屋敷の中には奥方以外にも使用人の死体が転がっていて、揉み合った痕跡もあるが、息子の部屋であろう場所だけは綺麗なままだった。
部屋には水晶やジャシン教の紋、八卦や降神術のまがい物の様な手書きの紙なのが転がっていて、机には数枚の印刷物があった。
どれもジャシン教を宣伝するもので、胡散臭い救われるという文字が際立たせてあった。
「これは。」
日記のような物が机に置かれていて、近付いて見ると水に濡れてふやけたような箇所があり、乱雑な文字が紙いっぱいに詰め込まれていた。
『あのこ、、、、、おれ、、、、なんで、、、
男がいるに違いない、、、、、、俺を、、、』
文面的には日記だろうその紙の裏にはご丁寧にジャシン教のマークが赤茶色の、血が乾いたようなインクか、または血そのもので描かれていた。のかはわからないものの、想い人が振り返ってはくれないという趣旨の文面が並べられている。
それを確認してから外に戻ると、ちょうど警務部隊の人たちが到着していた。
「中に生存者いませんわ。ジャシン教絡みでしてよ?」
「またですか。」
最近、やはりジャシン教関連の事件が多い。多様性は認めるものの、ジャシンだなんて手広いのなんの、カルトね。
こうなったら、最終手段に出るしかないかも。
と、考えているうちに、うちはの警務部隊の者が緊張した面持ちでやってきた。
「ミコ様、お声がけする無礼をお許しください。
本当に、ジャシン教の仕業なのでしょうか?」
「はぁ?私を疑うと?」
「……はい。最近は信仰が薄くなっているのではないかと、今の若者に知らしめるためにこんな事を?」
「はぁ。良いですか?うちはは神の眷属。信仰など考えずに崇めればよいのです。祖霊様なのですからね?
それに、ミオヤ様がいらっしゃるその土地こそ我らうちはのあるべき場所。それは木ノ葉ができる前より変りありません。写輪眼を開眼しているものとして相応の振る舞いをなさい。私は邪教徒を追います。ナルト、共をしなさい。」
「う、うっす。わかったってばよ。」
・・
木々や動物達に聞いてその方を、息子が駆ける場所へと急ぐ。
想い人の村人に振られて、何かしらの理由でジャシン教徒と接触し、誑かされた。
そのことを考えると、想い人をどうにかして手に入れる為に殺すとか、そんなこと考えていてもおかしくない。
所々に野生動物の死骸があって、そろそろやばくなってきたところで、村に到着した。
すでに村は混乱状態で逃げ惑う人を避けて逃げてくる方に進んでいく。
そこには血まみれの男と一人の村娘がいた。
「やばいってば!」
男は彼女に掴みかかっていて何かを問い詰めるように迫っている。
隣には倒れている男の人がいて、腹にナイフが刺さっていた。
制圧は簡単だろうが、彼の処置には自信がない。
うちは以外の人間にやったことなどあまりないし、あの重症は初めてだ。
犯人の方はナルトがすぐに制圧してくれた。
「大丈夫。私に任せて。死なせないから。」
チャクラを使って丁寧にナイフを抜いていく。
それと同時にチャクラで幹部をむりやりつないでいく。
言うなら奇跡。異教徒につけられた傷であるなら、救済に奇跡の行使をしてもいいだろう。
流れる血を肉に変えていき再生させていく。
遠くから数人の声が聞こえてきた。
警務部隊の者たちだ。
あとは、彼らに任せればいいだろう。