しいけど、こればっかりはどんな世界線でも互いを嫌い合う運命なんだと思う。火影様とお兄ちゃんがうまくやれてるのはふたりともちょっと変わってるからだろうし。
「ゴタゴタは任務外でやってくれ。今回はひより様からの依頼だ。家の物が勝手に動いたり、怪奇現象のようなものが起こるらしくてな。たしかミコは最近呪術を調べてるそうじゃないか。」
「えぇ、最近ジャシン教とやらが騒いでるみたいなので。その対策に。」
「ソウはそういう類を感じらしい。」
え?自称見えるってやつ
てか、今回の内容的にネズミか猿辺りだろう。
わりとひより家の息子のバカさ加減とアホさ加減は、上流階級では有名な話だし。たぶん、そういった話に詳しくないだろうサスケでも顔を顰めるぐらいの認知度だと思う。没落してないのは現当主のミカゲ殿が優秀だからなのだ。
たしか妻に娶ったのは、近くの名家の3女の方だったはず。素朴で優しく美しい人とは噂で聞いたことがある。
うわさ話もそれくらいの印象しかない。
領地も、屋敷のある村とその周辺の森ぐらいの小さな土地、木ノ葉の4分の1程度で、田畑と森での狩りで領内の村は生活していたはずだ。税も金ではなく物品納だったと思う。金目のものも、とりあえずよそ行きで使う少しだけ普段より質の良い衣類を数着程度所有している筈なのだ。そんなものを盗んで売っぱらうくらいなら野山を駆け巡り狩りをしたほうが早いだろう。
「え、じゃあ俺ってばなんで呼ばれたんだってば?」
「仲裁役だな。頑張ってくれ。」
「そりゃないってばよ。」
・・
道中話を聞いた感じだと、誰が居るのか、動物だろうと誰もが思ったと思う。普通はね?
でも実際に来て、屋敷を見てみた結果といえば、絶対なんかやばいことしてる。オカルト方面に。
「な、何だこれは!私がいない間に…」
「ひよりさん、もしかしてこれは」
「これってば、血だってばよ。この量……」
言わなくてもわかってしまう量。一人や二人なら確実に死んでるだろうし、複数人だったらかなりの人数を攻撃している量の血がそこにある。乾いたりしていない上に、鮮血の証である明るい赤に特有の鉄臭さでいっぱいいっぱいだ。
カルト集団の拠点のごとく、屋敷の周りのいたるところに円の中に正三角形の図形が書かれている。どうあがいても絶望。すべて血でだ。どうかせめて人間の血じゃありませんように。
「これは、中に続いているようですね。」
千手が指差す方には、何かを引きずった真っ赤な跡が。玄関で襲撃されて家の中に引きずられていったかのようなあとがある。
「それにしてもこのマークは一体?」
「隊長、知らないってば?」
「え、えぇ。姫様は?」
このマークは知っている。暁の飛段が所属するカルト集団のマークなのだろう。
ジャシン様を崇めるジャシン教。殺戮をモットーとするやばい集団。
「ジャシン教。殺戮を教義としてるカルト集団の儀式のマーク。それを真似てるみたいですね。」
「それは、依頼と関係あるのか?」
「おそらく、術者がこんなことするまでで、術が失敗して、それの影響ですかね。でも、中をくまなく調べないと。でもこれはもう依頼の範疇外ですよ。わかりますよね。」
「あぁ。すみませんが、これは障害事件としての処理になります。ナルトくんは影分身ができるよね?影分身で火影様にこれを。」
そう言って、巻物を取り出してそれをナルトに渡す。
ナルトは分かっていないながらも影分身を出す。
「本体は警務部隊を呼んできてくれ。」
「警務部隊だってば?」
「あぁ。」
「なんで?」
最近になってから民間人の事件事は忍里ではなく国で処理する事となり、国の正式機関からの依頼でない限り任務として介入するのは相応しくない振る舞いと判断されるようになった。それをナルトは知らない。誰も教えてなかったからなのかもしれないけど、修行でいなかったからとはいえ、火影の家とか依頼を受ける受付所に掲示してるはずなんだけどなぁ。
「変わったのよ。ここ数年で色々と。今までの掃き溜めを無くすために色々火影様たちが活動してて、国からの信頼がなくなってる状態なのよ。主に千手扉間の研究とかね。」
「卑劣さまってばね。」
「それで、警務部隊が事件事を受け持つようになった。警務部隊は里じゃなく支部があって、対応しやすいのが建前なんだけど。ともかく、もうこっからは善良な国民として、千手が中を見てくるから。」
「ミコは行かねぇの?」
ナルトは私がやんごとない身分ということを忘れているのかもね。前世もど阿呆のお馬鹿さんで脳筋だったんだろう。
「私はこの場で一番身分が高いのよ?それに少しだけ千手よりも呪術に詳しいからね。安全が確保されてから入るの。」
そんな説明をナルトにしている間に千手が家から出てくる。
「蛻のからですね。御子息の姿が見当たりません。それに、奥方様がリビングで……。」
「そんな……せめて息子の安否だけでも……」
「取り敢えず私が中を詳しく見てきます。警務部隊が来たら、私が中にいると伝えておきなさい。」
そう命令をしてから、玄関から模様を踏まないように慎重に歩いていく。
引きずられた血の跡が残る廊下を後を追うように進んでいくと、すでに死亡している美しい人がそこに横たわっている。
首をナイフで掻っ切られており、あの特徴的な紋様が儀式でもするかのように、いや儀式をしたあととして残されていた。
「人の気配はなさそうね。バカの部屋になにか残っていればいいのだけれど。あー嫌だ嫌だ。」